秋田県秋田市にある「新政酒造株式会社」さんが醸す日本酒のひとつに
という銘柄があるのはご存じでしょうか?
新政酒造さんで唯一の「定番生酒」がこちらのNo.6で、2021年の今年は誕生十周年を迎え「No.6 十周年記念酒」の発売も行われています。
今回はNo.6の中でも最上級モデルと呼ばれる
を飲み比べてみました。
どんな日本酒だったのか…?
早速、見ていってみましょう♪
No.6の「6」とは「6号酵母」からきています。
No.6(ナンバーシックス)はその「6号酵母」の魅力をダイレクトに味わえるシリーズのお酒です。
新政酒造さんでは
秋田県の酒米を、生酛純米造りにより、六号酵母にて醸す
という方針があり、全ての銘柄にて適用されています。
新政酒造発祥の酵母(新政酵母)で、五代目となる「佐藤卯兵衛」さんの時代に蔵内で発見された新政独自の酵母が「6号酵母」です。
日本酒を醸すには「酵母」が必須。
使用される酵母によっても香味が異なり、6号酵母は発酵力が強く、穏やかな香りと軽快な味わいに仕上がるとされています。
また新政酒造の6号酵母はのちに日本醸造協会に採取され「きょうかい6号」として全国の酒蔵さんでも使えるように頒布(販売)されています。
きょうかい酵母は1号から19号までありますが、現在でも正式に頒布されているものとしては6号酵母が「最古の清酒酵母」となっています。
アルコール発酵に必要な酵母を培養するための「酒母(しゅぼ)」造りの方法で
という2つに大別されますが、前者は自然の力で乳酸菌の育成をするのに対し、後者は乳酸菌を添加して造る方法になります。
詳しく説明すると膨大な文字数になってしまうため簡単に言うと「昔ながらの手法で、手間暇を惜しまずに醸されている」のが生酛系酒母となります。
通常、日本酒の生酒は「冬の新酒の時期から翌年の春先まで」の気温の低い時期に出荷・発売されることがほとんどです。
春を過ぎると「火入れ」をしたお酒が多くなります。
これは「生酒」が温度の変化などによって劣化(味わいが変化)しやすい性質を持っているためです。
ですが、新政酒造さんでは製造後から出荷まで「マイナス5度以下」という厳戒態勢を取っているため時期に左右されずに「通年販売」を可能にしました。
季節に囚われず「生酒」を楽しめるのは、わたしたちにとっても嬉しいことですよね。
また、通常日本酒には賞味期限が無いとされています。
ですが、生酒という劣化しやすい性質を考慮し新政酒造さんでは「品質保証期限を出荷年月より3ヶ月間」としてNo.6を販売しています。
No.6に限らず、生酒ならではのフレッシュな味わいを愉しむなら火入れされていないお酒は早めに飲むのがおすすめです。
No.6シリーズには3種類あります。
こちらが定番酒となり、この3種類とは別に「限定酒」も存在します。
この3種類の違いは、使用されている酒米の違いや磨き(精米歩合)などの違いとなります。
ちなみに、Colors(カラーズ)は酒米違いで醸される銘柄となりますが、No.6に使用される酒米は「酒造好適米」と記載されています。
これは、その時々の出来を重視して使用する酒米を変えているため、あえて原料米の記載をしないようにしているためです。
今回飲み比べをしたのは豪華版となる
になります。
新政酒造さんの日本酒は毎年毎年、味わいが進化しています。
また、お酒を醸すタンクによっても1本1本、味わいが異なります。
これらは全て、ラベルに記載された内容にて把握することが可能になっているのが新政酒造さんの特徴でもあります。
【2019年に収穫したお米を使用している】という意味で、2019年にお酒が造られたという意味ではありません。
ちなみに、2019ヴィンテージと呼ばれます。
酒造りにおける醸造年度のことで【2020年7月1日~2021年6月30日】までに醸造されたお酒という意味になります。
こういったラベルの表記は各酒蔵さんで異なるため【新政酒造さんの表記はこういう意味】というのを知っておくと混乱せずに済みます。
そして、ボトルには必ず「識別番号」というものが印字されています。
今回のX-typeの識別番号は「19NX-10」でした。
となります。
まとめると、今回いただいた「X-type」は
のお酒となります。
こちら、上記のX-typeとの違いは「Essence」(エッセンス)です。
Essenceとは、圧力をかけずに採取した貴重なお酒のことで、通常のX-typeよりも、さらにいいとこ取りなお酒になります。
わかりやすく言えば「貴重なお酒」です。
ちなみに、2019ヴィンテージは「Essence」ですが、2020ヴィンテージは「DIRECT PATH」(ダイレクトパス)と呼び名を変えています。
そして、Essenceには特別な首掛けが付いています。
今回購入したお酒には下記が記載されていました。
コードネームとは、ロットに付けられた名前でエッセンスの「09」ロットは「Simons(シモンズ)」と名付けられていたことが分かります。
ちなみに、2019ヴィンテージのコードネームは
から取られています。
また、No.6のコードネームは毎年変わるとのことで2020ヴィンテージの「DIRECT PATH」(ダイレクトパス)にはまた別の名前が付けられています。
こちらを見ると、今回出荷されたEssenceの本数がわかります。
こちらは516本中の「17本目」のお酒ということになります。
新政酒造さんのお酒は「何が書いてあるか」が分かるとより愉しめる内容となっています。
定番のNo.6(ナンバーシックス)のお酒を購入できたのは本当に久しぶりで「運が良かった」としか言いようがありません。
「X-typeを飲むのはいつぶりだろうか…?」
と言うくらい記憶が定かではない銘柄です。
わが家では、マイナス5度で保管できる日本酒セラーがあるので「品質保証期限」を過ぎても飲まずにいました。
中々手に入らないお酒ってモッタイナイって思っちゃいますよね。
ですが、生酒。
美味しい内に飲まねば!ということで飲み比べをしてみることとなりました。
品質保証期限は、5月末日まででしたが購入時より「マイナス5度で保管」し「7月13日」に開栓しました。
香ってみると、いい香り。
柑橘とか梨とか、ジューシー感のある香りがします。
うん、新政さんのお酒の香り、します。
(この香りが好き)
ジュワ―っと甘くて美味しい!
飲んだ瞬間から甘くて、その甘さがとってもおいしいです。
きれいな和梨感。
ジュワっと濃い。甘さも強くて濃い。
梨みかん。
Essenceを飲んでから改めて飲むと、柑橘っぽさを強く感じました。
続いてこちら、品質保証期限は4月末日となりますが購入時より「マイナス5度で保管」し「7月13日」に開栓しました。
香ってみると、通常のX-Typeよりも香りが広がりません。
梨のみずみずしい香りがします。
舌にジュワっと…からの甘み。
後口は甘みがスッと去り、キレ感が残ります。
甘みがとっても美味しいのですが、キレ感を強く感じます。
…もしかしてマイナス5度保管とは言え、時間が経ちすぎちゃった…?
新政さんのお酒にキレ感を感じることはほとんどないため、とても気になります。
お米感も口に残ります。
ですがこちらの方が、きれいで重たくありません。
飲んでいると濃さを感じます。でもさっぱりもする。
冷たいのが美味しい。みずみずしい梨。
甘みの強さよりもさっぱり感があります。
味わいの変化を見たかったので、冷蔵庫へ移し「約0度」で保管をし1日置いてみました。
早速飲んでいきたいと思います。
香ってみると、みずみずしい梨の香り。
ひと口飲んでみると、ジュワリと甘みと厚みが広がって美味しいです。
昨日よりも好きかも!
とても果実感があります。
Essenceを飲んでから改めて飲むと、やっぱりこちらの方が濃いですね。
でも柑橘&さわやかな酸味があるので、とっても飲みやすいです。
キレ感は一切なし。
さわやかにふわっと後口が美味しい。
ジューシー感がすごくて、旨みがぎゅっとしています。
きれいさもあります。
うーん。すき。
とっても美味しいです♪
こちらも冷蔵庫へ移し「約0度」で冷やしておきました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
香ってみると、昨日より香ります。
梨っぽさよりも柑橘感のほうが強く感じます。
ひと口飲んでみると、美味しい甘み!
梨や柑橘、厚みもあるのにスー―っといなくなります。
最後はさわやかにキレていく。
昨日よりもキレ感を強く感じないので美味しいです。
キレというよりも、最後にキレイにまとめていくような感じ。
さわやかでさっぱり感があります。
美味しい。
キレイで飲みやすいお酒です。
ですが、昨日感じた「ジュワっと感」が無くなっていました。
料理とも合わせてみましたが、どちらも料理の邪魔をすることなく美味しくいただくことができました。
久しぶりのX-type!
存分に味わえてとっても美味しかった&嬉しかったです。
ごちそうさまでした♪
No.6「X-Type」「X-Type Essence」の2019ヴィンテージを飲んでみて
という結果となりました。
またNo.6には、R-typeとS-typeもありますが、このどちらも2019ヴィンテージを飲んでいません。
そのため
「去年のX-typeとの違いは~」
「S-type(R-type)と比べると~」
といった比較などをすることができないため、今回の感想のみとなっています。
2020ヴィンテージの「X-Type」「X-Type DIRECT PATH」は購入することができたので、また飲み比べをしたら記事にしていきたいと思います。
新政酒造さんの醸す日本酒は、蔵での直接販売をしていないため「特約店さん」にて購入する必要があります。
特約店さんの一部は下記の一般社団法人JSP(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)の公式ページより確認ができます。
また、蔵へ直接電話をすることでお近くの特約酒販店さんを紹介してもらえます。
ですが、特に「No.6(ナンバーシックス)」は手に入りずらいお酒となっています。
わたしは去年、1本も飲んでいません。
特約店さんでも「年内に1本飲めればいいところ」と言われるくらい買えないお酒となっています。
通年販売の生酒のはずなのに…(涙)
X-type 2019は、気合を入れて通い詰めた結果の1本でした。
また、特約店さんによっては販売方法が異なります。
などなど、その特約店さんへ行ってみないと分かりません。
ですが、緊急事態宣言などにより「去年よりも出逢える確率が高くなってるのでは?」というのが現状の印象です。
ちなみにNo.6「X-Type Essence 2019」は、2月1日・2日開催された「#日本酒飲もう #焼酎飲もうプロジェクト 第二弾」で発売されたスペシャルセットの内の1本でした。
こういったイベントでも手に入れることのできる機会がありますので、SNSなどをチェックしておくと逃さずに安心です。
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :40%(掛米、麹米ともに40%)
原米名 :酒造好適米100%使用(2019年秋田県収穫)
アルコール分:14度
仕込容器 :温度制御タンク
使用瓶 :Madame Edwarda#1(マダム・エドワルダ)
内容量 :720ml
価格 :3,056円(税込み)
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :40%(掛米、麹米ともに40%)
原米名 :秋田市河辺産(美山錦65%/改良信交9%)湯沢市産(あきた酒こまち26%)2019年秋田県収穫
アルコール分:14度
仕込容器 :温度制御タンク
使用瓶 :Madame Edwarda#1(マダム・エドワルダ)
内容量 :720ml
価格 :4,074円(税込み)
製造者 :新政酒造株式会社/秋田県秋田市大町6丁目2番35号
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
Twitterでは、8代目蔵元である佐藤祐輔さんが情報発信を行っていますので、チェックしておくと新政酒造さんのことをもっと知ることができます。
\R-type・S-typeの飲み比べはこちら/