日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、福岡県福岡市にある「LIBROM Craft Sake Brewery」さんの醸す「ブラッドオレンジ」です。
あなたは、LIBROM Craft Sake Brewery(リブロム クラフトサケブリュワリー)さんの醸すお酒をご存じでしょうか?
コロンとした可愛いボトルが印象的で、一見「日本酒」とは想像できないオシャレな見た目のお酒です。
それもそのはず、こちらのお酒は厳密に言うと日本酒ではなく、クラフトサケというジャンルのお酒になります。
そもそも「クラフトサケ(Craft Sake)」とは
とベースは「日本酒造り」です。
そこへ、従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた「新しいジャンルのお酒」のことを言います。
例えば、フルーツやハーブなどを副原料とし発酵過程で加えることにより従来の日本酒にはない味や香りを楽しめるお酒となっています。
そのため酒税法では「清酒」ではなく、「その他の醸造酒」や「雑酒」などに分類されます。
LIBROM(リブロム)公式サイトはこちら
https://librom.jp/
「日本酒文化をもっと身近に」
というコンセプトに、これまで日本酒を手に取ってこなかった人に向け新たなクラフトサケを醸造&提供しているのがLIBROM(リブロム)さんです。
LIBROM(リブロム)の醸造所は、福岡県福岡市中央区にある天神駅からもほど近い高砂という街中にあります。
2021年より酒造りをスタートし、醸造所にはバーが併設されているためLIBROMのお酒と料理を楽しむことが可能です。
LIBROMの代表である「柳生 光人」(やぎゅう みつと)さんは、山口県にある新谷酒造さんや石川県の農口尚彦研究所で修行をした経験の持ち主です。
そして、同級生であるLIBROMの醸造責任者「穴見 峻平」(あなみ しゅんぺい)さんは、新潟県にある阿部酒造さんで修行をされています。
元々は「イタリアで酒造りをしたい!」という想いを胸にお二人は日本酒造りの修行をされていました。
それも、日本では現状「日本酒を造りたい!」と思っても日本酒の製造の免許を新規で取ることが出来ないため、若い人など新規での参入が出来ません。
そのため、海外であればイタリアのお米を使用した日本酒を造ることが可能です。
ですが蔵での修行後は、新型コロナウイルスの影響によりイタリアでの蔵の立ち上げは断念せざるを得ない状況でした。
そこで、まずは二人の地元である福岡県で自分たちのお酒を造ってみよう!とLIBROMを立ち上げました。
「その他の醸造酒」であれば、日本酒(清酒)の製造免許が無くても、別の条件で取得できる酒類製造免許にて酒造りをすることが可能です。
リブロムの名前の由来は、LIBERTA(自由)とROMANZO(ロマン)という2つのイタリア語を組み合わせた造語でお二人の好きな言葉から生まれました。
九州の原料、特に福岡県産にこだわった酒造りをされており「仕込み水」は福岡市の水道水をフィルターに通した地域の水を使用しています。
「副原料」はその時旬なモノなどを使用し、福岡県産のフルーツやハーブ、スパイスなどを使用されています。
最近では仕込み水を淹れたての八女茶に変えて仕込んだ「茶醸酒」や、阿部酒造さんが造るコーラ(kuracola)の搾りかすを再利用した「COLA」もあります。
精米歩合は、掛米92%とあまり削らないお米を使っているのも特徴です。
今回購入したお酒はブラッドオレンジです。
購入のきっかけはUA BARに仙禽×ユナイテッドアローズのUAさくら吹雪を買いに行った際に置いてあり、その姿が可愛かったから!という理由です(笑)
色が赤寄りのピンクでボトルも可愛くて…前々から気になっていたクラフトサケだったためこの機会に手に取りました。
イタリアが原産地のブラッドオレンジ。
日本では高級品とされ、赤い色と甘くて豊かな香りが特徴です。
そんなブラッドオレンジを福岡県能古島で約40年栽培される久保田農園さんの希少な国産ブラッドオレンジを使用しました。
米、米麹、ブラッドオレンジで醸す贅沢な一杯をお楽しみください。
と記載がありました。
イタリア進出を目指すLIBROMさんにとって特別な1本となったそうです。
LIBROM ブラッドオレンジの詳細はこちら
https://librom.jp/products/bloodorange?variant=43663439921312
はじめてLIBROMさんのお酒を飲んだのは、若手の夜明け -sake jump- 2022という日本酒イベントでした。
その時は、パッションフルーツとハーブを使ったお酒の2種類をいただき「美味しくて面白い!」と思いました。
その後は、なかなか購入するまでに至らずここまで来ましたがようやく家でゆっくりと飲める機会がやってきました。
オレンジとか蜜柑とか、わたし柑橘系の果物大好きなんです。
果たしてどんな味わいなのか?
ワクワクしながら開栓してゆきたいと思います。
めちゃくちゃ溢れだしそうになりました!
ジュワ~~!っと泡が上がって来て、冷静に一度蓋を閉めます。(実は数日前にスパークリング日本酒を噴きこぼした人)
可愛い見た目からこの元気なガス感!想像できずに危なかったです。
開けたり閉めたりを繰り返してようやく開栓となりました。
これはブラッドオレンジ。
甘みたっぷり感とガスのスッキリさが共に香ります。
そして、かなり強めのアロマです。すっごいブラッドオレンジです。(語彙力)
ジュワっとたっぷりなガス感。
酸味と柑橘な清涼感のある甘さが口の中で広がります。
これはもうブラッドオレンジです。
お米のふくよかな甘みも楽しみつつのオレンジ感たっぷり。
この組み合わせは違和感がほぼ無いですね。
鼻を抜けてゆくブラッドオレンジの果肉感がとても美味しくて好きです。
皮の苦味もあってそれがまた良い。
ここで思ったのが、
「日本酒として飲むならアルコール分11度はとっても飲みやすい!」
「でもリキュール(サワーとか)気分で飲むならアルコール分11度は重い!」
という気持ちです。
飲んでいる感じは、ジュワっとしたガス感を楽しめるのでブラッドオレンジサワーみたいな感じなんです。
でもしっかりと日本酒の旨味やたっぷり感があるので、気軽にグイグイ飲んじゃうと危険だしゆっくり飲むべきお酒だなぁと思いました。
何と合わせたらいいのか…
考えた結果、当サイトではお馴染みのKiri(キリ)のクリーミーポーションにしました。
このKiriも法律の関係でクリームチーズ(プロセスチーズ)と名乗れなくなってしまった商品になります。
Kiriを食べてから飲んでみると、合う!
キリのまろやかさがプラスされつつ、酸味が良く合います。
そしてクリーミーさが良いです。
味わいが膨らむというよりも合わさる感じです。
LIBROMも時間が経って味わいが馴染んできて飲みやすく感じるようになりました。
そんなこんなで500ml、1本飲み終わってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「本当にめっちゃブラッドオレンジ」と思ったクラフトサケですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
飲んでいて香りの強さはちょっと気になりました。
ですが、新しいジャンルのお酒を楽しんでみたい人や日本酒初心者の人にはとってもオススメです。
飲んでみたら\こんなお酒があるの?/と驚くこと間違いなし。
新しい日本酒の世界を覗くことの出来るクラフトサケだと思います。
日本酒の製法に「副原料」をプラスして醸した、新しいジャンルのクラフトサケ。
気になったあなたはぜひ一度、お試しください。
LIBROMさんのお酒は、福岡県にある酒蔵での店頭販売と自社のオンラインストアにて購入することが出来ます。
また、全国にある取扱店さんでも購入することが可能です。
近くにない場合も、ネット通販を行っている取扱店さんであれば購入可能です。
例えば下記の酒販店さんになります。
取扱店さんによって在庫はまちまちですので、買えるときに購入するのが逃さない秘訣かと思います。
また、ブラッドオレンジは3月末~4月にかけて発売となりました。
いまでやさんは在庫が豊富なイメージがあり、6月29日現在もブラッドオレンジを購入することが可能です。
気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
品目 :その他の醸造酒
原材料名 :米(福岡県産ヒノヒカリ)、米?、ブラッドオレンジ
精米歩合 :掛米92%、麹米68%
アルコール分:11度
内容量 :500ml
価格 :2,800円(税込み)
製造者 :株式会社LIBROM
所在地 :福岡県福岡市中央区高砂1-21-27 ボンフル高砂103
公式サイト :https://librom.jp/
Twitter :https://twitter.com/LibromSake
Facebook :https://www.facebook.com/librombrewery
LIBROMさんのお酒は、見た目も可愛くて「日本酒をあまり飲んだことの無い」という方へのプレゼントにも良いかと思います。
そして、さまざまなフレーバーがあるため、もし福岡県へ旅行など行く機会のある人はリブロムのバーで飲み比べをしてみるのも良いかと思いました。
アクセスの良い街中に醸造所があるのは良いですね!
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