日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、 佐賀県小城市にある「光栄菊酒造株式会社」さんの醸す「光栄菊 Harujion」(こうえいぎく はるじおん)です。
佐賀県にある光栄菊酒造さんは、2006年に一度廃業しましたが有志により2019年に復活し日本酒造りを再開した酒蔵さんです。
元々醸されていた「光栄菊」という銘柄の名前を引き継ぎ、新たな日本酒として「酸味と旨み、なおかつスッと切れるお酒」をコンセプトに醸されています。
そのフレッシュでフルーティーな味わいは、”飲みやすく美味しいお酒”として日本酒愛好家の間でも人気の高い銘柄の1本です。
詳しくは下記の記事に書いていますので、気になったあなたはぜひご一緒にご覧ください。
\復活蔵の醸す日本酒、光栄菊とは?/
今回のお酒「Harujion(ハルジオン)」は、2022年4月に新作として発売された日本酒です。
2022年は、4月26日に蔵元より特約店さんへ出荷されました。
といった他の日本酒とは異なる特徴があります。
光栄菊のお酒は、アルコール分が12度や13度といった低アルコールなイメージのお酒のため驚いた人もいたのではないでしょうか。
また、光栄菊は種類が多くあり直近の発売順ですと
と怒涛の出荷となっていますが、2021年は4月中に発売された「Sunburst(サンバースト)Alc.13度」はまだ発売されていません。
2020年は6月に発売となったため、シーズンによって発売順が前後することがありそうです。
※2022年のサンバーストも6月に発売となりました。
聞きなれないお米、春陽。
こちらは日本酒専用に栽培された「酒造好適米」(しゅぞうこうてきまい)ではなく「飯米」(はんまい)の一種です。
低グルテン米という低たんぱくのお米で、腎臓疾患などでたんぱく質の摂取制限が必要な方に向けて新潟県にて誕生した食用米です。
この春陽を使って日本酒を仕込むと
という特徴があります。
4MMPとは、日本酒業界では新しい吟醸香で「マスカットやライチ、グレープフルーツ」などに例えられます。
ワイン業界ではよく知られている香りの成分で、白ワインのブドウ品種ソーヴィニヨンブランの特徴香となる「青っぽい爽やかな香り」として例えられます。
何となく香りの想像ができましたでしょうか?
わたしは原料米が春陽と知り「あれ、どこかで聞いたことが…」と思い記憶を辿ってみると、やはり…。
仙禽 × ユナイテッドアローズの「UAオニヤンマ」に春陽がアッサンブラージュとして使用されていました。
「だからインスタライブでシャインマスカットって言っていたのか…」
と、点と点が線で繋がりました。
「どういうこと?」
と思ったあなたは、下記の記事をご一緒にご覧ください。
\【飲み比べ】仙禽あかとんぼ・UAオニヤンマ/
今回、記事として書くのは2度目となる光栄菊ですが実は白月の他にも幾望(きぼう)、月影(つきかげ2種類)、月光(げっこう)と4種類飲んでいます。
これらも順次記事として書いてゆきます。
今回は6本目の光栄菊となり、少しは光栄菊という日本酒の味わいを知ってきている段階にあるのでは?と(勝手に)感じていました。
1番飲んでみたかった「黄昏 Orange」は買い逃してしまいましたが、ハルジオンは新作とのことで入手!
どんな味わいなのか、ワクワクしますよね。
ハルジオンは春に咲くお花で、花言葉は「追想の愛」そして使用しているお米は「春陽」発売は「4月」と「春」がいっぱいのお酒です。
…と言いつつ、ラベルには使用している原料米の記載がないため「春陽」が使われていることを知ったのはこの記事を書いている今です。
4MMP(マスカットに例えられる香り)を知らなかったわたしはどんな反応をしたのか?
実際に、飲んでみた感想を書いてゆきたいと思います。
香りに華やかさがあります。
青りんご?
と最初思いましたがメロン?
果実の蜜のような甘みと皮寄りの青っぽさを思わせる酸味と共に、スッキリさもあります。
甘い!
ですがすぐに酸味がやってきて、爽やかスッキリ感。
ジワッとガス感も少しあります。
甘さよりも酸味が主体で、グレープフルーツのような苦みもありつつ基本的にはスッキリするお酒です。
飲み口のジュワっと感じる甘さが好きですが、後口にはその甘みが残らないほどのスッキリさ。
日本酒感もしっかりあるため、スルスル飲めるお酒ではありません。
アルコール分15度には納得です。
飲んでいると「仙禽(せんきん)さんの日本酒」を思い起こさせるほどの酸味感があります。
光栄菊さんの日本酒も甘酸ジューシーですがその「甘み」の雰囲気が他とは違う特徴だと思っていたため、その甘さが酸味に負けてしまって
「求めている味わいはこれじゃない…」
とちょっと思ってしまいました。
いい意味ですと「これまでの光栄菊とは異なる味わい」といったらよいでしょうか?
酸味&スッキリ。
まだ全種類は飲んでいませんが、これまで飲んできた種類から感じた感想です。
常温になると、グレープフルーツ感がハッキリして、甘さにまったり感がでました。
まぁるく甘みが分かりやすくなりましたが、しっかり冷やして飲みたい味わいです。
今日はしらすのサラダと麻婆麺と共にいただきたいと思います。
しらすのサラダは、ジュワっとメロンな香りが強くなりスッキリ感がUPしました。
甘さが凄い隠れてしまいました…。
麻婆麺は、お米の甘さが出てきましたがお酒と料理が交わりません。
ジュワっとしつつのメロン感UP。
ですが、冷たい状態で飲むと甘みがジューシーで美味しく感じます。
その甘みも最初の一瞬なので寂しいのですが…。
基本スッキリなお酒です。
1日では飲み切らずに、冷蔵庫で保管しておきました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
香ってみると、メロンの皮寄りの青さのある香り。
初日との違いは、少し熟れたメロンな香りです。
ジュワっと舌に広がる甘み。
あ!昨日より甘みがあります!余韻も長め!
え、やだ。
2日目の方が断然好きなのですが?
メロンな香りは常にしつつ、柑橘な酸味とグレフルな苦味。
ジュワ―っと甘さから入り、後口は昨日ほどスッキリし過ぎずジワッと染みる感じで美味しいです。
これは1日で飲み切らずに、2日目以降の味わいを知っておくとより好きになれるお酒だと思います。
レタスマヨは、甘みがジュワっと美味しさがUPしました。
マヨに合う!
甘酸が広がり、後口にスッキリさがあるので美味しくいただけます。
ナスの生姜焼きは、さっぱりしつつも甘みが醤油と合います。
ジンワリと甘くて美味しいです。
ささみの海苔巻き揚げは、丁度良し。
甘さも酸味もキレイで、スー―っと飲めます。
今日の中では、マヨネーズに1番合うかな?メロンぽさもハッキリ感じました。
ジュワっと感がUPするのがとってもおいしいです!
あと、今の季節は室温でお酒の温度がどんどん上がって来てしまうのでしっかり冷やしながら飲みたいです。
そんな時には、ル・クルーゼのアイスクーラースリーブがとても便利です。
冷凍庫で冷やしておくだけ!2個目も買っちゃいました!(2本飲み比べの時に◎)
価格は1つ2750円(税込み)
どんなものなのか?ルクルーゼの公式サイトのURLを貼っておきますね。
公式サイトより楽天市場の方が安く買えるためそちらのURLも貼っておきます。
2日目が初日よりも美味しく育っていたため、少し残して3日目の味わいも見てみることにしました。
冷蔵庫保管です。
何か変化はあったのでしょうか?
香ってみると、甘みの増したメロンな香り。
ジューシーな厚みと青さも有。
甘さがジワ~。
甘みの余韻が長く、苦味がやって来てからのスッキリとまとまり感。
酸味は甘さと共にあります。
その後、苦味と交わり後口へのスッキリさへと導いてゆく…
そんな感じです。
後口が酸味スッキリなため、甘口のお酒という印象は少ないです。
ですが甘みの余韻が続くのでキレ感ほどの強さはなく、これは「スッキリ」という形容がピッタリなお酒です。
香りはメロンで柔らかく、甘みと厚みを感じます。
2日目より3日目の方が、甘さも堪能できバランスが1番すきです。
「そうそう、これが光栄菊の甘みだよね」
と嬉しくなりました。
初日は正直に言うと
「このお酒じゃなくていいかな…」
という気持ちが強かったのですが、3日目はちゃんと美味しく愉しんで飲むことが出来ます。
初日よりも苦味も控えめで、グレープフルーツ感もさほど気になりません。
でも濃ゆ濃ゆ。
アルコール15度はスイスイ飲めませんが、心地よく味わいながら飲むことが出来ます。
おいしかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「3日目のハルジオンが好きだ!」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
もしあなたが、初めて光栄菊を飲むのならハルジオンはお勧めしません。
それは「春陽(しゅんよう)」という特殊なお米を使っていることと「アルコール分15度」と他の光栄菊とは少し違う毛色のお酒のためです。
最初は光栄菊の象徴的なお酒となる「スノウ・クレッセント」や「ハロー!コウエイギク」から入るのが良いのでは?と思いました。
…と言いつつ、わたくしこの2つはまだ飲んでいないのですが…
ですがハルジオンも面白いお酒ですので、気になったあなたはぜひ飲んでいただきたいなぁと思います。
そして、飲んだ後に春陽の特徴である「4MMP」(マスカットな香り)のことを知ったわたしですが
「メロン」
ってたくさん言ってますね。
マスカット…出てこなかったなぁ…。
わたしは青い皮寄りのメロンの香りに感じました。
ちょっとスーパーでマスカットを見掛けたら買って、香りのトレーニングをしてみたいと思います。
日本酒の風味の表現は難しいですが、答え合わせみたいで愉しいですね!
光栄菊酒造さんの醸すお酒は、特約店限定流通のため佐賀県にある酒蔵へ直接行っても購入することができません。
また現在は公式サイトの用意がなく「特約店一覧」といった案内を見ることが出来ません。
特約店さんを探す方法は、GoogleやYahoo!にて
【光栄菊 特約店】
【光栄菊 販売店】
といったキーワード検索をするか
【光栄菊 特約店 東京】
【光栄菊 ハルジオン 東京】
など、地名やブランド名を入れて検索するとより詳細な検索結果をヒットさせることができます。
わたしも近くに特約店さんが無いため、オンライン販売をしている特約店さんを利用することが多いです。
例えば下記の特約店さんであればネットで購入することが可能です。
5月27日現在、ハルジオンは売り切れてしまっている販売店さんが多くなりますが上記の「こぐれ酒店さん」であればまだ在庫がありました。
「夏のスノウ・クレッセント」が現在発売中ですので、ぜひご一緒に見てみてください。
ちなみに、冬のスノウクレッセントは「山田錦」で夏のスノウクレッセントは「雄町」といった酒米の違いがあります。
仕様 :無濾過生原酒
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :新潟県産・春陽
精米歩合 :60%
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :1,815円(税込み)
製造者 :光栄菊酒造 株式会社
所在地 :佐賀県小城市三日月町織島2602番地3
公式サイト :なし
Instagram :https://www.instagram.com/koueigiku/
Facebook :https://www.facebook.com/koueigiku/
光栄菊の新作「ハルジオン」。
ラベルには記載がありませんでしたが、調べてみると「変わった食用米」を使用して醸していることが分かりました。
低グルテン米から得られる4MMPは、日本酒業界では2019年より「新しい香り成分」として話題となり2020年頃より醸造にチャレンジする酒蔵さんが増えています。
ちょっと違った光栄菊を味わいたい人にお勧めの1本です。
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