日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、新潟県佐渡市にある「天領盃酒造株式会社」さんの醸す「雅楽代~花明かり~(生酒)」です。
天領盃酒造さんの醸す日本酒「雅楽代」は「うたしろ」と読みます。
昭和58年に新潟県の佐渡島に創業した酒蔵さんで、新潟本土にある新潟港よりフェリーで2時間半・両津港より車で5分の所にある港に一番近い酒蔵さんです。
昔は5000石、普通酒をメインにお酒を醸していましたが、現在はメインの二つブランドを中心に400石の酒蔵となります。
ちなみに400石とは、年間1升瓶換算で4万本を製造していることとなり昔と比べてもかなり生産量を減らしたことが分かります。
メインのひとつ「天領盃」(てんりょうはい)は創業から続く銘柄です。
2019年に現在の蔵元杜氏・加登仙一さんが新しく立ち上げたブランドが「雅楽代」(うたしろ)となります。
実は、加登仙一(かとうせんいち)さんは2018年の24歳の時に後継者不在の天領盃酒造をM&Aにて個人で買収・事業承継をしました。
つまり、天領盃酒造の経営者(オーナー)がガラッと変わったのです。
加登さんが個人で事業承継をした理由は、「日本酒のことを誇りに思って造ってみたい・世界中にお届けしてみたい」という想いからでした。
そして、加登さんは自身の目指す日本酒を造るべく醸造責任者も兼ねる全国最年少の蔵元杜氏となったのです。
新生天領盃酒造として、これまでのファンのいる「天領盃」は大きく酒質変更をせずに洗練度を上げ「雅楽代」は”若者にうける美酒”として日々挑戦しながら醸されています。
2022年は新生天領盃酒造となりスタートしてから4期目。
リリースごとに進化する味わいを愉しむことができるのが「雅楽代」そして「天領盃」ブランドとなっています。
加登さんについて詳しくは下記の記事に記載していますので、気になったあなたはぜひご一緒にご覧ください。
\雅楽代・全国最年少蔵元が醸す日本酒/
また、2022年4月21日に蔵元団体による一般社団法人J.S.P(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)の「UTAGE」(ウタゲ)に登場しました。
「天領盃酒造さんって?」
「加登仙一さんってどんな方なの?」
「どんなお酒を醸しているの?」
など詳しく知りたい方は、YouTube動画のアーカイブも残っていますのでぜひご一緒にご覧ください。
JSP UTAGE 天領盃酒造
https://www.youtube.com/watch?v=TYcAqu0G-1M
こちらのピンクのラベルの雅楽代(うたしろ)は、春の季節限定として醸される「春酒」として出荷される日本酒です。
2020年より雅楽代の「春酒」として発売スタート。
2022年は3月10日ごろより特約店さんへ順次入荷となりました。
雅楽代シリーズは「先入観なく飲んで欲しい」という思いから、特定名称酒の記載はなく酒質データも非公開のお酒となります。
花明かりとは大和言葉で「花々の明るさが夜を照らす」という意味があります。
ラベルの裏には
そんな思いを込めて醸しました。
と記載があります。
また、花明かりのイメージは「椎名林檎の木綿のハンカチーフ」をイメージして醸されているお酒で「あえて明確な酒質設計がない」とInstagramにて紹介がありました。
今回の花明かりは
「まったり。なんだけど中盤から酸味もあって飲み込む際のキュっとくる収斂み」
起承転結がぎゅっと詰め込まれています!
とのことです。
ピンク色の春酒は、桜の季節に飲みたくなりますし見た目が可愛くて女性でも手に取りやすいのが良いですよね。
わたしも、「雪下(ゆきわたり)」「日和(ひより)」に続きその味わいを確かめるべく手に取ってみました。
2022年は「2021年に飲んでいない春酒を手に取ってみよう!」と思い、まだ飲んだことの無かった雅楽代の花明かりを手に取ってみました。
出会いと別れの季節をイメージして醸されている花明かり。
どんな味わいなのか?
ワクワクしながら開栓してゆきたいと思います。
まったりとしたバナナ。
そしてキレのあるパインな香り。
甘さよりもスッキリさを感じます。
甘みがジュワ―ッ!
香った時よりも甘みを感じます。
柑橘さのある濃ゆめの甘さがジュワ―っと口の中に広がります。
その後は、酸味&苦味でキリッとキレてゆきます。
飲み口の甘さにとにかくインパクトのあるお酒です。
ジューシーな甘さ。
甘酸で、酸味の余韻のまま苦味と一緒にキレます。
キリっというか、硬さがあるというか、後口はさっぱりします。
甘さは、柑橘な甘みなので「この甘みが続けばかなり好みのお酒なのに~」…と思いました。
もう少し甘さの余韻も欲しいと思いました。
飲んでいるとジューシーさや酸味のインパクトが口に残ります。
冷蔵庫から出したてよりも、少し時間を置いたほうがまろやかさがでる気がしました。
春酒ということで、冷酒を注ぐと桜の花がピンクに色付く平盃で気分を上げて飲んでゆきたいと思います。
この平盃かわいくて、本当にテンションが上がります(* ´ω` *)
ひと口含むと、入りの甘さが美味しく感じ、柑橘さも広がります。
あ、でも後口のさっぱり感もUPしました。
余韻に日本酒らしさを感じました。
え~と、アルコール分は15度!
なるほど。しっかり酔うお酒ですね。
改めて飲んでみると、飲み口の入りがとても美味しいです。
「おいしっ」
って声に出ます。
でもキレが~…ちょっとキレすぎちゃう気もしてしまいますね。
ですが、常温近くになったほうがやはり「まろやかさ」が出るので美味しくいただけます。
今日はカレー!
日本酒にカレーすきなんですよね。
カレーを食べた後に飲んでみると、甘さにやわらかさが出て美味しいです。
お酒が冷たい時はジューシーさがハッキリして、キレ感もしっかり感じます。
カレーのお供の唐揚げを食べてから飲んでみると、おいしい!
甘みに彩りが出ました。
マヨネーズサラダは、合う。
ジュワっと甘みがジューシー!でもお米の素材感も引き出されました。
飲んでいて、
「美味しいお酒。まだまだこれから洗練されてゆくのだろうなぁ…」
としみじみ感じました。
そして、Twitterで加登仙一さんにコメントをいただきましたが「冷蔵庫から出してだらだら飲んだあとの常温付近がベスト!」というのをまさしく感じました。
冷たすぎない温度帯の時がとても美味しくて料理にもとっても合います。
ぬる燗もおすすめとのことでしたが、この時はチャレンジしなかったためまた次の機会に試してみたいと思います。
雅楽代を開けた後、他の日本酒を何本か開けて飲んでいたので気付けば開栓から8日が過ぎていました。
もちろん冷蔵庫で保管をしていました。
味わいに何か変化はあったのでしょうか?
早速、王冠を開けてみると「ボーン!」とガスが抜けるいい音が鳴り響きました。
香ってみると、キャラメルっぽい甘さと酸味が香ります。
ひと口飲むと「さっぱり?」と思いましたが、酸味と甘みの強いキャラメルさが押し寄せます。
濃ゆくて美味しい甘み。
そして酸味がいい感じで、これはまさしくキャラメルです。
ですが、後口にはキレさもあるため甘々な感じではありません。
初日の硬さや苦さは無く、まろやかさが出ているためまったりと美味しく飲めます。
初日よりも好きな味わいに変化しました。
今日はおでん!
おでんを食べてから飲んでみると、お酒の甘みが増し増しに!
とっても美味しいです。
後口のキレさが柔らかくなり、甘みの余韻が長くなりました。
キレ感というより、さわやかというか穏やかなのでおでんが美味しく食べれますし、一緒にお酒を美味しく飲めます。
甘みには柑橘な酸味もあってとっても美味しいです。
飲み口の入りが好き。
飲む度「おいしい」と思えるので楽しくお酒を飲むことができます。
うーん。
美味しいなぁこのお酒。
そしてやっぱり常温くらいになると、とてもまろやか。
キレさも無くなり、美味しく飲むことができます。
そんなこんなで飲み切ってしまいました。
おいしかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「飲んでいてしみじみと美味しいなぁ」と思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
花明かりは飲んでみて、飲み口の甘さはとても好みなのですが、冷たいままだと後口にキレ感や日本酒らしさをしっかり感じるお酒でした。
そのため「柔らかい可愛らしい春酒」を飲みたい人には向きません。
ですが、温度が常温付近まで上がると「まろやかさ」が出るのでキレや日本酒らしさが影を潜めてとても美味しく飲むことができます。
また、開栓8日目が甘みも育ってわたしはとっても好きでした。
このように「味わいの変化を楽しめながら飲めるお酒」ですので、そういった日本酒が好きな人にはお勧めなお酒になります。
あと燗酒!
ぬる燗にすると良いとのことですので、購入した際はぜひ試してみてください。
わたしも次回はぬる燗もチャレンジしてみたいと思います。
\燗酒するなら「かんまかせ」がお勧めです/
天領盃酒造さんの醸す日本酒は「特約店」さんにて購入が可能です。
公式サイトに買える店がまとめられていました。
また、蔵元団体が運営するJ.S.P(ジャパンサケショウチュウプラットフォーム)に加盟しているため下記のページでも一部の特約店さんをチェックすることができます。
そして、ネット販売を行っている酒販店(特約店)さんもあります。
例えば
でしたら、4月26日現在でも「雅楽代 花明かり」の在庫もあるためまだ春酒を購入することが可能です。
また、5月ごろより各酒蔵さんで「火入れ」のお酒の販売がスタートします。
「生酒」の購入は各酒販店さんでの在庫のみとなり、次回の新酒(生酒)の発売は11月頃までお預けとなってしまいますので「生酒」を飲みたい方はご注意ください。
特定名称 :記載なし
原材料名 :米(新潟県産)、米こうじ(新潟県産米)
原料米 :記載なし
精米歩合 :記載なし
アルコール分:15度(原酒)
内容量 :720ml
価格 :1,870円(税込)
製造者 :天領盃酒造株式会社
所在地 :新潟県佐渡市加茂歌代458
公式サイト :https://tenryohai.co.jp/
公式Twitter :https://twitter.com/tenryohai_sake
蔵元Twitter :https://twitter.com/tenryohai_kato
Instagram :https://www.instagram.com/tenryohai_sake/
季節限定の日本酒は「その季節」にしか飲めないお酒です。
花明かりは「春酒」ですので、今期を逃すと来年まで購入ができません。
飲んでみたい!というあなたはぜひ在庫のある酒販店さんをチェックしてみてくださいね。
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