日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、千葉県印旛郡酒々井町(いんばぐんしすいまち)にある「株式会社飯沼本家」さんの醸す「甲子 林檎」(きのえねアップル)です。
飯沼本家さんの醸す「甲子林檎(きのえねアップル)」は純米吟醸の生酒で、熱処理を行っていないお酒です。
毎年、夏の季節限定酒として発売される日本酒ですが2021年の今年は「4月26日」より店頭発売が開始となりました。
何回かに分けて出荷される日本酒のため「6月中」でも購入することが可能でした。
調べてみたところ、9月2日現在でも在庫のある酒販店さんでは購入することができるようです。
さやか栗原さん(東京都町田市)
https://www.sakaya-kurihara.jp/item/2015ho-894/
甲子(きのえね)の季節限定シリーズは大好きなので、店頭で見掛けると秒で手に取ってしまうお酒です。
きのえねアップルは「リンゴ」の首掛けが可愛くて、日本酒ビギナーの人や女性の方でも手に取りやすいデザインとなっています。
夏酒と言えば、暑い夏でもスッキリ爽やかに飲むことのできる「リンゴ酸」を生産する酵母を使用する日本酒が増えています。
飯沼本家さんではリンゴ酸を多く生産する「協会77号酵母」と呼ばれる特殊な酵母を使用し、こちらのきのえねアップルを醸しています。
リンゴ酸はスッキリとした酸味があり、リンゴ酸生産酵母を使うとリンゴ酸が多くたくさん作られるため「酸っぱい」味わいとなってしまいます。
そこで、飯沼本家の杜氏・川口幸一さんは「甘みと酸味のバランスにもっともこだわった」と仰っていました。
リンゴ酸の酸と調和するように甘口のお酒に仕上げることで「甘酸っぱい」テイストに醸されています。
ちなみに、リンゴ酸を多く生成する酵母には他にも「協会28号酵母」があります。
酵母(こうぼ)は学名で「サッカロマイセス・セレビシエ」と呼ばれます。
パン用、味噌用、醤油用、酒類用などに分類されますが、酵母は「糖分をアルコールと炭酸ガス」に変える働きをするため、お酒を醸す際には必須な微生物になります。
酒造りの当初は「蔵付き酵母」と呼ばれる個々の酒蔵に住み着いた酵母が活躍していました。
ですが天然自然の酵母のため、時には腐造酒を生み出してしまうなど「不安定」でした。
そこで優良な酵母だけを採取し培養したものが「協会酵母」です。
「きょうかい」「協会」と名前の付く酵母は、日本醸造協会から頒布(販売)されている酵母で正式には「きょうかい酵母」と記します。
酵母にはさまざまな種類があり、使用する酵母によって、発酵の度合いや生成される有機物が異なり、香り、味わいなども異なってきます。
今まで多くの日本酒をいただいてきましたが、「○○酵母を使っている!」と記載のある銘柄に出逢ったのは少ない印象です。
…まぁ、書かれていても調べないとどんな特徴の酵母なのか解らないんですけどね(笑)
そんな中、一番知名度のある酵母は、秋田県の新政酒造さんの「6号酵母」ではないでしょうか。No.6(ナンバーシックス)美味しいですよね。
今回のリンゴ酸を多く生成する「協会77号酵母」を使用している銘柄を調べてみたところ、
の2本を見つけることができました。
もっと詳しく調べれば他の日本酒も見つけることができるかもしれません。
ですが「酵母」だけで日本酒の味わいが決定される訳ではありません。
そんな中でも、特徴のある酵母であれば「同じ酵母を使用した日本酒の味比べ」なども、日本酒をもっと愉しめるきっかけになるかもしれませんね♪
きのえねアップルは、2年ほど前に初めていただいた時から好きな味わいのお酒です。
ですが、唎酒師の資格を取得するまで季節限定のお酒があることを知らなかったわたしは「夏酒」と思って飲んでいませんでした。
そして、リンゴ酸を多く生成する酵母を使っているから「きのえねアップル」という名前だということも知らず…
知らないで飲んでいても美味しいお酒ですが、知って(理解して)飲むのもまた楽しいなぁと思える1本となりました。
早速、開栓していきたいと思います。
酸味と甘さのある香りがします。
とっても香り高くて、すきな香り。
わたし、甲子のお酒の香り好きなんですよね~♪
リンゴっぽい酸味と舌にジュワリとガス感。
とてもジューシーな果実感があります。
甘みが濃い~。
舌へジンワリと酸味の刺激もあります。
おいしい。
爽やかでキレ感もあり。
舌にジワジワくるのが印象的です。
むね肉とチーズの挟み揚げは、甘みが美味しくなりました。
さっぱり感もありつつ、ソースはお酒の甘みを引き出してくれて旨い。
サーモンの生春巻きは、甘みが濃ーーい。
香りも濃くなって、ジュワジュワ感もあり美味しい~
そして、夏はお酒の温度が直ぐ上がってしまうのでしっかりと冷やします。
わが家お馴染み「ル・クルーゼのアイスクーラースリーブ!」かなり冷やしてくれる優れものです♪
もう一個買うと思っていたのに忘れてました(買おう)
やっぱり冷たいのが美味しいです。
甘さもしっかりあっておいしい。
これはリンゴ。
酸味は強すぎずやわらかで、甘さがとっても美味しいです。
開栓前までは、日本酒セラーSAKE CABINETでマイナス5度保管をしていました。
開栓後は冷蔵庫に移し、約0度で保管。
味わいの変化を愉しみたいと思います。
!!香りが変わりました。
酸味さわやかさが強くなりました。
そこに少しだけ甘みを感じます。
ん!やっぱりおいしいです。
甘みが美味しくて、酸味とジューシー感。
リンゴ酸を感じます。
後口にキレ…というか爽やかさもあるので飲みやすいです。
甘みが「ジュン」と舌に残ります。
トマトときゅうりのマリネは、お酢の酸味が合います。
甘みがジュワっとしておいしいです。
お酒を飲んだ時、舌に「ジワッ」と来ます。
オクラとナスの煮びたしは、生姜に合います!
甘さがとてもいい感じになります。
これは美味しい。
スーッと爽やかさもあり。
ほうれん草とウインナー炒めは、めっちゃ合います!
甘さが心地よいです♪
からの、後口には爽やかさがあるので美味しい。
香りも甘みも好きです。
料理と一緒に飲んでいる時の香りもおいしいです。
うん、やっぱり好きだなぁ。
改めて「すきだ」と思える1本でした。
とっても美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは初めて飲んだ時から好きな日本酒で、改めて飲んでみて「やっぱり好きだ!」と再確認した夏酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが「昔ながらの男らしい日本酒」が苦手な人や日本酒をあまり飲んだことの無い人にはぜひ飲んでいただきたい「カジュアルに楽しめる」日本酒です。
甘みも感じつつ夏でも爽やかにいただける日本酒なので、スルスル飲めちゃうこと間違いなし!
見た目のデザインも可愛いので女性にもピッタリです♪
株式会社飯沼本家さんの醸す甲子シリーズは、蔵でも販売を行っています。
などで購入することが可能です。
また、全国の取り扱い店さんでも購入することができます。
一覧ページなどの用意が無いため、お近くの酒販店さんを知りたい場合は、お問い合わせページより連絡をすると紹介してもらうことができます。
ちなみに、9月2日現在、飯沼本家オンラインストアでは
といった銘柄を購入することができます。
完熟きのえねアップルは、ひと夏越えた【きのえねアップル】を火入れした秋限定の日本酒です。
気になったあなたはぜひチェックしてみてくださいね。
仕様 :純米吟醸
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
原料米 :五百万石
精米歩合 :55%
アルコール分:14.6%
使用酵母 :きょうかい77号酵母
内容量 :720ml
価格 :2,200円(税込み)
公式サイト :https://www.iinumahonke.co.jp/
Instagram :https://www.instagram.com/kinoene_sake/
「アップルだけど日本酒」
りんごの首掛けが目を惹き、とっても可愛いきのえねアップル。
可愛いのは見た目だけじゃなく、甘さと酸味が絶妙でとっても飲みやすい日本酒です。
あなたも見つけた際は、ぜひ手に取ってみませんか?
\関連記事/