いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、長野県諏訪郡下諏訪町にある「諏訪御湖鶴酒造場」さんの醸す「御湖鶴 山恵錦 無濾過生原酒」です。
諏訪御湖鶴酒造場さんの公式サイトはこちら
https://www.mikotsuru.com/
長野県の地酒と言えば、当サイトでは
上田市にある岡崎酒造さんの「信州亀齢」(しんしゅうきれい)
小布施町にある小布施ワイナリーさんの「ソガペールエフィス」
佐久市にある伴野酒造さんの「Beau Michelle」(ボーミッシェル)
と、日本酒ファンの人たちから\美味しい!/と名前の挙がる銘柄のお酒を中心に、実際にわたしも購入し飲んでみてその感想などを記事にしてきました。
ですがわたくし、まだまだ長野県の地酒のことを知りません。
今回出逢った日本酒は、信州下諏訪にある「御湖鶴」(ミコツル)という名前の銘柄の日本酒です。
そのラベルの見た目からだと、わたしが苦手に感じるタイプの見た目だったために本来であれば手に取ることは無かったであろう日本酒でした。
( ´人` )本当すみません。。
ですが、以前よりSNSのTL(タイムライン)で飲んでいる方をチラリと見掛けていました。
その時は味わいが想像できずジャケ買い向きではない印象を持ちましたが、ある時 本命の日本酒とセット売りでの販売があり「飲んでみよう!」と購入を決意。
調べてみるととても面白いストーリーのある日本酒であることが分かりました。
こちらの御湖鶴(みこつる)は、大正元年に創業した「菱友(ひしとも)醸造」さんの醸す銘柄の日本酒で下諏訪町で唯一の酒蔵として地元に愛される銘柄でした。
ですが残念なことに、2017年の4月に経営破綻のために自己破産へ…その酒造りに終止符が打たれることとなりました。
そこへ、事業継承として手を挙げたのが磐栄ホールディングスの子会社の運送会社である福岡県いわき市にある「磐栄運送」(ばんえいうんそう)さんです。
「運送会社が日本酒!?」
と驚いたのですが、磐栄運送さんは倒産前の御湖鶴にオリジナルラベルのお酒を発注していたという縁がありました。
ですが待てど暮らせど連絡は無く、問い合わせたらすでに蔵元が倒産していたと…。
磐栄運送さんでは、運送業とは別で再生可能エネルギー事業や農業なども行っており「ものづくりにも進出をしたい」という考えをお持ちでした。
下諏訪町としても町の宝である御湖鶴のブランドを守りたいと町の後押しも得ながら、2018年に「新生御湖鶴」として復活を遂げました。
現在、御湖鶴を醸す酒蔵の名前は「諏訪御湖鶴酒造場」(すわみこつるしゅぞうじょう)です。
日本酒の事業は継承しましたが、倒産前とは造り手も異なり新しく迎えた杜氏である竹内重彦さんが御湖鶴のお酒を醸しています。
竹内さんは元々、長野銘醸という酒蔵さんで酒類統括部長兼杜氏を務めていたました。
本来であれば「全く新しい銘柄としてリリース」することも可能ですが、多くのファンに愛された「御湖鶴」の名前を残し新生御湖鶴として醸されています。
そして3年後の2021年に、世界への影響力を最も持つとされるワインの品評会「IWC」の日本酒部門にて世界一を意味する「チャンピオン・サケ」を受賞。
わずか復活3年で世界にその名を轟かせることとなり、同時に信州の地酒が世界No.1と認められた瞬間でした。
その時の受賞酒は、長野県で開発された酒造好適米である「山恵錦」を使用した御湖鶴です。
偶然にも年代は異なりますが、今回購入した御湖鶴(みこつる)は山恵錦(さんけいにしき)の日本酒でした。
山恵錦(さんけいにしき)という酒米は、2018年に登録された長野県オリジナルの酒米です。
酒米の王様・山田錦を越えるような品種を!と育成し生み出されたお米です。
火入と生酒があり、今回購入したのは生酒の「無濾過生原酒」です。
お酒の説明には
と記載がありました。
ラベルの裏には下記のような記載があります。
諏訪大社秋宮のお膝元、信州下諏訪に蔵を構える御湖鶴は2018年、体制を一新し、新たなスタートを切りました。
私たちの目標は、休止前の味を再現することではありません。
その先にある、多くの皆様に「心ときめくようなお酒」をお届けすることです。
生まれ変わった御湖鶴、どうぞご賞味くださいませ。
以前の御湖鶴を飲んだことのある人も、これからの人もその味わいがとっても気になるコメントとなっています。
今回、買ってみたのは良いものの御湖鶴のことを全く知らなかったためSAKETIME(サケタイム)の口コミを覗いてみることに。
長野の日本酒ランキングで4位!(2023年7月現在)
ふーむ。やはり長野の地酒としてかなり人気の高い銘柄なのですね?
口コミの内容も好評です。
今回購入したのは、蔵元出荷が「2022年8月」の山恵錦で2023年の6月に開栓しました。
一体どんな味わいの日本酒なのか?
早速開栓してゆきたいと思います。
出荷から時間が経っているためか、キャラメルっぽい香りがします。
ナッツっぽさも有り。
スッキリさもありますがまったりとした甘さが香ります。
甘い!
キャラメル感と清涼感のある酸味が共にあり、後口はスーッと抜けてゆくため甘さが残り過ぎずに美味しくいただけます。
このお酒は甘みたっぷり系。
何かの日本酒にとても良く似ている感じがあるのですが、何だったかしら…
入りの甘みがジュワっと酸味の清涼さと共に舌へと広がり、それがとても美味しいです。
厚みがあるのにスルリさがあります。
アルコール分16度!なるほど。
16度とは思えない飲みやすさがあります。
まったり、たっぷりなのに清涼感が良いです。
そして後口に、稲というか素材のスッキリさが残りそれがとても特徴的に感じます。
これは美味しいお酒だと思います。
今日は餃子と共にいただきたいと思います。
食べてから飲んでみると、甘みがジュワッ!
落ち着いた酸味とスッとしたまとまりで、餃子をお酒のあてにとても美味しくいただけます。
うーん、合いますね。
お酒が美味しい!
残りは冷蔵庫にて保管していました。
ちなみに、購入から開栓までも冷蔵庫保管になります。
味わいの変化はあったのでしょうか?
香りは、キャラメリーな甘みとスッキリな酸味、ジューシーさも香ります。
飲んでみると、甘みたっぷり!
ですが昨日よりも、甘みがしっとりとした印象があります。
そのあとスッキリ&苦味スーーっとキレさへと移行してゆきます。
初日の方が、甘さの余韻がいい感じだったイメージで、今日は後口の苦味とキレさが強くなっているように感じます。
開栓初日の方が好きでした。
でも、入りの甘みは変わらず好きです。
後口の稲っぽさは強くなったかなぁ。
食べてから飲んでみると、甘みがギュン!と増して後口の稲っぽさやキレさが気にならなくなりました。
スッキリと美味しくいただけます。
御湖鶴は濃ゆ~いお酒ですね。
今日は昨日よりもさらに濃ゆさをたっぷりと感じております。
そんなこんなで飲み終わってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは飲んでみて「御湖鶴、美味いじゃん!他の酒米も飲んでみたい」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
ですが、アルコール分16度あるとは思えない甘みと清涼感を楽しめる日本酒です。
わたしと同じように「ラベルの見た目」で手が伸びなかった人は、ぜひ一度飲んでみていただきたい。
一度飲めばきっと他の酒米の味わいも試してみたくなる1本だと思います。
※山恵錦の他にも、ひとごこち、金紋錦、美山錦、五百万石、山田錦などの酒米を使用したバージョンがあります。
好きなひとはかなり好きになるのでは?と思う御湖鶴です。
気になったあなたはぜひお試しください。
諏訪御湖鶴酒造場さんの醸す日本酒は、
が可能になります。
他にも、全国にある特約店さんで購入することができます。
また、ネット販売を行っている酒販店さんもあります。
例えば
です。
山恵錦に関しては、2023年6月16日に「火入バージョン」が蔵元出荷となったため在庫の有無は取扱店さんでご確認が必要です。
気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
品目 :日本酒(無濾過生原酒)
原材料名 :米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米 :山恵錦100%
精米歩合 :50%
アルコール分:16度
内容量 :720ml
価格 :2,200円(税込み)
原料米栽培地:長野県諏訪市
原料米生産者:小和田ファーム
製造者 :磐栄運送株式会社/福島県いわき市泉町下川大字大剣1番97号
製造場 :諏訪御湖鶴酒造場/長野県諏訪郡下諏訪町3205番地17
公式サイト :https://www.mikotsuru.com/
Instagram :https://www.instagram.com/mikotsuru_sakebrewery/
今回はじめて長野県の日本酒「御湖鶴」を飲みました。
わたしは初見の日本酒はどうしてもラベルで選んでしまうのですが、見事裏切られたような気分になる美味しい味わいの日本酒でした。
事業継承をした酒蔵さんの日本酒って、美味しいお酒が多いような気がします。
下記の酒蔵さんも「復活蔵」なので、ぜひご一緒にチェックしてみてください。
\復活蔵の醸す日本酒/