神奈川県足柄上郡開成町にある「瀬戸酒造店」さんをご存じでしょうか?
開成町は神奈川の中でも一番小さな町として知られています。
現在、神奈川県にある酒蔵さんは全部で「14蔵」。
今回は瀬戸酒造店さんの3つあるブランドの内、開成町の町花でもある紫陽花から抽出した「あじさい花酵母」を使用した日本酒
の2本を飲み比べてみました。
一体どんな味わいの日本酒だったのでしょうか?
早速見てゆきたいと思います。
瀬戸酒造店さんは、わたしの地元でもある神奈川県の西部にある開成町にある酒蔵さんです。
実はこの瀬戸酒造店さん、創業は慶応元年(1865年)と歴史ある酒蔵さんですが、1980年に自家醸造を中断、その後2018年から醸造を再開した復活蔵となります。
それも、後継者のいなかった瀬戸酒造店さんはこのまま自家醸造を再開せずにいずれ廃業となってしまう…というような存続の危機がありました。
そこで、地域おこしを依頼されたコンサルタント会社の現在、瀬戸酒造店の代表を務める森隆信さんが自ら酒造りを行うことで2018年に自家醸造再開となりました。
森さんは酒造りのことは分からなかったため1から学び、もともと長野県の酒蔵で杜氏を務めていた小林幸雄さんと出逢うことにより二人三脚で酒造りを行っています。
瀬戸酒造店さんのこだわりは4つあり、公式サイトには下記のように記載されていました。
このようなこだわりによって、再始動後は日本のコンクールではなくIWC(インターナショナル ワイン チャレンジ)やKuraMasterといった海外のコンクールに出品。
さまざまな賞を受賞し「世界でも認められる」日本酒として、再開して間もなくその名をとどろかせることとなりました。
瀬戸酒造店さんの想いは下記のページより確認できますので、気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
瀬戸酒造店公式サイト
https://setosyuzo.ashigarigo.com/thought/
瀬戸酒造店さんの醸す銘柄は3つ。
といった個性の異なるブランドがあり、それぞれの記号となる「◆●▲」で瀬戸酒造店の「瀬」の文字を表現しています。
実はラベルも全てデザイナーさんを雇い、お酒に合わせてデザインをしてもらっているということで所々にそのお洒落さが見て取れます。
今回いただいた日本酒は「あしがり郷」で「あじさい花酵母」を使用して醸された日本酒となりました。
あなたは「花酵母」をご存じですか?
通常、日本酒に使用される酵母と言えば、日本醸造協会が提供している「きょうかい酵母」や蔵で採取された「蔵付き酵母」などがあります。
それとは別に、花の蜜に集まった野生酵母を抽出し酒造りに使用することがあります。
それが「花酵母」で、瀬戸酒造店さんでは地元・開成町の町花となる町の人々が大切に育ててきた「紫陽花」から抽出した「あじさい花酵母」を使用しています。
そんな開成町の土地ならではの魅力を味わえるのが花酵母を使用した「あしがり郷」というブランドで町の人々を思って醸された素敵な日本酒となっています。
わたしも「あじさい花酵母」の日本酒を飲むのは瀬戸酒造店さんが初めてで「一体どんな日本酒なのか?」飲む前からワクワクでした。
現在あしがり郷シリーズには4種類のラインナップがあります。
今回いただいた「月の歌」は名前にある通り、開成町の静かな田園の夜をイメージした味わいに仕上げた日本酒です。
開成町の小川では5月にホタルを見ることができるほどキレイな場所で、夜はとても静かに穏やかな時間が流れています。
風の道は「山田錦」、月の歌は「雄町」と酒米違いで醸され、澄んだ味わいの純米吟醸酒として醸されています。
こちらの零号∞は、2021年8月よりスタートした銘柄となります。
あじさい花酵母の究極を目指し、零から無限に続く果てしない道のりを歩き続ける「探究」によって表現された美しいお酒。
乗醸仕込みとは、日本酒を醸す際一部の仕込み水の代わりに「日本酒」で醸す「貴醸酒」(きじょうしゅ)からヒントを得た瀬戸酒造店さん独自の仕込み方です。
通常の三段仕込みは「水・水・水」で仕込み、貴醸酒は「水・水・酒」、乗醸仕込みは「水・水・瀬戸酒造店の銘柄をブレンド」して投入となりました。
そのことにより、あじさい花酵母特有の「強い果実感」を出来上がりの酒に生かし「ぶどうのような芳香をまとった甘美な酒」を実現することができました。
出来上がりの酒は「アルコール分17度」と濃く、当初は15度台に薄める予定でラベルが印刷されました。
ですが、瓶詰め直近の唎酒により「全く割り水をしないのが最善」ということで急遽訂正シールを貼り「アルコール分17度」のまま出荷となりました。
実はこちらの2本、同時の飲み比べではなく別々の日にいただきました。
それも、月の歌を購入したのは2021年の1月頃でずっと冷蔵庫にて保管しており飲んだのは5月です。
実は瀬戸酒造店さんの醸す日本酒は、こちらの2本を購入するより以前に2本ほど飲んだことがありました。
ですが、その時はラベルと飲んだ時の酒質のイメージが合わず「うーん(むずかしい)」と思ってしまったのです。
それからはちょっと購入の優先順位が低くなってしまい、月の歌もなかなか飲めずにいました。
その後、2021年の8月に
「これ旨いよ」
と酒屋の店主さんが零号∞を紹介してくれました。
そこまで言うなら!と買ってみることに。
貴醸酒のような甘さの日本酒は大好きなので、こちらも購入の後押しとなりました。
折角同じ「あしがり郷」のお酒なので飲み比べとして書いてゆきたいと思います。
購入してから中々開栓できなかった日本酒。
ついに飲んでみる時がやってきました。
早速、グラスに注いでみると「黄色」。
香り華やか。
花酵母という名前もあり、お花の蜜の香りがします。
さわやかさや酸味、キレ感もその香りの中に感じます。
思っていたよりも甘いです。
そして想像と違う甘さ。
ふわりと舞い上がるような可愛い甘さがあります。
コンペイトウのような甘さで上に抜けてゆき、さっぱり!
後口はとにかくさっぱりします。
そして少しのキレ感。
お米のまぁるさが残りますが、甘さが去って行って不思議な感覚です。
澄んだ味わいというのがとてもよく分かります。
飲み口のかわいい甘さがなんだか素敵で、月明かりっぽく感じます。
今日は煮込みハンバーグです!
一緒だと甘さにジューシー感が出ました。
そしてキレ!
あれ、辛口っぽくなっちゃった?とシューンとしましたが甘さも残ります。
うん、続けて飲んでいると辛さが気にならなくなりました。
ですが花酵母の香りが煮込みハンバーグには合わないかな?
なるほど。
料理と一緒にいただくと、甘みがとてもいい感じになりますが、なんだか香りや味わいの相性がちぐはぐになってしまう印象があります。
何と合わせるのが一番いいんだろう…
この日本酒が生きる料理は…と考えるとちょっと難しいかもしれません。
単体で味わうのがいいのかしら?
今日の晩ご飯との相性は、悪くないけど良くもない。
おいしいけど、香りと料理のミスマッチさを感じる味わいでした。
グラスに注いでみると、しっかりとした「黄色」。
注いでいる時から甘い香りが漂います。
香ってみると、少し柑橘っぽさもある甘い香りです。
しっかりとした甘みが広がります。
柑橘っぽい甘さがあり、舌に残る甘みが強い!
酸味もあるので、ベタベタ感は一切ありませんが舌がジンジンするような強い甘味が残ります。
とっても美味しいのですが「濃ゆ~~い」甘さです。
ラベルの裏の「ブドウのような~」と言われたら確かにぶどうっぽいかも…?と思います。
これはゆっくりと楽しみたいお酒です。
強さもあるのでゴクゴクとはいけませんが、デザート日本酒と考えるととても美味しいです。
この甘さ、カレーに合うのでは?
カレーは常備しているので、思ったら即実行のわたしです。
無印の牛ばら肉の大盛りカレーと一緒にいただきます。
無印のカレーはスパイシー&美味しいのでレトルトカレーの中でもおススメです。
カレーをひと口食べてから飲んでみると、甘さが蜜のようになりました。
カレーに全然負けません!
酸味感も増して、スパイシーなカレーに共鳴するような味わいになりました。
よく、お互いを引き立てる相乗効果のペアリングもありますがこれは「共鳴」です。
うん、悪くはない組み合わせなのではと思います。
カレーと一緒だと、とても花酵母の特徴を感じます。
…と言いますか、これが花酵母なんだろうな!というのが分かります。
甘味がとても強くしっかり甘い。酸味甘い。
酸味があるので甘さがさわやかになり美味しいです。
続けて食べて飲んでいると、カレーとの甘さが合ってきて最初よりもおいしく感じるようになりました。
甘さは強いですが美味しくいただけます。
月の歌は1日で飲めてしまいましたが、零号∞は流石に1日では飲み切れなかったため、冷蔵庫で保管していました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
早速飲んでゆきたいと思います。
初日と変わらず、甘みの強い香り。
酸味もあり、マスカットや巨峰のようなジューシーさを感じます。
甘さがブワッ!かなりジュワっと染みてきます。
酸味もあるので軽やかさもありますが、しっかり甘い。
葡萄ジュース飲んでいるみたい。
初日よりもブドウ感がハッキリしました。
舌にジワジワと刺激的な甘さはやはり健在です。
この日本酒はとても濃ゆいので、単体ではずっと続けて飲むことは出来ないです。
間に何かを挟みたいです。
あ、チーズ合いそうですね!
または少しずつ、1日1杯などゆっくり楽しみたい日本酒であることは間違いありません。
…と言いつつ飲み切ってしまいました。
以前に初めて「あしがり郷」のあじさい花酵母の日本酒を飲んだ時は、香り高い花の香りが美味しくてでも料理と一緒だと香りの良さが飛んでしまって「難しい」と感じました。
こちらの零号∞も、アルコール分17度&甘美すぎる甘みが特徴でとても個性的ですがなかなかに美味しかったです。
あしがり郷シリーズは「あじさい花酵母」を使っている。
ということを理解して、もう一度他のあしがり郷も飲んでみたいなぁと思った1本でした。
おいしかったです!
ごちそうさまでした♪
今回、あじさい花酵母という「お花から採取した酵母」で醸された日本酒を2種類飲んでみました。
といった結果で、共通しているのは「どちらも香りが特徴的」ということです。
花酵母だからなのか、お花の蜜感がありました。そしてとても華やか。
こちらの日本酒と合う料理を見つけるのは難しいかもしれませんが「単体」で飲めばじっくりと「あじさい花酵母」の味わいを楽しめる日本酒だと思います。
零号∞は特に「貴腐ワイン」や「アイスワイン」といった甘さの濃ゆい味わいのお酒が好きな人にはとっても合うかと思います。
また「あじさい花酵母」の日本酒をぜひ1度は体験してみたい!という人にもおすすめの日本酒です。
花酵母を使用した日本酒、なかなか見かけないですよね。
酵母の違いを楽しめるのも日本酒の良さではないでしょうか?
あなたもぜひ「日本酒の愉しみ」を増やしてみてくださいね。
瀬戸酒造店さんの日本酒は、全国にある特約店さん・酒蔵・公式オンラインショップにて購入することができます。
特約店さんは下記のページより確認できます。
そして、蔵に直接行って購入することもできますし、酒蔵見学(有料)も受け付けています。
また、オンラインショップの用意もあるため「近くに販売店さんが無い!」という人も安心です。
こちらのオンラインストアでは今回紹介した「あしがり郷 零号∞」「月の歌」も購入することができます。
飲んでみたいと思ったあなたはぜひチェックしてみてください。
品目 :日本酒/生貯蔵酒
酵母 :あじさい花酵母
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
使用米 :雄町100%
精米歩合 :麹米60%・掛米60%
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :1,834円(税込み)
品目 :日本酒/生貯蔵酒
酵母 :あじさい花酵母
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)・清酒
使用米 :吟のさと100%
精米歩合 :麹米55%・掛米55%
アルコール分:17度
内容量 :720ml
価格 :2,750円(税込み)
製造者 :株式会社 瀬戸酒造店
所在地 :神奈川県足柄上郡開成町金井島17番
公式サイト :https://setosyuzo.ashigarigo.com/
Twitter :https://twitter.com/SETO_SHUZO_1865
Instagram :https://www.instagram.com/setoshuzo1865/
2018年に復活した、神奈川県・開成町にある瀬戸酒造店さん。
同じ神奈川という地元ですが「開成町」がどこにあるのか?ということすら知らなかったわたしは、まだまだ瀬戸酒造店さんのことを知りたいなぁと思いました。
蔵では日本庭園を眺めながらの「角打ち」も行っているとのことですので、行って・飲んで・好みの味わいの銘柄を見つけるのも楽しいかと思います。
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