創業1852年、秋田県秋田市にある「新政酒造株式会社」さんの醸す日本酒「No.6(ナンバーシックス)」。
ラベルの「6」という数字とお洒落なデザインが象徴的な銘柄のお酒で、なかなか個人では購入できる機会の少ない入手困難な日本酒の1本としても名前が挙がります。
No.6とは、
といった特徴のお酒です。
今回はNo.6の中で定番にして最高峰となる「X-type」(エックスタイプ)そしてその中でもさらに貴重な
のロット違いで2種類を飲み比べてみました。
どんな味わいの日本酒だったのか…?
早速、見ていってみましょう♪
No.6は使用している酵母から付けられた名前です。
新政酒造さんでは、No.6(ナンバーシックス)の他にもColors(カラーズ)やPRIVATE LAB(プライベートラボ)といった銘柄のお酒を醸しています。
2010年より、そのすべてのお酒に使用する酵母を自らの蔵で現出した「6号酵母のみ」に統一しました。
※酵母とは、日本酒のアルコール発酵に欠かせない微生物のことです。
その中でもNo.6は、火入れをしていない「生」で6号酵母の味わいを楽しめるお酒です。
蔵元さんでは「生酒」として美味しく飲める品質保証期間を「出荷より3ヶ月間」と設定して販売されています。
「生酒なので味わいが変化する前に早く飲んで!」
という思いからの品質保証期間の設定となります。
その新政酒造さんの定番生酒であるNo.6は、精米歩合の違いによって3種類のタイプに分かれています。
上記では分かりやすく、純米吟醸や純米大吟醸といった「特定名称」と呼ばれる精米歩合によって異なる区分の表記を記載しました。
※精米歩合とは、お米の周りを磨いて「残ったお米(%)」を使用してこのお酒を醸しているよ…という意味です。
ですが新政酒造さんではこの「特定名称」にこだわっていません。
そのため、いかなる精米歩合のお酒であろうと特定名称は「純米酒」(原料が米と米麴のみを使用したお酒)として表記を統一しています。
日本酒の特定名称に関しては下記の記事に詳しく記載していますので、よく分からない!という人はご一緒にご覧ください。
\「本醸造酒」と「純米酒」の違いとは?/
そして、No.6に使用されている酒米もそれぞれ異なり
といったように、タイプに分けてその時・その時で最高のお酒に仕上がるよう使用する酒米のバランスを変えるなどしています。
そのためラベルには【酒造好適米100%使用】と記載され、No.6のラベルには具体的な酒米の表記はありません。
2020ヴィンテージより変更された採取方法で、DIRECT PATH(ダイレクトパス)とは、直汲(じかぐみ)という瓶詰めの手法になります。
その方法は、搾り機から出てきたものを待ち構えて瓶に入れたもので、この瓶詰め方法は大変な作業のため採取本数も少量となりとても貴重なお酒です。
X-typeの場合は、1本のタンクから4合瓶で「360本」のみ詰められます。
どんなお酒なのか?分かり難い場合は「ワンランク上のX-type」と覚えておくとよいかと思います。
DIRECT PATHは、R-typeやS-typeにも存在します。
なお、No.6シリーズは「DIRECT PATH」と呼ばれますが、ColorsやPRIVATE LABシリーズで同じ手法で詰めたものは「直汲」と表記されます。
ちなみに、2019ヴィンテージまでは「Essence(エッセンス)」「なかどり」と呼び方や採取方法が異なりました。
2019ヴィンテージのX-typeとX-type Essenceを飲み比べた記事がありますので、もっと詳しく知りたい!と思ったあなたはご一緒にご覧ください。
\新政 No.6「X-Type 2019」「X-Type Essence 2019」/
今回の飲み比べは2種類のX-typeダイレクトパスです。
実は、X-typeは2020ヴィンテージより瓶の色が今までの深緑から白へとガラっと変更されています。
※2020ヴィンテージとは、2020年に収穫した酒米を使用しているという意味です。
それに伴い、発売最初の数ヶ月間は「半透明の白フロスト瓶」を採用しましたが、紫外線対策の強化によりその後は「真っ白な瓶」に変更となりました。
今回はこの
の2種類を購入することができたため、この機会に飲み比べをしてみました。
2020ヴィンテージのNo.6が発売された2021年は「No.6十周年記念」として、6種類の通常とは異なるスペシャルなNo.6が発売された年です。
それに伴い、いつも以上に定番シリーズのNo.6とも出逢える機会が多かったように感じます。
こちらの半透明の白フロスト瓶バージョンは、No.6十周年記念酒・第3弾の上国料勇typeの発売の際のイベントの特別宿泊プランについてきた1本です。
\【新政×エースホテル京都】特別宿泊プラン/
まさか手に入れることができるとは思っていなかったため、とても嬉しかったことを覚えています。
X-type DIRECT PATHは、R-typeやS-typeのダイレクトパスとは異なり「箱入り」のお酒です。
箱の中には、季節のテーマに合わせた内容のブランド紹介などが記載された冊子が同梱されています。
こちらを読むのもまた楽しみのひとつになります。
ちなみに、2020ヴィンテージ(令和2酒造年度)のテーマ名は「預流果(よるか)」で2019ヴィンテージ(令和1酒造年度)は「黎-Rei-」でした。
そして、2021ヴィンテージ(令和3酒造年度)のテーマ名は「不還果(ふげんか)」です。
新政酒造さんでは、伝統文化を守るために江戸時代以来の伝統技術(生酛造りや木桶など)を用いた酒造りへと原点回帰をしている酒蔵さんです。
現代では、低コストで高品質品なお酒を大量生産できる時代ですがそれらの「近代工業技術を排除」した酒造りを行っています。
またNo.6は生酒のため、品質管理の面で木桶ではなく温度制御タンクを使用していましたが今後はNo.6も全て木桶へと回帰を行っていくとのことです。
これらのことを合わせ、テーマ名が「悟り」から引用された「預流果(よるか)」そして「不還果(ふげんか)」と来ていることに一人興奮を隠せません(笑)
来期は「阿羅漢果(あらかんか)」となるのでしょうか?
回帰…完了?
ヤッバイですね…(ヤッバイ)
話を戻し、DIRECT PATHを購入することで明かされることがあります。
それは特別な首掛けに書かれた内容で
などです。
通常のNo.6には「酒造好適米」としか記載されていないとお話しましたが、その内容も明らかとなります。
2種類の首掛けが付いていますので内容を抜粋します。
通常のNo.6では、識別番号しか記載がありませんがそのロットに付けられた隠れ名(コードネーム)もわかるようになっています。
ちなみに、No.6はヴィンテージごとにコードネームが変わり2020ヴィンテージに関しては
となっているため、ロット02のGurdjieff(グルジエフ)を辿ると著述家のゲオルギイ・グルジエフさんに辿り着きました。
こちらは特約店さんへ訪れた際に運よく購入できた1本です。
半透明な瓶も可愛いですが、真っ白な瓶も牛乳瓶みたいで可愛いですよね(* ´ω` *)
通常であればほぼ出逢えることはありませんが、コロナ過で緊急事態宣言中だったために飲食店さんに行くはずの分を購入することができた…という印象があります。
(ありがとうございます!)
ちなみに、この1回以降DIRECT PATHに出逢うことはありませんでしたので奇跡の1本だと思っています。
こちらも抜粋してゆきたいと思います。
2本あるからこそ解かったことですが、使用されている原料米の内容が本当に違う!ということです。
こういう内容を知れるのってとってもワクワクしますよね。
((* ´ω` *))新政酒造さんの日本酒は大好きなのでとっても面白いです。
ちなみに、ロット04のSteiner(シュタイナー)を調べてみると哲学者のルドルフ・シュタイナーさんに辿り着きました。
わたくし英米(イギリス)文学はさっぱりのため、もっと知りたい!というあなたはぜひGoogleなどで検索してみてくださいね。
なお、コードネームが付けられている理由は「同じ銘柄でも仕込み1本1本(ロットごと)で、かなり味わいが違う」ことから名前が付けられているとのことです。
2021ヴィンテージはどんなコードネームになったのでしょうか?
購入出来た際は、ぜひチェックしてみてくださいね。
2021年はコロナ過&緊急事態宣言もあり、新政さんの日本酒を買いたい個人にとっては例年と比べると「購入できる年」だったのではないかと思います。
2022年に入ってからは1度だけ「No.6 R-type 2020」を購入することができましたが、No.6は多分もう無理なのでは?とほぼほぼ諦めています。
なお、こちらの記事も書いているのは「2022年5月」ですが、実際に飲んだのは「2021年10月」になります。
(飲むお酒の量に対して書くペースが間に合っていませんw)
どんな味わいの日本酒だったのか?
早速見てゆきたいと思います。
初めてのダイレクトパス!
こちら品質保証期間が「2021年9月」までのものでしたが、マイナス5度で保管できる日本酒セラーにて氷温保存をしていたため安心して開栓することができました。
マイナス5度で保管をすると、生酒の中で生きている酵母の活動を最小限に抑えることができるため「味わいの変化が起こり難い」というのが安心できた理由です。
日本酒セラーに関しては下記の記事に記載していますので、気になったあなたはご一緒にご覧ください。
\日本酒セラーAQUA 口コミ体験レビュー/
柑橘、和梨、少し酸味を感じる香りがします。
うまーい!
ジューシーで厚みがあります。
少しレモン?梅?のような酸味あり。
舌にジュワっと最初だけします。
ボリューム感もあり、飲む度に「美味しい」しかないので沢山飲みたくなります。
え、幸せなのだが?
とてもきれいで、品質保証期間を1ヶ月過ぎていますがガス感もしっかり残っているように感じます。
甘さもありますが、酸味もいい感じあるため飽きずに飲めます。
変なキレ感もなくて美味しいです。
こちらの方が、果実感があります。
より酸味が特徴的で、美味しいです。
わたしはこちら02ロットのGurdjieffの方が好みです。
甘みはほんのりと、全体的にバランスがよくて好きな味わいです。
続いてはこちらをいただきたいと思います。
柑橘、和梨、こちらも少し酸味が香ります。
香りに関しては同じように感じますね。
こちらの方が、最初のジュワっと感が強いです。
ですが、02ロットよりも軽さがあります。
ジューシーさはありますが、比べると後口がさっぱりします。
そのため、よりジュースみたいにスルスルと飲めます。
飲んでいて和梨や柑橘ぽさがありますが、口に残るお米の素材感はしっかりあるかな?
02ロットではほとんどお米っぽさは感じませんでした。
最後に濃密さがスッと去るので
「あれ?わたしお水飲んでましたっけ?」
と、それくらいスルっと感があります。
飲んでいてボリューム感もしっかりあるのに不思議です。
ジャブジャブ飲めちゃいます。
こちらの04ロットのシュタイナーは、酸味と甘さ控えめでさっぱり。
そして、02ロットで感じなかったキレさも少しだけ感じます。
レモンぽい酸味は最初感じませんでしたが、常温に近づいてくると出てきました。
やはり香りはほぼ同じに感じます。
最初のテイスティングは、マイナス5度で保管していたものをすぐに開栓して行いました。
その後は冷蔵庫で冷やして、その日の夜に再び飲んでみました。
味わいに変化はあったのでしょうか?
メモの内容を見てみると簡潔過ぎる内容でしたが記載してゆきたいと思います。
ジュワっと感。
こちらの方が04ロットよりもフレッシュに感じます。
梨ジュースみたいです。
ジュワジュワジューシーでやはり美味しい!
すき!
瑞々しさもあります。
マイナス5度で直ぐ飲んだ時よりも甘みが増して、キレやさっぱり感が落ち着きました。
02ロットを飲んだ後に飲むと、さっぱり感をしっかり感じます。
さっぱり梨感なお酒。
メモは以上になります。
ここまで書いていて、わたしはやはり新政酒造さんの「あきた酒こまち」の味わいが好きなんだなぁと改めて実感しました。
No.6十周年記念酒も、無農薬米のあきた酒こまちで醸されたダイスケリチャードtypeが1番好みでした。
Colorsであきた酒こまちを使用しているエクリュに関しては、実はあまり飲んだことが無いので「またじっくり飲みたい!」と思っています。
今回は、No.6のロットによる味わいの違いもしっかり体感することができました。
そして家でゆっくりと、存分に味わえてとっても嬉しかったです。
\贅沢の極み!/
美味しかったです。
ごちそうさまでした♪
No.6 X-Type2020 ダイレクトパスのロット違いの飲み比べをしてみて
という結果となりました。
これはやはり使用している酒米の違いから来ているのでは?といった印象がありました。
こうやって比べてみると面白いですよね。
あと贅沢な酒米を使用していることも解り、なんだかドキドキしちゃいます。
こんな贅沢飲み比べをできる機会は今後無いだろう…と思いますので本当にラッキーだったなぁと思いつつロット違いの紹介ができて良かったなぁと思いました。
最初は「何?ロットって?」「マニアック過ぎん?」と思っていましたが、そのマニアックさが愉しめるのが新政酒造さんのお酒だと思います。
当サイトでは引き続き出来る限り、新政酒造さんの日本酒を追い掛けてゆきたいと思います。
\むしろ売ってるの?/
と聞きたいくらい購入できないのが現在のNo.6というお酒です。
というお酒であることは間違いありません。
通常インターネットでの販売は行っていないお酒のため、ネットで購入できるのは転売されたお酒となります。
たまに特約店さんでの「抽選販売」や「いつもたくさん買っているお得意様へ販売」という姿は見掛けたことがあります。
ですが購入がとても難しいことには変わりありません。
タイミングも必要です。
そのため、昨年は本当にラッキーだったんだなぁと改めて実感している今日この頃です。
今年は「買えて、飲めたら最高に幸せ!」くらいな気持ちで過ごしています。
というあなたは、まずは新政酒造さん日本酒を取り扱っている「特約店さん」をチェックしてみてください。
特約店さんの一部は下記の一般社団法人JSP(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)のページより確認することができます。
ですが、
というのを承知しておく必要があります。
また、そもそもの流通している本数も少ない日本酒のため「入手困難なお酒」と理解しておくと、出逢えた時の嬉しさは得難いものになるのでは無いでしょうか。
どうしても飲みたい場合は、飲食店さんで飲める機会も多いためSNSなどでチェックして訪れてみてくださいね。
わたしが1度は行ってみたい飲食店さんは下記になります。
扱っているお酒がプレミアムな銘柄ばかりで目移りしちゃいそうですが、機会があればぜひ行ってみたいと思っています。
新政を求めてひとり呑みをしたお店も記載しておきますね。
\横浜桜木町・日本酒専門の「寿司処かぐら」/
アルコール分 :13度(原酒)
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :精米歩合40%(酒母米、麹米、掛米ともに40%)
原米名 :秋田市四ツ小屋産 あきた酒こまち64%使用/秋田市河辺産 美郷錦36%使用
原料米収穫年度:2020年度
使用酵母 :きょうかい6号
醸造年度 :令和2酒造年度(2020-2021)
使用瓶 :Madame Edwarda#1(マダム・エドワルダ)
内容量 :720ml
価格 :4,000円(税込み)
アルコール分 :13度(原酒)
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :精米歩合40%(酒母米、麹米、掛米ともに40%)
原米名 :秋田市河辺産 美郷錦98%使用/秋田市鵜養産 美郷錦2%使用
原料米収穫年度:2020年度
使用酵母 :きょうかい6号
醸造年度 :令和2酒造年度(2020-2021)
使用瓶 :Madame Edwarda#1(マダム・エドワルダ)
内容量 :720ml
価格 :4,000円(税込み)
製造者 :新政酒造株式会社/秋田県秋田市大町6丁目2番35号
公式サイト :http://www.aramasa.jp/
Twitter :https://twitter.com/aramasayamayu
新政酒造さんの日本酒は、2022年4月に価格の改定が行われましたので現在は4000円より少しだけ高くなっています。
ですが、定価がこれくらいと知っておくと転売価格の吹っ掛け具合が分かるかと思います。
転売されている日本酒で特に「生酒」は「味が変になっている」可能性が高くなります。
もし検討していたというあなたはそれでも購入しますか?
本来の美味しさが失われているのに?
転売は、売るのも買うのもダメ絶対!
どうしても飲みたい場合は、飲食店さんへ足を運んでみてくださいね。
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