日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田県秋田市にある「新政酒造」さんが醸すColors(カラーズ)シリーズの日本酒「ラストラピス 2021」です。
新政酒造さんの醸す日本酒「Colors」(カラーズ)とは、秋田県産の酒米の個性や魅力を味わえる火入れシリーズのブランドです。
2020ヴィンテージ(2020-2021)までは4種類の酒米のお酒で構成されていました。
元々、Colorsは「やまユ」と呼ばれる8代目蔵元・佐藤祐輔さんの名前から付けられたブランドより継承されたもので
と酒米の特徴を色にして表現していたものをそのままColorsにも継承しています。
こちらの4種類のカラーズが揃って発売が開始されたのは2014年~となります。
そして、2022年11月1日に発売となったラストラピス2021こと「Colors ラピスラズリ ラベル 2021」が新政酒造さんの醸す最後のラピス(瑠璃)となりました。
ラピス(瑠璃)に使用されている酒米は「美山錦」という品種です。
美山錦とは、耐冷性が強く1972年に長野県で生まれた酒造好適米で、現在も長野県や東北地方を中心に栽培されている酒米品種です。
その生産量は全国で、
と第3位の生産量を誇っています。
新政酒造さんでは、1970年代から使用されていた美山錦。
佐藤祐輔さんが蔵へ戻り新体制となった2008年からも「翠竜(すいりゅう)」や「青やまユ」などの実験作に美山錦がふんだんに使用されました。
その後Colorsはもちろん、No.6など他のお酒にも使用され長い間わたしたち飲み手にも親しまれてた美山錦。
そんな「カラーズの中でラピスが1番すき!」というファンの人も多い中、新政酒造さんではこの美山錦を使用した日本酒造りを終了することとなりました。
その美山錦を使い最後に醸されたラピスが「ラストラピス 2021」になります。
こちらに関しては、下記の記事でも触れています。
\ラピス2020 終売する美山錦の日本酒/
ここでは、ラストラピス2021に同梱されていた冊子の内容を引用して終了となる理由を紹介したいと思います。
「美山錦」は非常に独特な味わいのお米で苦味や渋みがたいへん出やすい特徴があるのですが、上手に醸造すると、奥行きと立体感に優れた佳酒が生まれます。
当蔵でも長い時間をかけてこの米の本質を表現すべく、手造りや伝統技法を折り込みながら、「美山錦」との対話を続けて参りました。
しかしながら、「美山錦」は当蔵が推進している無農薬栽培に適した米ではないため、将来の酒米生産において重大な疑義が生じることになりました。
結果として「美山錦」と同じ親(たかね錦)を持つ「改良信交」の生産が軌道に乗ったため、こちらにシフトすることになった次第です。
この「ラストラピス」によって、当蔵における「美山錦」の姿を、皆様の記憶に少しでも長くとどめていただけましたら幸いです。
と記載がありました。
こちらはそういうことなら仕方がない…と納得のお話ですよね。
ですが朗報もあります。
Colorsには新しく2種類の酒米を使用したお酒がラインナップに仲間入りしたのでまた違った味わいを愉しむことができます。
ラピスが無くなるのは悲しいですが、新しい酒米のお酒が増えるのは嬉しいですよね。
こちらも冊子の内容を引用したいと思います。
このたびの「ラピス」の販売終了は、1970年代から一貫して当蔵を支え続けた素晴らしい酒米である「美山錦」との訣別をも指し示している。
偉大なる酒米である「美山錦」に心からの感謝を胸に抱きながら、本作品「ラストラピス」は醸造された。
この輝きをほんの少しでも長く保ち続けるため、細心の注意を払い、酵母が発酵中に生み出すガスを逃さぬように瓶詰めするなど、細部に徹底的にこだわることで強い炭酸風味も付与することに成功した。
この「ラストラピス」は、今開封してもバランスの取れた味わいであるが、一方で非常に長寿でもある。
お買い上げになった方は、余裕があれば冷蔵庫で貯蔵・育成するなどして、特別な日に開封していただきたい。
当蔵と「美山錦」の長い蜜月関係が深く刻まれたこの「ラストラピス」を、存分に楽しんでもらえたら幸いである。
と記載がありました。
ラストラピスは通常のラピスとは異なり「ガス感たっぷり」のお酒です。
蓋もスクリューキャップでは無く、ビール瓶の王冠仕様となっていました。
そして、すぐ飲むより数年寝かせたほうが美味しくなるといったことから育成向きの仕上がりの日本酒となっています。
「寝かせたほうが美味しい」
ということで、今回購入できたラストラピスは日本酒セラーSAKE CABINETの中でまだ眠っています。
そのため、実際に飲んだ感想は数年後にこちらのページに追記されるかと思います。
ですが、発売前にラストラピスを飲めるチャンスがありました。
その時飲んだ感想は
ということで、とっても美味しいのですがスッキリさが印象的な味わいでした。
この味わいがどう変化するのか?
飲むのがとっても楽しみです。
\ラストラピスを飲んだ秋のUTAGE2022/
ラストラピス2021は、2022年11月1日に全国の特約店さんにて発売されました。
そのため現在は発売が終了しているため購入することはできません。
また、新政酒造さんのラピスラズリ自体の生産は終了しており、これからラピス(瑠璃)を購入することはほぼ不可能となります。
「ほぼ」というのは、取り扱い酒販店さんの判断でストック(氷温熟成)しており後日発売ということがもしかしたらあるかもしれないためです。
※無いかもしれません。
また、ラストラピスが発売された後の11月終盤に「ラピス 別誂直汲」の発売がありました。
こちらは購入できなかったため詳細は不明ですが、2020ヴィンテージの直汲だったのでは?と思います。
今後、もしかしたら新政酒造さんの蔵で氷温熟成されたラピスが発売されることもあるかもしれません。
※無いかもしれま(ry
ですが、今後は美山錦を使用したラピスが新しく醸されることは無いため購入するなら他の酒米のお酒となります。
Colors(カラーズ)は新政酒造さんの日本酒の中でも比較的に購入しやすい種類となっています。
と言っても、特約店さんに行けば買える訳ではありません。
その中でも、酒米によっては購入しにくいカラーズもあります。
わたしの肌感ですが、買いやすい順番は下記の順になります。
新しくラインナップに追加されたアッシュとアースはまだまだ栽培している酒米の量が少ないため、市場に出ている数が他の3種に比べ少ないお酒です。
わたしはこちらの5種類を飲みましたが、圧倒的にアッシュが好みでした。
新政酒造さんの醸す亀の尾、美味過ぎました。
中々買えないお酒のため、今後の生産量増加に期待しています。
お酒は特約店さんで購入することができますが
とその販売方法は取り扱い酒販店さんにより異なります。
まずはお近くの酒販店さんを知り、実際に足を運んで販売方法の確認をしてみてください。
なお、電話での問い合わせ(在庫の有無/販売方法等)を受け付けていない酒販店さんがほとんどですのでご注意ください。
一部の取り扱い特約店さんは下記のJSPのページに掲載されていますので確認してみてください。
仕様 :生酛木桶純米酒
アルコール分 :13度(原酒)
原材料名 :米(秋田県産)米麹(秋田県産米)
精米歩合 :麹米55%・掛米60%
原料米名 :美山錦100%使用(2021年収穫 秋田県産)
使用酵母 :きょうかい6号
発酵容器 :木桶(39・40号)
醸造年度 :令和3酒造年度(2021-2022)
内容量 :750ml
価格 :5,520円(税抜き)
製造者 :新政酒造株式会社
所在地 :秋田県秋田市大町6丁目2-35
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
今回、ラストラピスを購入するために様々な抽選に参加しました。
中には、他のお酒を購入した金額に対して抽選券が貰える酒販店さんもあったためかなりの金額を課金してみたり。
…が、どれもこれもハズレ…。
まぁイベントで飲めたしなぁ…と正直諦めていましたが、最終的にはいつもの酒販店さんで購入させていただくことができました。
本当に本当に感謝しかありません( ´人` )
ラストラピスを開けた際は、また飲んだ感想を追記してゆきたいと思います。
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