日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、千葉県印旛郡酒々井町(いんばぐんしすいまち)にある「株式会社飯沼本家」さんの醸す日本酒ヌーボー「酒々井の夜明け」(しすいのよあけ)です。
11月に入ると「新酒」の日本酒が次々と出始め、火入れをしていない「生酒」の味わいを待っていた人も少なくないのではないでしょうか?
この「新酒」とは今秋に収穫したばかりの新米を使用して醸される日本酒のことで、その酒蔵さんで醸される新たな1年の始まりの味わいを楽しむことができます。
ワインで言うと、11月に解禁されるボジョレー・ヌーボー(ワインの新酒)がありますよね。
飯沼本家さんでは、11月に今年いちばん最初に出来た初物の「純米大吟醸」を「日本酒ヌーボー」として毎年わたしたちに届けてくれています。
飯沼本家さんの日本酒と言えば「甲子(きのえね)」ですが、こちらの日本酒に「酒々井の夜明け」と名前が付いているのには理由があります。
それは、酒蔵のある酒々井町の夜明けとともに完成する日本酒のためです。
また「甲子」という言葉にも「はじまり」という意味や「1番」という意味があります。
そんな甲子が醸す、酒々井の夜明け。
真夜中にしぼったばかりの初物の生酒を瓶詰めし、その日のうちにお届け(発売)する1年に1度の特別なお酒となっているのです。
まさに新酒の新鮮(フレッシュ)さを、1番早く味わうことができます。
そのため、このお酒を販売する最寄りの酒販店さんは当日の早朝に飯沼本家さんへと集まります。
そして、車に販売分のお酒を乗せてお店へと戻りそのまま直ぐに発売されるのです。
こういった特徴があることから「完全予約制」のお酒となっており、2022年は10月28日予約〆切・11月11日(金)に発売となりました。
搾ったその日に飲める日本酒はほとんど無いため、かなり貴重なお酒になるのではないでしょうか?
通常、新酒の日本酒と言えど搾ってから手元に届くまでには数日~数週間掛かります。
搾ったその日に出荷し、その日のうちに販売するにはかなり大変な作業となり、行っている酒蔵さんはあまり見掛けません。
ですが、他にも「その日のうちに」飲める日本酒があります。
※1:新政酒造さんの新年しぼりたてを当日飲めるのは秋田県内の方に限ります(他県の人は翌日以降に特約店さんへ届きます)
※2:花陽浴の新酒は搾ったその日にすぐ蔵元で販売があるため、蔵に買いに行くことで当日飲むことが可能です。
わたしが知っているのはこの3つとなりますが、知る人ぞ知る日本酒がまだまだあるかもしれません。
わたくし、このお酒のはじまりを知らなかったのですが「日本酒ヌーボー 酒々井の夜明け」がスタートしたのは2016年の11月。
Makuake(マクアケ)のクラウドファンディングからでした。
もともと飯沼本家さんでは11月に「今朝しぼり」という名前で、12年間、搾りたてのお酒を販売していました。
そのリ・ブランドがこちらの酒々井の夜明けです。
といった特徴があり、
蔵人たちが深夜から丁寧にしぼったお酒を自然の恵みと酒蔵の想いをたっぷり詰め込んで、新鮮なまま、あなたのもとへ届けたいという気持ちで名づけました。
引用:マクアケ
と記載がありました。
6年前にスタートした日本酒ヌーボーですが、現在も無くなることなくお届けしてくれているのだなぁと感心した出来事でした。
また来年も買いたいなぁと思っております。
酒々井の夜明けは2020年から購入していたので今回で3回目です。
これまでは「その日に飲む!」という意識をあまり持っておらず、発売してから数日後に飲んでいました。
ですが今年は「その日に飲もう!」と決めて、しっかりと発売日当日にお酒を受け取りに行ってきました。
搾った当日の酒々井の夜明けの味わいはどんな感じだったのでしょうか?
ジューシーな香り。
もぎたて果実のような…これは青りんご?
華やかさもありつつ、蜜たっぷりだけど酸味も香る感じです。
ジワッ!とガス感。
フレッシュさ抜群です。
そして甘みが「これこれ~!」と思います。
甲子の日本酒の甘み、好きなんですよね。
甘みと酸味、その後に苦味がギュッと。濃ゆさがしっかりと残ります。
えー…アルコール分は、16度!
ですよね。この濃ゆさ。ぎゅっと濃ゆいお酒です。
改めて飲むと、香りはパインっぽくも感じます。
酸味があってスッキリとした清涼感もあります。
今日は、きのことワカメのかき玉蕎麦と冷奴(しらすのせ)と共にいただきたいと思います。
お蕎麦を食べてから飲んでみると、合う!
かけつゆの甘みと、お酒の甘みがいい感じに交わって美味しいです。
飲み口のジュワっとガス感もまた良し!
甘みたっぷりなお酒なのだけれども、後口にスッとさがあるので重すぎません。
またお蕎麦と一緒だと、お酒単体で飲んだ時の苦味も影を潜めます。
そして、お蕎麦には生姜も入れたのですがこれがまた美味しいアクセントになります。合います。
厚みがありますが、甘酸ジューシーで重くない。
やはり甲子の甘さ好きだなぁ。
冷奴は、お酒と醤油が合うのでとっても美味しいです。
ジューシーさありつつ、甘みにまろやかさが出てお互いを美味しくいただけます。
え?とても美味しいのだが?
そばつゆにも合うし、でも醤油の方がより合いますね。
アルコール分16度のお酒を一晩で空けちゃうと軽率に意識を飛ばしてしまうため、残りは冷蔵庫で保管をしておりました。
翌日の味わいに変化はあったのでしょうか?
早速香ってみると、甘みたっぷりパイン感が増しました。
とってもジューシーな香りです。
飲んでみると、初日よりもジュワっとさが落ち着きました。
ですがジワジワっと口の中に広がります。
甘みジューシーだけど酸味と苦味がしっかりとあるため、ボディ感があります。
軽すぎずに味わいをじっくりと楽しめるお酒です。
あと昨日よりも甘みにまとまりが出たような、熟した感じがあります。
華やかというよりもしっとりとしっかりと、それがまた美味しいです。
今日は、ネギとみょうがの豚肉巻きとサラダと共にいただきます。
豚巻きは、タレの方がお酒よりも甘みが強いため、お酒の甘みにスッキリ青りんごっぽさが出てお互いの甘みを邪魔せずに美味しくいただけます。
脂の多いお肉も美味しく食べれますね。
サラダ(マヨ)は、マヨネーズ効果でお酒の甘みが増しました!
ですが派手な甘酸ではないため、とても飲みやすいです。
基本は甘みジューシーな美味しいお酒で、食中酒としてとっても美味しくいただけます。
そんなこんなで飲み終わってしまいました。
また来年も買います!
ごちそうさまでした♪
わたしは初めて搾った当日の酒々井の夜明けを飲んでみて「うまーい!最高!」と特別気分も一緒に味わえた日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが、甘酸ジューシーでボディ感も楽しめる日本酒が好きな人にはオススメの1本です。
また「その日だけの特別感」を味わいたい人にもピッタリ!
もちろん、当日買えなくてもとっても美味しいお酒には変わりありませんが「しぼったその日に飲める」というのが最大の魅力なお酒となっています。
今年買えなかった方はぜひ、来年は予約をしてみてくださいね。
また違った味わいを楽しめるかと思います。
飯沼本家さんの酒々井の夜明けは「11月」の新酒の最初のお酒として搾られる純米大吟醸です。
醪の状態もあるため、毎年日付は前後しますが2022年は11月11日に発売となりました。
基本的には「完全予約制」の日本酒で、9月中頃より予約がスタートし10月末頃までの受付となっています。
買えるお店は飯沼本家さんのInstagramで案内があります。
また、予約に関しては飯沼本家さんの公式オンラインストアでも受付があるとのことです。
※現在は注文できません。
予約は終了していますが、11月15日現在も購入できる酒販店さんがありましたので記載しておきます。
例えば、
この時期にしか飲めない日本酒ですので、気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
仕様 :純米大吟醸
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :ふさこがね(千葉県産)
精米歩合 :50%
アルコール分:16%
日本酒度 :+2~+4
内容量 :720ml
価格 :1,980円(税込み)
製造者 :株式会社 飯沼本家
所在地 :千葉県印旛郡酒々井町馬橋106
公式サイト :https://www.iinumahonke.co.jp/lp/the-dawn-in-shisui
Instagram :https://www.instagram.com/kinoene_sake/
1年に1度限りの特別な日本酒「酒々井の夜明け」。
まだ飲んだことの無い方には、ぜひ1度お試しいただきたい1本です。
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