日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県秋田市にある「新政酒造」さんが醸す夏の風物詩の日本酒である「天蛙 十周年記念酒」です。
天蛙とは、新政酒造さんのPRIVETE LAB(プライベートラボ)という「実験ライン」のブランドの内の1本で毎年夏の時期(6月~8月頃)に発売される日本酒です。
はじまりは「碧蛙」(アオガエル)という低アルコール日本酒で、それを改良し完成した「発泡清酒」が天蛙(アマガエル)になります。
初めて発売されたのが、平成23酒造年度(2011-2012)。
その際は「不思議 純米酒」というキャッチフレーズが付いており、試行錯誤をした結果、アルコール分9%の低アルコール&うすにごり&発泡酒となりました。
天蛙は年々進化を遂げており、やや甘口、ドライ感を強めた辛口、その中間…など味わいの変化と共に造り自体も改良されています。
現在までに共通して言えることは、10%以下の低アルコール酒に加え「保管や扱いによってキレやすい怒りの蛙」に変身するということです。
天蛙は、瓶内二次発酵というシャンパンと同じ製法で炭酸ガスを発生させ、シュワシュワのスパークリング日本酒を実現しています。
その方法は、酵母を含むもろみの一部を酒と共に封入して再発酵させるというもので、このことにより「うっすらとうす濁り」のお酒に仕上がります。
新政酒造さんでは、
といったスパークリング日本酒(いずれも瓶内二次発酵)もありますが、それらよりも天蛙は「発泡圧が極端に強い」という特徴があります。
製法により瓶内にはずっと酵母が残存しているため、出荷後においてもガス圧がどんどんと高まる可能性がありマイナス5℃での氷温保管が推奨されます。
これは冷蔵庫内の温度(3℃~10℃)では酵母が動ける温度帯となるため、瓶内でガス圧がどんどん上昇してしまうためです。
このことを知らずに
などなど、これまでの狂暴化や爆発現象を体験した人も少なくはないため、この現象には「怒りの蛙」と名前が付けられ天蛙ファンの間では有名となりました。
そのため初心者には向かない超玄人向けの日本酒として「購入後は速やかに、早期に飲み切ること」が必須条件となっています。
そんな天蛙が、2021年に発売から10周年を迎えることとなりました。
実は2021年は、新政酒造さんの唯一の定番生酒であるNo.6(ナンバーシックス)も10周年を迎え、6種類のコラボ記念酒が発売されました。
\第1弾はNo.6 ダイスケリチャード type/
ですがコロナ過などの影響もあり、天蛙の十周年記念酒は持ち越しされ翌年の「2022年11月26日ごろ」より各特約店さんにて発売となりました。
通常の天蛙との違いは「怒りの蛙の要因となるオリを除去し、通年でも提供できるほど安全性の高まった蛙である」ということです。
別名、天蛙クリアタイプになります。
この天蛙10周年記念酒を完成させるために、2022年は4本のPROTO TYPE(プロトタイプ)が発売されました。
天蛙から酵母を含んだオリを取り除き「クリアタイプ」にすることを目的とした実験酒がPROTO TYPEで、4種類、製法を変えて醸されたお酒があります。
そして実際に、天蛙10周年記念酒の完成までにそれぞれのバージョンが発売されました。
濁りタイプとクリアタイプを比べると
ということが分かったため、このあたりの弱点を乗り越え、完全なる透明版の「天蛙」を造るために試行錯誤を繰り返したそうです。
そして4種類の実験酒を経てその完成版が「天蛙 10周年記念酒」として発売されました。
ちなみに、PROTO TYPEの1、2、4は火入バージョンとなっておりPROTO TYPE3のみ生酒だったというお話を8代目蔵元・佐藤祐輔さんに聞きました。
祐輔さんは「PROTO TYPE3が1番好み」というようなことを言っていた…と記憶しています。
UTAGEの恵比寿えんどう× 新政 ~新政酒造 創業170周年記念酒お披露目会で聞いたお話なので、またこちらも記事に出来たらなぁと思っています。
天蛙10周年記念酒のラベルの裏は、文字の色が通常ホワイトの所「ゴールド」とスペシャル仕様になっていました。
祐輔さんのコメントが記載されていますので引用したいと思います。
10年間生きた蛙の年齢を人間のそれに換算しますと、ネット検索の結果、ヨーロッパヒキガエルの場合、80歳に値するそうです。
なんと飼育下では36年生きた個体もいるとのこと。蛙って案外長生きなんですね!
さて本作品「天蛙十周年記念酒」をお買い上げの皆様、まとこにありがとうございます。
天蛙は2011年に生まれた銘柄です。本当は今年で11年目なのですが、憎きコロナウイルスのせいで販売がずれこみ、このタイミングになってしまいました。
これ以上遅れると、12年目に10周年を祝うという複雑な状況になりますので、本年中に発売できたのは喜ばしいことです。
4つのプロトタイプを経て完全変態を遂げた「天蛙」の姿をご堪能ください。
以上になります。
新政酒造さんの天蛙は80歳以上になるのですね。
まだまだ飲み足りないため、これからも長生きをしていただきたいなぁと思いました。
十周年おめでとうございます!(* ´ω` *)
天蛙10周年記念酒には、亜麻猫10周年記念酒の発売時と同様に専用の記念グラスが同梱されています。
これは天蛙(あまがえる)を飲むためだけに作られた専用グラスで、その設計・製作には2年以上の歳月が費やされています。
グラスをデザインしたのは、銀座の超有名フレンチ「ESqUISSE」(エスキス)の総支配人で著名ソムリエである若林 英司さんです。
と冊子に記載されていました。
亜麻猫の10周年記念の際に同梱されていた「亜麻猫グラス」と比べても、ステムが短くそのぽっちゃりとした姿がとっても可愛いですよね。
また、若林さんのコメントには
とあり、まさに天蛙をいつものグラスよりも美味しく飲むことのできる専用記念グラスに仕上がっています。
なおグラスは「木村硝子店」にて製造されました。
また、天蛙十周年記念酒の発売を記念してESqUISSE エスキス×新政 ~「天蛙」だらけのペアリングディナーがUTAGEにて販売&開催されひと足早く天蛙を堪能できる機会がありました。
箱からグラスを取り出す際にブルーのステムを引っ張って取った人もいるのではないでしょうか?
わたしはステムを引っ張った時に中々取り出すことが出来ず、折れてしまいそうな感じがありとっても怖かったです。
ですが簡単に取る方法があります。
後ろのブルーの布を両手で持ってゆっくり引き出せば、割れる心配もなく簡単に取り出せます。
もう取り出している人も多いかと思いますが、「まだ箱に入ったまま!」という人はぜひお試しください。
実はこちらの天蛙10周年記念酒、どうしてもグラスが2脚欲しくて無茶をしました。
1つはいつもの酒販店さんで(いつも本当に感謝しかありません!)もう1つはポイントで購入できるお店に課金をしました。
丁度この時期は、年末にかけて新政酒造さんの限定酒が次々と発売されていたためテンションがおかしくなっていました( つω` ; )
ですが無事に購入できて嬉しかったです。
そして記念酒はクリスマスイブの日にいただくことになりました。
どんな味わいだったのか?
早速、開栓していってみましょう。
天蛙(あまがえる)ということで、開栓時にちょっぴり噴き出す心配しましたがコルクを抜いても落ち着きがありました。
グラスに注いでみても、ジュワ―っと泡が広がりますが心配するほどではありません。
その時の動画はTwitterにUPしました(右下)
天蛙10周年はイブの日にキムチ鍋と共にいただきました🤭
これまで飲んだ蛙さんの中で1番美味しいと思いました!蛙さんはあんまり飲んだことないけど!!!🥺🐸 pic.twitter.com/0UpfLBGWUT
— ねこと日本酒🐈🍶@なかのひと (@neko_nihonsyu) December 26, 2022
お上品な蛙さんという感じでしょうか。
同じクリアタイプですが、天蛙PROTOTYPE4の方が開栓時に口まで泡が上がって来てジュワジュワっとしていました。
梨とドライさのある香りがします。
スッキリしつつふんわりと甘みが香ります。
ジワッ!
きゃーーーー!
なにこれ美味しいのだが!?
いままで飲んだ天蛙(といってもさほど飲んでいませんが…)の中で1番美味しいと感じました。
和梨&ジューシーで濃ゆさもあり、スキッとさもあります。
語彙力がありませんが、美味しくて笑顔になっちゃう味わいです。
泡もキツくなくやわらかで、うまーい!
明日(クリスマス)はケンタッキーフライドチキンを食べるので、イブの今日はキムチ鍋にしてみました。
キムチ鍋を食べてから飲んでみると、合う!
お酒の甘みが良い感じなります。
ぶどうっぽい甘さも感じました。
やわわな酸味もあり、キムチ鍋に負けずお互いを美味しくいただくことができました。
そんなこんなであっという間に飲み切り。
ありがたいことにもう1本、日本酒セラーに眠っているためまたいつか、遠くない日に開けたいと思います。
また思い返してみると、日本酒イベントのCRAFT SAKE WEEKEND 2022で飲んだ天蛙10周年記念酒よりも美味しく感じました。
\その時の様子はこちら/
イベントは9月で、発売は11月末ごろだったので良い感じに落ち着いたのかもしれません。
とっても美味しかったです!
ごちそうさまでした。
天蛙10周年記念酒は、2022年11月26日ごろより全国の特約店さんにて発売されたお酒です。
価格は、グラスとセットで「14,800円」(税込み)。
全部で「2342本」の発売となりその入手難易度は高く、抽選やポイントで販売している特約店さんも多く見かけました。
グラス付きでこちらの価格となるため、飲食店さんでの扱いが難しく個人の人に回ってきた…というパターンもあったのではないでしょうか。
現在は販売が終了しているため、購入することはほぼ不可能なお酒となります。
※特約店さんによっては氷温保管をしているかもしれませんが、していないかもしれません。
クリアバージョン(天蛙十周年記念酒)が予想以上の完成度となったことで、念願の「天蛙」定番化が現実となりそう。
と蔵元の佐藤祐輔さんがTwitterで発信していました。
そのため、これまでPRIVETE LAB(プライベートラボ)の中で1番入手難易度の高かった天蛙も購入しやすくなりそうな感じとなっています。
基本的に天蛙は、新政の取り扱い特約店さんでの購入が必須となります。
特約店さんの一部は下記のJSPのサイトに記載があります。
また、新政酒造さんへ直接電話することでお近くの特約店さんを案内してもらえます。
実は、10周年記念酒が発売された後、2月の中頃にひっそりと「天蛙2021のロット04」が発売となりました。
こちらはこれまでの通常版で生の「にごり酒」バージョンです。
裏ラベルの説明には「2021ヴィンテージの中でも最も完成度の高い天蛙」とのことで、天蛙10周年記念酒よりも旨いという声を目にしました。
わたしは買えなかった蛙のため、その味わいを知ることは出来ませんが言えることは「まだまだ天蛙は入手困難」ということです。
飲食店さん優先ということは変わらないと思います。
そして、天蛙2021の通常バージョンは1本も買えませんでした。
天蛙2022は、これまでと同様に夏の時期(6月~8月)に発売となるのでしょうか?
買えたらイイナ…と思いつつ、どういった変化が訪れるのか様子を見てゆきたいと思います。
\天蛙2020・初めて買えた天蛙はこちら/
特殊製法 :低酒精発泡純米酒
アルコール分 :11度
原材料名 :米(秋田県産)米麴(秋田県産米)
精米歩合 :麹米55%・掛米60%
原料米名 :秋田県産米100%使用(2021年収穫 秋田県産)
使用酵母 :きょうかい6号
発酵容器 :木桶20号
醸造年度 :令和3酒造年度(2021-2022)
内容量 :750ml
価格 :14,800円(税込/グラス付)
製造者 :新政酒造株式会社
所在地 :秋田県秋田市大町6丁目2-35
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
天蛙十周年記念酒はとにかくグラスが可愛くて、ステムの色も可愛くてどうしても欲しかったため購入出来て本当に嬉しかったです。
もちろんお酒も飲めて幸せでした( つω` *)
亜麻猫の十周年記念グラスはその後ナマハゲフェスティバルで再販があったため、もしかしたら天蛙グラスも再販の可能性があるかもしれません。
その際はぜひもう一度、亜麻猫グラスも一緒に再販をして欲しいなぁと思っています(もう1脚欲しい人)
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