日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、群馬県藤岡市にある「松屋酒造株式会社」さんの醸す「流輝(るか)純米吟醸 生酛造り 山田錦 火入」です。
松屋酒造さんの醸す日本酒、流輝(るか)。
まだまだ知らない人の多い銘柄の日本酒かもしれません。
群馬県にある小さな酒蔵さんで、小仕込で手間を惜しまず昔ながらの機械を用いて丁寧に現代に順応した新しい日本酒を醸されています。
「ヤエガキ式」
という現在ではめずらしい、あえて空気に触れさせる方法で醪(もろみ)を搾り、きれいで優しい酒質のお酒を生み出しています。
銘柄の名前の由来は、松屋酒造の代表で自ら日本酒造りをされている松原広幸さんが「息子さんに付けようと思った名前をお酒に付けた」というエピソードがあります。
そこには「流れ輝く酒と共に子供のように成長する」という意味が込められています。
当サイトでは、わたしが飲食店さんでひとり呑みをした際に出逢い大好きになった銘柄の1つで、お酒を醸す松原さんのお人柄の良さもあるためか「ずーっと好き」な銘柄です。
飲んだ瞬間にやわらかでかわいらしさのある甘みが舌に広がり、わたしはこの甘みがとっても好きなんですよね。
中でも特に好みにフィットしているのが、現在・絶賛発売中で12月末ごろ~4月ごろまで2種類の酒米で醸される「桃色流輝」(ももいろるか)です。
\ピンクのももいろ飲み比べ/
本当に、いいから飲んでみて!美味しいから!と日本酒初心者や女性の方はもちろん男性にも飲んでいただきたいピンクのお酒です。
そして今回のお酒であるゴールドラベルの流輝は、2022年9月の秋の食材が美味しい季節に合わせ発売されました。
流輝のフラッグシップとなる「純米吟醸 無ろ過生 山田錦」の火入れバージョンのお酒がこちらの「純米吟醸 山田錦 一回火入」になります。
フラッグシップである「生酒」バージョンのお酒も飲んでいますので、気になったあなたはご一緒にどうぞ。
\流輝(るか)フラッグシップ酒の味わいは?/
これまでに発売された流輝のお酒は全て、現代的な手法である「速醸酛」という方法で酒母(しゅぼ)を立てていました。
速醸酛は乳酸を「添加」しますが、生酛は「酛ずり」という作業をし自然の乳酸菌の力を借りて酒母を育てる方法でとても手間が掛かります。
ですが、コロナ過に入り時間が出来たことで「やるなら今しかない!」と松屋酒造さんでは初めて生酛に挑戦しました。
そして2022年の2月に、ファースト生酛として「純米 メリッサ 生酛造り」が発売となりました。
こちらは製造量がとても少なく、当サイトでは購入できませんでした。
その後、9月に発売されたのが今回の「純米吟醸 生酛造り 山田錦 一回火入」となります。
「評判が良ければまたやりたい」
というお話もあったため、今年の生酛造りの発売に期待です。
松屋酒造さんのお酒を飲んでいると、ラベルがその時によって異なることがあります。
例えば、a harvest season~収穫期~というシール。
こちらは酒米の収穫期である「9月」に発売されたお酒に貼ってあります。
そして、いつもは赤い★(星)のマークがある場所に「アライグマ」が居るではないですか!
こちら「たぬき」ではなく「あらいぐま」です(わたしは最初タヌキだと思ったことは内緒です笑)
※たぬきとアライグマの違いは尻尾のシマシマ!しましまがある子はアライグマです。
何故アライグマなのか?という理由は、松原広幸さんのTwitterで明かされていました。
ご質問ありがとうございます🙇コロナ禍第一波で緊急事態宣言が出た4月〜5月頃、弊社の蔵にアライグマが住み着きました。捕獲しましたが、その記念に入れました🙇
— 流輝 (松屋酒造 群馬県藤岡市) 代表 松原広幸 (@lukamatsuyabrew) September 20, 2022
ラベルに入れちゃうエピソードがなんだか可愛いですよね。
このことにより、わたしは勝手にこちらのお酒のことを「アライグマラベル」と呼んでいます( つω` )
流輝の特約店さんが近くに無いため、最近はタイミングが合えば購入する!というスタンスになっています。
こちらは日本酒の聖地である小山商店さんに行った際に丁度発売されていたので「シュババ!」と手に取りました。
初の流輝の生酛造りのお酒。
一体どんな味わいなのでしょうか?
早速見てゆきたいと思います。
やわらかな乳酸菌。
ヨーグルトっぽい酸味もありますが、やわらかい甘みのある香りです。
あれ、思ったよりもスッキリ!
アタックは、ホエイの膜があるような感じの柔らかな甘みからの酸味がジワーっと広がります。
上手く言えませんが、生酛らしい味わいといいますか…
木の味わいと少しワイルドなキリッとさ?スッキリさが下の方に広がりつつ、上の方では乳酸的な甘みがふわふわと漂います。
入りはまろやかなのに、スッキリとしたワイルドさが増します。
枝豆はキレ感が増しました。
改めて飲むと、入りの甘みが美味しいです。
「あ、流輝の甘みだ…」
と再確認できました。
きのこと生姜のスープは、こちらもキリッとさが増しますね!
「ちょっと寝かせてから飲んでみたい!」
ということで、初日で飲み切らずに冷蔵庫で保管をしていました。
そして
「生酛は燗酒に向くよね!」
ということで、今回は温めて飲んでみることにしました。
当サイトでお馴染みの「かんまかせ」にて温めてゆきたいと思います。
\燗酒が簡単!かんまかせとは?/
冷蔵庫から出したての温度でいただきます。
なめらかな甘みがありつつ、美味しい酸味。
木のキュッと感は健在で、クリーミーさもあります。
冷酒より飲みやすくなりました。
酸味や木のキュッとした強さが和らぎました。
でももっと温めたくなる温度です。
うま!
ぬる燗すき!
酸味のレモンぽさがギュン!と上がって好きです。
後口には生酛のまったりさが残りスーッと爽快さもあります。
え、ちょっと待って。
上燗めちゃうま!
まず温度が良い。
入りがまろやかで甘さを感じつつの酸味。
しっかりとした酸味ですが強すぎずに、優しさもあり美味しいです。
味わいにまとまりが出たように感じます。
そして口に含んだ時のお酒の温かさがイイ!うまーい!バランスが丁度良いです。
え!まぁるくまとまりました。
上燗めちゃうまと言いましたが、この温度が1番好きかもしれません。
あー…でもまとまり過ぎちゃってる感じもあるかな?「美味しい」がまとまった感じです。
器の中でちょっと温度が下がると酸味がひょっこり顔をだすので、それがまた美味しいのですが。
この温度はきれい過ぎちゃう感じもありますが、だがしかし、めちゃ旨です。
酸味をもっと感じたい人は「43℃」が良いかと思います!
そんなこんなで、燗酒をたっぷりと楽しみながら飲み切ってしまいました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした。
わたしは、冷酒よりも燗酒にして「43℃がめちゃすきだ!」と思った日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
松屋酒造さんでは今回が「初めての生酛造り」でのお酒です。
これまでに様々な生酛のお酒を飲んで来たわたしの感想としては「これからどんどん磨かれていくのでは」と進化に注目したい味わいでした。
そのため、「はじめて流輝を飲む!」という人には違う流輝から入って欲しいなと思いました。(桃色がおすすめ!)
そして、お酒を温めてみるとめちゃくちゃ旨いことが分かりました。
わたしのオススメは43℃です。
もし冷酒で違うな…と思った人はぜひぜひ燗酒も楽しんでいただきたいなぁと思いました。
次回発売される生酛造りのお酒も楽しみにしたいと思います!
松屋酒造さんの流輝(るか)は特約店限定流通のお酒なので、蔵での販売は無く全国の取り扱いのある特約店さんで購入が必要です。
ですが、公式サイトなど一覧での案内はありません。
そのため「特約店に関してはお問い合わせください」となっています。
近くに販売店さんが無い場合は、GoogleやYahoo!などで下記のようにキーワード検索をすることで見つけることが出来ます。
【流輝 特約店】
【流輝 販売店 東京】(地域名を入れて)
【流輝 山田錦 生酛】(商品ワードを入れて)
など。
また、オンライン販売を行っている特約店さんもあります。
例えば、
など。
わたしは今回のお酒は、東京の多摩市にある「小山商店」さんに行くことで購入できました。
ですが、入荷時期は特約店さんによって少し日数が前後するようですのでご注意ください。
特定名称 :純米吟醸
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)
原料米 :山田錦100%使用
精米歩合 :60%
使用酵母 :協会9号
アルコール分:15度
内容量 :720ml
価格 :1,580円(税込み)
製造者 :松屋酒造株式会社
所在地 :群馬県藤岡市藤岡乙180
公式サイト :https://matsuya-sakebrewery.jp/
Twitter :https://twitter.com/lukamatsuyabrew
Instagram :https://www.instagram.com/lukamatsuyabrew/
今回のお酒はチャレンジ酒ということで、手間暇が掛かっているお酒ですがお値段は据え置きとなったようです。
そして、
生もと造りには10数年前から興味があったのですが、なかなか取り組むことができずただ資料は集めていて新政さんから頂いた資料と菊姫さんから頂いた昔ながらの山廃造りの資料、教科書からもう一度学びなおしてもと摺りして仕込みました。
引用:ほしくま酒店
といったエピソードがあることを知り、新政酒造さんの日本酒が大好きなのでなんだか嬉しくなりました。
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