日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、栃木県小山市にある「小林酒造株式会社」さんの醸す、「鳳凰美田 初しぼり 純米吟醸酒」です。
今回頂いたお酒は、小林酒造さんの醸す「鳳凰美田 初しぼり 純米吟醸酒 無濾過本生」(ほうおうびでん はつしぼり じゅんまいぎんじょう むろかほんなま)です。
鳳凰美田(ほうおうびでん)と言えば
といった酒質のお酒で「大好きだ!!」という人も多いのではないでしょうか。
初しぼりは「新酒」のしぼりたてのお酒。
新酒のフレッシュ感と、酒温があがるにつれて膨らんでくる甘み。
若い白ブドウやライチの様な香りと、その中でも特に新酒ならではの麹のタッチなどを楽しめるお酒となっています。
鳳凰美田の中では「甘みがありスッキリしている」系統のお酒です。
鳳凰美田と言えば、香った瞬間に「あ!鳳凰美田だ」と分かる芳醇な香りが特徴となっています。
この香りはどうやって出しているのか?
その答えは小林酒造さんのInstagramにて解答されていました。
オリジナル酒母で出来たお酒はタッチが早く、香りもあって引きも早い特徴があります。
丁寧に造っている麹や酒母由来の香りももちろんありますが、酒母(しゅぼ)が違います。
お酒の母と言われるほど大事な工程なのですが、恐らくこの造り方をしているのは私たちだけだと思います。
とのこと。
なるほど、酒母が違うのですね。
酒母とは、酒母用タンク内に(200リットル程度)蒸米・麹・水を投入して酵母(こうぼ)を培養した液体のことを言います。
酒母造りの主な目的は「アルコール発酵に必要な酵母を培養」することです。
日本酒造りの大きな流れとして
という流れで日本酒は製造されています。
そして、酒母造りには大きく分けて2つ「乳酸添加法(速醸系酒母)」と「乳酸育成法(生酛系酒母)」があります。
こちらは近代的な手法で「醸造用の液体の乳酸」を添加して酒母を造る方法です。
酒母用タンク内をすぐに酸性化できるため、不要な微生物を淘汰でき安全に酒母造りができます。
また、さまざまな微生物の活動を抑制できるため「軽快な酒質」に仕上がりやすくなります。
市場に出回っている90%の日本酒はこの速醸系酒母で造られ、出来上がりも10日~2週間で完成させることができる手法です。
新政酒造さんや仙禽(せんきん・オーガニックナチュール)と言えばわかりやすいでしょうか。
乳酸菌を添加せずに「蔵付き酵母」(蔵の中に存在している酵母)に全てをゆだねて酒母を造る方法です。
生酛(きもと)の特徴としては、蒸米に水を加えた後に半日~1日経った時点でお米をすり潰す作業(酛摺り/もとずり)を行います。
明治時代までは全ての酒蔵さんで行われていた手法ですが、手間やコスト、時間がとてもかかり、不要な微生物も繁殖するというリスクがあります。
そのため、安全かつ時短にもなる乳酸添加法(速醸系酒母)が開発されてからは、生酛をやめてしまう酒蔵さんがほとんどでした。
ちなみに、乳酸育成法で酛摺りをしない製法を「山廃酛(やまはいもと)」と呼びます。
乳酸育成法(生酛系酒母)の完成には、生酛も山廃酛もおよそ4~5週間の時間が必要となります。
以上が酒母造りの簡単な説明となります。
鳳凰美田の日本酒造りには「オリジナル酒母」の造り方を採用されているため上記とはまた違ったものとなっているのでしょうか?
その秘密は明かされていないため、わたしたち飲み手は鳳凰美田の香りや味わいを存分に愉しむのが正解かもしれませんね。
これだけいろいろと書きましたが、わたくし鳳凰美田の日本酒を飲むのは初めてとなります。
今まで、鳳凰美田のリキュール(いちご、桃)は飲んだことがあり大好きなお酒となっていましたが日本酒は初めて…。
なにせ、種類が多くて何から飲んでいいのかわからない!
という状況に陥っていたためです。
はじめて飲む銘柄の日本酒で毎回悩むテーマとなっています。
酒屋さんで相談しながら購入するのが一番ですが、特約店さんが近くに無く、ネットで購入という流れとなるため今回は他のお酒と一緒にお試し感覚で購入してみました。
初・鳳凰美田、さっそく開栓していきます!
グラスに注ぐと、とてもいい香り。
香り高くフルーティーでジューシーな厚みを感じます。
白桃や白ブドウのようなみずみずしさを思わせる香りです。
グラスの内側にはトロリとお酒の跡がしっかり付きます。
香りの印象からして「濃厚なのかな?」と思いました。
ですが、口に含むとみずみずしさがありキレイ。そして甘さが丁度良い。
かわいい甘さ。軽やかさのあるキュートな甘さです。
でも厚みがあってボリューム感を残していきます。
これは美味しい。
デザート日本酒のようでありつつも、くどすぎずにキレイな旨みが残る感じです。
じっくり味わって飲みたくなるようなお酒。
フレッシュな酸味も感じて、とてもおいしいです。
ペアリングは特に考えていませんでしたが、今日の晩御飯と一緒にいただくと…
甘みがマッチして美味しい!
なかなかの相乗効果です!
お互い邪魔などせずにおいしい。一緒にずっと食べられます。
美味しいお酒を飲んだらシェアしたくなりますが、これは本当にシェアしたい1本です!
何度飲んでも美味しい~。
飲む度に、そのキレイさに驚きます。
わたしが好きな酒質より「濃厚・濃いめ」ですが、これは美味しい。
最近はいろいろな銘柄のお酒を飲むようになりましたが「これは当たり」と思った1本です。
口に含んだ時のアタックが好みです。
一瞬ふかっとしたマシュマロに包まれるような…とにかく当たりが気持ちいいです。
ファーストインプレッションで心を掴まれる感じ。あります。
すき。
開栓前は、SAKE CABINET(日本酒セラー)でマイナス5℃管理。その後は、冷蔵庫の野菜室にて0℃で保管をしていました。
香ってみると、やはりいい香りがします。
口に含むと、甘みが増してる!
ジューシーで甘みがすごい!
白桃のような甘さで、やさしさもあり、最後に舌にジワッと濃厚さが残ります。
おいしい~。
舌に感じる甘みが旨い!改めて好き。
わが家の定番おかず。
セブンイレブンの冷凍食品「和風にんにく風味 海苔巻きチキン」に見た目がそっくりなのですが、わが家の海苔巻きチキンは「醤油味」です。
醤油が合う!
甘さがUPして美味しいです。
サラダのトマトの酸味にも、お酒の甘みが合います。
マヨネーズも甘さがUP!
鳳凰美田 初しぼりは料理と合います!
きれいな甘さ。さわやかさのある甘み。
ジューシーさもあり美味しい!
大満足のまま最後までおいしくいただくことができました。
おいしかった~
ごちそうさまでした♪
わたしは、ひと口飲んで心を掴まれた日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは、
です。
ですが、
「他とひと味違う、甘さと旨みのあるフルーティーでキレイな日本酒」
を体感したい人にはお勧めです。
鳳凰美田(ほうおうびでん)は美味しい!と人気のある銘柄ですが、わたしも中々手に取ることが出来ませんでした。
という理由からでしたが、今回実際に飲んでみて「これは人気なの、解る」と思いました。
「こんなに美味しいの?」
と思いました。
ですが、2本目にまだいけていません。
1本目がおいしすぎたので、次は何を飲んでいいのか…
きっとどれも美味しいんだろうけど…
誰か…アドバイス求ム…(涙)
鳳凰美田の日本酒は、蔵での直接販売など行っていません。
また、小林酒造さんは公式HPを「作成中」とのことで、公式サイトを見ることもできません。
これは小さな酒蔵さんなので、日本酒造りに集中しているためです。
ではどうやって特約店を探すのか?
小林酒造さんの公式サイトにて、画像で購入できる正規特約店さんの案内がありました。
または、
「鳳凰美田 特約店」
「鳳凰美田 東京(地名)」
といったキーワードで、GoogleやYahoo!検索をするとネット通販を行っている特約店さんを見つけることも可能です。
わたしも近くに特約店さんがないため、ネットで購入しました。
いまでやオンラインさんであれば「鳳凰美田の限定酒」も扱っているためおすすめです。
ちなみに、小林酒造さんのInstagramのQ&Aにて
と紹介されていました。
参考にしてみてください。
特定名称 :純米吟醸酒
原材料名 :米(国産)米麹(国産米)
原料米 :五百万石100%使用
精米歩合 :55%
アルコール分:16度以上17度未満
内容量 :720ml
価格 :1,760円(税込み)
製造者 :小林酒造株式会社
所在地 :栃木県小山市大字卒島743-1
公式サイト :https://hououbiden.jp/
Instagram :https://www.instagram.com/hououbiden/
リキュール造りにも力を入れている鳳凰美田。
絶品のその日本酒をあなたも一度味わってみませんか?
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