日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、福島県天栄村にある「松崎酒造株式会社」さんの醸す「廣戸川 純米 にごり 生酒」(ひろとがわじゅんまいにごりなまざけ)です。
毎年「12月ごろ~2月初旬まで」発売される、季節限定のにごり酒。
にごり酒とは、醸造したお酒(醪/もろみ)を搾る際に目の粗い布などで搾りあえて「固形分」を多く残し、にごった状態に仕上げた日本酒になります。
ちなみに、この時全く搾らないで醪のまま瓶詰めしたものを「どぶろく」と言い、日本酒(清酒)ではなく「濁酒」や「その他の醸造酒」に分類されます。
廣戸川(ひろとがわ)の純米にごりは「生酒」。
生酒とは、「火入れ」と呼ばれる加熱処理を1回もせずに搾ったままの日本酒を「生」のまま出荷するお酒のことです。
そのため、瓶の中で酵母が元気に生きておりプチプチ・シュワシュワとフレッシュでフルーティな味わいを愉しめます。
デメリットとしては、味の変化が早いため「必ず冷蔵庫で保管」&「直ぐに飲み切る」必要のあるお酒ということです。
順次、特約店さんへ入荷となりますがオンラインで販売をスタートしている酒販店さんを見つけました。
前期わたしは1/28(金)に四ツ谷にある「鈴傳(すずでん)」さんにて廣戸川にごりを購入できたため、1度売り切れても何度か再入荷するお酒かと思います。
お近くの酒販店さんで購入したい場合は、特約店販売店さんをチェックしてみてくださいね。
日本酒は基本的に「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌をすることがほとんどです。
そして、火入れをするタイミングは通常
という2回があり、火入れの方法も熱湯を張ったタンクに管を通しそこに日本酒を流して温める「蛇管式」や「プレートヒーター」を使い数秒で温める手法。
瓶に日本酒を詰めた状態で火入れする「瓶火入れ」などありますが、詳細はまた基礎知識で紹介したいと思います。
火入れをする理由としては、
など変化しやすい日本酒の「品質キープ」や「保存期間を長くする」といった味を安定させたり劣化しにくくするために火入れ作業を行います。
ちなみに、
といった火入れ回数による名称の違いがあります。
火入れしている日本酒と、していない日本酒では味わいが大分変ってきます。
似たような名称ですが、火入れを全くしていないのは【生酒】のみになりますので知っておくと日本酒選びの楽しさが増えるかもしれません。
実は、こちらの廣戸川にごりは頂き物の日本酒です。
地元では特約店さんが近くに無いため今回初めて知った&口にした銘柄の日本酒となります。
そのため前情報が何もなく「とにかく美味しいから飲んでみて」と勧められるままいただくことになりました。(ありがとうございます!)
ちなみに、廣戸川を醸す松崎酒造さんの現在の6代目杜氏、松崎祐行さんは2011年の東日本大震災の後に26歳で杜氏となりました。
杜氏となりわずか1年目で福島県新酒鑑評会の吟醸・純米酒部門で金賞を受賞。その後も連続で金賞を受賞している実力者&注目の酒蔵さんです。
にごり以外にもぜひ飲んでみたいなぁと思いました。
にごり酒の瓶には何とも不穏な首掛けが下がっています。
「…とは言っても、今までもにごり酒飲んだことあるし大丈夫でしょ~」
と軽い気持ちで開栓しました。
(と言いつつも、5日間ほど冷蔵庫で静かに冷やしておきました)
いつも活性にごりタイプの日本酒は冷蔵庫に入れ落ち着いてから開けるようにしていたので、爆発させることはありませんでした。
ですが、スクリューの蓋を「カシュ!」といい音をさせたとたんにビックリ!
プシューッ!っとガスが発生し、じゅわじゅわと吹きこぼれそうになるではありませんか!
ジュワジュワ具合はTwitterにも載せました。
松崎酒造さんの、
【廣戸川 純米にごり生酒】
シュワシュワが過ぎました🥺🍶
なかなか開けられません…🥺 pic.twitter.com/or3upwvh4E
— ねこと日本酒@なかのひと (@neko_nihonsyu) January 27, 2021
落ち着いてすぐにキャップを閉めます。
キャップを閉めた後も、シュワシュワは止まらずに下のにごりが上に上がってきて瓶内でグルグルと回るではありませんか!
「えー!スノードームみたい(きれい…)」
と眺めていましたが、すぐに閉めなかったら溢れてたかも…と思うくらい瓶内の酵母の元気さ(発酵の強さ)が分かります。
爆発案件なのがよく分かりました。
今まで、
とにごり酒を飲んできましたが、ここまでジュワジュワなのは初めてでした。
最初は「上澄み」を飲んで「混ぜて」飲む…と2種類の味を楽しもうと思っていましたが自動的に混ざってしまい上澄みのみで飲むことは叶いませんでした。
様子を見ながら蓋を開けると、再びジュワジュワと上がってきましたが閉めずに待っているとようやく落ち着いてくれました。
混ぜなくてもいい感じに混ざっています。
香りはとてもフルーティーで甘さを感じます。
これはパインアメ?酸っぱくなくて甘いあの飴ちゃんの。
とてもジューシーな香りで、桃や梨といったみずみずしい「蜜のある果物」の香りがします。
甘さからの日本酒らしいキレのある感じがします。
舌にピチピチと酸味を感じますが、開けた時のシュワシュワ感はあまりありません。
どちらかというと、シルキーだけどドライさを感じお米の濃醇さが強く残ります。
後味には「日本酒です!」といった強さも残ります。
赤武SNOW EXTRAがスルスル飲めるジュースのようなにごり酒だったので、それと比べると廣戸川にごりは重さがあるためスルスルとはいけません。
「にごり酒らしいお酒」といった感じでしょうか。
飲んでいるとフルーティーな香りや味というよりも、原料米の甘さのほうが強く感じます。うん。これは日本酒。
2回目も開けたらジュワジュワとガスが上がってきました。
よく混ぜて飲んでみると、お米感がより強く感じるように。
さっぱりとキレや爽快さがあるけど、お米の味がしっかり残ります。
こ、これは、ソースと合う!
(写真を撮りましたが食べかけだったので、見た目的にUPを断念しました…)
コロッケと一緒にいただくと甘味が増してとても美味しいです♪
ソースの酸味とマリアージュして、おいしい甘味。やさしい甘味になります。
ぜひコロッケと一緒に飲んでいただきたい!
コロッケじゃなくても、ソースの料理(お好み焼きやたこ焼きなど)に合わせると相乗効果でめちゃんこおいしくいただけると思います。
【ソース×日本酒】
これは試していただきたい組み合わせです。
他の日本酒でも試してみよう~。
いつもの勢いで、四合瓶1本を飲み切ってしまいました。
ですが、いつもと違ったことが1点。
めちゃくちゃ酔っぱらった!ということです。
いままで飲んだ「にごり」はいずれもアルコール分13度でした。13度の日本酒は四合瓶1本飲んでもさほど酔いません。
ですが、「廣戸川にごり」はアルコール分15度とちょっと高め。
2度の違いですが、かなり酔いました。
「開けたてフレッシュなうちに!」と思っての飲み切りでしたが、アルコール13度以上の日本酒は無理しない方向にしたいと思った出来事でした。
ちなみに、開けてしまった日本酒も、劣化のしにくい温度の「-5℃」で保存できる日本酒セラーを買ったので、これからは飲みかけの日本酒も安心して保管できます。
こちらの日本酒セラーについてはまた別の記事に書きたいと思います。
廣戸川の日本酒は、蔵での直接販売など行っていません。
そのため「取り扱い販売店」さんで購入する必要があります。
販売店さんは、公式サイトの下記のページにて確認が可能です。
http://matsuzakisyuzo.com/shops.php
今回、にごり酒は頂き物でしたがいつも利用している
でも購入できるではありませんか!
廣戸川のにごりは、毎年12月ごろに発売される「季節限定」の日本酒です。
無くなったら終わりの限定物!
さらに、大人気な日本酒「而今のにごり酒」に並び、毎年人気のにごり酒となっています。
他の人の飲んだ感想では
などなど、大好評でした。
気になったあなたは、まずはお近くの販売店さんをチェックしてみてくださいね。
品目 :清酒(純米にごり生酒)
アルコール度:15度
原料料 :米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米 :福島県産「夢の香」100%
精米歩合 :60%
内容量 :720ml
価格 :1,650円(税込)
公式サイト :http://matsuzakisyuzo.com/
今回は試しませんでしたが、こちらのにごり酒「燗酒」として温めて飲むのも旨い!と評判です。
次に飲む機会があったら是非試してみたいと思います!