いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、福島県西白河郡矢吹町にある「合名会社 大木代吉本店」(おおきだいきちほんてん)さんの醸す、「自然郷 芳醇純米」(しぜんごう ほうじゅんじゅんまい)です。
福島県矢吹町にある、大木代吉本店さんと言えば「楽器正宗」(がっきまさむね)という銘柄の日本酒で知っている人も多いのではないでしょうか。
当サイトでも「楽器チャン」と愛称で呼び(勝手に)その味わいを何度か紹介させていただきました。
\はじめての楽器正宗!/
\低アルコール!Queen(クイーン)/
\試験醸造!session(セッション)/
こちらの楽器正宗とは別に「自然郷」(しぜんごう)という日本酒を醸しており、わたしも最初は違いなどがよく分かっていませんでした。
ですが「楽器正宗を飲んだのだから自然郷も飲まなくては…!」と勝手に使命感にかられ最初に手に取ったお酒が「自然郷 芳醇純米」というお酒となりました。
簡単に紹介すると元々は、
です。
詳しく説明すると下記のような流れがあります。
1865年創業の大木代吉本店さんでは、大正年間に二代目蔵元さんが命名した「楽器正宗」という銘柄のお酒が地元で愛されてきました。
その後、1974年より純米酒の先駆けとして当時としては珍しい無農薬米だけを使った「無添加」の純米酒「自然郷」というお酒を先代の四代目蔵元が生み出しました。
また、自然郷の日本酒造りの過程から生まれた「こんにちは料理酒」という無添加調味料の料理酒は、料理愛好家やプロから選ばれるほどに現在も人気があります。
その後、2001年に楽器正宗は「量産時代の質の悪い酒」というイメージが付きまとってしまい製造休止に。
現在の蔵元杜氏である、四代目の大木雄太さんが2016年に復刻させたのが「楽器正宗」で2018年、初めに取り組んだ本醸造のお酒でブレイクし有名となりました。
今後は、
として醸してゆくとのことです。
今回調べてみて、時代の流れによって変わりゆく大木代吉本店さんの姿を知ることができました。
わたしも楽器正宗は醸造アルコールの添加された「本醸造」から入り、楽器正宗=アル添酒と思っていました。
ですが「純米酒」や「実験酒」などさまざまな種類のお酒を出していたので「自然郷との違いって何だろう?」と疑問が生じましたがスッキリしました。
それぞれのコンセプトを知るとより選びやすいですよね。
実は自然郷にも種類があり、今回選んだお酒は「季節限定酒」に分けられるお酒となっています。
その種類を簡単に説明すると
季節ごとに発売されるお酒
生酛系酒母で醸される、軽快な酸味・現代的な風味が特徴のお酒
食事に寄り添うお酒をコンセプトとし、福島県が独自に開発した「うつくしま夢酵母(F7-01)」と福島県が開発した酒米「夢の香」を使用
世界基準の醸造に挑戦するシリーズで大木代吉本店さんのフラッグシップとなるお酒
通年販売となる地元で愛される定番なお酒
の4種類があり、こちらの自然郷 芳醇純米は「5月~7月」に出荷される暑い時期でもスイスイ飲める1本となります。
今回いただいた芳醇純米は2021年5月に製造された「夏酒」ですが、実は毎年11月より「新酒」として冬限定で発売されるバージョンも存在します。
どちらも低アルコール13度!無濾過無加水のお酒となります。
楽器正宗の日本酒は何種類か飲みましたが、自然郷は初となります。
どんな違いがあるのでしょうか?
また、5月に購入した「夏酒」を8月の夏真っ盛りの時期に飲んでいます。
どんな感じの日本酒なのか?
早速、飲んだ感想を書いてゆきたいと思います。
メロン?
酸味さっぱりな香りがします。
甘さと爽やかさ。
メロンの皮寄りの青っぽさを感じる味わいからの、さっぱり飲みやすさ。
うん、美味しいです。
それでいてジューシーさのある日本酒。
甘み爽やか。
夏にピッタリです。
飲み口は酸味と、若干のジュワリ感。
購入して冷蔵庫保存にて3ヶ月経っているので、ジュワリ感はほぼ無いです。
やはりメロンの皮寄りの感じ、あります。
キレすぎないキレ感でまとめてくれるので、これは美味しく飲めます。
今日は豚キムチ!
豚キムチを食べてから飲んでみると、甘みがUP!
ですが、穏やかな甘みなのでめっちゃおいしいです。
酸味からの甘さで、とても良く合い美味しくいただけます。
飲み口のジュワっと感から一旦落ち着き、甘さがスーッと上がってから穏やかに落ち着く感じがとても美味しいです。
日本酒感やお米感は全くなし。
豚キムチにとても合うのだが?
酸味と甘みがベストマッチ!
永遠と食べて、飲んでいられる組み合わせです。
いつもは飲み切ってしまうアルコール分13度ですが、少し残し翌日にまた味わってみました。
香ってみると、やはりメロンのようなまったりした甘さが香ります。
飲んでみると、メロンをすくって食べているみたいなジューシー感。
そして甘さが広がり、その後はさわやかウリっぽさが口に残ります。
昨日よりもメロン感(甘み)が強くなりました。
夏の定番、ねばねばサラダはさっぱり感がUP!酸味感が良い感じに交わります。
高リピート、豚キムチは甘さが引き出されてメロン感がより強くなりました。
そしてさっぱりもするので、やはり美味しくいただけます。
2日目もおいしかったです。
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「夏の暑い時期にピッタリ!」と思った日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが、「夏でも美味しく飲める日本酒」を探している人にはピッタリの日本酒かと思います。
楽器正宗とは全く別物の自然郷(しぜんごう)。
大木代吉本店さんの醸す「福島県」を味わいたい人にもおすすめの1本です。
大木代吉本店さんの醸す楽器正宗シリーズは、蔵に直接行っても買えませんがこちらの自然郷は蔵でも購入することが可能です。
また、正規取扱店さんでの購入も可能ですが一覧など公式サイトには案内はありませんでした。
電話にて問い合わせすることでお近くの販売店さんを紹介してもらえます。
中にはインターネットで販売している特約店さんもありますので
「自然郷 特約店」
「自然郷 芳醇純米」
といったキーワードでYahoo!やGoogle検索をするとヒットさせることができます。
なお、夏の芳醇純米は5月~7月までの期間限定となりますが、新酒バージョンの芳醇純米はまだ在庫のある酒販店さんがありました。
例えば下記の特約店さんになります。
基本的に自然郷を扱っている酒販店さんであれば楽器正宗も購入することができるので、ぜひ一緒にチェックしてみてくださいませ。
特定名称 :特別純米酒
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :福島県産「夢の香」
精米歩合 :60%
アルコール分:13度
内容量 :720ml
価格 :1,430円(税込み)
製造者 :合名会社 大木代吉本店
所在地 :福島県西白河郡矢吹町本町9番地
公式サイト :https://www.daikichi-sizengo.co.jp/
Facebook :https://www.facebook.com/ookidaikichi/
楽器正宗とはまた違った、地元・福島県の地酒を表現する自然郷。
楽器正宗が好きなあなたは、ぜひこちらの日本酒も手に取ってみてくださいませ。