いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、岐阜県揖斐郡大野町にある「杉原酒造株式会社」さんの醸す「射美(いび)131周年記念限定酒」です。
射美(いび)とは、岐阜県にある杉原酒造さんの醸す日本酒で「なかなか買えない幻の酒」と呼ばれる内の1本になります。
それも、年間に製造している量がごくわずかという点が大きく射美を取り扱っている酒販店さんも「岐阜県内外に25店舗」とかなり限られています。
今回紹介する「射美 131周年記念酒」は今回限りの限定酒です。
2023年3月23日に出荷となり、4合瓶のみで販売されたその本数は「5千本限定」となりました。
どんなお酒なのか?
こちらは射美のラベルの裏に説明がありましたので引用させていただきたいと思います。
私が入社して15年程ですが、その期間でも思い出すだけで、辛くて泣きそうになる事や、嬉しくて泣きそうになる事が沢山ありました。
きっとこの131年間にはもっともっと想像できない様な事が沢山あった事でしょう。
130周年は、気が付いたら過ぎておりました(笑)
次は、10年後の141周年目指し、弊社でしか出来ない事を、出来る限り精進して参ります。
宜しくお願い致します。
慶樹
慶樹(よしき)とは、現在の蔵元兼杜氏である5代目の杉原 慶樹(すぎはら よしき)さんのことです。
射美のラベルの裏には、毎年、その時その時の異なる内容で慶樹さんによるコメントが記載されているためこちらの内容を読む楽しみもあるのが特徴になります。
今回は、裏ラベルだけではなく「ラベルの表面」にも注目したいと思います。
射美のラベルは通常シンプルなものが多いですが、記念限定酒ということで紫を基調としたオリジナルデザインとなっています。
よく見てみると、酒蔵の風景や稲穂、家紋などが散りばめられたデザインで、酒蔵の風景は蔵元である杉原 慶樹さんが描かれたデザイン画が使用されています。
またラベルの上に貼られた特別シールには「Ibi Road」と記載があり、「IBI」と「131」をかけていることが分かります。
パッと見はあの有名なアルバムジャケットデザインを彷彿させますが、歩いている人がスコップや稲などを持っているのが見ていてとっても可愛いです。
え、ちょっと待って…
わ、わァ…ここにもかけている…ってコト!?
次にこのラベルのお酒が登場するのは10年後の「141周年」とのことですので、今回買えなかった方は10年後に購入チャレンジをしてみてください。
射美の日本酒を飲むのはこちらで「4本目」です。
昨年は少し追い3本購入できましたが、今年はこちらの1本だけ購入することができました。
射美は「甘み」に特徴のあるお酒だと思いますが、今回の131周年記念酒はどんな味わいなのでしょうか?
早速、飲んでみた感想を書いてゆきたいと思います。
甘い香り。
ジンワリとキャラメルっぽい香りもあります。
そこにスッキリとした苦味も一緒に香るため締まるような感じがあります。
甘みから入りますがスッキリさが共に広がります。
キャラメルっぽさもあり、苦味がジンワリ。
なんて言えばいいのか…稲っぽい苦さがあります。
甘みよりもスッキリさの方があるため、とっても飲みやすいです。
ですが厚みと濃ゆさもしっかりとあります。
これまで飲んだ射美の中でもスッキリとした味わいに感じます。
今日はイワシ明太とサラダと共にいただきたいと思います。
イワシ明太を食べてから飲んでみると、合う!
スッキリ甘くて美味しいです。
明太子の辛さがUPするように感じるため、それもまた良し!
ささみのサラダを食べてから飲んでみると、スッキリキレさが出ましたが良い感じの甘さがあるので
「料理と共に丁度良くいただけるお酒」
といった感じがあります。
あと、マヨネーズにとても合います。
甘みが引き出されてマリアージュしました。
料理と一緒だと「甘スッキリ」がとっても美味しいです。
1日では飲み切らずに、冷蔵庫にて保管をしていました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
香ってみると、キャラメル感が増したように感じます。
甘くてキャラメリーかつ、スッキリ清涼感。
初日よりもなめらかさがあり、まとまり感がでた気がしてとっても美味しいです。
入りの甘みがすごく好き!
深みがあるのに軽やかさのある甘みです。
初日に印象的だった苦味は中和されたのか全く感じません。
なめらか旨いです。
こちらのお酒は無濾過生原酒(生酒)なので、空気に触れると味の変化も楽しめるお酒です。
「131年の重みを感じながら時間をかけて味わって欲しい」
と蔵元の杉原さんもお話しされていたこともあり、今回は残りの1杯を長めに冷蔵庫にて寝かしていました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
グラスに注ぐと「トロッ」と感のある液体になっていました。
香ってみると、甘みたっぷり酸味スッキリな香りがします。
ん!美味しい!
とろりとしたテクスチャーで甘みがたっぷりとありますが、酸味のスッキリさ&苦味がいい感じに甘さを軽くしてくれます。
今日の射美、めっちゃ美味しいぞ!
苦みの感じがコーヒー飴を舐めているような印象があります。
あとなんだろう…これはチェルシー?懐かしの飴ちゃんチェルシーのコーヒースカッチを思わせる甘さと苦さを感じます。
最後の1杯なので、じっくりゆっくりと飲みたくなっちゃう美味しさです。
甘苦ですが、なめらかなキャラメルっぽい甘みがとっても良いです。
ラスト、結構濃ゆさも感じて「飲んだった」感がありました。
うーん、美味しかった!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「射美の中でも飲みやすくて好き!寝かせるほどに旨い!」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
射美はどの射美でもアルコール分は16度~17度と高いのが特徴です。
そのため「低アルコールの日本酒が飲みたい」と言う人には度数が高すぎてしまうかもしれません。
ですが、射美の中でもスッキリさが飲みやすさを演出してくれるため、17度あるとは思えないくらい飲みやすかったです。
甘みも甘過ぎずにスッキリと。
そのため「はじめての射美」としてもオススメできると思いました。
…次回の発売は10年後となりますが…。
また、開栓初日は独特な苦味が印象的でしたが、数日間寝かせることで気にならずに美味しく飲むことができました。
「寝かせても美味しいお酒」ということは間違いありません。
飲食店さんで飲める機会もあるかもしれませんので、見掛けたらぜひ一度、その味わいを確かめてみてくださいね。
杉原酒造さんの射美シリーズは、岐阜県にある酒蔵に行っても購入することができません。
そのため「特約店」さんでの購入が必要になりますが、公式サイトには「特約店一覧」といった用意はありませんでした。
詳しい購入方法は下記のページに記載しています。
\射美(いび)が買えるお店・入荷時期は?/
今回購入した「射美 131周年記念酒」に関しては、前回購入した「WHITE 射美」同様に東京にある小山商店さんで購入することができました。
日本酒好きの人であれば「日本酒の聖地」として有名なことはご存じかと思います。
実はこちらの小山商店さんは、東京にある特約店さんの中で「本数が1番多く入荷する」という特徴があります。
そのため、発売当日(入荷した日)に売り切れることは稀で、数日間購入できる猶予があるのです。
※もしかしたらその日に売り切れることもあると思います。
行けそうであれば、発売日に合わせて行ってみることをオススメします。
なお発売日に関しては蔵元からのアナウンスはありません。
そのため、SNSなどを駆使してチェックしておく必要がありますのでご注意ください。
品目 :清酒
原材料名 :米・米麴
精米歩合 :60%
アルコール分:16%
原料米 :国産米100%使用
酒米 :揖斐の誉(いびのほまれ)
内容量 :720ml
価格 :2,225円(税込み)
公式サイト :https://www.sugiharasake.jp/
今年は射美を追い掛けていませんでしたが、記念限定酒が発売されるということで聖地へ繰り出しました。
その時は確か十四代の抽選も行っていましたが、電話が無かったということは…(応募したのもスッカリ忘れていました)
聖地は遠いですが、行ってみると嬉しいお酒に出逢える確率が高いためまだ行ったことの無い人はぜひ一度足を運んでみてはと思います。
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