寒くなってくるとほっこりできる「熱燗」が飲みたくなりますよね。
え?「日本酒は冷やして飲むのが旨い?」
確かに、「熱燗はすきじゃないけど冷やした日本酒を飲むのは好き!」という人も現在は多いのではないでしょうか。
わかります。熱燗はなんかおやじ臭いし、ツーンと辛いアルコールのイメージもあって好みでない人も多いかもしれませんね。
ですが、寒い冬に「ほわぁ~」っと温まってほっこりできたり、夏のクーラーガンガンで冷え切った体や冷たい飲み物で疲れた胃腸を「やさしくいたわってくれる」と聞いたら興味がわきませんか?
ここでは、ワンランク上の燗酒を楽しむ方法をご紹介します♪
熱燗はおいしいヨ♪
お店で「熱燗ください~」と言うと、何度で出てくるか知っていますか?
熱燗(あつかん)とは「50度」に温めたお酒のことを言います。ですので熱燗と注文して出てきたお酒は「50度」のことがほとんどです。
実は日本酒をお燗する時に「温度帯」と言うものが存在します。
日本酒は温めると、お米本来の味わいのふくらみが増しますが、熱くすれば熱くずるほどアルコール臭が際立ってきてしまい辛さを感じてしまいます。
そのため、「熱燗=熱ければ美味しい」と言うわけではありません。
また、日本酒によっては「ぬる燗が一番おいしい温度帯」というものや「飛び切り燗にしたほうが絶対美味しい!」というものが存在し、実はその日本酒によって美味しい温度帯が異なります。
日本酒にこだわっているお店では味見や酒造さんの意見を参考にし「そのお酒」に合わせて一番おいしい温度帯で提供してくれることがありますが、「熱燗=50度」で提供するお店がほとんどです。
同じお酒を飲むなら、そのお酒に合わせて一番おいしい温度帯で飲みたいですよね。
50度ではない熱燗、試してみたくなりませんか?
実際に、2種類のお酒を試してみましたので「熱燗をより美味しく飲んでみたい!」と言う人は参考にしてみてください。
「電子レンジじゃだめなの?」
「えー徳利(とっくり)じゃだめ?」
「酒かん計持ってないんですが…」
もちろんダメではありません。
電子レンジでも、徳利でも美味しい燗酒(かんざけ)を作ることは可能です。
ですがここでは「ワンランク上の楽しみ方」ですので、あえてこの3つで紹介させてください。
鍋はある程度の深さがあれば基本的になんでも大丈夫です。
わたしは丁度ちろりの取っ手が引っ掛かる鍋の深さを選びましたが、ちろりが2/3ほど浸かる深さの鍋であれば温めることが出来るので問題ありません。
温めた日本酒の温度を計る温度計です。
Amazonなどで購入ができますが、酒かん計(おかんメーター)にも種類があり計れても40度(ぬる燗)前後~60度(飛び切り燗)前後のものがほとんどです。
わたしは、いろんな温度帯を計りたかったので「雪冷え~飛び切り燗」まで計れる「片力商事 日本酒計 PY-130」を選びました。
ちなみに、
という温度帯もあり、冷蔵庫から出した日本酒は大体10度~15度の間の温度帯となります。(大体12度くらい)
メリットは、
となりますが、デメリットもあります。
デメリットは、
となります。
お酒の温度を計る用で、他の料理ではあまり使えません。
ちなみに、電子のクッキングメーターであればさまざまな料理にも利用できますが、電子の場合は瞬時に温度を表示してくれません。(温度を計るのに時間がかかる)
リアルタイムで温度を確認したい日本酒用としては不向きとなりますので注意が必要です。
一番は、熱伝導がよく温度変化のしにくい「錫(すず)のちろり」が良いのですが…なにせお高い。(1万~2万)
わたしはアルミ製のちろり「アルミ 酒タンポ 2号 籐巻」を選びました。
1号もありますが、2号のほうがサイズが大きめです。取っ手に籐が巻いてあるので温めても熱くなくやけどをする心配がありません。
「徳利」ではなく「ちろり」を選ぶ理由は、
という理由からです。
あと、酒燗計で温度を計りたいので口の広いちろりは計りやすいから…というのも理由になります。
ちなみに、錫のちろりの場合は「錫に殺菌効果があり、お酒がよりまろやかに美味しく感じる」という効果があります。…なんですかそれ。ワクワクしかありません。いつかは違いを試してみたいと思います!
燗酒を作る際、電子レンジ・湯煎・直火と温め方は複数ありますが、ワンランク上の燗酒は「湯煎」で温めます。
電子レンジは温度にムラができやすく、直火は温めすぎるとアルコールが揮発して刺激の強い辛い酒になりやすいためです。
湯煎の方法は簡単です。
ポイントは、「希望温度の少し手前位で取り出すこと」です。ピッタリの温度で取り出してしまうと「ぐい~」っと温度が上がっていってしまいます。
湯煎でも、つけていると温度はどんどん上がるので温度は見ていてあげてくださいね。
ちなみに、水の沸点は100℃ですが日本酒は78.3℃と水より低くなります。
つまり、沸騰したお湯にすぐ浸けてしまうとちろりが急激に加熱されて内壁に接しているお酒のアルコールの揮発が高まり刺激の強い「辛み」を感じるお酒ができてしまいます。
そのため沸騰が落ち着いた80℃前後に浸けてあげると一番まろやかな燗酒に仕上がりやすくなります。
1本目は仁井田本家さんの「しぜんしゅ 燗誂(かんあつらえ)純米酒」です。
先日の「にいだの感謝祭オンライン(インスタライブ)」を拝見してファンになり購入した「にいだヒーローズ(6本セット)」のラインナップの1本です。
仁井田本家さんは、福島県郡山市にある酒造さんで「日本の田んぼを守る酒蔵になる」をミッションとして全量自然米・全量純米造りの酒蔵として日本酒を醸しています。
にいだヒーローズは1本160mlのビンのため「ビンのまま燗に出来る」お酒となっています。楽チン!
冷蔵庫から出した状態の温度です。
「お燗用のお酒」と聞いていたので飲んでみてびっくり!そのままでも十分美味しいです。むしろ美味しいです(語彙力)
花冷えのほうが美味しい…!涼冷えよりもキンキンに冷えていたほうが美味しいというのがわたしの感想です。
ちょっと膜がかかった丸みを感じる味です。
辛さが出てきたように感じました
香りがでてきました。やさしい香り
浸けてる間に温度が通り過ぎてしまったので、一旦55℃まで上げて40℃に下がった時の感想になります。
あたたかい。人肌燗よりもおいしい。旨みを感じる。
香りにとげがちらりと顔をのぞかせるけど、お酒に丸みが出て辛みが消えてまろやかな感じに。
やさしい。おいしい。
お酒に辛みが出て、アルコール感がある。よくある「熱燗」のイメージで香りにもアルコール感があるツーンとくる香り。
でもおいしい!
まろやかさと辛みのバランスが良い!
でもさっぱりした感じでスッと抜けていくのでスイスイ飲めちゃう。
いままで飲んだことのある「燗酒用です」といった日本酒とは違ったイメージで、冷蔵庫から出した冷たい状態のままでもとても美味しかったのが印象的な日本酒です。
わたしが一番好きだった飲用温度帯は「【45度】上燗(じょうかん)」。
そして意外にも「【55度】飛び切り燗(とびきりかん)」も美味しくいただけることが分かりました♪
仁井田本家さんのしぜんしゅ 燗誂(かんあつらえ)、とても楽しめました!これはまた飲んでみたくなる日本酒でした。
仁井田本家【公式】 | https://1711.jp/ |
仁井田本家【ネットショップ】 | https://niida1711.shop/items/5b0ce9d8434c720422001586 |
2本目は、三輪酒造さんの「神雷(しんらい) 秋上がり生酛純米酒」です。
三輪酒造さんは初めましての日本酒で、酒屋さんに行った際に「お燗用のお酒、秋を感じるお酒」のオーダーで出してくれた日本酒です。
広島県神石郡神石高原町にある小さな蔵が造っているお酒ですがこのオーダーにはぴったりの日本酒とのことで、50℃くらいまで上げて飲むのがおすすめ…とのことでした。
ラベルの雷神さまも杜氏の三輪さんご本人が書かれていると!Facebookを拝見しましたが、かわいくて繊細なイラストが投稿されているので楽しめます♪
冷蔵庫から出した状態の温度でしっかり計ったら12度でした。
口に含むとお米の甘さをふわっと感じる。お米のふくよかな香り。
後味は少しさっぱりとした感じで、辛みが少し舌に残る。「燗にしたらおいしくなるな…」と思わせる感じあり。
少し香りがでてきた。燗酒としては物足りない温度。
味が濃くハッキリしてきた印象。香りもふくらんだ香りに変化。
辛さが少し増し旨みも出てきた。
おいしい。辛さが少し落ち着き、旨みも増してきた。あたたかくてホッとする。
おいしい。香りが良い。温度も良い。スルスル飲め甘みも感じるがさっぱりしていて辛すぎない。
香りに甘みをふわっと感じ、味は甘さよりもキリッと感が増える。まったり飲める。
香りはとても良い。口に含むと甘さを感じるが辛さとスッキリ感に変わる。
おいしいけど、アルコール感も強く感じる。
仁井田本家さんの燗誂えとは違い、神雷は「お燗して旨い酒!」といったイメージの日本酒でした。
スッキリ、キリッと、辛口といった日本酒や燗酒らしいお酒が好きな人にはこちらがおすすめです。
個人的には、「【40度】ぬる燗(ぬるかん)」「【45度】上燗(じょうかん)」あたりの温度帯があたたかくてホッとできたので好きでした。
三輪酒造株式会社【公式】 | http://shinrai-1716.com/ |
三輪酒造株式会社【商品注文】 | http://shinrai-1716.com/syohin-cyumon.html |
※神雷(しんらい) 秋上がり生酛純米酒は9月~11月ごろにリリースされる秋酒で「季節限定商品」のため上記のサイトからは注文できませんのでご了承ください。
今回は、
の2本をさまざまな温度帯の燗酒にして愉しんでみました♪
やってみた感想は「本当に楽しい(* ´ω` *)」です。
日本酒によってより美味しく感じる温度帯が違うのと、個人によっても感じ方は全然違うと思うのでちろりが無くても「酒かん計」1本あればいろいろな温度帯を楽しむことが出来ます。
「今までレンジでチンしかしたことない!」
「温度によって味が違うとか知らなかった!」
というあなたはぜひぜひ試してみてください。
お燗をするなら旨みやコクのある「純米酒」や軽快でなめらかな「本醸造酒」などがおすすめです。
ちなみに、燗酒に向かないお酒は「吟醸系」の「フルーティーな香り高い」日本酒です。温めると香りが飛んでしまってその日本酒の良さをころしてしまうので注意が必要です。
あなたもおいしい燗酒でほっこりしませんか?
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