日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、山形県村山市にある「高木酒造株式会社」さんの醸す「十四代 吟撰 吟醸酒」(じゅうよんだい ぎんせん ぎんじょうしゅ)です。
十四代(じゅうよんだい)と言えば、日本酒をより好きになって行った時に「1度は飲んでみたい日本酒」として憧れを持つ人も多いかもしれません。
日本酒愛好家の人たちの間では超が付くほど有名な銘柄で、「日本酒界の最高峰」とも呼ばれるこの日本酒を追い掛けている人も少なくないですよね。
淡麗辛口ブームの時代に、それとは真逆のお米の旨みと甘みをたっぷりと楽しめる「芳醇旨口」の日本酒を醸し新たな時代を切り開いたお酒が十四代です。
その頃から現在まで、その人気が衰えることはありません。
ですが、実際にこの日本酒を自分で購入して自宅で飲むことのできる人はごく一部の限られた人になるかもしれません。
十四代をAmazonや楽天市場などで検索すると、ビックリする価格で販売されているのを見たことのある人も多いかもしれません。
これは全てプレミアム価格で「定価」ではありません。
転売価格になります。
十四代を醸す高木顕統(たかぎあきつな)社長は、十四代がいくら人気になろうと大量生産をして大きく稼ぐという気持ちを持っていません。
そのため、年間約2600石(一升瓶換算で約26万本)と生産量が限られています。
この生産量がどれくらいかというと例えば、獺祭(だっさい)は年間約30000石(一升瓶換算で約300万本)のお酒を造っています※2020年時点
増産しない理由は「納得のいく酒質を求め」全てを機械化せずに、造り手と飲み手が幸せになることを目指し醸されているためです。
結果、需要に対しての供給が合わず「入手困難酒」としてプレミアム価格で転売されるほど「幻の日本酒」として日本酒マニア憧れのお酒となっています。
今回購入したお酒は夏酒で「夏の季節に飲む十四代」として醸された十四代 吟選というお酒です。
ラベルの笹の葉を見ると七夕が思い浮かび、夏の夜を感じさせます。
十四代は数ある日本酒の中でもトップレベルの入手困難酒ですが、こちらの吟選(ぎんせん)は「そんな十四代の中でも買いやすいのでは?」と思った1本です。
わたしも、他の日本酒と抱き合わせでの購入となりましたが定価で入手することができました。
入手方法に関しては、また飲んだ感想の後に詳しく記載してゆきたいと思います。
吟撰のラベルには下記のように記載されています。
兵庫県特A区産酒造好適米50%磨。
山形酵母を使用し、長期低温発酵によるフレッシュで心地よい吟醸香が魅力。
瑞々しく爽やかな喉越しの涼吟醸酒。
そしてこちらの吟選は、味わいの調整のために醸造アルコールが添加された生詰酒となっています。
ちなみに生詰(なまづめ)とは、貯蔵前に一回だけ火入れをしたお酒です。
通常2回火入れをするところ、一度火入れしてタンクに貯蔵したお酒を瓶詰め前に2回目の火入れをせず、生のまま詰めるお酒を生詰と言います。
夏の間に熟成させ、秋口に出荷する「ひやおろし」もこの手法が用いられています。
わたくし、家でじっくりと飲む十四代の日本酒はこれで2本目となります。
前回初購入できた「十四代 特吟(とくぎん)」を飲んでみた率直な感想は
「甘旨、分かります。でも、わたしには甘過ぎる…」
と、身体が震えるほどの甘さに「これは少しずつ味わうお酒なのだな」と感じました。
飲んだ後はスッとさがあるため重たさは残りませんが、とにかく旨味たっぷりで濃ゆくて甘いんです(語彙力)
そんな中、入手できたこちらの「夏の」十四代。
ラベルの情報では、爽やかさがあり飲みやすそうです。
果たしてどんな味わいだったのか?
早速、見てゆきたいと思います。
こちらの十四代、購入したのは7月ですが(製造年月2022.05)実際に飲んだのは2023年の2月になります。
普段入手できない希少なお酒なため、飲む機会をほぼ見失っておりました。
1回火入れされた生詰酒とのことなので、マイナス5℃の日本酒セラーでは無く、冷蔵庫に保管をしていました。
パイナップル系の香りがします。
スッキリさが多めで、少し皮寄りの苦味も香ります。
甘み!
でも爽やかさがあり、旨みと酸味が飲みやすさを手助けしてくれてスルリと美味しく飲めます。
「えっ、これ美味しっ。」
思わず声が漏れました。
これくらいの甘みが飲みやすくて好きかも!
甘みが美味しいお酒です。
パインぽくもあり、酸味スルーリと軽やかさがあるので飲んだ瞬間は濃ゆさを感じますがとても飲みやすくなります。
後口にはたっぷりとした旨味とお酒の力強さが残るかな。
今日は、きのこと肉団子の生姜スープとちくわユッケ(焼き肉のタレ味)と共にいただきます。
スープを飲んでから十四代を飲んでみると、スッキリさの印象UP!
あまり料理と干渉せずにスルリと飲めます。
ウインナーは甘みがジワーっと広がりお酒の濃ゆさが出ますね。
入りの甘みがとにかく美味しいです。
ちくわユッケを食べてから飲んでみると、甘みにスルリさが出てこちらは味わいが交わります。
丁度良くさっぱり!卵の黄身のまろやかさと交わるためとっても美味しいです。
飲みやすく食べていて美味しい。
本当に甘みがまろやかになりめちゃうま!合います。
1日では飲み切らず、残りを冷蔵庫に保管していました。
味わいの変化は合ったのでしょうか。
香りの甘さに、昨日はあまり感じなかった醸造アルコール特有の甘みを感じます。
飲んでみると、甘みたっぷりだけど軽やかさ有。
ですが味わいにも少し醸造アルコールの感じが残ります。
写真にはありませんが、和風ハンバーグとスープ、しらす冷奴と共にいただきます。
和風ハンバーグを食べてから飲んでみると、お酒の甘みと合い美味しいです。
スープも甘みがマッチします。
今日は、料理と一緒に飲んだ方がとても美味しく感じます。
濃ゆすぎずにスルーリと飲めるのが本当に良いお酒だと思います。
そんなこんなで飲み切ってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「この十四代は甘過ぎずに飲みやすい!これはかなり好きかも」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
前回飲んだ十四代 特吟は「飲むと確かに美味しいけどわたしには甘過ぎる…」と1度飲めればひとまず良いかな…と思った日本酒でした。
それも十四代は購入するための労力がすんごいので、そこまでして飲まなくても…という印象ですね。
※好みの問題です。
それに比べ、今回飲んだ十四代 吟撰は「買えるのであればまた飲みたいな」と思えた味わいでした。
本当に甘みがわたしに丁度良かったのです。
また、他の十四代と比べても軽やかに飲めるため夏の季節に飲む十四代としてピッタリの味わいだと思いました。
ですが十四代は本当に、好みがあるかと思います。
近年増えている「12%前後の低アルコール日本酒」が好みの人にはかなり濃ゆい味わいかと思います。
ですが、実際に自分の舌で味わってみないと好きか・そうでないかは分からないかと思いますので機会があればぜひ一度飲んでみてください。
高木酒造さんの日本酒は、山形県にある蔵での発売はありません。
取り扱い酒販店さん(特約店)での購入が必要となります。
購入方法に関して詳しくは下記の記事にまとめていますので、詳細が知りたいぜひチェックをしてみてください。
\十四代を定価で買う方法【まとめ】/
十四代は特約店さんで購入ができますが、店頭に並ぶことはほぼありません。
そのため基本的な購入方法としては、
等になるかと思います。
ポイント制の場合は、かなりの金額を使わないと十四代のポイントが貯まらないことがほとんどです。
わたしは今回、抱き合わせにて購入できましたが基本的に「よーいスタート」で購入になるため買えないことの方が多いです。
といった対策が必要になります。
十四代 吟撰が、他の十四代に比べて買いやすいと思った理由は「季節限定で夏に必ず発売される日本酒」だからです。
わたくし十四代に関しては購入の初心者のため、他の十四代がいつ頃、どの順番で発売されているのかさっぱり分かっておりません。
ですが、こちらの夏酒はしっかりチェックしていれば結構買えるのでは?と昨年購入してみて感じました。
(実際にメルマガなどでもちょいちょい見掛けました)
また、日本酒販売サイト「Sakenomy(さけのみー)」にて今まさに抽選販売も行っています。
申し込みは16日(日)までなので、エントリーしていない方はお早めに!
なお、価格はSakenomy(さけのみー)価格となっているため定価より少しお高いです。
転売ヤーや、抱き合わせ・ポイント制で買うよりも断然お得ではありますのでご了承の上ご参加ください。
ちなみに倍率はかなりのものになるため、本当に運試し感覚になるかと思います。
まずはお近くの特約店さんを知ることから初めてみてくださいね。
品目 :日本酒(吟醸酒)
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)、醸造アルコール
使用米 :国産米100%使用
精米歩合 :50%
アルコール分:15%
内容量 :720ml
価格 :2,860円(税込)
公式サイト :なし
これまで様々な「入手困難酒」を実際に購入してきましたが、十四代はその中でもズバ抜けて買えないお酒だと思っています。
一番は「家の近くに特約店さんがあり、いろんな日本酒を買って自然と十四代も買える」といった世界線に住んでいる人が買っているお酒だと感じます。
ですが、近くに特約店さんが無くてもポイント制の酒販店さんであれば「コツコツ貯めていつか買う!」ということも可能です。
実際わたしもポイントを貯めています。
が、このペースだと多分来年…いや、再来年になるのでは?と思っています(なかなか行けていない)
それよりも、いつも行く酒屋さんの方が大切なのでいつものお店で買える日本酒を飲む方がいいなぁと感じております。
十四代の購入は大変ですので、飲食店さんで飲むのもおすすめです。
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