新潟県加茂市にある「加茂錦(かもにしき)酒造株式会社」さんの醸す「荷札酒」(にふだざけ)シリーズをご存じでしょうか?
そのラベルには「荷札」が使われ、とっても特徴的!思わず「何だこの日本酒は?」と手に取ってしまうような見た目となっています。
そして、種類がとっても豊富!
時期やタンク(ロット)によって使用する酒米や製造方法を変え、瓶火入れ・生、搾りの違いなど多彩なバリエーションにて醸されています。
今回はそんな「荷札酒」シリーズの
の2本を飲み比べてみました。
果たしてどんなお酒なのか?
早速、見ていってみましょう♪
加茂錦酒造さんは、1893年(明治26年)に創業し120年以上続く地元加茂市を代表するお酒として愛されてきた「小さな」酒造所です。
加茂錦の「荷札酒」は2015年に、若い造り手たちが中心となって醸す新しいタイプのお酒として販売をスタートをしました。
若い造り手たちとは、時期蔵主となる田中悠一さん(当時23歳)が中心となって醸しているお酒です。
※2021年現在、29歳
2018年、2019年とdancyu日本酒特集に掲載されるなど「若き天才醸造家」としても話題となり、
といった特徴の荷札酒シリーズは、多くの日本酒愛好家にも選ばれる人気銘柄の1本となっています。
分析を得意とする杜氏・田中悠一さんの醸すお酒は日々進化をし、伝統的な酒造りをもとに今の食卓に合う日本酒として愉しむことができます。
荷札酒は全て、精米歩合50%以下となる「純米大吟醸」のお酒として醸されます。
スタンダードは「火入れ」となり「生酒」はレアなお酒です。
などといった種類があり、基本は「生詰」や「瓶火入れ」といった1回火入れを行っているお酒ですが「生酒」として発売されることもあります。
「このお酒は必ず生酒として出る」
「この季節に必ずこのお酒が発売される」
という括りがあまり無いため、最初は混乱するかもしれません。
また、発売される度に味わいが進化しているお酒です。
例えば「今回の黄水仙はどんな感じかな?」と愉しめるお酒となっています。
なお「次に発売される日本酒はどんなお酒なのか?」を確認する方法があり、それは公式サイトのニュースにて出荷開始の案内を見ることができます。
加茂錦公式サイト/ニュース
https://kamonishiki.com/news/
飲んでみたい種類をチェックしておくと、逃さず購入することが可能です。
今回購入したうちの1本がこちら。
2021年は3月17日に出荷となったお酒で、いままで荷札酒を飲んだことが無いわたしが「荷札ラベル」に惹かれて初めて購入した1本です。
SNSなどでもよく写真を見掛けていたため「人気なんだなぁ」と思って気になっていました。
購入して驚いたのが「火入れ」の日本酒ということ。
てっきり生酒だと思っていました。
「購入した荷札酒がどんなお酒なのか?」
そのラベル(荷札)を見ると分かるようになっています。
早速、読み解いていってみましょう。
種別:槽場汲み/備前雄町
こちらは先に少し記載しましたが、
精米歩合50%/BY 20
備考:無濾過原酒
タンクNo.
という特徴の日本酒ということが解ります。
ラベルの裏には「瓶火入れ」という文字もあり「瓶詰めをした後に1回火入れ」しているお酒ということも分かります。
雄町米の奥行と清涼感、槽場汲みの無垢な香味をお楽しみいただければ幸いです。
との記載があり加茂錦さんが醸す「備前雄町」の酒米を愉しめる1本となっています。
こちらは、2021年は5月11日に出荷開始となった「荷札酒 槽場汲み 夏酒」です。
今年はいろいろな夏酒を購入して夏酒特有の味わいを知りたいと思っていたので、荷札酒の夏酒も飲んでみよう!と思い手に取りました。
ラベルの「うちわ」のイラストからも夏酒らしさを感じることができます。
こちらも見ていきたいと思います。
種別:槽場汲み/純米大吟醸
こちらはもう説明しなくても大丈夫ですね。
精米歩合50%/BY 20
こちらも、備前雄町のお酒と同様です。
備考:淡麗フレッシュ/瓶火入れ
タンクNo.
ということが解ります。
ラベルの裏には
初夏らしい、しぼりたて爽快でナチュラルな香味の充実に努めました。
と記載があり、使用している酒米は「五百万石」のためその酒米の特徴である「スッキリ・キレ感」も想像できるような日本酒となっています。
実は、荷札酒をいただくのは初めて!ラベルを見て「美味しそうだし飲んでみたい」と思い種類の豊富さも知らずにその時購入できるものを手に取りました。
どうしても初めましての日本酒はラベルで選んでしまうわたしです。
(ラベルに惹かれないと手が伸びません…)
今回の2本は同時の飲み比べではなく、別々の日にそれぞれいただきました。
どんな日本酒だったのか?
早速、見て行ってみましょう。
スクリューのキャップを開け、さっそく香ってみるとメロンっぽい香りがします。
まったりジューシーな甘さで濃厚。
舌にはジュワリと刺激。
蜜のような濃厚さがあります。
でも後口には甘さがそんなに残りません。
RF1のたっぷり海の幸サラダと一緒だと、甘さがかなりUPします。
ささみの海苔巻き揚げは、舌にジュワっと感が増しました。
そして甘いです。
ですが飲む度にジュワジュワとしておいしい。
うーん。冷たいのが美味しいですね。
甘さはジューシー。
キレていく感じもあるため飲み続けられます。
酸味感もあるので飲み飽きず、濃厚な甘さもあるのに後口爽やか。
料理に合うお酒だと思います。
冷たい口当たりが最高に美味しい1本です。
お次はこちら。
早速香ってみると、とても香りが広がります。
皮寄りのメロン。
青っぽい感じで、キレも感じる香りです。
飲み口が甘い!
舌に少しジュワリとして甘さが残ります。
後口にはさっぱり感。
とてもジューシーな甘さに、厚みもあって濃いです。
備前雄町よりも、後口のキレ感をしっかり感じます。
サラダのマヨネーズにとっても合います!
酸味が引き出されて、美味しい甘みになりマッチします。
ささみの海苔巻き揚げは、甘さが良い感じになりました。
飲み口にジュワジュワして美味しいです。
料理と合う甘さです。
しらすの冷奴は、醤油と合います。
こちらも料理と一緒だと最高に美味しい1本です。
うーん。これは美味しいお酒ですね。
備前雄町 槽場汲みは1日で飲み切ってしまいましたが、こちらは開栓した後に残りを冷蔵庫で保管していました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
スクリューを開けると「シュー」っとガスが抜けました。
色は少し黄色。
香ってみると華やかです。
濃~い!
とっても甘い。
これはメロン?
1日目よりも濃くなっています。
後口は少しキレ感がありますが、ジューシーで美味しい。
今日はナスの豚バラ巻きです。
一緒だと甘さが美味しくなりました!
豚の脂っぽさが、さっぱりするので合います。
そして、単体だと少し重たく感じた甘さも軽やかになっておいしいです。
フレッシュな甘さになります。
でも、やっぱり、甘さが濃い!
「淡麗フレッシュの夏酒」とのことですが、甘みがしっかりあるお酒でした。
美味しかった!
ごちそうさまでした。
荷札酒を飲むのは初めてでしたが、2種類のお酒を飲んでみて
といった味わいの日本酒でした。
食中酒として美味しくいただけるお酒です。
わたしは火入れのお酒よりも生酒が好きなので、荷札酒の「生酒」バージョンも飲んでみたいなぁと思いました。
ですが、荷札酒の瓶火入れは好きなタイプのお酒でとても美味しくいただくことができました。
そして、紅桔梗(べにききょう)や黄水仙(きすいせん)も気になります。
また、発売されるお酒は毎度さまざまな試みが続けられています。
最近ですと、10月5日に出荷が開始された「荷札酒 生詰原酒 ver.9」。
使用されている酒米「五百万石」の個性を荷札酒の鮮度味に活かすバージョン9度目となる試みが行われています。
ちなみに「生詰原酒」とは通常、上槽後と出荷前に2回火入れするところ「上槽後に1回だけ火入れ」した加水をしていないお酒(原酒)のことです。
瓶に詰めてから火入れする「瓶火入れ」とはまた違った味わいの日本酒になります。
荷札に書かれた内容は、漢字ばかりでちょっとよく分からないという人も居ると思います。
わたしも唎酒師の勉強をしていなかったら、なんのこっちゃさっぱりです。
ですが内容がわかれば、飲み比べなどした際により楽しめるかもしれません。
好みの荷札酒を見つけて、その味わいの変化を追い続けるのも愉しいかもしれませんね。
加茂錦酒造さんの「荷札酒」シリーズは現在、大都市圏の専門店のみの取り扱いとなっています。
そのため、蔵での直接販売は行っていません。
一部の取り扱い酒販店さんは、下記のJ.S.P(ジャパンサケショウチュウプラットフォーム)のページより確認ができます。
お近くに販売店さんがない場合は「ネット通販を行っている販売店さん」にて購入することも可能です。
わたし近くに特約店さんがないためオンラインにて購入をしました。
例えば、
などでも購入することが可能です。
他にも、
「加茂錦 荷札酒」
「加茂錦 特約店」
といったキーワードでGoogleやYahoo!検索をするとヒットさせることができます。
気になったあなたはぜひチェックしてみてくださいね。
特定名称 :純米大吟醸
原材料名 :米(国産)、米こうじ(国産米)
原料米 :岡山県産雄町80%・山田錦20%
精米歩合 :50%
アルコール分:15度(原酒)
内容量 :720ml
価格 :2,068円(税込)
原材料名 :米(国産)、米こうじ(国産米)
原料米 :五百万石80%・山田錦20%
精米歩合 :50%
アルコール分:15度(原酒)
内容量 :720ml
価格 :1,628円(税込)
製造者 :加茂錦酒造株式会社+NK新潟県加茂市仲町3-3
公式サイト :https://kamonishiki.com/
Instagram :https://www.instagram.com/kamonishiki_official/
新潟県の日本酒の特徴と言えば「淡麗辛口」が挙げられますが、加茂錦酒造さんでは和食だけではない「いまの食卓に合う」日本酒を目指して醸されています。
加茂錦流の淡麗辛口酒を味わいたいのであれば荷札酒の「月白(げっぱく)」という銘柄もありますので、ぜひ1度手に取ってみてください。