日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、福島県南会津郡南会津町にある「花泉酒造合名会社」さんの醸す「十ロ万」(とろまん)です。
花泉酒造さんの醸す日本酒「ロ万」(ろまん)シリーズをご存じでしょうか?
花泉酒造さんの醸す銘柄には
の2種類があり、元々は花泉という銘柄のみを醸していました。
ロ万シリーズは、名前の通り「酒造りはロマン」という意味合いが込められています。
花泉に次ぐ新ブランドの構想を練っていた際にタンクの「一号」の文字が「一ロ万」(ひとろまん)に読めることから平成19年に新ブランドとして誕生しました。
「地酒」と言うからには、その土地の風土や環境を最大限に活かし「この土地だからこそできる酒造り」ということを大切に考えている花泉酒造さん。
南会津郡を中心とした100%会津地方の酒米「五百万石」(ごひゃくまんごく)と「夢の香」(ゆめのかおり)を使用。
水源の森百泉にも選ばれた地元の清水「高清水」を使用。
全員が酒を愛し、土地を愛する地元の「南会津南郷地域の人」。
地元福島県で開発された、特有のフルーティーな香り・華やかで酸味の少ないソフトでマイルドな味わいを造り出す「うつくしま夢酵母」を使用。
昔から引き継がれてきた伝承の「もち米四段仕込み」にて醸す。
といった5つのこだわりを持って醸された地酒がロ万シリーズになります。
ロ万シリーズを語る際には欠かせない、特に他の酒蔵さんの日本酒と異なる内容が「もち米四段仕込み」という伝統の製法です。
通常の日本酒は「三段仕込み」という原料を3回に分けて投入して醸されますが、その後に「ヒメノモチ」というもち米をさらに加えて醸しています。
このことにより、花泉酒造さんならではの「すっきりとしながらもやさしい旨みとコクを持つ」味わいに仕上がるのが特徴です。
ちなみに、ロ万シリーズだけではなく全銘柄のお酒をこの方法にて醸されています。
ロ万シリーズは、四季に合わせた味わいの日本酒がリリースされるシリーズで「季節ごと」のお酒を愉しむことができます。
十ロ万は、毎年9月に発売される「秋酒」。
2022年は、9月6日より蔵出しとなりました。
真冬にしぼり終えた日本酒を、火入れした後にタンクで貯蔵。
蔵で夏を越すことで味に深みとコク・まろやかさが増したものを秋口に出荷する、いわゆる「ひやおろし」の日本酒になります。
ラベルの裏には
丸みと奥深さを増した、秋出しのロマン
蔵を取り囲む山々が、だんだんと黄色く、赤く、色づくように。
村じゅうに広がる水田の稲が、だんだんと黄金色に変化するように……。
十ロ万もまた季節のうつろいとともに、蔵のなかでゆっくりと熟成され、味わいを深めてきました。時を経て、丸みと奥深さの増した、秋出しのロマンです。
と記載がありました。
当サイトでロ万シリーズのお酒を飲むのはこれで「2本目」となります。
はじめて飲んだロ万は「かすみロ万」という2月に発売されるうすにごりの新酒でした。
その甘やかな味わいに「他のロ万も飲んでみたい!」と思い、秋の季節に手に取ったのがこちらの十ロ万でした。
どんな味わいのお酒なのか?
早速、開栓してゆきたいと思います。
まったりと熟したメロン。
共に酸味も香ります。
これはメロン!
濃ゆい味わいなのに酸味が良い感じにあるため、重たさがありません!
そして舌にはジワリと酸味が残ります。
青っぽい瓜っぽさや、メロンの皮寄りのスッキリさもあります。
アタックには丸みのあるやわらかさがあり、秋酒ならではのまろやかさもしっかりと堪能できます。
少しだけ苦味とキレ感があるため、後口にはしっかりと強さを感じます。
重たくないけどコクや深みはたっぷりと感じます。
今日はサラダとカップ麺(濃厚ミルクシーフードヌードル)と共にいただきたいと思います。
カップ麺が食べたい気分でした(笑)
サラダを食べてから飲んでみると、マヨネーズに合います!
甘さに酸味が合わさり爽やかにいただけます。
お酒の甘みも美味しくなりました。
そしてサラダと一緒だと、飲んでいる時の香りに酸味がUPして感じます。
シーフードヌードルは、酸味感がUPして美味しいです。
甘さよりも酸味の感じがとても美味しいです。
ですがお酒だけを味わうと、たまにお米のキレ感が顔を出し「日本酒を飲んでいます」という印象が強いです。
開栓後は冷蔵庫にて保管をしていました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
香ってみると、まったりメロン。
甘みがジュワリと香るようなジューシーさのある香りです。
入りはシロップみたいな甘さ!
あれ?日本酒らしさがUPしています。
酸味からのキレ感。
口にはお米の存在感が残ります。
もっちりとしたお米が想像できる味わいです。
初日とは異なり、結構「日本酒です!」といった感じが強いです。
今日は餃子と共にいただきたいと思います。
餃子を食べてから飲んでみると、甘みが美味しくなりました!
さっきまで感じていたキレ感や日本酒感が消えて美味しくいただけます。
でも香りの甘さが強いかな?
茹でブロッコリーは、マヨネーズの酸味とお酒の甘みがキュンと合わさってとっても合います。
やはり食中酒向きのお酒だと思います。
そんなこんなで飲み終わってしまいました。
おいしかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「料理と一緒だと美味しさが花開く!」と思った日本酒でしたが、合わない人も居るかと思います
それは
です。
ですが、食事のお供の日本酒を探している人には今の季節にピッタリの味わいなのではないでしょうか?
蔵元さんのコメントにも「秋の食材と相性がよく、お互いの旨みを引き立ててくれる」とありました。
今回わたしは秋の食材と合わせていませんが、餃子と一緒にとても美味しくいただくことができました。
シーフードヌードルもいけます!
単体で飲むよりも断然、食中酒として美味しいお酒だと思います。
また、40℃くらいの「ぬる燗」もオススメとのことですので、なんか今日寒くない?という夜にはぜひお試しください。
花泉酒造さんのロ万シリーズは「特約店限定流通」のお酒のため、蔵で直接購入することはできません。
そのため、取り扱いのある特約店さんでの購入が必要になります。
十ロ万は、9月7日ごろより続々と店頭にて販売がスタートしています。
特約店の一覧は公式サイトに記載がありましたので下記よりチェックをしてみてください。
近くにない場合はインターネットで販売をしている特約店さんもありますので、
【ロ万 特約店】
【十ロ万(商品名)】
といったキーワードでGoogleやYahoo!で検索すると販売店さんをヒットさせることができます。
例えば、
などで購入することが可能です。
なお、ネット通販は行っていませんが神奈川県・厚木にある「望月商店」さんではロ万とコラボしたPB(プライベートブランド)が9月3日ごろより発売されています。
その名も、太郎(望月商店の社長さん)とロ万で「Taro-man」(タローマン)です!
気になったあなたはぜひ望月商店さんのInstagramをチェックしてみてください。
十ロ万 :純米吟醸 一回火入れ
原材料名 :米(会津産)米麴(会津産米)
精米歩合 :50%
アルコール分:15%
麹米(割合) :五百万石(20%)
掛米(割合) :夢の香(71%)
四段米(割合) :ヒメノモチ(7%)
使用酵母 :うつくしま夢酵母
内容量 :720ml
価格 :1,900円(税込み)
製造者 :花泉酒造合名会社
所在地 :福島県南会津郡南会津町界字中田467
公式サイト :https://hanaizumi.ne.jp/
Facebook :https://www.facebook.com/hanaizumi.roman/
Instagram :https://www.instagram.com/hanaizumi.roman.official/
ロ万シリーズは公式サイトを見る限り「12商品」あるようです。(望月商店さんのPBを合わせると13)
まだまだ飲んだことの無いロマンがたくさんあるので、また出逢いがありましたら飲んでゆきたいと思います。
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