ねこと日本酒

お酒の管理

【常温・冷蔵】日本酒の保存温度や保管方法、開封後や横置きの注意点とは?

日本酒の保管

こんにちは。ねこです。ここでは日本酒の保存方法や保管の仕方についてのお話をしていきたいと思います。

 

さっそくだけど、ゆみは日本酒を買った後はどうしてる?

え!日本酒って直ぐに冷蔵庫に入れるものじゃないの?

 

わたしは酒屋さんで買って、家に帰ってきたらすぐ冷蔵庫に入れてるよ。

それはどうして?

えっと、酒屋さんで購入するお酒が冷蔵庫に入ってたからだよ。

 

あ!でも冷蔵庫じゃなくて普通に棚に置いて販売している日本酒もあったなぁ…お父さんが飲んでいた日本酒もいつもキッチンの棚の中にあったし…

 

うーん。何が違うんだろう?

そうだよね。

 

酒屋さんだけじゃなくて、スーパーやコンビニでも「冷蔵保存」で販売している日本酒と「常温保存」で販売している日本酒があるよね。

 

じゃあ、それらは何が違うのか見ていってみようか。

「冷蔵保存」と「常温保存」の違いとは?

日本酒はアルコール度数の高いお酒なので、未開封であれば腐敗する心配はありません。

そのため「賞味期限」や「消費期限」の記載が必要ないお酒のひとつになります。

ちなみに、ウイスキーや焼酎・ワインなどにも賞味期限はありません。

ですが日本酒は他のお酒と比べても、取り扱いひとつで「劣化」のしやすい繊細なお酒である!ということは知っておかねばならない大事なポイントです。

また、その日本酒がどういう種類のお酒なのか?によって劣化のスピードが異なるため日本酒によって「美味しく飲める期間」というものが存在します。

美味しい状態で飲むために

2種類が存在するのです。

この2種類の違いは「生酒」であるか「2回火入れ」されているか?といった「加熱処理」の有無が大きな判断材料になります。

生酒とは?

生酒とは日本酒のもととなる醪(もろみ)を搾ったあと火入れをせずに瓶詰めをして出荷されるお酒です。

そのため日本酒の中の酵母が生きており、フレッシュで搾りたて本来のピチピチとした味わいを存分に愉しむことが出来ます。

ですが「火入れをしていない=加熱殺菌処理をしていない」日本酒のため非常にデリケートで下記3点が必須のお酒となります。

生酒を美味しく愉しむためには「冷蔵保存で直ぐに飲み切る」ことが必須です。

時間が経てば経つほど、酵母の発酵が進みフレッシュさは失われ、さらに開栓して空気と触れ合うことで酸化による劣化や風味の低下などが起こります。

せっかくの「生酒」なのに、本来味わえるはずだったフレッシュできたての味わいが変化してしまったら勿体ないですし、残念ですよね。

あえて時間の経過を楽しむ飲み方も十分ありですが、新鮮なうちに飲み切るのがベストな日本酒となります。

2回火入れとは?

日本酒は通常、

2回の火入れを行います。

これは

といった目的があり、火入れをすることで酵母の働きを止め「安定した酒質」にして「美味しさをキープ」することができるため行っている工程です。

そのため、

といった火入れを2回している日本酒は、常温保存しても酒質の変化が起きずらいため常温で保存できるものがほとんどとなります。

コンビニやスーパーで購入できる「パック酒」や「カップ酒」酒販店さんなどで「常温の棚で販売されている日本酒」は冷蔵庫での保管必須ではありません。

ちなみに純米酒の場合、火入れを1回しかしていない純米酒もありますので購入時に冷蔵保管されているものは自宅でも冷蔵庫で保管をすると安心です。

火入れが1回とは?

実は、火入れを1回だけしかしない日本酒も存在します。

そして、通常火入れは2回あるため「いつのタイミングで火入れをしたか?」によって呼び名が異なります。

1度も火入れをしない「生酒」と似ていますが、こういった違いがあります。

これらの日本酒は【冷蔵保存】推奨です。

1回しか火入れをしていないため、2回火入れよりも酒質の変化が早く起こりますので冷蔵庫で保存するのが美味しく飲み切るためのポイントです。

ちなみに、9月~11月ごろに発売される「秋上がり」や「ひやおろし」といった日本酒は搾った後に1回だけ火入れをする「生詰め酒」に該当するお酒がほとんどです。

常温保存とは?

「常温で保存できる」といっても、キッチンの上にポン!と置いているだけでは日本酒は劣化して行ってしまいます。

また、日本酒の常温保存としての最適な温度は「15℃前後」になります。

これは日本酒が

といった特徴があるからです。

紫外線の影響とは?

「日本酒を日の当たる場所に置くとよくない」
「日本酒を日の当たる場所に置いて販売している酒販店さんは利用するな」

酒飲みの方であれは1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

これは、日本酒が紫外線の影響を受けると

といった劣化反応が起こるためです。

日光臭(にっこうしゅう)とは?

日光臭

紫外線の影響で日本酒中の成分が分解されて生じる香りで、傷んだ玉ねぎやガスのような香りに例えられます。

他にも焦げた木や獣臭などに例えられ、わたしも利き酒師の課題で実際に日光臭を嗅ぎ味も確かめましたが

最初に嗅いだ時は

「傷んだ日本酒のにおい」
「放置して時間が経った日本酒のにおい」

という感じで口に含むと

「もわっと襲い掛かるような古い木の板のようなにおいと味」

という、獣臭と言われるのがとても分かる!と納得。焦げた木というか長年踏みしめられて黒くなった木の床板のような…とにかく顔が歪む匂いと味でした。

嗅ぐよりも、飲んだほうが強烈に広がります。

正直まずいです。飲めたものではありません。

飲んだ後も口の中に玉ねぎ感が残ります。

このように紫外線の影響を受けると「美味しい日本酒」が「とにかく不味い日本酒」に劣化してしまいます。

太陽の光だけではなく、蛍光灯の光にも紫外線は含まれています。

そのため紫外線の影響を受けない「暗い場所」に置いて保管することが必須です。

「酒瓶を新聞紙にくるむ」や「化粧箱に入れて保管する」といった対策も有効な手段となります。

熱の影響とは?

日本酒は、熱や急激な温度変化にも影響を受けるお酒です。

熱の影響を受けると

といった劣化反応が起こります。

これは温度が高いほどに影響を受け進行が早まります。

老香(ひねか)とは?

老香

熱の影響で日本酒中のアミノ酸および関連代謝産物が分解されて生じるさまざまな香りです。

分かりやすくいうと、古米や傷んだ穀物に例えられますが、ムレ香や漬物臭・沢庵臭などさまざまな香りが混じります。

こちらも利き酒師の課題で嗅いで味わいも確かめました。

実際に老香を嗅いでみると

「漬物やたくあんのような酸っぱい香り」
「もわんと傷んだ穀物のような香り」

というのがとてもよく分かります。確かにいろいろな香りが混ざり合っています。

匂いを嗅いだ段階では、日光臭よりも老香のほうが酸っぱい感じがして嫌いです。

飲んでみると

「味がない」

味が無いというよりも、味わいが抜けちゃった感じですね。

日本酒のまったりした感じとアルコールのペットリした感じだけ残して「おいしい成分が全部無くなった味」というのでしょうか。

香りで感じた、沢庵や傷んだ穀物といった匂いさえ味には無い。

ですが口の中にあるだけで不快で、こちらは嚥下することが出来ずにそのままシンクへ吐き出してしまいました。

口にしたことを後悔するほどのまさに「不味い日本酒」です。

このように、常温保存できると言えど温度が高いほどに熱の影響で劣化していってしまうため「一定の温度」が保てる「冷暗所」での保管が必須なのです。

一番は「冷蔵庫」ですが、普通酒や本醸造酒、純米酒であれば「15℃前後」に保てる冷暗所にて保存が可能です。

夏場に家の中が20℃以上や30℃近くになってしまうような環境では日本酒は常温保存できないと思っておいたほうがよいです。

または劣化を理解し、早く飲み切るなどの対応が必要です。

生酒を冷蔵庫で保管する理由は?

生酒は酵母が生きているので他の日本酒に比べ劣化が早く起こります。

特に熱の影響を受けると「生老香(なまひねか)」と呼ばれる劣化臭が生じます。

これは不快な甘さを思わせる香りで、「甘味や濃さが増して感じるけど、後味のキレが減少している」といったような味わいの変化が起こります。

そしてこの「生老香」、実は冷蔵保存していても時間の経過により生じてしまうのです。

これは、日本酒の中に含まれる酵母や酵素などが冷蔵庫の「5℃~10℃」の環境の中でも活動できるためです。

そのため「生酒は早く飲む」のが必須。

ですが、酵母や酵素の活動は低温になればなるほどその動きは鈍くなります。

日本酒が凍らない【マイナス5℃程度】の環境であればこの生老香の発生を極端に遅らせることが可能になります。

わたしもマイナス5℃で管理できる日本酒セラー「SAKE CABINET」(サケキャビネット)を購入しましたが、

「開栓後の日本酒を数日保管しても、味の劣化がない!開けたてのような旨さ」

というのを実感しています。

通常、日本酒は開けてから数日冷蔵庫で保管していると味が変わります。

これは「酸化」の影響もありますが、生酒の場合は冷蔵庫保存でも「3日~5日」が限度な気がします。

ちなみに、この間飲んだ立春朝搾り(搾りたての生酒)は3日目でも味が抜けた感じがしました。生酒が一番おいしいのは当日中だな…と改めて思った瞬間です。

それが、マイナス5℃の環境下であれば3日以上保管しても美味しい!

酒蔵さんがお届けしてくれるままの味わいを長く愉しみたいのであれば【マイナス5℃保管】はとてもおすすめです。

ですが、日本酒には「熟成」という考え方もあるため味わいの変化を楽しみたい場合は冷蔵庫保管で熟成の経過を楽しむのもおすすめです。

空気接触の影響とは?

日本酒は、空気と触れることで「酸化」が起こります。

これは日本酒の中に含まれる各種成分と酸素が結合することで起こる反応で

といった変化が起こります。

開栓前でも、瓶の上のほうには空気が入っています。

つまり、瓶を横にして保管すると空気に触れる面積が大きくなってしまい立てて保管するよりも「酸化」が進んでしまうのです。

そのため基本的に日本酒は空気に触れる面積を減らすために【縦にして保管】が必須となります。

そして、開栓後はさらに空気に触れる面積が増えるためより「酸化」が進みます。

これは、瓶内の日本酒残量や、冷蔵庫の温度や照明などによっても異なりますので「いつまで美味しく飲めるか?」は自分の舌で確かめる必要があります。

ちなみに、常温保存OKの日本酒も開栓後は「冷蔵庫で保管」すると美味しさを保ちやすくすることができます。

温度が高いと劣化が進みやすく、温度が低いと遅らせることが出来る。と覚えておくと安心です。

ですが冷蔵庫の温度では劣化を防ぎきることが出来ないため、早めに飲み切るようにすると美味しいままの味を楽しむことが出来ます。

まとめ

日本酒には賞味期限は存在しませんが劣化のしやすい繊細なお酒のため「美味しく飲める期間」があります。

 

それは日本酒によって異なり、保存方法も「常温保存OK」なものと「冷蔵保存必須」なものがあります。

 

常温保存OKなものは「2回火入れ」をしていて酒質が安定しているお酒で

 

・普通酒
・本醸造酒
・純米酒

 

です。

 

ですが、1回火入れの純米酒は冷蔵保存が安心です。

 

日本酒の保管に適する「常温」とは【15℃前後】

 

日本酒が劣化する原因に【熱】【紫外線】【空気接触(酸化)】があるため【温度変化が少なく15℃前後で保管できる冷暗所】が最適です。

 

…というのは分かったかな?

うん!常温保存についてよく分かったよ。

 

あれ、でも常温保存のお酒ってどれくらいで飲み切ったらいいのかな?

 

あと、冷蔵保存の日本酒に関してもおさらいしたいな!

 

そうだね。

 

えーっと、常温保存OKの日本酒は、未開封であれば製造年月より1年程度は美味しくいただけます。

 

もちろん、保管管理をしっかりとした状態で!です。

 

開栓後も常温保存できますが、味わいの変化は起こりますのでできれば冷蔵庫で保管し、1ヶ月以内には飲み切るようにしましょう。

 

冷蔵保存が必須なお酒は

 

・生酒

・(純米)吟醸酒、(純米)大吟醸酒

冷蔵保管が推奨なお酒は

 

・生詰め酒、生貯蔵酒

 

特に「生酒」は

 

・常時冷蔵保存(5℃~10℃、またはそれ以下)
・開栓後は直ぐに飲み切る(個人的に当日~3日以内)
・未開封の場合、製造年月より3ヶ月以内がベスト

 

他の「冷蔵保存の日本酒」は

 

・冷蔵保存(5℃~10℃、またはそれ以下)
・開栓後は早めに飲み切る(個人的に5日~10日以内)
・未開封の場合、製造年月より6ヶ月以内がベスト

 

です。

 

「熟成」という飲み方もありますが、まずは「美味いまま飲み切る」ための方法を知っておくと安心です。

うんうん!まずは劣化させない飲み方を知っておくと安心だよね。

 

でも、人によって保存環境とか違うからやっぱり「日本酒を購入したら早く飲む!」っていうのが大事だと思う!

 

酒蔵さんが心を込めて造ってくれた美味しい日本酒は、美味しい状態で味わいたいもの♪

(ゆみ…)

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この記事を書いた人
ねこと日本酒 なかのひと
日本酒メディアを任されたお酒と猫が好きなひと。コンセプトは「日本酒の新しい楽しみ方を発見するサイト」。伝えるには知識不足を感じ唎酒師の資格を取得しました(* ´ω` *)まだまだ勉強中ですが、日本酒を飲んで笑顔になったり「日本酒飲みたい~」と思ってもらえるようなサイトを目指しています!日本酒はおいしいヨ♪
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