日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県仙北郡美郷町にある「合名会社 栗林酒造店」さんの醸す「春霞 純米吟醸 六号酵母」(はるかすみ じゅんまいぎんじょう ろくごうこうぼ)です。
栗林酒造店さんの醸す日本酒「春霞」は「はるかすみ」と読み、はるがすみではありません。
1874年(明治7年)に創業した酒蔵さんで、秋田県の中央部に位置し秋田の中でも豪雪地帯に栗林酒造店さんはあります。
元々は地元出身の「亀山精司」さんが杜氏を務めていましたが、2008年に杜氏を引退されその後は代表社員となる「栗林直章」さんが酒造りを行っています。
いわゆる「杜氏のいない酒蔵」さんです。
その仕込み蔵自体の造りも珍しく「一本蔵」と呼ばれ、入口から長細く奥まで続きます。
手前から「酒米を蒸す場所」「麹室」「仕込み場」「貯蔵庫」と続き酒造りの導線としては適した造りになっているのが特徴です。
そして美郷町は水が豊富な町で、その六郷湧水群は全国名水百選にも認定されています。
各家庭でもこの地下水を汲み上げ利用するため「水道代はかからない」というお話を栗林さんがされていました。
水の特徴は軟水で、このやわらかくてまろやかなお水は酒造りの仕込み水としても利用されています。
また、春霞のお酒のほとんどは秋田県のオリジナルの酒米「美郷錦」にて醸されます。
地元の湧き水と地元産の美郷錦で醸される日本酒が春霞という日本酒の特徴となります。
春霞の栗林さんと言えば「NEXT5」(ネクストファイブ)と呼ばれる秋田の蔵元集団のメンバーのおひとりです。
日本酒好きな人であれば聞いたこともあるのではないでしょうか?
という5つの蔵元さんで結成され「共同醸造酒」として醸される日本酒は、毎回ほぼ予約時点で完売するなど日本酒好きな人にはたまらないお酒となっています。
わたしがNEXT5を知ったのは2020年にねこと日本酒のサイトをスタートしてからになります。
それまで新政酒造さんは知っていましたが、他の蔵元さんもその醸す日本酒も全く知りませんでした…。
そのため、NEXT5さんの日本酒はまだまだ飲んでいないお酒がたくさんあります。
そして今回、栗林酒造店さんの日本酒初飲みとなるのがこちらの春霞オレンジラベルのお酒です。
\関連記事/
春霞の日本酒はたまに見掛けることがありましたが、手に取る機会がありませんでした。
それは
という理由からです。
わたしにとって、初めての日本酒はラベルが結構重要な要素のひとつなので「男らしさを感じる」日本酒はなかなか手に取ることができません。
(特に髭文字は苦手…)
ですが今回「6号酵母」を使用している春霞を発見し「飲んでみたい!」と思い手に取ることとなりました。
6号酵母と言えば、新政酒造さんの醸すNo.6(ナンバーシックス)が頭に浮かびますが購入時に「新政の6号酵母とはイメージが違うよ」と酒屋の店主さんに言われました。
どうやら同じ6号酵母を使用しても、造り手によって味わいが全く異なるようなのです。
なるほど。
それもまた楽しいのが日本酒ですよね!
秋田県の内陸、奥羽山脈の麓に酒蔵を構える「春霞」。
当蔵はこの山脈の雪解け水に端を発する、良質で柔らかな地元の水を用いた酒造りを大切にしております。
春霞のラインアップの中で唯一、秋田発祥の”六号酵母”で仕込んだ限定醸造酒、ぜひ美郷・六郷の豊かな風味をご堪能下さい。
と記載されていました。
こちらのオレンジラベルは春霞の中ではイレギュラーとなる1本のようです。
調べてみると「春霞ラベル」「季節限定酒」があるようで、酵母も通常は「9号系の酵母」そして蔵付き酵母となる「亀山酵母」を使用し醸されています。
ちなみに、亀山酵母は長年杜氏を務めていた亀山精司さんの名前から取り名付けられました。
基本は2種類のベーシック酒と、2種類のプレミアム酒になります。
まず春霞のお酒を飲むのであれば「緑ラベル」。
美郷錦で醸すスタートとなったお酒なので、まずはこちらを飲んでいただきたいと栗林さんがお話されていました。
季節によって「生酒/火入れ」と発売されるので、緑ラベルの生酒を飲んでみたいなぁと思いました。
季節によって異なる味わいを楽しめるお酒です。
といった日本酒が限定で出荷されます。
使用される酵母の違いなど詳しく知りたいあなたは、公式サイトに記載がありますのでぜひ見に行ってみてくださいね。
栗林酒造店<銘柄:春霞>
https://harukasumi.com/harukasumi/
初の春霞のお酒は「6号酵母」を選んでしまいましたが「美郷錦×6号酵母」という新政好きのわたしからするとときめく組み合わせです。
今回は火入れなので、新政さんの日本酒で言うと「ヴィリジアン」が思い浮かびます。
ですが新政とは異なり「日本酒らしく、キレや食中酒としておいしいお酒」という前情報をもらっています。
実際どんな味わいなのか?
ワクワクしながら開栓してゆきたいと思います。
いつもは仙禽さんの「雪だるまグラス」で飲むことが多いのですが、今回はこちらのうすはりグラスで飲んでゆきたいと思います。
※雪だるまグラスはお酒の香りが広がるので、香りの情報を拾いやすくなります。
香ってみると、うん、香りません。
元々6号酵母は穏やかで「あまり香らない」酵母なので、こちらのグラスだと余計に香りがわかりませんでした。
でも、このグラスで飲みたかったんです!(気分的に)
甘みや酸味がありますが、日本酒らしいお米のキレ感もあります。
ですが、酸味の柑橘のような爽やかさがあるので美味しくいただけます。
「食中酒として良い」というのが分かります。
キレがさわやかで、最後舌にチリっと酸味が残ります。
重たい感じが無く「わたし、今こういうお酒呑みたかった」と思いました。
本日の晩ご飯は、餃子とねばねばサラダ&マヨサラダです。
(こちらの日本酒を購入したのは8月で、飲んだのは9月になります)
餃子を食べてから飲んでみると、甘みからのキレ感が増しました。
サッとスッとキレてゆきます。
そして後口にはお水の綺麗さが残ります。
ねばねばサラダは、納豆が合わないかも!
納豆に合う日本酒もありますが、こちらの春霞は合いません…。
マヨサラダと一緒にいただくと、甘さが美味しくなりました。
やわらかな甘さで、後口はキレからのスーッと感で美味しいです。
餃子はジワジワ感が出て、飲んでいると「お刺身」に合いそうな日本酒だなぁと感じました。
今日の料理の中では「マヨネーズ」が1番合いました。
【マヨネーズ×日本酒】
甘味がUPする日本酒が多いので好きなんです。
この時期はいろいろな日本酒を開栓していたので、少し長めの冷蔵庫保管となりました。
火入れの日本酒は生酒よりも味わいの変化が緩やかだと思うため、開栓後も安心して保管できます。
早速飲んでいってみましょう。
なるほど、メロン!
今日は雪だるまグラスにしたので、しっかり香りをキャッチすることができました。
飲み口さっぱり。
軽さを感じながらのジュワ―っと酸味感、そしてメロン感が広がります。
嫌な感じの変化はない&味わいが抜けたような感じもありません。
とても飲みやすいです。
美味しくスイスイ飲めて、柔らかな口当たりと穏やかな甘さがあります。
鮭ときのこのホイルバター焼きは、合う!
とても美味しく食べれます。
甘酸のバランスが良くなり、さわやかおいしい。
後口はさっぱりします。
マヨサラダとも合います。
食中酒としてとっても優秀な日本酒だと思います。
初日と違って、今日はキレ感をほとんど感じませんでした。
めちゃくちゃ美味しいです。
料理の邪魔など何もありません。
開栓後は1日で飲み切らずにゆっくり飲むのが良いかもしれませんね。
美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「食中酒として、寄り添ってくれる!」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
春霞のオレンジラベルは、華やかではなく穏やかで開栓初日はキレ感があり冷蔵庫での熟成でより味わいが馴染むような日本酒でした。
そのため、新政酒造さんの日本酒を思い浮かべるとかなり個性が異なります。
ですが、食中酒として料理と一緒にお酒を愉しみたい人にはピッタリの日本酒かと思います。
「なじみ深く身近な1本」
と言ったイメージでしょうか。
造り手により味わいの異なる「6号酵母 × 美郷錦」のまた違った表情を見てみたい人にもおすすめの日本酒です。
栗林酒造店さんの醸す日本酒は「特約店」さんにて購入が可能です。
公式サイトに買える店がまとめられていました。
また、J.S.Pに加盟しているため下記のページでも一部の特約店さんをチェックすることができます。
そして、ネット販売を行っている酒販店さんもあります。
例えば
なお、春霞のオレンジラベルは限定醸造酒のためタイミングが合わないと購入できないかもしれません。
わたしが購入したのは2021年の8月「火入れ」バージョンでしたが「生酒」もあります。
春霞というお酒を知りたい場合は、まずは「緑ラベル」や「赤ラベル」から飲んでみるのも良いかもしれません。
品目 :日本酒(純米吟醸)
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
使用米 :美郷錦100%
精米歩合 :55%
アルコール分:16度
酵母 :K-601(六号酵母)
内容量 :720ml
価格 :1,540円(税込み)
公式サイト :https://harukasumi.com/
Instagram :https://www.instagram.com/sake.harukasumi/
今回はじめて春霞の日本酒をいただきました。
新政酒造さんの日本酒が大好きなので「六号酵母」に惹かれ購入しましたが、その味わいは全く異なることが分かりました。
そして、料理に寄り添ってくれる「食中酒」であるということも分かりました。
UTAGE(ウタゲ)のyoutube番組では、新政酒造の8代目蔵元・佐藤祐輔さんが「栗林さんのつくる美郷錦は奥深くてまろやか」と仰っていました。
その言葉に惹かれ、UTAGEで発売された春霞日本酒も購入しましたが「緑ラベル」をまず飲まなくては…と思っている今日この頃です。
Youtube番組では栗林酒造店さんの蔵見学の様子も楽しめますので、まだ見ていないあなたはぜひチェックしてみてくださいね。
JSP UTAGE 春霞
https://www.youtube.com/watch?v=Mf3WkcJGoZs
\関連記事/