日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、和歌山県海南市にある「平和酒造株式会社」さんの醸す、「紀土 KID Takagi’s フュージョンサケ」(きっど 高木 ふゅーじょんさけ)です。
平和酒造さんの醸すお酒には、日本酒「紀土(きっど)」の他に「平和クラフト」というクラフトビールや「鶴梅の梅酒」などがあります。
その、平和クラフトの醸造長でもある「高木加奈子」さん。
こちらのフュージョンサケは、高木さんがビールと日本酒の融合をテーマに設計されたお酒です。
当初は「ビール酵母を使った日本酒」を醸す予定でしたが、
といった蔵元である山本典正さんのアドバイスにより、ビールでもなく日本酒でもないフュージョンサケが完成しました。
そのため、お酒の分類は「リキュール」となります。
またこちらのお酒は【杜氏資格保持者シリーズ #2】(第2弾)のお酒となっています。
平和酒造さんの新しい取り組みとなる「杜氏資格保持者シリーズ」のお酒は2021年よりスタートしました。
平和酒造さんでは「教育」を最も大切と考え、若い蔵人さんが「南部杜氏」と呼ばれる杜氏の資格取得に挑戦できるような体制を整えています。
通常の日本酒は、平和酒造の杜氏である「柴田英道」さんが醸されています。
それらのお酒とは別に、難関となる南部杜氏資格を取得した普段酒造りを支えている若い醸造家さんが中心となり醸すお酒が「杜氏資格保持者シリーズ」なのです。
第1弾は2021年の4月にリリースとなりました。
宮崎啓さんという、2019年に南部杜氏の資格を取得した醸造家による純米吟醸酒でした。
新しい仕込みを試した1本で「最高に繊細で上品な酒」に仕上がったこちらの日本酒を紀土ファンの方はしっかり味わえたのではないでしょうか?
今回の杜氏資格保有者シリーズは
スペックも宮崎さん、高木さんに決めてもらっています。
柴田杜氏とのディスカッションのように僕がアドバイスをすることもありしたが
作り手の創造性を第一にうまれた作品です。
第一弾の『Miyazaki’s』は蔵内在庫はおかげで予約完売。店頭で見かけたらお早めにどうぞ pic.twitter.com/zicSOxdncl— 山本典正 紀土@平和酒造 (@norima3yamamoto) April 8, 2021
そして、今回わたしがいただいたのが第2弾!2021年の7月に発売されたお酒です。
高木加奈子さんは、2020年に南部杜氏の資格を取得しました。
お酒のピンク色は、ホップ由来の天然とのことで「なぜピンクになるのか?」すごく不思議ですよね。
この薄桃色になったのも「予想外」とのことで、謎は深まるばかりです。
また「なかなか再現性が難しいので来期もリリースできるかどうかわかりません」と蔵元の山本さんがSNSで仰っていました。
宮崎さんの担当するお酒が「秋頃」に発売予定といったお話もありましたが、まだ発表はありません。
また、平和酒造さんでは2021年の南部杜氏資格試験に合格した方が新たに2名誕生しました。
「田村浩貴」さんと「荒瀨雅也」さんです。
お二人の試験突破によって、平和酒造さんでは杜氏資格保有者が「5名」となりました。
お二人それぞれが中心となって醸すお酒も発売されるのでしょうか?楽しみですね。
杜氏さんとは、その酒蔵さんのお酒を醸す「醸造責任者」という立場になる役職の方です。
杜氏さんの下で働く人を「蔵人(くらびと/くろうど)」と呼びます。
元々は、冬になると蔵元さんが酒蔵に契約をしている「杜氏集団」を呼び酒造りを行う…といった方法で日本酒造りを行っていました。
現在では「蔵元杜氏」と言って、蔵元さんが杜氏も兼任している酒蔵さんや「杜氏制度を廃止」して酒造りを行う酒蔵さんもあります。
杜氏には独自の伝統を受け継いだ「流派」があり、日本酒の醸し方が異なります。
南部杜氏とはその流派のひとつで「三大杜氏」と呼ばれています。
の3つ流派のことを指し、全部合わせると20の杜氏組合が存在します(2017年現在)。
「○○杜氏」と名乗りたい場合は、それぞれの組合に所属する必要があります。
例えば「南部杜氏」と名乗りたい場合は、一般社団法人 南部杜氏協会に所属し、資格試験に合格する必要があります。
平和酒造さんでは「南部杜氏」の組合に加盟し南部流の技により紀土の日本酒を醸されているのですね。
キッドのお酒を飲むのは2本目です。
前回は「紀土 KID(きっど)夏ノ疾風」という夏限定の夏酒をはじめていただきました。
\夏ノ疾風を飲んだ感想はこちら/
夏ノ疾風は「ジャケ買い」したお酒です。
実際に飲んでみましたが「まだ紀土 KIDがどういうお酒なのか掴めていない…」というのが正直な感想です。
そして今回のフュージョンサケは「ピンク色&シュワシュワ」に惹かれての購入となりました。
果たしてどんなお酒だったのか?
実際に飲んだ感想を書いてゆきたいと思います。
瓶のサイズは「330ml」と小ぶりです。
アルコール度数も「11度」と低アルコールなのでわたしにとったら「ジュース感覚」だろうな…と2本購入しました。
グラスに注いでみると、ジュワっと泡立ち色は見事にピンク色に染まっていました。
うん。
これは可愛い。
女子ウケ絶対良いと思います。
すっぱ!
酸っぱさのあるお米の香りがします。
かなり酸っぱいです。
舌にジュワジュワガス感。
甘さもあります。
ビールのホップ感の後に、グレープフルーツ感がやってきます。
え、美味しくてゴクゴク飲めちゃいます。
リンゴのような酸っぱいビールっぽさもありますが、お米の甘さがそれを良い感じに包んでくれます。
料理と一緒だと、爽やかさが増して良い感じになりました。
甘酸。
さっぱりとした甘みがまた美味しいです。
飲んでいると、ヨーグルトやストロベリーっぽさもあります。
え、一瞬で無くなっちゃったのですが…
飲みやす過ぎで、とても美味しかったです。
ビールでもなく、日本酒でもなく、また飲みたくなる1本でした。
もしまた発売されたら買いたいです。
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「可愛いし、美味しいし、また飲みたい!」と思った味わいのお酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが、「ビール×日本酒」という取り組みに「面白い!」と感じる人にはお勧めの1本となります。
日本酒ではなくリキュールなので、気軽に飲めちゃうのも良いですよね。
来期のリリースがあるかどうかは平和酒造さん次第となりますが、もしまた発売されたらぜひ飲んでみていただきたい。
そんな楽しめる味わいのお酒でした。
平和酒造さんでは、蔵元による製品の小売販売および通信販売は行っていません。
そのため、お近くの特約店さんでの購入が必要です。
一覧などの用意が無いため、蔵にお問い合わせをすることでお近くの特約店さんを紹介してもらえるとのことです。
また、製品の販売小売店のお問い合わせは「お住まいの地域を明記ください」とのことでした。
わたしは近くに特約店さんが無いため、ネット通販を行っている酒販店さんでの購入をしています。
【紀土 特約店】
【紀土 販売店】
といったキーワードでGoogleやYahoo!などで検索をするとヒットさせることができます。
例えば、
フュージョンサケに関しては、東京の酒販店さん巡りをした時に見つけたのを購入しました。
酒屋さん巡りも、普段買えない日本酒との出逢いがあって楽しいですよ♪
限定品はタイミングを合わせて買い逃さないようにチェックしてみてくださいね。
【杜氏資格保持者シリーズ #2】
品目 :リキュール
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)ホップ
原料米 :記載なし
アルコール分:11%
内容量 :330ml
価格 :1,100円(税込)
製造者 :平和酒造株式会社
製造所 :和歌山県海南市溝ノ口119番地
公式サイト :https://www.heiwashuzou.co.jp/
Twitter :https://twitter.com/heiwashuzou
フュージョンサケは、7月に発売されたお酒なので現在は買うことができません。
ですが、11月2日現在は「紀土の新酒 しぼりたて」が出来立てホヤホヤで購入することができます。
720mlが「1,265円(税込)」とコスパ最高&美味しい!と話題です。
紀土 KIDの味を知るなら、この1本からが良いかもしれませんね。