お酒に関係のある神様が祀られている「日本三大酒神神社」をご存じでしょうか?
という3つがあり、その中でも「酒造りの神様」として日本中の酒蔵さんから崇敬を受けている「松尾さま」こと京都府京都市の嵐山にある「松尾大社」。
松尾大社とは、まつのおたいしゃが正式な呼び方ですが「松尾大社(まつおたいしゃ)」「松尾さん(まつおさん)」「松尾さま(まつおさま)」とも呼ばれています。
この度、京都へ行く機会があったためこの「松尾大社」へお詣りをしてきました。
どんな神社だったのか?
早速見ていきたいと思います。
わたしが「松尾大社」が「お酒の神様」であると知ったきっかけは、日本酒愛好家の人は聞いたことや読んだことがあるであろう漫画「夏子の酒」からです。
主人公・夏子の実家である酒蔵には「松尾様」と呼ばれるお酒の神様が祀られていました。
作中の最初に出てきた際に「松尾様…お酒の代表的な神様」という注釈があったため
を何となく理解しましたが、その時は特に詳しく調べませんでした。
そして、新政酒造さん×エースホテル京都のイベントに行くことになった時「松尾大社は京都にある」ことを知りお詣りすることを決意しました。
わたしも日本酒メディアを担当する身ですので、お酒の神様へのご挨拶は必須です。
「あの、松尾さまをお詣りできるなんて!」
と京都へ行く前からワクワクが止まりませんでした。
「なんで松尾さまがお酒の神様なんだろう?」
やはり理由があるのなら知りたいと思うのが人間ですよね。
松尾大社の境内には「お酒の資料館」という施設が用意されています。
さすがお酒の神様というだけありますよね!ここにその謎を解く答えがあるのでしょうか?
入口の案内板には下記のように記載がありました。
松尾の神は、お酒の神様です。
「お酒の資料館」では、神様とお酒の深い関わりや私たちの暮らしや文化とお酒について展示しています。
どうぞごゆっくりお楽しみください。
と案内があり、午前9時から午後4時まで「入場料無料」にて楽しむことができます。
その展示の中に「松尾の神と酒造り」という資料がありました。
松尾大社は、古来、「日本第一醸造祖神」として、醸造化より幅広い信仰を集めています。
松尾の神を氏神として松尾大社の社殿を設立したのが秦氏(はたし)です。
5,6世紀に渡来した秦氏は、高度な土木技術などで桂川流域を開発し、農業などを発展させました。
秦氏には秦酒公(はたのさけのきみ)など「酒」という字の付いた人が多く、おいしい酒造りの技術も持っていたと伝えられていることから、松尾の神と酒造は深くかかわっていると考えられています。
他にも
といったことなどが記された書物が残っており、現在も松尾の神は「お酒の神様」として親しまれ、全国の酒造家などの熱心な参拝が絶えないとのことです。
…なるほど。
お酒に関するさまざまな逸話があるからこそ、お酒の神様として信仰されてきたのですね。
松尾大社では、醸造感謝祭とも呼ばれる「上卯祭(じょううさい)」と「中酉祭(ちゅうゆうさい)」が執り行われます。
「上卯祭(じょううさい)」とは、稲刈りが終わり新米ができる秋、お酒造りがはじまる季節の11月の上の卯の日に行われる「醸造安全祈願祭」です。
酒造りの成功や無事などを松尾様に祈願します。
ちなみに、2021年は「11月3日(水)」となっています。
「中酉祭(ちゅうゆうさい)」とは、年が明けて春となり、お酒造りが完了する4月の中の酉の日に行われる「醸造完了感謝祭」です。
作業の無事を感謝して松尾様を詣でます。
2021年は4月7日(水)となりました。
全国から醸造家(蔵元、蔵人、杜氏さんなど)が多数参拝される祭儀となり盛大に執り行われます。
お酒の資料館では、こういったお酒の歴史や文化の他にも、お酒の出来るまでの工程や酒造道具などの展示もされています。
折角なので、撮影した写真と共に軽く説明を記載していきたいと思います。
松尾大神と書かれた鳥居をくぐると
本殿までの参道があり、茅の輪(ちのわ)がありました。(この時くぐれないようになっていました)
そのまま本殿へ向かう階段を上らずに、茅の輪の先を左に曲がると
右手に「お酒の資料館」と書かれた大きな樽が!(草が伸びすぎて見えない/笑)
タヌキが居たので載せておきますね。
その向かい、左手にお酒の資料館があります。杉玉や木桶が印象的です。
入って直ぐ右には「酒槽」が!(大きすぎて入りきっていません)
その隣に「酒天之美禄(さけてんのびろく)」とあり、酉(とりへん)の漢字がズラリと並んでいました。
中へ入ると右手に酒造道具が並んでいます。
奥まで行くと分かりますが「お酒が出来るまでの工程」もありとっても分かりやすく書いていました。
工程1:米洗い
工程2:麹造り(こうじ)
工程3:酛造り(もと)
工程4:醪仕込み(もろみ)
工程5:酒搾り
「君、日本人じゃないんかい!」と心の中でツッコんだのはわたしだけでしょうか…?
酒造道具その1:酛櫂(もとかい)、三味線ほか
酒造道具その2:鬼櫂・棒櫂、試桶、たぬき桶ほか
酒造道具その3:井籠ほか
清酒のラベル
神事の際に使われる酒器など
神具など飾られていました
守護の大木札などもあります
わたしはどれも見ていてワクワクしましたが、途中で入ってきた大学生くらいの女性3人は入ったとたんにススーっと出ていってしまったことが印象的でした(笑)
日本酒に興味がない人にはとても退屈となってしまうお酒の資料館ですが、歴史に触れたい人には楽しめる内容となっています。
お酒の資料館を堪能した後、ついにお目見えとなりました。
松尾大社と言えば、日本酒愛好家の人からしたら菰樽(こもだる)が並んだ神輿庫は「メイン」とも言えるのではないでしょうか?
その存在感は圧倒的で、思わず「すごーーい」と声が漏れます。
奉納された酒樽の数は100個以上!
これだけ並んでいると自分が好きな銘柄の酒樽が無いかついつい探してしまいますよね。
わたしも
「これ知ってる!」
「好き!」
「知らない~」
「あ!この銘柄もあるんだ~♪」
とウッキウキで眺めていました。
境内にいた神職さんに菰樽についてお話を伺ったところ
と教えてもらえました。
昔はお酒が入っていましたが、菰(こも)を1度外すと元に戻すのが大変という理由もあるからだそうです。
「樽に入ったお酒は、味とか悪くならないのかな?」
と心配していたので安心しました(笑)
資料館を出て参道へ戻り「楼門」をくぐると
左の方に酒樽が現れます
横にも樽がありました
るみ子の酒!夏子の酒の作者・尾瀬あきらさんがイラストを描かれています
鳥海山すきなんです(嬉しい)
杉玉もありました
いいねいいね~
こっちからも~…と、モデルさんを撮影しているかのよう(笑)
たっぷり堪能できました(笑)
酒樽を堪能した後は、本殿などのお詣りをさせていただきました。
コロナ対策により、本殿の両脇にある「亀」や「鯉」は撫でれないように布でガードされていました。
松尾大社へお詣りへ行った際にぜひ行ってもらいたいのが、ご神体となる松尾山から流れかかるこの「霊亀(れいき)の滝」です。
わたしは「3つの庭園」や「神像館」なども拝観させていただきましたが、庭園の奥にある霊亀の滝は特にすごいなぁと思いました。
近づくと空気感が違うんです。
ここだけとても澄んでいて心地よい感じ。とてもキレイな雰囲気の場所でした。
「パワースポットなのかな?」
と感じましたが、実際調べてみるとやはりパワースポットでした。
今思い返しても「すごく良かったなぁ」という感想です。
ぜひ!
そして、霊亀の滝の手前には「亀の井」という霊泉があります。
こちらのお水は松尾山からの湧き水で
といったありがたいお水となっています。
受付の神職さんは「沸かしてコーヒーを淹れても美味しいよ」と仰っていました。
お水の持ち帰りは自由ですが、社務所には「御神水容器」が100円で販売されているため、わたしも持ち帰えらせていただくことにしました。
家に帰ってからは飲んでいませんが、神棚の所に一緒に飾らせていただいています。
霊泉の右手には、石碑があり「うま酒の 神の韻ある 初泉」と記載されていました。
神社に参拝した後は、おみくじやお守りを購入するのが愉しみなわたしです。
特に「白虎おみくじ」は可愛い♪
また「さすがお酒の神様!」と思ったお守りがありました。
それは、
という3種類のお守りを授かることができることです。
これは松尾大社ならではとなるのではないでしょうか?
嬉しくて3種類&松尾大社の木札も一緒に授かってきました。
わが家には神棚があるので、お祀りさせていただきました。
服酒守はしっかりお財布に入れておこうと思います。
当サイトを見ている酒好きの方はこちらのお守りがピッタリになるのではないでしょうか?
お守りの袋には下記の記載がありました。
百役の長・延寿の基・旅の仲間・寒気に暖・携帯に便・鬱を払う・知己を得る・労を慰む・万人と和合・独居の友
総じて、適度な量の飲酒は体への薬となり、寿命をのばし、万人和楽してストレス解消の効用がある
財布、定期入れ、鞄等、身に付けてお持ち下さい
飲酒運転は、お酒の神様のお怒りに触れます
酒は神授の生薬。服して心を乱さず、体を損せず、礼を失わず、和を破らず。
適時適量慎んで用ひざれば久しきに堪えざるべし。
と記載がありました。
わたしもよく飲み過ぎてしまうことがあるため、服酒守を持っていると安心感があります。
お酒を飲まれる方はぜひ、授与所にも寄ってみてくださいね。
わたしが今回、松尾大社を参拝させていただいたのは「6月27日」でした。
コロナ過で手水舎の柄杓が無かったり、松尾大社の神の使い「撫で亀さん」や「撫で鯉さん」が撫でられなかったりと普段とは違うお詣りとなりました。
ですが、夏の時期限定の「手水舎の風鈴」を見れたり、境内をくまなく周ることができてとても楽しい体験となりました。
「あの」松尾様をお詣りできたのも嬉しかったです。
1点心残りがあるとしたら、同じ京都にある日本三大酒神神社のひとつ梅宮大社(うめのみやたいしゃ)に行かなかったことです。
この時は「松尾様」しか頭にありませんでした…。
梅宮大社は別名「猫神社」と言われ、境内には10匹以上の猫さんが暮らしていると…
お酒の神様を祀られているかつ、猫さんに逢える神社…
ねこと日本酒なのになぜ行かなかったのか…
今度、京都へ行く機会のあった際には「梅宮大社」もしっかり参拝させていただきたいと思います。
住所 | 〒616-0024 京都市西京区嵐山宮町3 |
拝観時間 | 平日・土曜 午前9時~午後4時 日曜・祝日 午前9時~午後4時30分 |
拝観料 (庭園・神像館共通) |
大人 500円 学生 400円 子供 300円 |
電話 | 075-871-5016 |
公式サイト | http://www.matsunoo.or.jp/ |