秋田県秋田市にある「新政酒造」さんが毎年恒例として玄人向けに醸している
の日本酒。
その第2弾(Part2)が、6月22日(火)より順次発売となりました。
今回の2本に関しては、
【まさに玄人向け「頒布会」の真骨頂と言える、わけのわからないヌエのような日本酒】
と新政酒造の社長・佐藤祐輔さんがコメントを残しています。
そんな頒布会の日本酒第2弾を、わが家でも無事にお迎えすることが出来ました。
今回は【6月分】となる、
を飲み比べてみました。
どんな日本酒だったのか…?
早速、見ていってみましょう♪
第1弾に続き、今年(2021年)の特別頒布会のテーマは「六号酵母の醸造における理論と実践」となります。
そして第2弾のテーマは
「Reports of the Triple Fermentation Method」=鼎発酵(もろみにおける乳酸菌発酵)の報告
となっています。
もう、すでに頭を抱えている人も居るのではないでしょうか?
新政さんの頒布会のお酒は本当にマニアックなのです。
「鼎発酵」とは「ていはっこう」と読み、けんはっこうではありません。
わたしも最初「鼎発酵(ていはっこう)ってなんぞや?」と、眉間にしわを寄せながらハテナがいっぱいだった一人です。
ですが、この「鼎発酵」の文字を今回の頒布会以外で新政さんの「とある日本酒」の説明で見かけていたためテンションが上がった一人です。
まず、鼎には「三つのものが並び立つこと」という意味があります。
つまり、鼎発酵とは「3つの発酵(工程)が同時に行われること」を意味しています。
今回のNo.6「MS-Type」とNo.6「M-Type」は、この鼎発酵にて醸されたお酒となります。
…と言われても?
と思った人も居るかと思います。
わたしも唎酒師の資格を取得していなかったら「(なんかよくわからないけど)そうなんだ~」ときれいに流していたかと思います。
そもそも、説明もあまり読まずにいきなり飲んでいた可能性大です。
もったいない…!
今回の作品の説明用紙にも「鼎発酵がどんなものなのか?」書かれていますが、唎酒師取得の際に日本酒の勉強をしていてよかった!と心から思いました。
天空の城ラピュタのムスカ大佐が「読める、読めるぞ!」と興奮するシーンがありますが「解る、解るぞ!」という内容となっていました。(どんな?)
最初に言っておきますと、鼎発酵は普通の酒蔵さんではやらない方法ですし、手間も、味わいを完成させるのもかなり難しいマニアックな手法である。ということです。
それは、通常の日本酒造りに鼎発酵させる必要がないためです。
なぜなのか?
ここで一旦「そもそもアルコール発酵とは?」というお話をしたいと思います。
ですがもし「そんな話は興味ない」と言う人がいましたら飛ばしてください。
当サイトでは【頒布会の日本酒がどんなお酒なのか】読み解いてから、その味わいを愉しんでいきたいと思っています。
その方がもっと美味しく楽しめると思っているからです♪
そのため、この文章を書いている現段階ではまだ6月分の頒布会のお酒を飲んでいません。
早く飲みたいのはやまやまですが、続きを書いてゆきます。
「お酒」はアルコール発酵をさせて造るものというのは、なんとなくご存じかと思います。
そもそも「アルコール発酵」とは、酵母(微生物)の力によって糖類(ブドウ糖)がアルコールと炭酸ガスに変化することを指します。
つまり、アルコール発酵には「糖類」が必要となります。
そして、使用する原料によって発酵の呼び方が異なります。
糖を含む原料(ぶどうなど)を使用する手法を「単発酵」と言い、糖を含まない原料(米や麦)を使用する手法を「複発酵」と言います。
つまり、ワインは「単発酵」で、ビールや日本酒は「複発酵」となります。
ぶどうには糖類が含まれていますから、シンプルに糖類(ブドウを搾った液体)に酵母を加えるとアルコール発酵が起こるため「単発酵」と呼ばれます。
米や麦には糖分が含まれていません。
つまり、そのままではアルコール発酵が出来ません。
そこで、米や麦のデンプンをまず糖化させ、糖類に変える必要があります。その後、酵母を加えることでアルコール発酵が起こります。
複数(2つ)の工程が必要となるため単発酵の対義語となる「複発酵」と呼ばれます。
そして、複発酵もさらに2つの手法に分けられます。
単行複発酵にて造られているお酒の代表は「ビール」です。
原料の麦を完全に糖化した後、別の工程にて酵母を加えてアルコール発酵を行っているため「単行複発酵」と呼ばれます。
並行複発酵にて造られているお酒の代表が「日本酒」です。
単行複発酵との違いは、必要な原料のすべてを「同じタンク」に加え、糖化と発酵を「同時に行う」手法となります。
別々ではなく並行して行われるため「並行複発酵」と呼ばれます。
なお、並行複発酵にて醸されたお酒は高いアルコール分が得られ、原酒で18%前後となり通常の日本酒は「加水」をして15%前後になるよう調整されています。
そのため、日本酒が他のお酒と比べてもアルコール度数が高くなる理由となるのです。
ちなみに、加水をしていない「原酒」で11%や13%といった低アルコールの日本酒を造るのは「逆に難しく」なりその分、手間が掛けられています。
こういったことを知っていると、日本酒を飲む時の愉しみがまたひとつ増えるかもしれません。
ちなみに、佐藤祐輔さんの説明では
といった内容が書かれていました。
このように、日本酒は「並行複発酵」という手法で醸されていますが、今回の頒布会の日本酒ではさらに「発酵」をプラスし「並行鼎発酵」を行っています。
こちらも説明用紙に詳しく記載されていますが、たぶん読んでも大半の方が「なんのこっちゃ…」と思うかもしれません。
そのため、文章の引用はせず分かりやすく簡単に書きます。
というコンセプトのもとに鼎発酵での日本酒の開発がスタートしました。
なお、新政酒造さんでは「生酛系酒母」を採用しているので、もともと乳酸発酵(鼎発酵)は生酛系酒母を造る際に行われています。
ですが、生酛系酒母を完成させると「乳酸菌」は死滅してしまいます。
そのため、並行で乳酸発酵させるには「完成した生酛系酒母」(もろみの立ち上げ用)とは別に乳酸菌が活きている「完成途中の生酛系酒母」を用意する必要がありました。
完成途中の生酛を「もろみ」に投入することで「並行鼎発酵」(3つの発酵を同時に行うこと)を叶えることができたのです。
このことを踏まえ、今回の頒布会のお酒が開発されました。
「スパークリング」と「レザレクション」という2つの方式による二次発酵を加え「鼎発酵のデメリットの緩和」をしようというのが今回の頒布会のお酒となります。
…いかがでしょうか?
何となく「今回もヤバイお酒」ということが伝わりましたでしょうか?
ちなみに解りやすくするため、なぜデメリットが生じるのか?という説明は端折りました(笑)とてもマニアックです。
テーマは【鼎発酵酒を「瓶内二次発酵」(スパークリング)する場合の条件の検討】です。
こちらのお酒は、瓶内二次発酵をさせ「スパークリング」とすることで鼎発酵のデメリットを緩和したお酒となります。
原料米 :酒こまち
精米歩合 :麹米55%、掛米60%
アルコール度数:13%
仕込容器 :温度制御タンク
二次発酵容器 :瓶
特殊製法 :Sparkling(スパークリング)
仕込容器は、木桶ではなく「温度制御タンク」を使用しています。
テーマは【鼎発酵酒に「レザレクション」製法を応用する場合の条件の検討】です。
こちらのお酒は、頒布会第1弾のお酒の製法とと同様に「レザレクション」にて二次発酵させることで鼎発酵のデメリットを緩和したお酒となります。
原料米 :酒こまち
精米歩合 :麹米55%、掛米60%
アルコール度数:13%
仕込容器 :温度制御タンク
二次発酵容器 :温度制御タンク
特殊製法 :Resurrection(レザレクション)
仕込容器は、こちらも同様に木桶ではなく「温度制御タンク」を使用しています。
レザレクション(二次発酵)はオーク樽ではなく「温度制御タンク」を使用しています。
レザレクションに関しては、5月の頒布会Part1の記事を参考にしてください。
わたしが最近読んだ新政さんの日本酒の説明冊子に「鼎発酵」の文字がありました。
「あれ?頒布会のやつと同じ?」
と。
そのお酒は、新政さんの銘柄の中でも1番高い「高級酒」と言われている、飲食店さんでしか飲むことのできない銘柄
\見えざるピンクのユニコーン/
です。
わたしの拝見した冊子のヴィンテージは「2014年」のものでしたので6年前に醸されたお酒となります。
原料米 :美山錦一等米
精米歩合 :麹米40%、掛米40%
アルコール度数:16.1%
仕込容器 :木桶No.3
特殊製法1 :並行鼎発酵
特殊製法2 :貴醸酒
並行鼎発酵で、貴醸酒、そして木桶にて醸されているお酒…。
ヤバない…?
知らなくても「美味しい~♪」といただけますが
知っていたら「(興奮しながら)美味しい~~♡」といただけるお酒だと思います。
ちなみに、Colors(カラーズ)のお酒で酒米の違いを言うと
といった違いもあります。
購入したボトルを開栓する前に、エースホテル京都で行われたNo.6上国料勇タイプのイベントへ参加しました。
その時「新政ミュージアム・バー」にてそれぞれのお酒を1杯500円でいただくことができました。
その時に飲んだ感想は、MS-TypeもM-Typeもひと口含んだ段階で「あ、すきなやつだ」と思いました。
新政さんの日本酒は「きれい」と感じることが多いのですが、この2つは「旨み」が「濃い」。
自宅で改めて飲んでみての感想はどうだったのでしょうか?
今回は、
という「同じ日」かつ開栓後に「保管温度を変えて」飲んでみました。
早速書いてゆきたいと思います。
MS-Typeは、瓶内で二次発酵させた「スパークリング」タイプのお酒。
そのシュワシュワガス感は先に新政ミュージアム・バーにて体感していたので、うきうきしながら開栓をしまし…
かった!
蓋はスクリューですが、めちゃくちゃ固い。
ちょっとの捻りでは開かないため、タオルを蓋に巻き付けて開栓しました。
開けると、ちょっと「プシュ」っとガスが抜け、グラスに注ぐとジュワっと泡が立ち込めます。
蓋を閉めても瓶内では泡が上がっていて、グラスの中でもぷちぷち泡が弾けていました。
ガス感強めの予感。
まずは下に溜まった滓(おり)を混ぜずに上澄みだけをいただきます。
あまり香らないかな?
お米と控えめな柑橘の香りがします。
ジュワジュワ、ガスが口腔を刺激して心地良いです。
甘みからの酸味さっぱり。
口にはお米の感じが残ります。
うん。これはゴクゴク飲めちゃう系ですね。
お米の厚みを感じます。
鼻に抜ける香りには、梨と柑橘。
飲んでいるとジュワっとおいしい柑橘。
日本酒を飲んでいるとは到底思えません。ナニコレ。
後口に、お米の甘さや丸さが残りますが、カテゴリーに当てはまらないお酒を飲んでいる感じがあります。おいしい。
濃さがあり、複雑み?厚み?後口はさっぱりします。
改めて香ってみると、いい香り。すき。
先ほどよりもいい香り!
香りに甘さも感じます。
おいしい!これ、混ぜたほうが美味しいです!
甘さがあり、後口はさっぱり。だけど厚みもあって柑橘感が良い感じで好き。
うーん。これは美味しいです。
ジュワジュワ濃い。
とにかくいつまでもジワジワっとガス感があり、飲んでいて口の中にさわやかさ&心地よさがあります。
続きましては、M-Type。
こちらは、温度制御タンクにてレザレクション(二次発酵)させているタイプのお酒です。
早速開けていきましょう!
こちらも蓋のスクリューはしっかり固めでしたが、MS-Typeと比べると開けやすく感じました。
うん。こちらの方がMS-Typeと比べ「まろやかさのある」香りがします。
甘みのある柑橘系な香りです。
ジューシー、柑橘、さっぱり。
アタックには濃さを感じます。
口にさわやかなお米が残り、やさしい酸味が抜けていきます。
飲み口に少しジュワっと舌に広がる感じあり。
厚み?複雑さ?もありながら、さっぱり飲めます。
簡単に言えば「濃い」。
改めての飲むと、酸味、感じます。そしてやさしいお米も感じます。
飲めば飲むほど、なぜこんな味わいの日本酒に仕上げることができるのかよく分からなくなってきます。
後口には、さわやかさ有。
No.6上国料勇Typeより、複雑&味わいが深い。
上国料勇タイプは「酸味さっぱり」というイメージが強く残っています。
香りすきです。
ちょっぴり甘みもあるので、比べると上国料勇タイプより好きな味わいです。
柑橘系の果物っぽさもあり。
開けたても美味しいですが、一気に飲むのではなく時間た経った味わいも気になりますよね。
そしてやはり、ひとりで飲むのはモッタイナイ!
新政さんの日本酒は「シェアして一緒に飲むと」もっと美味しくなる日本酒だと常々感じております。
一緒に飲んで、その人の喜ぶ姿を見ると「美味しい」が2倍・3倍にもなりますよね♪
今回も日本酒好きの人と一緒にいただいてみました。
グラスに注ぐと変わらぬ発泡感。
早速飲んでみると、じゅわじゅわ濃い~~!
美味しい。濃厚。甘さからのさっぱり感。
開栓直後よりも、味わいが濃くなった感じがします。
豚肉は、甘さが美味しくなりました。
しらすのサラダは、甘みからのさっぱり感。おいしい。
そして、意外と「納豆」に合います。
納豆の香りをスーッと流してくれて、甘みが広がり美味しくなることが分かりました。
早速飲んでみると、「うまっ!」。
あれ、開けたてより断然旨い。完璧なバランス感。
美味しい~。味わいが深いです。
飲み口は甘さから入り、続いて酸味・さわやか、最後は丸く完結します。
白身魚に合いそう!あなごの白焼きとか。
強いのにやさしい。甘さもやさしい。
オイル系のパスタや、魚介パエリアにも合いそう。
常温に近づくと、甘みが濃く強く感じるようになります。
MS-Typeもジュワジュワの発泡でとっても美味しいのですが、M-Typeのほうが、すき。
これは好きな日本酒です。
新政頒布会2021年、6月分の「MS-Type」「M-Type」を飲んでみて共通するのは
ということです。
やはり鼎発酵(ていはっこう)にプラスして、スパークリングやレザレクションをしているためだからでしょうか?
佐藤祐輔さんは「わけのわからないヌエのような日本酒」とまとめていましたが、それがとっても美味しかったです。
それぞれの違いをまとめると
という感じでしょうか?
とにかく美味しくて、5月の頒布会のNo.6よりも好きな味わいでした。
そしてやっぱり「M-Type」の開けたて(マイナス5℃保管)より、ちょっと置いてから(0℃保管)飲んだのがとっても美味しかったです。
一緒に飲んだ人も
「M-Typeは、今まで飲んできた日本酒の中で1番好きかも」
と言って、めちゃくちゃおかわりしていました。
わたしより美味しい日本酒をたくさん飲んでいる人なのですが、すごくないです?そんなこと言わせちゃう新政さん。
今回は2本ともあっという間に飲み干してしまいました。
頒布会6月分…もう一度飲めるのなら、また飲みたい!
ボトルでおかわりしたい!(笑)
とっても美味しかったです。
ごちそうさまでした♪
前回の第1弾に引き続き、特別頒布会の抽選販売の案内が矢島酒店さんよりありました。
簡単に内容をまとめると、
【申し込み対象者】
【抽選申込方法】
となっています。
詳細などは、矢島酒店さんの公式ページよりご確認ください。
矢島酒店 新政酒造「特別頒布会2021 第二巻」のご案内
https://posts.yajima-jizake.co.jp/blog/2021/06/post-7536.html
新政酒造さんの日本酒は
といった方法で購入、また飲むことができます。
基本的に、特別頒布会のお酒は入荷数が少ないため「いつも買いに来てくれるお得意さま」に販売される傾向があります。
まずはお近くの特約店さんを見つけることから初めてみてください。
詳細は、新政頒布会 2021【5月分】のページに記載していますのでご確認ください。
今回のノベルティは「No.6のクリアポーチ」でした。
わたしが貰ったのは第1弾のデザインとなる「カモフラ柄」のクリアポーチでしたが、他にも「ダズル柄」「マクロス柄」などが存在します。
マクロス柄は、水色のものもありました。
マスク入れとしても使えるので重宝しそうです。
また、新政酒造の日本酒が掲載されたカレンダーも一緒に入っていました。
2021年7月スタート、2022年6月までのカレンダーなので、来月からさっそく使いたいと思います。
ちなみに、今回のボトルの色は白(透明)と黒(っぽい緑)でしたが、紫外線防止用の袋がシマウマっぽいデザインの「ダズル迷彩」となっていました。
わたしはエヴァンゲリオンの第12使徒レリエルを想像しましたが、マクロスから派生しているとのことです。
来月の第3巻はついに「マクロス柄」ですね。
来月もまた、無事に買えますように!( ´人` )
6月の頒布会のNo.6のデータは下記の通りです。
原料米 :酒こまち
精米歩合 :麹米55%、掛米60%
アルコール分:13%
仕込容器 :温度制御タンク
二次発酵容器:瓶
特殊製法 :Sparkling(スパークリング)
内容量 :720ml
原料米 :酒こまち
精米歩合 :麹米55%、掛米60%
アルコール分:13%
仕込容器 :温度制御タンク
二次発酵容器:温度制御タンク
特殊製法 :Resurrection(レザレクション)
内容量 :720ml
価格 :上記2本で、4,500円(税込み)
製造者 :新政酒造株式会社/秋田県秋田市大町6丁目2番35号
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
今回の日本酒に関して、新政酒造・8代目蔵元の佐藤祐輔さんはこうまとめています。
簡単にいうと、様々な菌がよってたかって何度も発酵を繰り返した結果がこれらのM-type、MS-typeである
新政さんのマニアックなお酒は説明するのが難しいので、わたしも口頭で人に説明するときは大体聞いてもらえません(笑)
「飲んで、美味しければそれでいい」
とよく言われてしまいます。
うーん。確かに!
新政酒造さんの日本酒に関しては、どんなお酒なのか前もってチェックしていても「なんでこうなるの?」と毎回想像と違う味わいに驚かされますからね。
それがまた愉しい!
来月の頒布会のお酒も愉しんで飲みたいなぁと思います♪
( ´人` )お迎えできますように!
\第3弾、頒布会無事にお迎えできました/