日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県にかほ市にある「株式会社 飛良泉本舗」(ひらいづみほんぽ)さんの醸す、「FOUR SEASONS 春 うすにごり」です。
飛良泉本舗さんと言えば、
といった日本酒を醸されていますが、そこに新たに「四季」を感じるブランド「FOUR SEASONSシリーズ」が2021年3月末よりリリースされました。
こちらは飛良泉の日本酒の仕込み水の源となる「鳥海山」の景色からインスパイアされ、にかほ市の四季折々の表情「優しくて、厳しい」を日本酒として表現したシリーズです。
今年から、春・夏・秋・冬と飛良泉さんの醸す季節の日本酒を楽しむことが出来ます。
その第1弾となるのが「FOUR SEASONS 春 うすにごり」。
飛良泉本舗さん自慢の「山廃づくり」で醸したお酒で、春はあけぼの、鳥海山に残った雪、春かすみの連想から「うすにごり」が生まれました。
ちなみに、うすにごりのお酒ですが、今シーズンは豪雪に見舞われたため急遽「にごり成分をたっぷりと」仕上げているとのことです。
確かに、うすにごりにしては「うす…にごり?」と思う程のにごり具合でした。
飛良泉さんの日本酒造りの特徴となる「山廃(やまはい)づくり」。
これは「酒母」(しゅぼ)を山廃仕込みで作るということです。
酒母とは、アルコール発酵に必要な酵母を培養した液体のことで日本酒造りの「もと」となります。
酒母を造る方法は大きく分けて2つ
があり、市場に出回っている日本酒の90%は乳酸菌を添加して造っている「速醸系酒母」を採用しています。
「生酛系酒母」は、空気中の乳酸菌などの微生物の力を借りて(蔵付き酵母とも呼ばれます)自然のままに酵母を培養・育成していきます。
そのため、速醸系酒母よりも濃醇な酒質に仕上がります。
そして、この生酛系酒母はさらに「生酛(きもと)」と「山廃酛(やまはいもと)」の2種類の製法に分けられます。
生酛(きもと)は、蒸米に水を加えた後で、櫂棒(かいぼう)と桶(おけ)で蒸米をすり潰す「山卸し(酛摺り)」という作業を行います。
この山卸しを廃止した製法が「山廃(やまはい)」です。
生酛も山廃も、微妙なさじ加減の温度管理などが必須となり手間暇をかけて育てるため、酒母造りに30日ほど時間が掛かります。
手間ひまを惜しまず、手のかかる我が子を育てるように作られています。
と飛良泉さんの公式HPに記載がありました。
ちなみに速醸系酒母は乳酸菌を添加するため、酒母造りは2週間程で完成できます。
飛良泉さんの日本酒はまだ
の2本しかいただいたことがありませんでした。
これは、取り扱っている店舗さんが限られているのでなかなか発売と購入のタイミングが合わないためです。
ですが、今回新しく発売された「FOUR SEASONS 春 うすにごり」はSNSで見掛ける度に「うまい」「美味しい」という口コミが…!
にごり系の日本酒は好きなので「これは買わねば…!」と思い今回購入することとなりました。
どんな日本酒なのか?早速開栓していきましょう。
うすにごり…とのことでまずは滓(おり)を混ぜずにグラスに注ぎます。
1点言いたいのは
「うすにごりのお酒なのに中身が見えない茶色の瓶…だと?!(ガタッ)」
です。
今まで飲んできた濁りのお酒は全て、中身が見える透明や半透明のボトルがほとんどだったため最初は驚きました。
春酒の見た目重視よりも、紫外線の管理をしている瓶ということになるのでしょうか?
※瓶の色が薄いほど、劣化の原因となる紫外線の影響を受けやすくなります。
そしてグラスに注いだお酒を見てみると、混ぜていないはずですが既にうすにごっていました。
おいしい香り。
パインやマスカットのような香りがします。
パインジュース?
香りに酸味も感じます。
思ったよりパイン過ぎない。
舌にジワッと来ます。ジューシー。
強めの甘さが残り、キリッとキレ感も少しだけ感じました。
うすにごりの日本酒は、うっすらふわりと可愛く甘い酒質が多いイメージでしたがこれは違います。
はっきり!くっきり!とした甘さが口に残ります。
この甘さ、全然嫌な感じではなく、おいしい。
そして時間を置くとジュース感がすごい!
飲みやすいです。
特にペアリングは考えていませんでしたが、今日の晩御飯と一緒にいただます。
ん!おいしい!
お酒に苦味が出て、それがゴーヤの苦味に合います。
ここでお酒をおかわり!
今度は混ぜてからグラスに注ぐと、結構なにごりが!
「うす…にごり?」
見た目は全然うすくありません。
後からボトルの裏のラベルを読んでみて気付きましたが「にごり成分たっぷり」との記載が。
「今シーズンは豪雪に見舞われたため…」とその時、その時に合わせて変えてくるフットワークの軽さとFOUR SEASONSに対する想いにとても感心致しました。
酸味がUPしました!
甘さと酸味が良い感じ。
ゴーヤにもとっても合います。
やみつきになる旨さ。
それにしても濃~い。混ぜたら更に濃厚ジューシーです。
舌にはジュワリ感があり、甘さがあって美味しい。
何度か飲んでいると甘さが可愛くなってきました。ジュース感。そしゴーヤが引き出した苦味もあり。
おいしいぞ!飛良泉 FOUR SEASONS。
蔵元さんの推奨する飲み方「炭酸割り」。
とのことで、早速割って飲んでみたいと思います♪
感想は「炭酸割り、合う!」です(笑)
おいしい♪
炭酸多めよりも、お酒を多めに入れたほうが美味しいです。
シュワシュワでこれは本当にジュース。
最後に、にごりが溜まって濃い。
ゴクゴク飲めてしまったので、今回は1日で4合瓶を1本飲み切ってしまいました。
アルコール分も14度なので飲みやすかったというのもあります。
ちなみに、後からラベルの裏をしっかり読んでみると「お酒を注いだグラスに炭酸水を少しだけ加えて。」と書いてありました。
炭酸水は少しでOKです(ここ大事)
いろんな愉しみ方のできる日本酒でした~。
ごちそうさまでした♪
わたしは、飲んでみて「他のうすにごりとはひと味違って面白い!」と思いましたが合わない人も居るかと思います。
それは、
です。
ですが、
「他のうすにごりとは違う、濃いめの甘酸系の日本酒」
を体感したい人にはお勧めです。
山廃づくりのためか、酒質はとても濃醇でした。
甘さがはっきり!酸味も強め。炭酸で割ってもおいしい♪そんな日本酒です。
ちなみに、四季に合わせて全部で4種類発売されますが「ボトル(空き瓶)は取っておく」が正解となります。
実は、春夏秋冬のボトルのラベルを並べると雄大な鳥海山が浮かび上がる…という仕掛けになっています。
このことを知って「春を買ったのだからコンプリートせねば!」という気持ちになりました(笑)
こういった楽しみもあるので、「春」を購入した人は4種類全て集めて鳥海山の姿を自分で確認してみてくださいね。
ちなみに、
となっています。
飛良泉本舗さんでは、公式オンラインショップを用意しています。
飛良泉公式オンラインショップ
https://hiraizumi.online/
ですが、こちらのオンラインショップでは購入できる銘柄が限られ「FOUR SEASONSシリーズ」を購入することはできません。
購入したい場合は、近くの酒販店やお取り寄せ先を紹介してくれるとのことでした。
お問い合わせ先は下記になります。
ですが、
「え…ネットで調べられませんか?」
「直接聞くのは緊張します」
という人も居るかと思います。
といったキーワードでGoogleやYahoo!検索をすると取扱店さんをHITさせることができます。
ですが【FOUR SEASONS 春 うすにごり】は本数限定商品だったため、5/25現在は在庫切れや売り切れのお店がほとんどです。
次回の【FOUR SEASONS 夏 涼冷え】に向けて購入先を見つけておくと安心です。
ちなみに、わたしがよく利用するIMADEYAさんでも取り扱いがあります。
参考にしてみてください。
特定名称 :純米酒(山廃)
原材料名 :米(秋田県産)米麹(秋田県産米)
原料米 :秋田県産美山錦74%/秋田県産秋田酒こまち26%
精米歩合 :60%
アルコール分:14度(原酒)
使用酵母 :きょうかい酵母No.77
日本酒度 :-27.0
酸度 :4.4
内容量 :720ml
価格 :1,760円(税込み)
製造者 :株式会社 飛良泉本舗
所在地 :秋田県にかほ市平沢字中町59
公式サイト :https://www.hiraizumi.co.jp/
自慢の【山廃づくり】で日本酒を醸している飛良泉本舗さん。
今回新しく発売となった「FOUR SEASONSシリーズ」は季節を感じることのできる、季節限定の日本酒となります。
4つ全てのボトルを集める楽しみもあるため、ぜひ捨てずにとっておきましょう!
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