秋田県湯沢市にある「両関酒造株式会社」さんが醸す日本酒のひとつに
という銘柄があります。
「SNSなどでも見たことがあるけど、一升瓶でしか売っていない!」
とわたしも気になっている日本酒でしたが、酒販店さんで見掛けても家庭用冷蔵庫での保管に不便な「一升瓶」でしか見たことのない銘柄のお酒でした。
一升瓶(1800ml)って、一般人だと中々手が伸びないんですよね…。
そのお酒がなんと、720ml(四合瓶)で発売されるというではないですか!
「これは絶対買い!」
と、花邑の中からスポット商品として発売された
の2本を飲み比べてみました。
果たしてどんな味わいの日本酒だったのか…?
早速、見ていってみましょう♪
両関酒造さんの公式サイトはこちら
https://www.ryozeki.co.jp/
パッと見、初見では読めないかもしれないこちらの日本酒は「花邑」(はなむら)と読みます。
両関酒造さんは、明治7年(1874年)に秋田県で創業した酒蔵さんで雪国ならではの「低温長期醸造法」というきめ細かい上質な酒を醸す技術を確立しました。
酒蔵のある母屋と4つの内蔵は登録有形文化財に指定されており、老舗蔵の風情漂う景観は酒処湯沢のシンボルとしても親しまれています。
当初はお手頃な価格の「二級酒」を量産していましたが、時代の流れやお酒の嗜好の変化と共に生産量が減少してゆきました。
そこで誕生したのが、こだわりの製法で手間暇かけ醸された少量生産の「花邑」(はなむら)というお酒になります。
こちらの花邑(はなむら)が日本酒愛好家から脚光を浴びる理由となったがのがこちら。
幻の日本酒として、淡麗辛口ブームだった日本酒業界に「芳醇旨口」という新たな日本酒時代を切り開いた山口県にある「十四代」を醸す高木酒造さん。
そんな高木酒造さんの15代目蔵元、高木顕統(たかぎあきつな)さん異例の技術指導を行った日本酒で
そこにへ両関酒造の蔵人さんが、これまで培ってきたノウハウに試行錯誤を重ね完成したのが「花邑」という日本酒になります。
こういったストーリーから、花邑は十四代が好きな日本酒愛好家の人々に注目され「ジェネリック十四代」「十四代系譜」などと呼ばれ選ばれています。
最初は、雄町と陸羽田の2種類からスタートしました。
その後、原料米に各地の様々な酒造好適米を使用し現在では下記のバリエーションが存在します。
こう見ると結構な種類がありますね!
そして、花邑は特約店限定流通のお酒です。
他にも、花邑の後に生まれた「翠玉」(すいぎょく)「Rzシリーズ」(両関のアルファベット表記の略)という人気ブランドも存在します。
特約店限定商品!花邑の詳細はこちら
https://www.ryozeki.co.jp/hanamura.html
今回飲み比べたお酒の1本目は「雄町」(おまち)という酒造好適米を使用した日本酒です。
花邑の代名詞かつフラッグシップの定番酒として醸される雄町は、岡山県産の備前雄町を使用しています。
精米歩合は50%の「純米吟醸」として醸されています。
雄町の特徴としては、まろやか・ふくよか・幅のある味わいに仕上がるのが特徴です。
雄町は、山田錦・五百万石・美山錦に続く生産量の酒米ですが、酒米の王様「山田錦」と人気を二分する酒米として名が挙がります。
両関酒造さんの醸す「雄町」はどんな味わいなのでしょうか?
花邑(はなむら)の日本酒ををまず飲むのであれば、雄町は外せない1本となるのではないかと思います。
2本目のお酒は「陸羽田」です。
こちらの酒米は初めて見たため最初「りくうた」と思わず読んでいましたが、正解は「りくうでん(陸羽田)」になります。
はじめて見る酒米なのもそのはず。
実はこちらのお米は十四代の蔵元・高木社長が開発した酒造好適米の1つで、自社の十四代では使用せずに「花邑のみ」で使用されている酒米なのです。
そのため、他の酒蔵さんでも陸羽田を使用している日本酒は存在しません。
十四代と言えば「酒未来」「羽州誉」「龍の落とし子」という酒造好適米を自社開発してることも有名ですよね。
花邑のお酒の技術指導もそうですが、両関酒造さんと高木酒造さんの関係性が垣間見れるエピソードなのではないでしょうか。
花邑の日本酒を飲むなら「陸羽田」も外せない1本となるのではと思います。
精米歩合は55%の「純米酒」として醸されています。
実はこちらの日本酒、十四代が関わっていることで有名という話は最初知りませんでした。
「SNSで推している人をたまに見掛ける一升瓶の日本酒」
というイメージがあり、いつか飲めたら飲んでみたいな。という気持ちでした。
蓋を開けてみると選ばれている理由が分かり、十四代という銘柄のお酒は日本酒愛好家の人から絶大な支持があるのだなぁと改めて感じました。
今回購入した花邑はどちらも「瓶火入れ一回」のお酒となっています。
果たしてどんな味わいなのか?
早速見てゆきたいと思います。
先に開栓したのはこちらら。
香ってみると、甘~い香りです。
これはパイナップル。
花陽浴(はなあび)の香りを想像させます。
パイン缶のような甘さとスッキリ酸味も香ります。
甘みにトロみさが若干あります。
和三盆みたいにスッと甘みが溶けるように広がってゆく感じがありつつ、酸味スルリさへ移行してゆきます。
後口は清涼さのあるスッキリ感。
苦みも少々あり、鼻には甘みがふわりと残ります。
入りはとても甘いです!
でもスッと溶ける和三盆みたいな感じがあるため重たくありません。
これは甘旨系ですね。
旨味もありますが、とてもきれいなフィニッシュです。
雄町、入りの甘みが絶妙ですね!
欲しい甘さ加減で、その甘さを十分に楽しみつつのスッキリさへ移行するのでとても良いです。
重たさは本当に無いです。
わたくし、あまり十四代を飲んだことがありませんが十四代が好きな人でも花邑の雄町は結構好きな人多いのでは?と思いました。
今日はお蕎麦(かけ)と共にいただきます。
蕎麦を食べてから飲んでみると、さっぱり爽やかさが出ました。
甘みがスルリと飲みやすくなるため、蕎麦に合う日本酒だと思います。
マヨサラダは、スーッと爽やかさのある甘みかつスルリとその甘みが居なくなります。
悪くないかと思います。
ここで陸羽田を一度挟み、もう一度戻ってくるとこちらも美味いですね!
酸味が若干雄町の方があるのかしら?
スルリと飲みやすいです。
続きましてこちら。
香りは甘い!
こちらもパインな香りで、雄町よりも甘みが強くジューシーに感じます。
でもスッキリ酸味も香るため重たくありません。
入りの甘みは、和三盆というより水飴?
ボリューム感のある甘さで、やわらかな酸味と共にスッキリと広がり後口は雄町に比べるとかなりさっぱりとします。
仕込み水の甘さを思わせる入りでキレイさがあります。
濃厚さがあるのに軽いので不思議な感じです。
後口はキレさや苦さもありつつ全体的に「やわらか」な印象のお酒。
味わい的には雄町の方が好きかしら。
飲んでいるとスッキリとしたパイナップル感があり、熟していない若めのパインぽさもあります。
改めて飲むと、雄町に比べて入りの甘みのインパクトが強いです。
わたしの想像ですが、サトウキビの皮をむいてそのままチューチュー吸った時のあの甘さの印象があります。
甘いのに素材らしい苦味がある感じです。
お蕎麦を食べてから飲んでみると、お酒の甘みはシロップ感がありますがスルリと飲みやすいです。
でもお蕎麦に対してお酒の甘みが濃いかもしれません。
でも美味しいです。
マヨサラダは、こちらの方がお酒の甘・苦・酸のバランスが良く感じます。
穏やかなのに旨味あり。
清涼さもあって良いです。
雄町を飲んでから戻ってくると旨っ!
美味しい。冷たく冷やしたのが美味しいです。
こちらの方が雄町より甘みが濃いですね。
濃いと言ってもスルリさがあるため、重たくないし飲みやすいです。
残りは冷蔵庫で保管していました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
香りは、まったり甘パイン。
酸味よりも甘さが印象的で、今日は熟した甘いメロンぽさも感じます。
甘~~~い!
かなりの甘さです。
トロリさも感じつつ後口に向けスッキリ清涼さもあり。
キレというよりも清涼感。
甘さの余韻もスーッと残ります。
甘みから入り、存在感強めの酸味がやって来てスッキリとします。
飲んでいると今日はパイナップルぽさをあまり感じず、独特な甘さの印象が強いです。
まずは茹でブロッコリー(マヨ)です。
食べてから飲んでみると、甘さに落ち着きがでてマヨネーズの酸味と合います。
酸味が柔らかくなって美味しいです。
あとに飲んだ陸羽田よりも雄町の方が酸味があります。
初日よりも苦味が少々出た感じがありますが、さほど気にならない程度でそれよりも甘みに特徴があるお酒だなぁと。
何の甘みか聞かれたら分からないのですが…(笑)
枝豆は、甘酸スルーリ苦味も少々。
甘みのお酒です。
ブロッコリーチーズは、うん。悪くはありません。
落ち着きがあり苦味も少々ある。
スルーっとして美味しく飲めるお酒ですね。
こちらも同様に、残りを冷蔵庫で保管していました。
香ってみると、質量のある甘さの上にスッキリさが香ります。
パインぽさもあるけどシロップっぽい甘みが印象的な香りです。
甘み。
ですが、今日は雄町より落ち着きのある甘さに感じます。
陸羽田を飲んでみて、雄町はこちらより酸味があることが分かりました。
甘みの印象は強いのですが、全体的に落ち着いていてなめらかさがあります。
雄町と比べると素朴な印象も。
後口に苦味?渋み?を少々感じます。
甘みは入りにトロッとした強さから最後まで存在感があります。
渋味で〆てくるため重たくはありません。
落ち着いた酸味も一緒にあります。
茹でブロッコリー(マヨ)は、甘みにキュンとさが引き出されますが基本落ち着きがあり穏やかです。
ですが苦味がUPしました。
結構苦味が出たわね?
ですが、お酒がよりまろやかになり美味しいです。
枝豆は、苦味からの甘みスルリ。
美味しいスルリとした甘みを感じます。
これは、甘旨落ち着いたお酒です。
ブロッコリーチーズは合います!
お酒の味わいがとても美味しくなりました。
甘みスルリとしつつ絶妙な甘酸。
バランスが良くなったのかとても美味しくて、一緒にお酒を美味しくいただけます。
そんなこんなで2本、飲み終わってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
今回は、はじめましての花邑(はなむら)シリーズ「雄町」と「陸羽田」720ml・火入れを飲み比べてみました。
まず、四合瓶で発売されなければ買う機会が中々訪れ無かったお酒かと思いますので、四合瓶に感謝!( ´人` )
という結果となりました。
十四代を思わせる「芳醇旨口」な味わいを感じられるお酒かと思いますが、もちろん十四代とは異なります。
ですが、
「十四代が買えないので花邑を飲む!」
といった声も挙がるお酒ですので、気になったあなたはぜひ一度手に取ってその味わいを確かめてみてくださいね。
花邑の銘柄は、蔵での直接販売はしておらず「特約店限定流通」のお酒になります。
特約店さんの一覧は、両関酒造さんの公式サイトに記載がありました。
入手困難といった声も見掛けますが、生産数が少なく、特約店さんも限られるから手に入り難いのでは?と思います。
そのため、販売スケジュールが分かれば好きな酒米の花邑を狙って購入ができるかと思います。
公式のInstagramなどで出荷情報がありますのでチェックし、お近くの特約店さんに聞いてみるのが1番だと思います。
なお一升瓶であれば、東京都多摩市にある「小山商店」さんにいつでも置いてある印象です。
花邑は基本的に一升瓶のみで展開されている日本酒です。
4合瓶に関しては、昨年(2022年)雄町と陸羽田の酒米のみ4合瓶での発売がありました。
火入れは7月に2本同時に発売となりました。
その後8月に「陸羽田」のみ720mlの発売がありました。
そして2023年も一発こっきりで発売が決定となっています。
今年も720㎖が一発こっきり発売するらしいので、オンラインショップで予約販売を開始しました。
※純米は生酒の画像を使ってますが、今回発売するのは火入になります。https://t.co/o0EXZesRMP pic.twitter.com/9IpRJyRWIj
— 【公式】ふくはら酒店【裏アカ】 (@sakeisnotdead) July 3, 2023
わたしも昨年はふくはら酒店さんで予約注文させていただきました。
7月12日以降の発送で、7月6日現在オンラインから予約注文が可能ですので気になったあなたはぜひチェックをしてみてください。
特定名称 :純米吟醸酒
原材料名 :米(国産)、米こうじ(国産米)
原料米 :雄町100%使用
精米歩合 :50%
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :1,925円(税込)
特定名称 :純米酒
原材料名 :米(国産)、米こうじ(国産米)
原料米 :陸羽田100%使用
精米歩合 :55%
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :1,716円(税込)
製造者 :両関酒造株式会社/秋田県湯沢市前森四丁目3番18号
公式サイト :https://www.ryozeki.co.jp/
Facebook :https://www.facebook.com/ryozeki/
Instagram :https://www.instagram.com/ryozeki_shuzo/
はじめての花邑は「雄町」と「陸羽田」を飲むことができました。
ラベルの裏には
花邑(はなむら)は、風味を損なわないよう、搾って間もないお酒を1本ずつ丁寧に手詰めをし、瓶火入れを行いました。
適度に冷やして、口中に広がる香りをお楽しみください。
と記載があります。
公式サイトの商品紹介でも多くを語らないお酒ですが、他の酒米もいつの日か4合瓶で発売されることがあれば飲んでみたいなぁと思っています。
気になったあなたはぜひ一度飲んでみてください。
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