日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、鹿児島県日置市にある「西酒造株式会社」さんの醸す、「天賦 純米吟醸 播州愛山」(てんぶ じゅんまいぎんじょう ばんしゅうあいやま)です。
天賦(てんぶ)という銘柄の日本酒は、芋焼酎の「富乃宝山」(とみのほうざん)でお馴染みとなる鹿児島県にある「西酒造」さんが醸しているお酒です。
2020年の8月に発売スタートとなった新たな銘柄の日本酒で、鹿児島県では「薩州正宗」を醸す濱田酒造さんに続く2つ目の日本酒蔵の誕生となりました。
鹿児島と言えばやはり「焼酎」のイメージが強く「日本酒」のイメージはほとんどありませんよね。
創業1845年の西酒造さんでは、焼酎や日本酒の他にもオーガニックワインやシングルモルトウイスキーなど幅広くお酒を醸されています。
西酒造の8代目蔵元となる「西陽一郎」(にしよういちろう)さんは、「十四代」を生んだ杜氏・高木顕統(たかぎあきつな)さんの東京農大時代の後輩にあたります。
今回の日本酒醸造プロジェクトも高木さんの助言をもらいつつのスタートとなったため、日本酒愛好家の間では天賦(TENBU)の発売に関して注目が集まりました。
十四代が好きな人は、1度は味わっておきたい日本酒なのではないでしょうか。
天賦の商品はまだ種類が少ない印象です。
の4種類があり、しぼりたて生酒と愛山は季節限定の発売となります。
公式サイトの案内では、純米大吟醸が「Coming Soon」となっていましたので今後販売予定なのかな?ということが分かります。
今回の1本となる播州愛山(ばんしゅうあいやま)とは、
で、酒米の個性を追求しつつ天賦ならではの透明感と滑らかな飲み口に仕上げたお酒となっています。
2021年は6月より発売スタートとなりました。
実はわたくし「天賦」というお酒の存在を知りませんでした。
十四代の日本酒を追いかけていないため、琴線に触れることなく過ごしておりたまたま購入したお酒がこちらの「天賦」でした。
手にしたきっかけは「愛山」という酒米を使用していたからです。
愛山は栽培が難しく生産量がとても少ない「希少」な酒米ですが、赤武酒造さんの愛山を飲んで「好きな味わい」と他の愛山も飲んでみたくなりました。
\赤武酒造の酒米違いの飲み比べ記事はこちら/
そこで見つけた「愛山」の文字と「ピンクのラベルが可愛い」という理由によりこちらのお酒を手に取ることとなりました。
最初ラベルを見た時「天賦」ではなく「六賦」と思っていたことは内緒です。
(一見、六賦って読めませんか…?)
初めての天賦はどんな味わいだったのか?
早速、開栓していきたいと思います。
メロンや桃の甘い香りと酸味も感じます。
柑橘っぽさも香りにあり。
ちょいジュワっと。
口当たりがやさしい甘さです。
まったりした甘さにも感じますが、後口はさわやかに去ってゆきます。
料理と一緒だと甘さがUPします。
でも爽やかさもあります。
甘みは濃くてジュワリ感。
酸味が良い感じに甘さを引き立てて、強すぎずに支えてくれている感じがあります。
飲んでいると酸味よりも甘さのほうが強いですね。
でも後口はさっぱりとするため飲みやすさがあります。
開ける時は「ポン!」と音が鳴ります。
冷たいとジュワジュワ感があり、常温に近づくよりも冷えている時の方が甘さが美味しく感じます。
さわやかで飲みやすい。
でも料理と一緒だと甘さ濃いめ。
1日では飲み切らなかったので、冷蔵庫にて保管をしました。
翌日の味わいに変化はあったのでしょうか?
香ってみると、うん。愛山の香り、します。
酸味と甘みのある香り。
昨日よりも甘さが強くなっている気がします!
でもすぐに酸味が顔を出してキレていき、甘みが残りません。
最初に感じる「ジューシーで濃ゆめの甘さ」を忘れてしまうくらい甘みが去ります。
飲み口は濃くてジューシー。
甘さがぶわっと広がりますが、後口はキレてゆきます。
今日の晩ご飯は四川式・麻婆豆腐です。
麻婆豆腐は、甘さにいい感じに酸味が乗っかりフレッシュさが出て美味しいです。
柑橘っぽい甘さが出ます。
マヨサラダは、甘みがUPして厚みも出ます。
甘みが濃くて少し重たいかな。
改めて飲むとジュワっと感があります。
サラダよりも麻婆豆腐とのマッチ感がよくて、甘さが爽やか重くなくて美味しくいただけます。
そんなこんなで飲み終わってしまいました。
普段ほとんど十四代を飲まないので「十四代と比較して~」といった情報を出せずにすみません。
ですが、愛山を使ったお酒はやはり好きな印象です。
美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは、飲んでみて「愛山のお酒はやっぱり好きだな!」と思った日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは、
です。
アタックの甘さがとても印象的なお酒です。
ですが、
「天賦(てんぶ)という日本酒を飲んでみたい!」
という人にはお勧めです。
あとはやはり「十四代」が好きな人にも、味比べの意味でもぜひ飲んでいただきたい銘柄の日本酒です。
天賦(てんぶ)をまだ飲んだことの無いあなたはぜひ味わってみてください。
西酒造さんの醸す天賦は、蔵での直接販売を行っていないため全国の「特約販売店」さんにて購入する必要があります。
ですが、公式サイトなどには特約店さんの情報が記載されていません。
そこで、
「天賦 販売店」
「天賦 特約店」
といったキーワードでGoogle・Yahoo!で検索すると、正規取扱店さんがヒットします。
例えば下記の酒販店さんにて購入が可能です。
愛山は季節限定のお酒ですので、まずは「天賦 純米吟醸」というスタンダードなお酒から味わってみるのも良いかと思います。
特定名称 :純米吟醸
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :兵庫県産愛山 100%使用
精米歩合 :50%
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :2,750円(税込み)
製造者 :西酒造株式会社
所在地 :鹿児島県日置市吹上町与倉4970-17
公式サイト :https://www.nishi-shuzo.co.jp/tenbu/
Instagram :https://www.instagram.com/nishi_the_brewing/
今回、天賦に出逢ったきっかけは「愛山」という酒造好適米を使用したお酒を飲みたかったから!という理由でした。
どんなお酒か調べてみると「十四代」と繋がっていて、さらに「焼酎の蔵が発売した日本酒」という面白い酒蔵さんということが分かりました。
酒米きっかけで新しい日本酒に出逢えるのも楽しいですよね。
あなたも、もし好きな酒米がありましたらいつもは飲まない酒蔵さんの日本酒を選んでみるのも面白いかもしれません。