いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県仙北郡美郷町にある「合名会社 栗林酒造店」さんの醸す「春霞 純米吟醸 六号酵母 生酒」です。
栗林酒造店さんの醸す、オレンジラベルの「春霞」(はるかすみ)は秋田県で発祥した「6号酵母」を使用して醸された日本酒です。
使用する酒米は「美郷錦」(みさとにしき)という山田錦と美山錦を交配して誕生した、秋田県独自の酒造好適米となります。
酒蔵が美郷町にある栗林酒造店さんでは、2005年(平成17年)より美郷錦の契約栽培をスタートしました。
通常使用している酵母は「9号系の酵母」(熊本酵母)や「亀山酵母」という栗林酒造店さん独自の蔵付き酵母を使用してお酒を醸しています。
そのため今回の「6号酵母」を使用しているオレンジラベルは「限定醸造酒」となる1本です。
6号酵母と言えば同じ秋田県の「新政酒造さん」が直ぐに思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
実はこちらの「オレンジラベル」。
夏に発売される「火入」をしたバージョンを、2021年8月に購入し1度飲んだことがあります。
この時に春霞のお酒を初めて飲んだのですが、やはり新政酒造さんの蔵で発祥した「6号酵母」を使用していたたことがきっかけで手に取りました。
その時に飲んだ味わいの感想などは、下記の記事に記載しています。
\初めての春霞(はるかすみ)はオレンジラベル/
以前飲んだのは火入れバージョンだったため、生酒はいつか飲んでみたいなぁと思っていました。
生酒とは、落ち着いたまろやかな旨みのある火入のお酒と異なり、フレッシュで搾りたてならではのガス感も楽しめる味わいとなっています。
ですが、これまでに飲んで来た春霞(はるかすみ)のお酒の特徴をまとめると
という印象があり、6号酵母を使用していると言ってもわたしが好きな新政酒造さんの日本酒とはまたタイプの異なる味わいとなっています。
そのため、生酒が発売されても直ぐにはパッと手に取ることができませんでした。
ですが、2023年4月に発売スタートとなった「春霞 6号酵母 生酒バージョン」は
\旨い!/
といった声をSNSで多く目にしました。
さらに、全国6号酵母サミット実行委員長かつ純米酒専門店「La Jomon」(ら じょうもん)代表の熊谷太郎さんも
\今年の春霞さんは一味違います。まだの方はぜひ!/
といったツイートをされていたため、説得力がより上がり今年のオレンジラベル(生酒)は見掛けたらスッと手に取ることができました。
(La Jomonと六根浄、いつか飲んでみたいです…)
2021年に飲んだ春霞オレンジラベルの火入れバージョンは「なじみ深く身近な1本で、食中酒として寄り添ってくれるお酒!」という感想でした。
味わい的には、単体では無く料理と一緒に楽しむのがベストだと思いました。
今年の生酒バージョンは果たしてどんな味わいなのでしょうか?
飲むのがとっても楽しみでした。
前評判の「美味しい」という声に期待しながら、開栓してゆきたいと思います。
やわらかなキャラメルっぽい香り。
なめらかさがあり、スッキリとした酸味も香ります。
ですが、キャラメリーな甘さがたっぷりと香るので甘みの印象が強いです。
洋梨っぽい香りもします。
あら美味しい。
洋梨っぽい甘さがあり、みずみずしさと穏やかさのある甘みが酸味に手を引かれるように華開きます。
イメージで言うと、明るさが出る…といった感じでしょうか。
最後は苦味…というより渋み?でキュッとしまりますが、お水の柔らかさが残るため甘やかな印象が強いです。
うーん。美味しいです。
「飲んだ瞬間めちゃくちゃ旨い!」というよりも「ジーンと美味しい感じ」で味わいながら飲みたくなっちゃうお酒です。
一緒に飲んだ人は
「甘みがどっしりとしている」
と言っていました。
なるほど。
「でもスッキリするから飲みやすい」
とも言っていました。
どっしりと感じるのはアルコール分が16度というのも関係しているかもしれませんね。
まろやかな甘みで軽やかさもあるのに旨みたっぷり!といった味わいのお酒です。
アルコール分16度としっかりとしたお酒だったので、1日では飲み切らずに冷蔵庫にて保管をしていました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
香ってみると、初日とまた違いメロン系の香りに感じます。
スッキリとみずみずしさもあり、爽やかさのある香り。
甘みは結構たっぷりめですね。
メロンというよりもマスカットな甘酸で、あらやだ。美味しいです。
最後は苦味もありますが、なめらかさのある苦味なので気にならずにとっても美味しい。
この苦味が味わいをやわらかくまとめてくれるので、飲んだ時にしっかりと感じた甘さが残らずにスルリと飲めます。
今日はみずみずしいマスカットな味わいに感じます。
初日も美味しかったのですが、6日目の今日もかなり旨いです。
後口はスッキリ清涼さもあるのに、やわらかな甘みの余韻が口の中に残るのが美味しいです。
今日はマグロとアボカドのわさび醤油和えです。
食べてから飲んでみると、合う!
旨いです。
お酒の味わいに輪郭が出ました。
輪郭というより目覚めたというか、味わいがくっきりしたという感じですね。
苦みも少しだけ強くなりましたがとっても美味しくいただけます。
小松菜と油揚げの煮びたしにも合い、お互いを美味しくいただけます。
料理と一緒だと、お酒の味わいがハッキリとするのでさらに美味しいです。
やはり食中酒なのですね~。
瑞々しい甘みと酸味、緩やかさがありつつの苦味ですんなり軽やかにまとまります。
アルコール分16度と濃いはずなのに、飲みやすさのあるお酒だと思いました。
そんなこんなで飲み切り!
美味しかったです。
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「確かに美味しい。単体でも美味しいし、料理と一緒だとさらに美味い」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
春霞のオレンジラベルは、6号酵母を使用していますが新政酒造さんの日本酒とはやはり異なります。
前回の火入よりも何となく通じるものがありますが…
ですが「6号酵母のお酒が好きなら飲んでみない?」と勧めたくなっちゃう日本酒であることには間違いありません。
わたしも、以前飲んだ火入れのオレンジラベルよりも断然こちらの生酒のオレンジラベルのほうが好きでした。
春霞さんのお酒は定点観測していないため、毎年どんな感じで変化して行っているのか…というのは分かりません。
ですが、まだ飲んだことの無い人はぜひ飲んでみて欲しいなぁと思った1本でした。
栗林酒造店さんの醸す日本酒は「特約店」さんにて購入が可能です。
下記の公式ページにてお近くの特約店さんを見つけることができます。
また、ネット販売を行っている酒販店さんであれば近くになくても注文することが可能になります。
例えば
上記の取り扱い特約店さんであれば、5月19日現在もまだオレンジラベル(生酒)の在庫があります。
まだ飲んだことの無い人や「飲んでみたい!」と興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。
品目 :日本酒(純米吟醸)
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
使用米 :美郷錦100%
精米歩合 :55%
アルコール分:16度
酵母 :K-601(六号酵母)
内容量 :720ml
価格 :1,705円(税込み)
公式サイト :https://harukasumi.com/
Instagram :https://www.instagram.com/sake.harukasumi/
今回はオレンジラベルの生酒を飲んでみました。
とっても美味しかったのでまだ飲んでいない「赤ラベル」「緑ラベル」の生酒バージョンもいつかは飲んでみたいなぁと思っています。
そして、今年のオレンジラベルの火入バージョンはどんな感じに仕上がるのでしょうか?
やはり生酒の感動を引き継いでいるのでしょうか?
購入出来たらその味わいを確かめたいと思います。
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