日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県湯沢市にある「株式会社木村酒造」さんの醸す「角右衛門 純米吟醸 夏酒 荒責混和 しろくまラベル」(かくえもん・あらせめこんわ)です。
木村酒造さんの醸す日本酒には「福小町」(ふくこまち)「角右衛門」(かくえもん)などの銘柄があります。
創業は元和元年(1615年)と400年以上前から続く酒蔵さんで、豊臣家の重臣「木村重成」の子孫の方が秋田の地で立ち上げた歴史ある酒蔵さんです。
角右衛門は限定流通のお酒のため、特約店さんでしか購入ができない銘柄となっています。
こちらの「しろくま」ラベルのお酒は、季節限定の「夏酒」で2021年の今年は「6月5日」に解禁となりました。
9月3日現在は、売り切れている酒販店さんがほとんどです。
白くまが涼しげに泳ぐラベルの第一印象は「可愛い。」
とにかくその優雅に泳ぐ姿とブルーのボトルがかわいくて、見た瞬間に一目惚れをしたお酒です。
角右衛門のお酒は飲んだことがありませんでしたが、無心でジャケ買い。「今年はいろいろな夏酒を飲んでみよう!」と思わせてくれた1本です。
完全に見た目の可愛さで手に取ったお酒の為、前情報は何もありませんでした。
木村酒造さんの日本酒を飲むのも初めて。
ラベルの裏には
純米吟醸の荒走り責の部分をブレンドし、真夏にぴったりな味わいを目指して瓶詰めしました。
薄くにごりが入っている場合がありますが、荒走りの部分にわずかに残っているにごりをそのまま生かしております。
よく振ってご賞味ください。
と記載がありました。
なるほど!ラベルに記載されている「荒責混和」(あらせめこんわ)とは「荒走り」と「責め」の部分をブレンドしているという意味なんですね。
日本酒は、アルコール発酵が終了した醪(もろみ)を搾り最終的に瓶詰めされてわたしたちの手元に届きます。
この醪を搾る際、圧力を掛けずに自然に流出する部分を「荒走り(あらばしり)」と言います。
あらばしりは、香り高くフレッシュな味わいとなる反面、刺激性が高く荒々しさが残る傾向にあります。
荒走りの次に抽出する部分は「中取り(中汲み、中垂れ)」と呼び、最後に抽出する部分が「責め(せめ)」と呼ばれる部分になります。
せめは、深みのある味わいとなる反面、苦味を強く感じやすいといった特徴があります。
この最初に抽出される「あらばしり」と最後に抽出される「せめ」の部分を混ぜて完成したお酒がシロクマです。
ちなみに「中取り」は、香味のバランスが優れている部分のお酒です。
前回の甲子アップルの記事を書いた際、「使用酵母を記載している日本酒が少ない」というお話をしました。
ですが、シロクマのラベルにはしっかりと「使用酵母:協会1801号他」という文字が!
折角ですので、どんな酵母かというと
といった特徴があります。
そのため、きょうかい1801号というのを見たら「香りが華やかなんだろうなぁ~」という想像をすることができます。
また、数字に後ろに「01」と付く酵母は発酵中に泡が生じない「泡なし酵母」と呼ばれます。
泡が発酵タンクから溢れないため「衛生的」で、タンクの容量ギリギリまで仕込めるので「効率的」といったメリットがあります。
実は、こちらの夏酒のラベルには秘密があります。
それは約8%の割合で「隠れキャラ」と一緒に白くまが泳いでいるラベルがある!ということです。
わたしは残念ながら通常のしろくまラベルでしたが、隠れキャラの「ペンギン」と一緒に泳いでいるラベルに出逢えた人はラッキーです。
こういった仕掛けがあるのも愉しみのひとつですよね。
ペンギンラベルが当たった人は、ぜひぜひ周りの人に自慢をしちゃいましょう♪
角右衛門のお酒は初めてなので、どんなお酒か全くわかりません。
ラベルから想像するのは「さっぱりキレ感もありそうな夏酒」とちょっと「強め」の味わいを想像しました。
初見のお酒はやはりドキドキしますね~。
早速、開栓していきたいと思います。
華やかさ、あります。
少しまったり感もあるウリ系の香りがします。
キレも少し感じますね。
香りが華やかなので「甘さ」を想像しましたが、とてもさっぱり。
甘さはほぼありません。
お米感はあります。
スルスル飲めてスッキリするお酒。
キレ過ぎないので、暑い夏にも飲みやすいです。
甘さ控えめな味わいなので、好きなタイプかと言われたら「ノー」。
ですが飲んでいて、夏祭りとかで売っている「きゅうりの一本漬け」と一緒に飲みたくなるようなお酒だなぁと思いました。
お祭りや花火が合うイメージができます。
トマトときゅうりのマリネは、さっぱりスッキリ飲みやすいです。
甘さもふわりと広がり良い感じ!
飲み口に丸さがあって、優しい口当たりが良いですね。
オクラとナスの煮びたしは、生姜に合います。
うん、さっぱり飲めます。
ほうれん草とウインナー炒めは、甘みが引き出されるからのさっぱり。
ウインナーの脂っぽさが気になりません。
飲み口がやわらかすぎて驚きます。
なにこれ柔らかい~。
甘さも感じやすくなりスイスイ飲めちゃいます。
料理と一緒だと、お酒にクセがないのでとても盃が進みます。
冷たいと、とてもさっぱり。
本当に夏に合うお酒だと思います。水のように飲めちゃう。
もたれないお酒で、トゲトゲしさが全くない美味しいお酒です。
開栓するまでは、日本酒セラーのサケキャビネットにて「マイナス5度」で保管していました。
開栓後は、冷蔵庫へ移動し「約0度」で保管。
味わいに変化はあったのか?
早速飲んでいってみましょう。
華のある香り。
パインっぽくも感じます。
さっぱり丸さがあり、甘みふんわり。
でも後口はさっぱりします。
サラダは、甘みが広がってからのさっぱり感。
ささみの海苔巻き揚げは、甘さっぱり。
じゃましません。
そして、マヨネーズが一番合うことが分かりました。
甘みが引き出されて美味しい。
2日目の白くまは、初日よりも穏やかな甘みを感じることができました。
飲む前に想像していた「強めのキレ感」ではなくて、軽快なさっぱり感というお酒で飲みやすかったです。
美味しかった!
ごちそうさまでした♪
わたしは初めて飲んだ日本酒で「ラベルも可愛いし、夏にまた飲みたいな」と思えるような夏酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
甘くてジューシーといった感じではなく、夏にさっぱり飲みたい人用のお酒といった印象です。
かといって酸味があるわけではないので「暑い日に日本酒をスッと飲みたい」という人におすすめとなります。
あとは本当にラベルがかわいいので、飲んだことの無い人は1度飲んで判断してみて!といった感じでしょうか。
ジャケ買いして後悔のない1本でした。
株式会社木村酒造さんの醸す日本酒の「福小町」は、蔵でも購入することが可能です。
ですが「角右衛門」は特約店限定流通のお酒の為、蔵にて購入することが出ません。
公式サイトには福小町の案内しか無く、Twitterでは下記のように呟かれていました。
「近くの特約店どこかな?」など、ご不明な点はお気軽にお問い合わせください
また、ネット通販を行っている特約店さんは
【角右衛門 しろくま】
【角右衛門 特約店】
といったキーワードでGoogleやYahoo!などで検索するとヒットさせることができます。
例えば下記の酒販店さんで取り扱いがありました。
9月3日現在、しろくまの夏酒はすでに売り切れとなっていますのでご注意ください。
ちなみにわたしは、酒専門店キングショップ誠屋さんで注文をしました。
オンライン販売は行っていないため、来店またはメールでの注文となります。
気になったあなたは是非参考にしてみてください。
仕様 :純米吟醸
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :美山錦100%使用
精米歩合 :55%
アルコール分:15%
使用酵母 :協会1801号他
日本酒度 :±2.5~+3.5
内容量 :720ml
価格 :1,385円(税込み)
公式サイト :http://www.fukukomachi.com/
Twitter :https://twitter.com/fukukomachi1615
「思わずジャケ買いしちゃうほど可愛い!」
そんな白くまラベルの夏酒。
超レアの隠れキャララベルもある!と聞いたらなんだかワクワクしちゃいますよね。
飲んだことの無いあなたや、気になったあなたはぜひチェックしてみてください。