日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、高知県土佐市にある「亀泉酒造」さんの醸す「亀泉 純米吟醸原酒 生酒 CEL-24」(かめいずみ じゅんまいぎんじょうげんしゅ なまざけ セル24)です。
亀泉酒造さんの人気銘柄「亀泉 純米吟醸原酒 生酒 CEL-24」。
高知県の地酒の特徴として「辛口・爽快!」といった「淡麗辛口タイプ」の日本酒が多い中、こちらの亀泉CEL-24は「甘酸っぱさ」が特徴的な日本酒となります。
季節限定酒ではなく「通年商品」とのことで、酒販店さんへの入荷のタイミングが合えば基本的に手に入りやすい日本酒です。
ですが、問い合わせたところ「9月~10月は在庫状況により不足しやすくなる」という回答をいただきました。
こちらは使用されている酵母(こうぼ)の名前です。
CEL-24は、高知県の工業技術センターで平成5年に開発された酵母で「甘酸っぱく非常に香りの高い低アルコール酒」ができるという特徴があります。
亀泉CEL-24のアルコール分は「14%」と通常の日本酒(15%~16%)よりも低アルコールで、女性も飲みやすい日本酒となっています。
そして特徴的なのがその香りで、誰が飲んでも「パイナップル!」と言うこと間違いなしのフルーティーな香りが特徴の日本酒です。
花陽浴(はなあび)という銘柄の日本酒は、埼玉県にある南陽醸造さんが醸している日本酒愛好家から支持のある日本酒です。
そのラベルも可愛く「パイナップルな日本酒の代表」と言っても良いのではないでしょうか?
11月中頃~4月頃まで20種類以上の「生酒」が順次発売されますが、大きな特徴は「入手困難で名前が挙がるほど少量生産」という点になります。
そこで、
「花陽浴が好きなら亀泉CEL-24も飲むべき!」
「花陽浴が買えないなら亀泉CEL-24がおすすめ!」
と、一緒に名前が挙がる亀泉CEL-24も実は多くの日本酒好きに愛され、パイナップルかつ、安定した甘さと味わいを楽しめるお酒です。
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亀泉さんのCEL-24のラベルは、他の日本酒ではあまり見ることの無いお酒のスペックを全て記載していることが特徴です。
初見の人はちょっと手に取り難いかもしれません。。
ですが知っていれば大丈夫!
むしろ手に取りたくなる日本酒になること間違いなし♪
わたしが購入したCEL-24には下記のように記載されていました。
亀泉 | 純米吟醸原酒「生酒」 |
酵母 | CEL-24 |
アルコール分 | 14% |
日本酒度 | -8 |
酸度 | 1.4 |
アミノ酸 | 0.9 |
原材料名 | 米(国産)米麴(国産米) |
精米歩合 | 50% |
日本酒が好きでよく飲んでいる人でもこれだけ見て「あ~ふんふん、なるほどね。」と思える人は少ないかと思います。
こういう情報って、日本酒が大好き過ぎてめっちゃ調べてる人向けですよね。
わたしも唎酒師の勉強をしていなければ「ナニヲイッテイルノカワカラナイ」と思考停止になり、むしろ「模様かな?」くらいの印象で終わるかと思います(笑)
簡単に解説していくと下記のようになります。
純米吟醸は、酒類業組合法という法律で決められた特定名称酒の中から名乗れる呼び名で
といった場合に名乗ることが出来る日本酒です。
原酒は、アルコール度数や香味を調整するために「割り水をしていない」お酒です。
通常、日本酒を醸造した際に原酒のままだとアルコール度数が18%以上となるためこれに「割り水」をして15~16%になるように調整しています。
簡単に言えば「薄めている」ですね。
亀泉CEL-24は薄めずに、アルコール度数14%の原酒として造られています。
生酒は、火入れをしていないお酒です。
火入れをしていないため品質の変化は早く冷蔵庫での保存が必要ですが、フレッシュさを存分に味わえるお酒となっています。
CEL-24(せる24)と読みます。
こちらは先にお話の通り、高知県で開発された酵母です。
低アルコールのお酒を造ることができるため、亀泉のCEL-24も「アルコール分14%だけど、原酒」ということが出来たんですね。
こちらはそのままです。
通常の日本酒は15~16%ですが、14%なので女性でも飲みやすくなっています。
通常、日本酒度は
といされていますが、これは日本酒内に含まれている「糖分量」の違いです。
水の比重を±0とした場合の日本酒の比重を数値化したもので、糖分などのエキスが少ない場合は「プラス」、糖分などのエキスが多い場合は「マイナス」に傾きます。
ですが、この甘口辛口は個人によって感じ方が違ったり、酸味・苦味・旨みといった他の要素の含有量によっても左右されるため「一つの目安」として見ておく必要があります。
ですので、「日本酒度-8」とマイナス表記の日本酒であれば「糖分量が多く甘めなんだな」くらいの気持ちで見ておくと安心です。
酸度とは日本酒に含まれる、コハク酸、リンゴ酸、乳酸などの酸味や旨みをもたらす有機酸の量を表す数値となります。
酸度=すっぱさ
ではなく、酸度が高いと「辛く濃く」酸度が低いと「甘く淡麗」に感じられます。
ちなみに平成30年度に国税庁が調査した市販酒調査で清酒の平均的な酸度は、1.14~1.44となっています。
1.0より低いと「低酸味酒」で2.0より高いと「高酸味酒」と言えます。
日本酒に含まれるアミノ酸は、コクや旨みのもとになります。
アミノ酸が多いと「雑味」の感じるお酒で複雑さが増し、アミノ酸が少ないと「キレイ」な酒質のお酒となり薄さを感じるようになります。
国税庁による平成30年度の市販酒調査では平均的なアミノ酸度は、1.22~1.46となっています。
1.0より低いと「淡麗な低アミノ酸酒」で2.0より高いと「濃醇な高アミノ酸酒」と言えます。
こちらは、「純米」を名乗る条件にもあるように原材料に米と米麴のみを使用しているという意味です。
醸造アルコールを使用している場合は、原材料名に「醸造アルコール」の記載をしなくてはいけません。
精米歩合とは「どれだけお米を磨いて、残ったお米を使用しているか」です。
となります。
削った割合ではなく、残ったお米の割合(使用したお米の割合)を精米歩合で表しています。
多く削れば削るほど、雑味のないキレイな酒質のお酒になりやすく、削らないほど、雑味のある複雑な酒質のお酒になります。
ちなみに、精米歩合50%であれば「純米大吟醸酒」を名乗ることができますがあえて名乗らずに亀泉CEL-24は「純米吟醸酒」として販売されています。
特定名称酒は条件を満たしていれば、純米大吟醸酒規格の日本酒でも「純米酒」と名乗ったりあえて「特定名称酒を名乗らない」という選択が自由にできるためです。
以上がラベルの見方の説明となります。
今回の亀泉CEL-24のラベルを読み解くと、
といったように、何となく味のイメージが想像できるようになるのではないでしょうか?
亀泉CEL-24のラベルの数値を紹介する際に
「わたしが買った」
「今回の」
といった説明をしましたが、これは「仕込みタンクによって成分の数値が異なる」ためです。
そのため、購入するタイミングなどによってラベルに記載されている成分の数値(日本酒度、酸度、アミノ酸)は変わってきます。
例えば、
日本酒度:-17
酸度 :1.9
アミノ酸:1.2
という亀泉CEL-24もあれば、
日本酒度:-13
酸度 :1.7
アミノ酸:1.0
といったものもあります。
日本酒は仕込みのタンクによって、醪の発酵具合などが異なってくるため出来上がりの味わいが異なります。
その成分の違いを杜氏さんの技によって、すべてのCEL-24の味わいが同じに感じるようにバランスがとられているのが亀泉CEL-24となります。
ラベルの成分違いの亀泉を購入して、味比べをしてみても楽しそうですよね!
「ホントに同じバランスなの~?」
と、杜氏さんの技の確認もできそうです(* ´ω` *)
タンクによりラベルの内容が異なるとお話ししましたが、証拠の写真を載せておきますね。
「日本酒度・酸度・アミノ酸」の数値が異なります。
こういった違いも楽しみつつ、いつ飲んでも旨い!亀泉CEL24を楽しんでみて欲しいなぁと思います。
長らくお待たせいたしました!
ようやく飲んでみた感想となります(笑)
実はわたくし、亀泉さんの日本酒を飲むのは初めて!※この記事を書いた際
度々TwitterなどのSNSで見掛けていたこちらのセル24は、なんだかとっつきにくそうなラベルにもかかわらず
「これはパイン!」
「パイナップルジュース!」
「花陽浴(はなあび)に似ている!」
「花陽浴(はなあび)が好きならこれ!」
と、わたしが気になっている日本酒(花陽浴)の名前や気になる単語が書いてあるではありませんか。
実際に、いつもの酒販店さんに並んでいたセル24のPOPを見た際にも「パイン!」とでかでかと書いてありました。
「いや、どんだけパインw」
と内心思いつつ、
「それだけ言うなら、飲んでみよう!」
と手に取ったのがきっかけです。
王冠を開けグラスに注いで匂いを嗅ぎます。
「パイン!」
これはもう誰がなんと言おうとパインです。思っていたよりもパインで、みなさまの言う通りでした。
いい香り~
口に含むと…
あまーーーーい!!
でもすぐにキレが!なにこれ爽快!
ほんのりパインが口の中に残ります。
いい香り~。
飲む度に、舌に感じる甘味が美味しい!キレイな酸味もあります。
ですが、軽すぎずアルコールの感じはしっかり感じます。
「なぜ豚キムチ!?」
と思った人も居るかと思います。
日本酒と料理のペアリングを考えた時に、日本酒は発酵させて造るお酒なので「発酵食品」との相性が良いというのがあります。
ですがわたくし、日本酒に合う料理の考案は苦手!
唎酒師の勉強でも、料理のペアリングを勉強しましたがホントに苦手!
そもそも料理はクックパッドさんにお世話になっていて「自分で考えて作る♪」ということはほぼしない…というか苦手です。
そこで安易ながら
【パイナップルの酸味 × キムチの酸味】
これ、合うんじゃない?
という理由から合わせてみました。
「合う!!!」
はい。マッチしました。
舌にチリリと酸味がわかりやすくなりました。これは合います。
セル24の甘みと豚キムチの甘みがいい感じにマリアージュして、おいしいです♪
爽やかさもあるのでスイスイ飲めます。
お酒の味わいなどは豚キムチの強さに消されずにちゃんと活きておいしい!
というか、これはもうパイーーン!
常温に近づくと甘味がUPして感じます。
トロピカルな甘味が、隠し味で追加したコチュジャンの甘みに合うのかとっても美味しいです。
でも爽やかさがあるのでくどくない!
ピチピチ酸味も美味しい♪
ちなみに納豆とも合わせてみましたが、甘さがまろやかになって美味しかったです♪
「もう一本飲みたい!」
これは1本では足りません。
無くなったとたんに、また飲みたくなる日本酒です。
おいしい。
いつもの酒屋さんのラインナップで、初めて見た銘柄(ラベル)だったので「限定物なのかな?」と思っていましたが幸い「通年商品」とのこと!
これは置いてあるうちにもう一回買わなきゃ!と思えた日本酒でした。
まだ置いてあるかしら…
わたしは飲んでみて「好きだ!!」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが「日本酒の世界が広がる日本酒」だと思います。
こんなに美味しいパイナップルの日本酒を飲んだのは初めて!
いままで「ほんのりパイナップルが香る」とか「うっすらパイナップルっぽい」といった日本酒には出会いましたが、亀泉セル24はハッキリ違いました。
そして美味しい。
飲んだことの無い人も、1度は飲んでいただきたい日本酒です♪
亀泉酒造株式会社さんの日本酒は、直販店を設けていないため「取扱店」さんで購入する必要があります。
公式ホームページにて問い合わせをすると、お近くの販売店さんを紹介してくれます。
亀泉酒造さんの公式HPのお問い合せは下記になります。
また、日本名門酒会に登録されているため「日本名門酒会のお酒を買える店」から検索することも可能です。
加盟酒販店さんは下記から確認することが出来ます。
ですが、加盟酒販店さんによっては置いていない銘柄がある場合もあります。
確実に購入したい場合は、亀泉酒造さんへ直接お問い合わせするのが確実です。
Instagramもされているので下記に掲載しておきますね。
正規取扱店さんによってはインターネット販売を行っていることがあります。
送料は掛かりますが、近くに販売店さんが無い時などに利用すると便利です。
例えば下記の酒販店さんで購入が可能です。
折角ですのでぜひ、他の日本酒も一緒にチェックしてみてくださいね。
※今回わたしが購入したスペックになります。
※仕込みタンクによって日本酒度・酸度・アミノ酸のスペックが異なります。
品目 :純米吟醸原酒「生酒」
酵母 :CEL-24
アルコール分:14%
日本酒度 :-8
酸度 :1.4
アミノ酸 :0.9
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
使用米 :八反錦
精米歩合 :50%
内容量 :720ml
価格 :1,848円(税込み)
製造者 :亀泉酒造株式会社/高知県土佐市出間2123
公式サイト :http://www.kameizumi.co.jp/
Instagram :https://www.instagram.com/kameizumi_sake_brewing/
通常、亀泉CEL-24は「八反錦」(はったんにしき)という酒米で醸されています。
ですが、限定で「吟の夢」(ぎんのゆめ)や「風鳴子」(かぜなるこ)といった高知県産の酒米で醸すこともあります。
ラベルにお米の名前が追加され、こちらは見掛けたら即買い!の限定品ですので覚えておくと愉しみが増えるかと思います。
また「うすにごり」バージョンも存在します。
亀泉CEL-24のうすにごりはかなりのレア商品で直ぐに売り切れてしまう・なかなか買えない!といった限定の日本酒です。
わたしも見掛けた際はぜひ飲んでみたいお酒です。
飲み比べもしてみたい♪
気になったあなたは、まずは通常のCEL-24からお試しくださいね。
\花陽浴の新作MATCHはこちら/