日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県秋田市にある「新政酒造」さんが白麹(しろこうじ)で醸す日本酒「亜麻猫 2020」(あまねこ2020)です。
新政酒造さんの醸す日本酒には、
という3つのブランドがあります。
亜麻猫(あまねこ)はPRIVETE LABシリーズの内の1本で、日本酒を醸す際に使用する麹菌に「白麹」(しろこうじ)を用いて醸されたお酒です。
名前の通り、ボトルのラベルには「猫」の絵柄がデザインされています。
通常の亜麻猫のほかにも
といった味わいの異なるバージョンが存在しますが、特に下の2本は過去に発売されたもので現在はほとんど出逢える機会のないお酒となっています。
また、
という飲食店さんでのみ飲むことのできる最高級なお酒も存在します。
日本酒を醸す際は「麹菌」というカビ菌の一種である菌の力を借りて「お米のでんぷんを糖類に変え」アルコール発酵ができる条件を整えます。
酒蔵内の見学や映像、写真などで見たことがある人も居るかと思いますが、蒸したお米に振りかけている「種麹」(種もやし)。
この種麹(もやし)は、麹菌の胞子をつけた麹を乾燥させて製品化したもので、免許を受けた種麹業者が製造しています。
通常、日本酒を醸す際に使用する麹菌は「黄麹菌」(きこうじきん)で、アスペルギルス・オリゼと呼ばれる糖化力の強い菌を使用します。
この「黄麹菌」にプラスして「白麹」(しろこうじ)を使用したお酒が亜麻猫です。
白麹とは、主に焼酎用に使用される麹菌(アスペルギルス・カワチ)で「クエン酸を大量に生成」する特徴があるため「日本酒離れした酸味」を味わうことができます。
そして、新政酒造さん以外にも「白麹」を使用している酒蔵さんは増えてきています。
日本酒の説明で「白麹」の文字を見たら「酸味に特徴があるんだな」と思っていると、飲んだ時の愉しみが増えるかもしれません。
PRIVETE LABシリーズのラベルの裏には醸造年度ごとに「どんなお酒なのか?」というコメントが記載されています。
醸造年度とは、日本の酒造業界における1年の区切り方でBY(ブリュワリーイヤー)とも略され7月1日~翌年の6月30日までを1年として区切ります。
例えば、2020BY(令和2酒造年度)とは「2020年7月1日~2021年6月30日」までに醸されたお酒のことを指しています。
今回いただいた亜麻猫は「令和2醸造年度」(2020年~2021年)のものでラベルの裏のコメントは下記の通りです。
「亜麻猫」は、高い酸味を生み出す白麹を用いて醸造された”高酸味系日本酒”です。
本シーズンで早くも十二世代目を迎えますが、またひとつ理想に近づいた出来になりました。
白麹の製法の見直しや、発酵期間の極端な延長により、昨年以上にエレガントな猫へと育っております。
姉妹版のスパーク(発泡)タイプもあわせてお楽しみください。
と記載されていました。
PRIVETE LABは「実験ライン」のお酒と言われるだけあり、現在進行形で改良を繰り返されていることが分かる内容となっていました。
また、2020ヴィンテージより「本ロットの味わい」といったテイスティングコメントも記載されるようになりました。
コメントを読みながらお酒を飲むと、よりお酒の味わいを理解しながら楽しむことができます。
なお、亜麻猫は2009年よりスタートした銘柄で、2019年12月には「10周年記念酒」が発売されました。
2022年の今年は同ブランドの「天蛙」(あまがえる)が10周年を迎えるため、気になるあなたは要チェックが必要です。
\7月より発売!天蛙2020を飲んだ感想はこちら/
PRIVETE LAB(プライベートラボ)には亜麻猫の他にも、
といった全部で4種類の銘柄が存在します。
入手難易度としては、難しい銘柄から順番に書くと
と、昨年1年間、新政酒造さんの特約店さんを巡りに巡ったわたしの肌感となりますが、亜麻猫が1番見掛ける機会のある銘柄でした。
1番入手困難なのは天蛙(あまがえる)で、涅槃龜(にるがめ)に関しては「よく分からない」が現状です。
陽乃鳥はプライベートラボシリーズの中で1番好みのお酒なので、見掛けたら即購入、存在するだけで幸せ気分に浸れる1本となっています(個人的感想)
もし「亜麻猫」と「亜麻猫スパーク」を同時に見掛け1本しか購入できない場合は「亜麻猫スパーク」を優先すると良いかと思います。
スパークは陽乃鳥にも存在しますが、スパーク系はなかなか出逢えないレアなお酒となっています。
亜麻猫はいつも飲食店さんで飲んでいた銘柄の日本酒で、ボトルで購入したのはこちらが初めてとなります。
それもそのはず、いつもの酒屋さんでは今まで亜麻猫を見掛けたことが無く「休日に酒屋さん巡りを繰り返し」ようやく出会えた1本でした。
プライベートラボシリーズの中で1番見掛けると言っても、なかなか出逢えないのが現状です。
わたしも2020ヴィンテージは、特約店さん巡りの結果「2本のみ」購入することができました。
ちなみに「2020ヴィンテージ」とは新政酒造さんの考え方でラベルに「2020」と記載されていた場合「2020年に収穫した酒米を使用している」という意味です。
家で飲む亜麻猫の味わいはどうなのでしょうか?
早速、飲んでいってみたいと思います。
折角なので、亜麻猫グラスでいただきます。
酸っぱさのある香り!
でも香りが分かり難いです。
一瞬、白桃を思わせる甘みからの酸味爽やか。
青りんごぽさもあり、舌にジワッと酸味が刺激して去ってゆきます。
飲んでいると基本的に「酸味系」の味わいですが、お米の甘みも口に広がります。
「懐かない野良猫」ではなく「意外と撫でさせてくれる友人の家の猫さん」といった感じでしょうか。
以前、飲食店さんで飲んだ亜麻猫は「とにかく酸っぱくて甘さの無い」とことん酸味なつれない猫さんでした。
ラベルの裏に書いてある「サワークリーム」という味わいがとてもよく分かる一品です。
京都のイベント(新政×エースホテル京都)で飲んだ「亜麻猫の直汲み」は本当に美味しかったのだなぁ…と改めて感じました。
\京都のイベント内容の詳細はこちら/
もちろん、こちらの亜麻猫さんも美味しいのですが、もうちょっと懐いてほしい気もします。
満足したら去っていく猫さんそのものな味わいがあります。
改めて香ってみると、甘みのない梨の香りに感じます。
今日の晩ご飯は、納豆とオクラ・長芋のねばねばサラダと、ささみの海苔巻き揚げ、小松菜と油揚げの煮浸しです。
ねばねばサラダに、合う!
酸味も美味しいけど、甘みが増します。
そして舌にジュワっとするのがおいしいです。
亜麻猫は、納豆が悪さしないお酒ですね!(納豆に合わない日本酒も存在します)
ささみ揚げは、酸味が落ち着き甘さも緩やかになりました。
食べた後に飲むと「おいしいなぁ♪」と思います。
小松菜の煮びたしは、じゅわじゅわ感が先に来て甘~からの酸味!
おいしいです。
ささみ揚げをマヨネーズにディップしてみると、めっちゃうまい!
甘さも酸味もまろやかさが出てマリアージュします。
亜麻猫はマヨネーズに合います!
料理と一緒だと、絶妙な甘さと酸味感がとてもよくて盃が進みます。
続けて飲んでいると甘みが強くなってきました。
柑橘感でさっぱり甘いのが最&高です。
1日で飲み切るのがもったいなくて、冷蔵庫で残りを保管していました。
味わいの変化はあったのでしょうか?
早速、香ってみると昨日より香ります。
何の香りかと言われたら難しいのですが…
いちごのような酸味。
甘さもあり酸味がふわりとします。
昨日より味わいに深みが出ていて、酸味が酸っぱくない!
甘さに厚みがでて、サワークリーム感が無くなりました。
甘さを感じるとふわりとした酸味が通り過ぎてゆきます。
後口はさわやかで美味しいです。
今日は昼飲みなので、Kiri(キリ)と一緒にいただいてみたいと思います。
Kiriの後に飲んでみると、甘さがギュッ!とUPしてからの酸味さわやか。
キリと亜麻猫合います!
美味しいです。
ジュワっと感は減りましたが少しあって、後口にさわやかさがあるのでスイスイ飲めちゃいます。
時間が経つと甘みが増しておいしい。
いい組み合わせを見つけました。
【クリームチーズ×亜麻猫】
ぜひ試していただきたい組み合わせです!(kiriがおすすめ)
そんなこんなで飲み終わってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
新政酒造さんの日本酒は蔵での販売は行っていないため、販売特約店さんでの購入が必要となります。
一部の特約店さんに関しては、下記のJ.S.P(ジャパンサケショウチュウプラットフォーム)のサイトにて確認が可能です。
No.6(ナンバーシックス)が店頭に並ぶ姿を見ることはほぼありませんが
に関しては「ポッ」と店頭に並んでいることが多々あります。
並ぶ時期などは不確定&ゲリラ的販売の為、こちらに関しては「実際に特約店さんへ足を運んで自分の目で見る」としかアドバイスができません。
ですが、昨年1年間は酒屋さん巡りを休みの度に繰り返した結果
と購入することができました。
ちなみに、各店舗「1本ずつ」と購入制限があるため単純計算で8店舗は巡っていますし置いてないこともあるため倍以上(数倍以上)は足を運んでいます。
もちろん1本買いではなく、他の日本酒と共に購入しています。
酒屋さん巡りをするメリットは「新しい日本酒との出会い」も出来ることではないでしょうか?
実際、いつもの酒屋さんでは取り扱いの無い銘柄や、他に飲みたかった銘柄に出逢えたりするためとても楽しいです。
そして新政酒造さんの日本酒をいろいろ飲んでみたい場合は、これぐらいしないと入手困難の壁を抜けるのは難しいかもしれません。
ですが、これぐらいすれば意外と購入できる…というのも実体験として経験を積むことができました。
メインの酒販店さん以外にも、足を運んでみると良いことがあるかもしれません。
特殊製法 :白麹使用 高酸味酒
アルコール分 :13度
原材料名 :米(秋田県産)米麴(秋田県産米)
精米歩合 :麹米60%・掛米60%
原料米名 :秋田酒こまち100%使用(2020年収穫 秋田県産)
使用酵母 :きょうかい6号
発酵容器 :木桶(22・23号)
醸造年度 :令和2酒造年度(2020-2021)
内容量 :720ml
価格 :1,950円(税込)
使用瓶 :六花附長筒酒入(りっかつきながつつさけいれ)
製造者 :新政酒造株式会社
所在地 :秋田県秋田市大町6丁目2-35
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
いままでは店頭で販売されているのを見たことの無かった「亜麻猫」を自分の足で酒販店さんを巡り手にすることができました。
基本的に入手困難となるお酒は「自分の足で巡る」というのが1番購入できる手かもしれません。
今回いただいた亜麻猫は、飲食店さんで飲んでいた猫さんよりも甘さがあり「味わいが変化していっているお酒」ということを肌で感じることができました。
今年発売となる「2021ヴィンテージ」も購入してその味わいを確かめてみたいと思います。
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