日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、日本酒業界の超新星と呼ばれる「岡住修兵」(おかずみしゅうへい)さんの醸す、「稲とアガベ prototype03」です。
「稲とアガベという日本酒を知っていますか?」
わたしが2020年10月に日本酒メディアの担当になった際、会社の人に聞かれたセリフです。
「稲と…アガベ?なんですかそれ」
全く持って初めて聞く銘柄の日本酒で、当時のわたしは「アガベ」がテキーラの原料となる多肉植物の一種ということも知りませんでした。
最初、名前だけ聞いた時は「日本酒を造る際にアガベも原料として使用している??」と思っていましたが全然違いました。
「稲とアガベ」
という名前の由来は、
のプロジェクト。という意味からつけられた名前だそうです。
ちなみに、岡住さんの奥さま・郁美さんはテキーラマエストロの資格を持っていて、稲とアガベの公式サイトでは「テキーラ姉さん」と書かれた紙を持った写真が掲載されていました。
ロゴのマークはパイナップルではなく「アガベ」と「稲」を表しています。
夫婦2人のプロジェクト。
その意味を知ったら、なんだかとっても「いいなぁ」と笑顔になりました。
岡住さんのプロジェクトは「秋田の地で新しい酒蔵を造る」ということを目的としています。
実は現在の日本の法律では、日本酒を製造する清酒製造免許を「新規」で取得することがほぼ不可能となっています。
つまり「自分の酒蔵を立ち上げたい!」と日本酒に情熱を持った若者が居たとしても、それは叶わず新しく酒蔵を造ることが出来ません。
そのため、今ある酒蔵さんが廃業してしまうと減る一方で増えることもありません。
さらに、新しい酒蔵が増えないということは日本酒業界に「新しい風」が吹きにくく変化や発展につながり難いということです。
そこに一石を投じる人物が「岡住修兵さん」という方です。
現行制度の規制緩和を目指し、日本酒に対して情熱を持った若者が国内新規参入できるように自身のお酒を醸しながら精力的に活動されています。
1988年生まれの33歳(2021年現在)
神戸大学経営学部卒業後、秋田県の新政酒造さんにて4年半修行しその後、独立されました。
わたしは新政さんの日本酒が好きなので「新政酒造で働いていた」ということに興味を惹かれました。
その後は、
大潟村の石山農産にて自然栽培を学び
浅草、蔵前のどぶろく醸造所木花之醸造所の立ち上げ
2020年5月より同醸造所の醸造長として就任
2021年3月 稲とアガベ株式会社 創業
といった経緯があり、今回購入した「稲とアガベ prototype03」は稲とアガベとしての3作品目の日本酒となります。
prototype03は、2021年3月27日より限定2000本にて発売されました。
実は、岡住さんは清酒製造免許の取得を「目指している」段階のため現在は自分の酒蔵を持っていません。
「どうやって日本酒造ったの?」
という話になりますが、委託醸造という形で群馬県川場村にある「土田酒造」さんにて醸されています。
新政酒造で修行していた時に土田酒造の杜氏・星野元希さんと出会い、独立後にその縁が稲とアガベの委託醸造へとつながりました。
清酒免許は持っていないので、自分の蔵で日本酒を造り国内への販売…ということはできませんが「委託醸造」であれば自分の構想した日本酒を販売することが可能です。
日本酒業界…とてもややこしいですね…
稲とアガベ prototype03はまだ「実験酒」の段階で、前回発売されたprototype02の「リベンジバージョン」となっています。
稲とアガベは「最高の米を最高の酒蔵でお酒にします」というコンセプトのもと醸されています。
原料米は、秋田県大潟村の石山農産・自然栽培ササニシキ。
農薬はもちろん、有機肥料すら一切使用せずに作られたお米は磨かずともキレイなお酒ができるという考えのもと精米歩合は「90%」のお酒となっています。
山田錦や雄町といった酒米(酒造好適米)ではなく、食用米を使用しているのも面白いですよね。
使用酵母は、きょうかい六号酵母を添加した生もと造り。
今回のprototype03は、02では表現しきれなかった石山さんのお米の素晴らしさを体感できる「田んぼでつくる吟醸」というコンセプトに負けない仕上りになったとのことです。
ちなみに、稲とアガベ prototypeは次回の「04」がラストでその後、この実験を踏まえた「稲とアガベ」がスタートとなります。
どうでしょうか?
なんだかワクワクしてきませんか?
岡住修兵さんという人物が造る日本酒が今後どのように進化していくのか、日本酒業界はどう変わっていくのか。
日本酒好きの1ユーザーとして、買って・飲んで・応援したくなっちゃう、なによりおもしろいコンセプトの日本酒だなぁとわたしは思いました。
わたしが「稲とアガベ」を知った時には、プロトタイプ01・02ともに販売終了していました。
そのため、前回との違いを語ることは出来ません。
そして「温めて燗酒として飲むと美味しい!」という情報も飲み終わった後に知りました。
あたためて…飲みたかっ…た…(涙)
さらに【日本酒に対する愛情を熱燗で表現する熱燗DJ】でおなじみ、つけたろう酒店さんとコラボした「プロトタイプ03の特別生酒ver.」もあったと。
会員限定のお酒&SOLD OUTのため購入はできませんが、生も気になりますよね。
そんなこんなで、初稲とアガベになりましたが早速飲んだ感想を書いていきたいと思います。
香りがフルーティー。かなりいい香りがします。
マスカット?甘さのある香りです。
フラットな入りで甘さよりも酸味?
チリチリするような刺激が舌と上あごに広がりました。
甘さは上がってから内にこもるような(イメージだと上に向かった矢印がUターンして戻ってくる感じ)があります。
角はありませんが、丸いという表現も違います。
(ニホンゴムズカシイ)
甘いけど、最後はキレるような爽快感。
でも口に残るのはお米のやさしさ。
ササニシキという他では飲んだことの無い日本酒ですが、繊細だけど柔らかさもある。
そんな感じがあります。
特にペアリングを考えた訳ではなく、今夜のおかずは回鍋肉なのです。
一緒にいただくと、甘さがやさしい。
酸!ってきてからのやさしさ。
そして辛口とは違うピリピリとした刺激があります。
この刺激は何?ピリ辛?
うん。料理の邪魔をしません。
食中酒として稲とアガベは悪くないお酒だと思います。
飲み口がやわらか。
フラットだけどピリリとします。
香りよし。
冷たいほうが美味しいかな。
さらりと甘さよし。
やさしい甘さからの刺激。アタックがとにかくやさしいです。
精米歩合90%という低精白のお酒ですが、そんなことは全く感じさせない味わいです。
ちなみに、正体不明のピリピリ感ですが他の人の口コミを調べてみても「ピリピリした~」というのは見掛けませんでした。
なぜー?
開栓前は、マイナス5℃で冷やせる日本酒セラー「SAKE CABINET」にて保管、開栓後は冷蔵庫の野菜室(0℃)で保管をしていました。
香ってみると、メロンっぽい香りに。
飲んでみると、昨日よりも甘みが増しました。
ギュッとした感じ。
昨日感じたチリチリの酸味はおさまって、まろやかさが出ました。
あ、でも舌に少しチリリと刺激は残りますね。
合います!
おいしい甘さ。からのスッと去っていく感じ。
きれいなお酒。さわやかさもあり、料理の邪魔をしません。
マヨネーズと一緒にいただくと、香りに色がでます。
まろやかな甘さでおいしい。
今回は3日間で飲み切りました。
昨日に引き続き、冷蔵庫で保存です。
香ってみると、まったりとした香りになりました。
飲んでみると、丸いお米の甘さからのピリリ感。香りがよいです。
ウインナーと一緒だと甘さが増します。おいしい。
ピリッとするのでおでんに合います。おいしい甘さ。
玉子も甘さが増して美味しい!
お酢(きゅうりとトマトのマリネ)と一緒だと甘さがUPします。
稲とアガベは個性的なお酒だと思うので、そういうのを楽しみたい人には合うと思います。
理解して味わえばとっても愉しいお酒です。
「好きですか?」
と聞かれたら、うーん。分からない。探求心、あります。
応援したいので買って、飲んで、進化を楽しんでいきたい。そんな日本酒です。
あと、他のササニシキを使った日本酒もいろいろ飲んでみて「どんな感じなのか?」比べてみたいなぁとも思いました。
最後にもう一度、精米歩合90%という重たさや雑味などの感じは一切ない日本酒でした。
面白い体験した!
ごちそうさまでした♪
わたしは、稲とアガベ prototype03をワクワクしながら楽しんで飲むことが出来ました。
ですが、合わない人も居るかと思います。
それは、
です。
ですが、日本酒業界に対して熱い想いを持つ若者の醸すお酒を飲んでみたい!という人にはピッタリだと思います。
清酒製造免許の新規獲得のために、自分の後に続く日本酒業界を志す若者の未来のために、現行制度の規制緩和を目指している。
これはとても凄いことだと思います。
わたしには出来ません。
なので、買って・飲んで・応援をしたいと思っています。
稲とアガベは、特約店さんにて購入ができますが「数量限定」の日本酒です。
プロトタイプ01は800本、02も800本、03は2000本となっていました。
現在、03も売り切れとなっているため、稲とアガベを飲みたい場合は次の「04」の発売を待つ形となります。
特約店さん一覧は公式サイトに掲載されていました。
稲とアガベ・特約酒販店一覧
https://www.inetoagave.com/
今回、わたしがprototype03の発売を知ったのは岡住修兵さんご本人の「Twitter」でした。
岡住修兵 稲とアガベ&木花之醸造所
https://twitter.com/OkazumiSakehei
予約の案内などはツイートしてくださるので、チェックをしておくと逃さずに買うことができます。
気になったあなたはぜひフォローしてみてくださいね。
仕様 :生酛/純米酒
原材料名 :米(秋田県産)米麴(秋田県産米)
原料米 :秋田県産自然栽培ササニシキ100%使用
精米歩合 :90%
アルコール分:15.53%
日本酒度 :-2.44
酸度 :1.88
アミノ酸度 :0.75
グルコース :2.40
内容量 :720ml
価格 :3,300円(税込み)
製造者 :土田酒造株式会社
所在地 :群馬県利根川郡川場村大字川場湯原2691
公式サイト :https://www.inetoagave.com/
Twitter :https://twitter.com/OkazumiSakehei
岡住修兵さんは、稲とアガベとは別に浅草の「木花之醸造所」(このはなのじょうぞうじょ)で初代醸造長としてハナグモリという「どぶろく」を醸されていました。
こちらも面白いお酒で、わたしも見掛けたら購入をしています。
今、日本酒セラーに「ハナグモリ ~THE 酸」が眠っているので、飲んだらまた記事として書いていきたいと思います。
興味のあるかたはぜひ!
浅草駒形 木花之醸造所 公式サイト
https://konohanano-brewery.com/