日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、埼玉県羽生市にある「南陽醸造株式会社」さんの醸す「花陽浴 純米大吟醸 越後五百万石」(はなあび じゅんまいだいぎんじょう えちごごひゃくまんごく)です。
今年も新酒の時期がやって来ましたね。
南陽醸造さんの新酒のスタートと言えば「美山錦(みやまにしき)」や「八反錦(はったんにしき)」から…が例年となっていました。
ですが2022年は「五百万石(ごひゃくまんごく)」からスタートとなり珍しい年となりました。
これには「何故?」という声も多く聞かれましたが、酒米の入荷順による都合があったようです。
この記事を書いている11月18日現在までの発売順は下記の通りです。
この流れで行くと、来週には美山錦の「おりがらみ」や「にごり酒」が発売されるのではないでしょうか。
美山錦は花陽浴の中でも人気な酒米ですが、数が少なく今期は「火入れ」の美山錦は発売されないとのことです。
公式サイトには
と記載があります。
これまでは「どの種類が」「いつ発売するのか?」近所の方や実際に蔵へ行ってみない限り不明となっていました。
ですが、2022年からは南陽醸造さんの公式Instagramにて発売情報を入手することが可能です。
全部の種類を集めるにはかなりの労力が必要となりますが、購入したい酒米の発売は逃さぬようにチェックしておくと安心です。
五百万石(ごひゃくまんごく)は、酒米の王様と呼ばれる山田錦に続く生産量の多い酒造好適米で1938年に新潟県で開発されました。
その特徴は、やや硬く溶けにくいお米のため軽快でスッキリとした香味になりやすいとされています。
主な生産地域は、新潟県・富山県・福井県と全国22県で生産されている酒造好適米で、収穫時期が比較的早い早生(わせ)品種になります。
そのため、新酒は「五百万石からスタート」となる酒蔵さんも多々あります。
花陽浴の五百万石は「越後五百万石」と、新潟県で収穫された五百万石を使用しています。
南陽醸造さんで醸される五百万石の種類は
と3種類あります。
五百万石は、心白が大きいけれど割れやすいといった特徴のあるお米のため50%以上の高精白が難しく大吟醸などの造りには向かないとされています。
ですが南陽醸造さんでは「精米歩合48%の純米大吟醸」として醸されており、これってなかなか凄いお酒であると思います。
実は、花陽浴の中でも「花陽浴好きな人ほど、五百万石は選ばない」と密かに(?)言われているのが五百万石という銘柄でした。
端的に言えば、あまり人気の無い銘柄(酒米)ということになります。
わたしは、昨年の2021年から花陽浴を飲み始めた新人で五百万石の花を購入するのは今回が初めて!飲むのも初になります。
「飲んだことが無いため購入した。」
というのが今回の一番の購入理由ですが、果たして実際の味わいはどんな感じだったのでしょうか?
早速、飲んでみた感想を書いてゆきたいと思います。
今回、新酒のスタート第1弾!ということで1年ぶりに南陽醸造さんへ花陽浴を買いに往復7時間半以上掛けて行ってきました(遠…)
今年は早く家を出たため8:20ごろに到着。9:20ごろに販売スタートとなりました。
この日は、
「午前は一升瓶、午後は四合瓶」
と午前と午後に分け搾り次第販売とのことでしたので、冷蔵庫がパンパンな中「一升瓶」を購入することとなりました。
現在、わが家ではなる早で飲まなければならない日本酒(四合瓶)が20本以上あります(多…)
いつもでしたら「花陽浴はもったいなくて直ぐに開けれない~」と開栓を先延ばしにするところですが、購入したその日の晩に開けました。
ですがよくよく考えたら
\新酒を搾ったその日に飲む/
というスペシャルで贅沢な体験をしたということに気付きました。
え!嬉しい。開けて良かった~。
いつもは香りを拾いやすいグラス(せんきん×UAグラス)で飲むのですが、今回は昨年、南陽醸造さんの蔵で購入した花陽浴グラスで飲んでゆきます。
そして今年は、花陽浴の升(マス)もお酒と一緒に購入してきました。
だって\自宅もっきり/をやってみたかったんですもの。
花陽浴グラスと升が揃ったのでこれがしたかったのですが…
一升瓶重い(片手)
プルプル
こぼれとる…!でも自宅もっきり最高じゃない?☺️ pic.twitter.com/vO1NrBqGIU
— ねこと日本酒🐈🍶@なかのひと (@neko_nihonsyu) November 9, 2022
ヤバないですか?
自宅でこれって、酒呑み憧れじゃないですか?
こちらのグラスと升は、埼玉県にある南陽醸造さんの酒蔵で購入できますので行く予定のある方はぜひ!!(お土産にもヨシ!)
ひとりでキャッキャしながら飲んでゆきたいと思います。
パイナップルな香り。
うん、花陽浴ってこうだよね!と思いました(語彙力…)
このグラスだと、いつものグラスほど香りが拾えませんので致し方なし。
口当たりやわらか!
え!
めっちゃ柔らかいのですが?
くどさのないパイナップルでスッキリし過ぎずに、とっても柔らかくて好きです。
え?美味いのだが?
ほわ~んとか、ふわ~んとした感じで苦味もゆるやかです。
美味しいです!
これを飲まないでスルーしちゃった人が居たのならばモッタイナイ。それくらい美味しいお酒だと思います。
昨年の新酒で美山錦のおりがらみを飲んだ時に「野性のパイン!」とそのワイルドさに花の難しさを経験したわたしですが、五百万石めっちゃ柔らか。
落ち着きのある甘さと味わいでドンドン飲めちゃいます。
うまーい。
年によって味わいに違いがあるのでしょうか?
搾ったその日に飲んだから?
とにかく美味しくて盃が進みます。
そうこう飲んでいる内にグラスが空いたので、升にこぼしたお酒を空いたグラスに移します。
飲んでみると、めっちゃヒノキ!
升のヒノキの香りがお酒にうつって、正しくヒノキの味わいがプラスされました。
面白い!&楽しい!
まだ新しい升なので、うつる味わいも濃いめです。
木のスッキリした感じがまた、やわらかなパインに合います。
なにこれ楽しい!
ここら辺からメモをしている文字がゆらゆらしていますね。
サラダと一緒だと(3種類)どれも合うし、美味しい。
変な邪魔など何もない。
じゃがまるポテトはマヨネーズに合う!とてもうまい。
メモはここで途切れておりました…(飲み過ぎ)
今思い返すと「料理にも合う」お酒ということを追記しておきます。
他のお酒も飲んでいる関係上、気付けば開栓してから6日が経っていました。
一升瓶を入れるスペースがなく、冷蔵庫の両開きの扉の真ん中のスペースに立てて保管をする荒業をしていました。(伝わるのだろうか…)
実は今回、昨年買えなかった「花陽浴の酒粕」を購入したためその酒粕で「粕汁」を作って花陽浴のお酒と共にいただこう!と思いまして。
こちらの酒粕は通常の板状のものではなく、トロトロで香り高いバージョンになっています。
最初からトロトロなので料理にも最適!
甘酒も考えたのですが、甘酒は甘いので作っても飲めなそう…とやめました。
わたくし、甘いモノをさほど好まない酒飲みでございます。
ひと口で良いの。甘いモノは…
そんなこんなで料理が出来る前に、まずはお酒単体で味わってゆきたいと思います。
王冠を開けると、ジュ~~~~ッポン!と良い音が鳴りました。
5日間開けていなかったので、一升瓶の中で酵母が活発になったようです。
パインですが、やわらかな香りがします。
スッキリさはありません。
うんま!やわらかーーーーーい。
甘みもやわらかく、優しいパイン。
後口にはしっかりとした強さがありますが美味しいです。
初日よりも、後口にスッキリさと苦味が少し出たかしら?ですが悪い感じは一切ありません。
飲み口のやわらかな甘みが本当においしいです。
今夜は、花陽浴の酒粕で作った粕汁と秋刀魚と共にいただきたいと思います。
秋刀魚を食べてから飲んでみると、ジワッと甘みがしっかりしました。
苦みも顔を出しますが、基本は柔らかです。
粕汁は、当たり前ですが相性抜群です。
甘みがやさしくなり美味しいです。
続けて飲んでいると、お酒にジューシーさを感じるようになりそれもまた美味しい。
特に粕汁!合い過ぎなのだが?
飲んで食べてると、さんまも苦味が気にならずにお酒と共に美味しくいただけます。
やっぱり旨いヨ!五百万石。
昨日に引き続き、粕汁(2日目)と共にいただきたいと思います!
酒粕を結構使ったつもりですが、まだまだあるためまた粕汁を作らねば…!
香ってみると、少し熟したようなパインの香りがします。
これまでとはまた違った印象です。
甘みから入りますが、明らかに強さが出ています。
あんなに柔らかかった花陽浴は居なくなってしまったの?
一升瓶で冷蔵庫保管なので、早く飲み切るべきなのでは?といった印象があります。
パインに硬さ?ワイルドさ?が少し出て、後口に向けスッキリキレさも出ています。
あと熟した感じもあり味わいに濃ゆさが出ています。
今日は粕汁と梅の実ひじきご飯と共にいただきます。
梅の実ひじきを食べてから飲んでみると、合います!
甘みにジューシーさが出て強さが影を潜めました。
これはお酒単体で飲むよりも料理と一緒が良さそうです。
粕汁を食べてから飲んでみると、スッキリ酸味感がUPしました。
こちらもまた美味しいです。
特に、太宰府えとや 梅の実ひじきと一緒だとジューシーパイナップルでとってもおいしいです。
熟した感じも影を潜め、フレッシュに飲むことが出来ます。
残りも少なくなり、今日で飲みきりになります。
一升瓶はひとりで計4日間で飲み切れることが分かりました。
1日1杯ずつ飲んで変化を楽しむ!とかもやってみたいのですが、いかんせんしっかりとした保管スペースが無いため今回は諦めます。
香ってみると、パインな香り。
香りについてパインしか言っていないとか言っちゃダメですよ?
飲んでみると、キュ!っとした酸味。
あれ!前回より明らかに美味しくなっています。
パイン飴のような甘さ(ベタつきなし)が広がった後に、スッキリな酸味と苦味。
キレでは無くて爽やかさ(清涼感)があって美味しいです。
今日は、秋鮭ときのこのホイル焼きと共にいただきます。
鮭を食べた後に飲んでみると、甘みUP!
単体で飲んだ時に感じた酸味よりも当初の優しさが出て美味しいです。
たっぷりな甘みがとっても合います。
このお酒、鮭に合います。
続けて飲んでいると、飲み口に柔らかさが出て、やわらかでたっぷりな甘みもあり後口スーーーッとおいしいです。
開栓7日目に「あれ?」と感じたあの味わいはどこへやら…
夢でも見てたの?と言うくらい旨いです。
うーん。
本当においしい。
ジューシーでたっぷり感、そしてやわらかくキレさなど無い。
今日の献立にどストライクな味わいでした。
そんなこんなで、飲み切ってしまいました。
初めての花陽浴 純米大吟醸 五百万石。
とっても美味しかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「やわらかくて美味しい。開栓後の味わいの違いも楽しめて面白い」と思った日本酒でした。
ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
わたしは飲んでみて、これまで目にしていた口コミとは異なり「花陽浴の中でもかなり好き。また飲みたい」と思った味わいでした。
全種類は飲んだことが無いため、これまで飲んできた花陽浴と比べるしかありませんが、純米大吟醸の山田錦よりも柔らかくて飲みやすくて好きです。
そのため、初めての人にも飲んで欲しいですし、これまで五百万石はうーん…と思っていた方にもぜひ飲んでもらって感想を聞きたいなぁと思いました。
ですが、味わいの好き・嫌いは人それぞれ。
同じ花陽浴という銘柄の中で、自分の好きな酒米を見つけるのもとっても楽しいかと思います。
パイナップルな印象は共通しますが、酒米によってその味わいは全然異なりますので、ぜひお気に入りの1本を見つけてみてください。
今回、新酒第1弾のスタートはTwitterのフォロワーさんに教えていただき蔵へと買いに行くことができました。( ´人` )いつもありがとうございます!
南陽醸造株式会社さんの新酒は、
といった感じでの発売となります。
※新酒の販売が終わった夏の期間は上記とは少し異なります。
そのため、
といった方法で購入することができます。
お近くの特約店さんなど、詳しくは下記の記事に書いていますので参考にしてみてください。
\花陽浴の特約店・入手方法は?/
そして、これまでは「いつしぼるのか?」不明でしたが南陽醸造さんがInstagramをスタートしたことにより分かるようになりました。
酒蔵が遠い人にとってはとってもありがたいことだと思います。
ですが酒蔵さんへ直接買いに行く際は「近隣の迷惑になるため、朝7時より前に並ぶのは禁止」という決まりがありますので迷惑を掛けぬよう、ご注意ください。
秩父鉄道の新郷駅の看板がリニューアルされていました。
秩父鉄道は切符のみだったのがIC対応になっていました。
また、昨年は4合瓶を1人2本購入することが出来ましたが、今年は「おひとりさま一升瓶か4合瓶を1本まで」となっていました。
何度も並んだり、ずるなどはせぬよう多くの方が買えますようにお願いしたいと思います( ´人` )
品目 :純米大吟醸 無濾過生原酒
アルコール分:16度
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)
使用米 :越後五百万石100%使用
精米歩合 :48%
内容量 :1800ml
価格 :3,900円(税込み)
公式サイト :http://www.nanyo-jozo.com/
今回、2022年の新酒のスタートとなる緑ラベルの五百万石を購入することが出来ました。
ですが昨年の花陽浴が数種類、日本酒セラーに眠っているため今年の花陽浴はもう追い掛けないぞ!と思っております。
他の購入できた花陽浴に関しては、1年熟成となってしまいますが飲み次第また感想を書いてゆきたいと思います。
今年はもう追い掛けないぞ!(2回言う)
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