日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、EXILE/EXILE THE SECONDのPERFORMERである「橘ケンチ」さんと、秋田県秋田市にある「新政酒造」の佐藤祐輔さんとのコラボ日本酒。
涅槃龜橘(にるがめたちばな)です。
2020年12月5日(土)に数量限定で発売された、橘ケンチさん(EXILE)と新政酒造さんによるコラボ日本酒。
実は、今回の2人よるコラボは3回目。
そして、
が発表されました。
全て新政酒造さんの「PRIVATELAB」(プライベートラボ)シリーズとのコラボレーション酒で、残る「天蛙(あまがえる)」とのコラボについては
(天蛙は)取り扱いが難しすぎる(造りの)ため現段階ですぐには構想にないですが、いつか天蛙のコラボをやりましょう!
と新政の佐藤祐輔さんはコメントをしています。
いつになるか分かりませんが、「天蛙 橘」(あまがえるたちばな)今からとても楽しみです!
涅槃龜(にるがめ)の名前の由来は、新政酒造の社長、佐藤祐輔さんの好きなロックバンドの「ニルヴァーナ」から取られ命名されたものになります。
その精米歩合は驚きの「90%」。
これは低精米と呼ばれ「お米を10%しか削っていない」=お米をあまり磨かずに「いわゆる雑味が残ったお米で造られた日本酒」となります。
一般的にはこうしたお米では、とうてい良いお酒ができるはずがないとされています。
と佐藤さんの言葉にありました。
酒米は削れば削るほど雑味が取れ、きれいで洗練された味わいになりやすく
という、いわゆるフルーティーなお酒を造る際はお米をかなり削って造っています。
逆に酒米をあまり削らないで造ると「原料(お米)の香りの発現が高く、味わいが濃醇」になりやすくなり「どっしりとした味わい」の日本酒になります。
新政さんはそこをあえて「あまりお米を磨かなくても、美味しい酒はできるのではないか?」と、雑味の出やすい低精米で造る日本酒「涅槃龜」を2017年からスタートしました。
これは、お米を削って造る日本酒よりも最難関と言われるほど「難しい」チャレンジになります。
ちなみに精米歩合90%とは、大体一般的な「食用米(白米)」と同じ精米歩合となります。
想像するだけでなんだか「もったりとした味の日本酒」になりそうな気がしませんか?
橘ケンチさんはご存じの通りEXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマーさんです。
2016年10月より、所属のLDHで「SAKE PROJECT」(酒プロジェクト)が始まり全国各地の酒蔵さんを訪ね造り手さんと話し日本酒の知識を深めていきました。
雑誌のDiscover Japan(ディスカバージャパン)で2017年9月より「EXILE 橘ケンチの今宵のSAKE」の連載をスタートし、現在も連載中となっています。
2018年9月26日には日本酒造青年協議会の「酒サムライ」に就任。
そして、「お酒に込められた作り手の思いや物語を理解するには、自分で造る必要がある。」と知識だけでは足りないモノを補うために、新政酒造さんとのコラボ日本酒を造る運びとなりました。
今回の涅槃龜橘(にるがめたちばな)は、橘ケンチさんが田んぼ(田植え)から造りまで一貫して携わって造られた日本酒となります。
ちなみに、新政酒造さんの他にも
といったコラボ日本酒を発表しています。
「橘65|13」に関しては、2020年12月24日(木)に発売された日本酒で2021年1月4日現在もIMADEYAオンラインストアで購入することが可能です。
実は、わたしが「橘ケンチ×新政酒造」さんのコラボ酒の存在を知ったのが2020年の11月でした。
「橘ケンチ x 新政酒造のコラボ日本酒「涅槃龜橘」が12/5(土)に販売開始。」というお知らせをTwitterで見て「こんな日本酒があるんだ~」とのほほんとしていました。
新政さんは大好きなので飲んでみたいな~と。
そして、よくよく見てみると「3作目のコラボ」と。
これより前があったの?と思いいろいろと調べてみると、「亜麻猫 橘」(あまねこたちばな)「陽乃鳥 橘」(ひのとりたちばな)があったと…。
さらに、昨年の「陽乃鳥 橘」は発売日にお店の開店時間より数時間前から並び、整理券が配られて「買えた人」「買えなかった人」がいた超数量限定&毎年人気なお酒とのこと。
販売店が限られているため、「前乗り?」「始発じゃないと買えない?」とアタフタしていました。
販売方法は後日、告知を行う…ということで毎日ドキドキしながら待っていました。
そして、2020年はコロナ過ということもあり「完全抽選販売」となり「抽選に当たった人だけ購入OK」という「運(祈るしかない)」という購入方法となりました。
橘ケンチさん×新政酒造さんのコラボ日本酒は「IMADEYA系列各店」でしか取り扱いがなく下記の4店舗のみ。
抽選に当選した人は、自分が選んだ店舗に指定された日に取りに行く。という購入方法です。
イマデヤさんはオンライン通販も行っていますが、オンライン販売はなし。
完全に運ですが、発売日当日にお店に行って並んで「買えるか?」「買えないか?」よりかはいいのかな…と思いながら抽選の申し込みをしました。
結果は…
ありがたいことに…
\当選!!/
2020年の運を使い切って当選できたのだとしみじみ思いました。(ありがとうございます…!)
購入の際には、自筆のサインとシリアルナンバーを控え「転売防止」の対策も取られました。
こういった人気の限定酒は転売が本当に問題になります。転売ダメ、絶対。買うのも売るのも、ダメ、ゼッタイ!!
特別な日本酒なので、お正月に飲もうと決めていました。
いろいろあって(笑)2021年の1月3日に飲むことになりましたが、今思い出しても「もう一回飲みたい!!」と思える日本酒です。
通常の「にるがめ」を購入したことも飲んだこともないので、どこかで出会えたら絶対飲むぞー!
涅槃龜橘(にるがめたちばな)の感想は下記の通りです。
やさしく甘く、ふわりとした甘み(香り)でおいしい。お米の精米歩合が90%という「重さ(厚み?)」は感じるけど、言われて解る。言われないと絶対に90%だとはわからない。
「日本酒なの?」という感じで、とにかくおいしい。
これはもう別カテゴリーのお酒。
グラスの内側にたらりとお酒がたまるタイプで粘性は高い。
メロンやうり、すいかといった皮に近い部分の香りがする。
嫌な甘さは一切なく、やさしい甘さ。
氷、炭酸、果実を搾って飲んでも美味しそう!
とにかくおいしかったのであっという間に1本飲んでしまいました。
今回は冷蔵庫で冷やして、ワイングラスで飲みました。
飲んだ後に佐藤祐輔さんの「温めてもいいですし、いろいろな飲み方を楽しんでみてください」という言葉を見て…温めて飲んでみたかった…(やってしまった)
絶対1本じゃ足りません!!
でも飲めて本当に嬉しかったです。どんどん進化していく新政酒造さんの日本酒。
うーん。今の時代に、日本酒が楽しめる年齢で生まれて本当に良かったです。
内容量 :720ml
アルコール度:13.5%
酒度 :-1.3
酸度 :1.71
アミノ酸度 :1.77
原材料名 :米(秋田県産)、米こうじ(秋田県産米)
減量収穫年度:2019年
原料米名 :あきた酒こまち(無農薬米)
原料収穫地 :秋田県秋田市河辺鵜養 地区
特徴的製法 :90%低精米酒
酒母 :生酛(江戸中期製法)
酵母添加 :なし
発酵容器 :木桶
醸造年度 :2019年7月~2020年6月 令和1酒造年度(R1BY)
価格 :3,600円(税込)