日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、埼玉県羽生市にある「南陽醸造株式会社」さんの醸す「花陽浴 純米吟醸 備前雄町」(はなあび じゅんまいぎんじょう びぜんおまち)です。
花陽浴(はなあび)の日本酒と言えば生産本数が少なく「入手困難」な日本酒の銘柄としても知られていますが、選ばれる理由はその味わいにあります。
既に飲んだことのある人であれば、
といった味わいをイメージできる人も多いのではないでしょうか?
通常の日本酒では味わえない「南国の果実のような芳醇さと旨み」を楽しめる日本酒です。
そして、酒米違いで醸される日本酒のため使用される「酒米」により、また違った味わいを愉しめるというのが花陽浴の特徴でもあります。
使用される酒造好適米の種類は7種類。
どんな特徴のある酒米なのか?を一緒に紹介すると下記のようになります。
酒米の味わいの違いは、酒蔵さんや杜氏さんによって技術やその製造方法・表現したい味わいなどが異なり「必ずしも特徴通りに仕上がる」ものではないようにも感じます。
そのため「大体こんな違いがある」「酒米により、こういった味わいに仕上がりやすい」という風に覚えておくとよいかもしれません。
南陽醸造さんでは、それぞれの酒米を「おりがらみver.」「ノーマルver.」夏には「直汲みver.」などを販売しています。
酒米によっては「にごりver.」や「精米歩合違いver.」(純米吟醸55%/純米大吟醸48%)なども発売されます。
いままで単一の酒米で醸されていましたが2022年の4月には「山田錦×備前雄町」の2種類の酒米で醸した「THE MATCH(ざ・まっち)」という新作も発売されました。
\新作のTHE MATCHについてはこちら/
花陽浴を全種類飲んだことがある人や、好きで毎年飲んでいる人であれば
「美山錦の純米大吟醸が1番好き!」
「新作のTHE MATCHがよかった」
「さけ武蔵は外せない」
など自分が好みな酒米の種類が分かっているかもしれません。
全種類を集めて飲むことは大変でとても難しいことですが「好きな酒米」を見つけると、また来年の楽しみになるかもしれません。
今回いただいた「備前雄町」はそのピンクのラベルが印象的で、2022年は3月14日と22日の2回蔵元より発売となりました。
わたしも今期初めて花陽浴を追いかけてみましたが、花陽浴の中でもレア酒で本数の少ないと言われている「さけ武蔵」を購入できたため満足していました。
「なんだかんだいろいろ買えたし、今年の花陽浴はもういいかな…」
そう思っていた時に、TwitterのTLに流れてきた「備前雄町」の花陽浴の姿に衝撃を受けました。
[埼玉県]花陽浴「雄町」純米吟醸生原酒
岡山原産酒造好適米「雄町米」を100%用いて醸した自信作。
華やかな香りと、雄町の旨みが調和した味わい!#埼玉県 #花陽浴 #南陽醸造 #リカーショップシライシ pic.twitter.com/n3s5e2k85P
— リカーショップシライシ (@Ls_shiraishi) March 16, 2022
なんじゃこれ…
\か わ い す ぎ る … !/
初めて花陽浴を知った時は「名前が可愛くて、ラベルも可愛いお酒!」と思っていましたが、こんなにも好みにダイレクトなラベルがあったとは…!
春のピンクって本当に好きなんです。
さらに、桜と合わせてなお映えるピンク…!
薄すぎても、濃すぎてもダメなんです。
内心、膝から崩れ落ちつつ「なぜ備前雄町をチェックしていなかったのか…」と後悔の念に駆られました。
完全にラベルに一目惚れをした瞬間でした。
なんだかんだでその後、2回目の発売時に恋をした「備前雄町」を手にすることができました。
ありがとうございます( ´;ω;` )
ちなみに「おりがらみバージョン」も2022年は3月16日ごろに発売となったようですが、気付いたころには売り切れとなっていました。
そんなこんなで、眺める度に目の保養でしかない春の季節にピッタリなピンクラベルの日本酒「花陽浴 備前雄町」。
飲むタイミングは、人生「4本目」の花陽浴として「新作のTHE MATCH」と一緒にいただくことになりました。
わたしが最初に雄町をスルーした理由が、
という今まで飲んできた「雄町」という酒米を使った日本酒の味わいを想像してのことでした。
(雄町より山田錦がすきです)
(美山錦より酒こまちがすきです)
果たして花陽浴の備前雄町はどんな味わいなのでしょうか?
同時に飲み比べをした「THE MATCH(山田錦×備前雄町)」と比較しつつ、感想を書いてゆきたいと思います。
THE MATCHほど香りがしません。
甘さよりパインぽさが香ります。
でもしっかりと甘さもあります。
どちらかと言えば男らしさを感じる「スッ」とするようなパイナップルの香りです。
(パインの繊維っぽさもあり)
ん!甘…いけどキレてゆきます。
雄町らしい男らしさで「キリッ」とする雰囲気をしっかり感じます。
入りの甘さからスッキリさへスムーズに移行してゆく感じ。
後口はシュッとして、しっかりキレのあるお酒の印象です。
苦味もありますがキレの印象が強いです。
ラベルはピンクでこんなにも可愛いのに、スッと感が強めです。
THE MATCHよりもかなりさっぱりする日本酒です。
飲み口の甘さはまったりしつつのスッキリ感。
雄町よりも山田錦を使用した日本酒の方が好みなため「THE MATCH」の方が好きですね。
冷酒を注ぐと、桜の花がピンクに色付く平盃!
こちらも一目惚れをして購入しました(* ´ω` *)最高か!
飲んでみると、入りからスッキリキレさを味わえて、後口はとてもさっぱり。
甘さが隠れてしまいました…。
花陽浴は、平盃で飲むよりも断然オニヤンマグラス(せんきん×ユナイテッドアローズ)で飲んだ方が甘みを感じながら飲むことができます。
まだいろいろ試してみている途中ですが「平盃」で飲んだ方が甘みが美味しく感じる日本酒もあります。
日本酒は飲む「うつわ」で味わいが変わるため、いろいろ試してみると面白い発見があるかもしれません。
甘みもありますが、やはりかなりスッキリしてしまいます。
パインぽさは優しくふわふわと鼻に残ります。
野生感は全くなく、単品で飲むよりも料理に合わせて美味しくいただきたい日本酒だと感じました。
…でも何に合うのだろう?
1日で飲み切ってしまうのはもったいないため、残りを冷蔵庫にて保管をしていました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
香ってみると、パインな香りでスッキリさあり。
ひと口飲んでみると、ジューシー感と甘さを感じるもスッとキレ感。
甘みよりさっぱり感が印象的で、その甘さはとても美味しいです。
でも「甘…」と思っている瞬間から、酸味・苦味・キレがやって来る印象です。
強い甘みのある花陽浴よりも、スッキリ・スキッと花陽浴を飲みたい人には「雄町」が最適なのでは?と思いました。
今日は、きのことウインナーの生姜スープ、サラダ、ささみの海苔巻き揚げと一緒にいただきます。
ささみを食べた後に飲んでみると、甘さがUPして感じました。
甘みは強すぎないのでとても美味しいです。
ですが後口にはキレさがしっかりあるため料理とお酒が交わらずに、少しもったいない気もしました。
サラダは、パイン感がとても強くなりました。
甘みもありますが、さっぱりキレさと苦味がしっかりします。
スープは、ウインナーが神でした。
花陽浴の雄町は今日の献立だとウインナーに1番合います!
ウインナーの肉汁のジューシーさに、花陽浴の甘さが引き出されて本当においしいです。
そしてスッキリさもあるため、重たさを感じずに食べれます。
脂の多いお肉系と合うお酒なのかもしれませんね。
花陽浴の備前雄町は「3日間」で飲み切りとなりましたが、3日目も同じような内容だったため感想は省略したいと思います。
3日目は、初日よりも「苦味」がはっきり感じるようになってきたという点だけは書いておきますね。
おいしかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「ピンクの可愛いラベルとは違い、花陽浴の中でもスッキリさのあるお酒なのでは?」と酒米の違いを楽しめた日本酒でした。
ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
わたしも飲んでみてかなり「キリッ・シュッとしたキレさが印象的」な日本酒だったため驚きました。
甘みは本当に飲み口の一瞬です。
もしこの備前雄町だけを飲んでいた場合「辛口の日本酒」と思ってしまったかもしれません。(それほどスッキリします)
ですが、山田錦と備前雄町の2種類を使用した「THE MATCH」と飲み比べをしながら飲んだため「酒米の特徴の違い」を楽しみながら飲むことができました。
以前、山田錦(純米大吟醸)の花陽浴も飲んでいたためTHE MATCHでは山田錦の味わいも再確認出来て面白かったです。
雄町を飲む場合は、できれば山田錦・THE MATCHと3種類での飲み比べをすると酒米の特徴をより愉しめること間違いなしだと思います。
飲食店さんなどでも機会がありましたらぜひお試しください。
\純米大吟醸 山田錦を飲んだ感想はこちら/
南陽醸造株式会社さんの日本酒は、
といった順で販売されているのだということを、今期の花陽浴を追い掛けて知ることができました。
そのため、
といった2つの方法で購入することができます。
※入荷後は即売り切れとなるためご注意ください。
詳しくは下記の記事に書いていますので参考にしてみてくださいね。
\花陽浴の特約店・入手方法は?/
新酒ラッシュが終わると、夏の時期以降に発売される「直汲み」が登場します。
直汲みとは、春に搾った新酒のお酒をフレッシュな状態で瓶詰めし数ヶ月間蔵の氷温冷蔵庫にて瓶貯蔵されたものになります。
そのため搾りたての生酒とは異なり、より旨みののった味わいを愉しめるお酒になります。
こちらも販売本数は少なく、より入手困難が予想されますので気になったあなたは早めのチェックが必要になります。
品目 :純米吟醸 無濾過生原酒
アルコール分:16度
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)
使用米 :備前雄町100%使用
精米歩合 :55%
内容量 :720ml
価格 :1,800円(税込み)
公式サイト :http://www.nanyo-jozo.com/
今回、ピンクラベルの花陽浴に恋をして何とか備前雄町を購入することがでました。
花陽浴のラベルは本当にかわいいので「このラベルが好き!」と自分の好みなラベルがある人も多いのではないでしょうか。
日本酒のラベルは「飲んだことのないお酒でもついつい手に取ってしまう」魅力がありますよね。
花陽浴は入手困難なお酒ですが、発売時期をチェックしておけば買えないお酒ではありません。
好きなラベルと出逢った際は、花陽浴に限らずぜひその購入にチャレンジしてみてくださいね。
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