日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、奈良県御所市にある「油長酒造株式会社」さんの醸す、
風の森 ALPHA TYPE5(かぜのもりアルファタイプ5)となる
燗 SAKE の探求 Ver.5(かんさけのたんきゅうバージョン5)
です。
油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)さんの醸す日本酒「風の森」には、
の2つのブランドがあります。
として、風の森峠付近にある田んぼで生産された「秋津穂」(あきつほ)という飯米を使用しまずは地元の人に飲んでもらおうとスタートしました。
風の森に使用されるお米は地元で収穫された「秋津穂」の他に
といった酒造好適米を使用し風の森を醸しています。
風の森のお酒は、秋津穂と露葉風で約75%を占めているとのことですが「秋津穂」が酒米ではなく「飯米」ということには驚きました。
飯米は酒米よりも溶けにくく、酒米よりも狙った味わいを出すのが難しくなります。
そんな地元産の秋津穂を「風の森好適米」としてスタート時より使用し続けているのが油長酒造さんの特徴でもあります。
ALPAHAに使用されるお米は、TYPE7以外は全量「秋津穂」となっています。
TYPE1~5までは、新技術や新しい飲み方の提案、次の日本酒の可能性を求めるブランドとして従来の風の森の枠を超えた設計のお酒です。
簡単に説明すると
なぜかTYPE6を飛ばして、
となっていて、この文章だけでは伝わらないかもしれませんが「通常の日本酒造りでは考えられないヤバイ造りのお酒たち」となっています。
知れば知るほど「????」が増えてゆきますが、とても面白いお酒たちだと思います。
今回いただいたお酒は、TYPE5の「燗 SAKE の探求 VER.5」です。
その名の通り、燗酒として愉しむことのできる日本酒なのですがラベルの裏を読んでみるとおかしなことに気付きます。
TYPE5は、燗酒で楽しむ風の森。乳酸発酵を利用した独自の酒母で乳酸菌の紡ぎだす旨い酸を表現。
さらに仕込水の一部に10年古酒を使用することで年月のみが造り出すことのできる奥行をプラス。
冷蔵時と温めた時との味わいの変化をお楽しみください。
とサラッと書いてありますが、
と、燗酒として愉しむお酒だとしてもこんなに気合の入った(?)燗酒見たことがありません。
さらに、前回のTYPE5も仕込み時に投入されているのがこのお酒の特徴でバージョンを重ねるごとに複雑味が増すように設計されています。
うーん。
ヤバないですか?
この造りで「720ml 1,650円(税込)」という価格設定もヤバないですか?
お得過ぎの気がします。
なお、生酒の熟成も魅力的なお酒なので「冷蔵庫での熟成」「冷たいまま」「温めた時」の味わいの変化も楽しんでくださいとのことです。
風の森が好きな人は気付いたかもしれません。
実は現在、TYPE5の燗 SAKE の探求は2021BYの「Ver.6」が最新バージョンのお酒として発売されています。
VER.5は「2020年10月」に製造され、わたしが購入したのもその頃です。
開栓したのは「2021年1月1日(お正月)」と約1年と3ヶ月、冷蔵庫の野菜室にて熟成をさせていました。
それもこれも、
という意図せずに「ゆっくり飲む機会が無かった」ために冷蔵庫にて保管されてたという経緯があったためです。
そして今回、手軽に燗酒を楽しめる【かんまかせ】をGETしたため1番にこちらのTYPE5を飲むこととなりました。
\かんまかせとは?こちらの記事に書きました/
早速、開栓してゆきたいと思います。
ん!
冷やのままでも美味しいです。
ジュワっと酸味+甘さ。
実は、冷蔵庫で1年以上保管していたので変な風に味が変わっていないか心配だったのです…。
生酒ですし。
でもそんな心配は飲んだ瞬間に吹っ飛びました。
めちゃめちゃ美味しいです。
ジュワっとガス感もあります。
すごい。
お酒の色は、古酒由来のキレイな金色とのことですが、本当に金色です!かなり濃い!
(写真左がALPHA 風の森 TYPE5です)
TYPE5のおすすめ温度帯は「30~45℃」とのことで、かんまかせの人肌燗設定で温めると「35℃」まで上がりました。
呑みます。
あれ、こんなにぬるいんですね。35℃。
味わいは、ジュワっとガス感が増して、酸味もUPしてとても美味しいです。
なるほどなるほど…
ぬる燗好きなんですよね。わたし。
かんまかせのぬる燗設定で温めると「40℃」になりました。
呑みます。
「!!!!」
思わず一緒に呑んでいた人と顔を見合わせたのですが
\なにこれ、やばい、旨い!/
え、40℃最高なのだが?
たった5度の違いですが、この違いはかなり凄いです。
ジュワジュワ感と、やさしい酸味。
そして美味しい甘さ(甘さ控えめ)。
とても美味しいです。
後口に酸味が「ぶわわぁ!」っと来るのがまた美味しい。
炭酸レモンジュース?
これって燗酒ですよね?
とっても美味しくてスルスル飲めちゃいます。
飲んだ後の方がジュワっとガス感が残ります。
不思議。
すごく美味しいです。
ちょっと冷たいままのTYPE5を挟んでみましょうか。
うん。
おいしいのだけども、気付いてしまいました。
このお酒は燗にすると、酸味がUPしてキュンキュン系のお酒になります(特に40度)
そして、冷たいままより温めたほうが広がりがすごいので旨いです(語彙力…)
最高なのだが?
改めて味わいたかったので、少し残して再び冷蔵庫に保管していました。
\燗酒飲むならこのお酒!/
ってくらい既に自分の中で大ヒットになっているのですが。
熟成OKというのも魅力的です。
前回の「40℃の奇跡の味わい」にハマってしまったため、残りも少ないので最初から40℃でいただきます。
わー!
これこれ。
酸味キュンキュン。めちゃ旨です。
あれ、でも、少しだけ後口にアルコールっぽさが強くなっている印象もあります。
でも酸甘で、ぬるさが丁度良くてスルスル飲めちゃいます。
折角なので、前回と違う温度帯も飲んでみたいと思います。
かんまかせの上燗設定で温めると「45℃」まで上がりました。
早速呑んでみると、甘さが出ました!
40℃は酸味多め!といった印象でしたが45℃は甘さが表に顔を出してきました。
よりまろやかに、酸味が落ち着いてこれはこれで旨いです。
キュンキュンの酸味感は無くなりました。
なにこの「5度の壁」。
こんなに少しの温度の違いで、こんなに味わいが変わるなんて!!
45℃はゆるゆる飲めます。
この味わいも捨てがたいですが、わたしはやはり「40℃の酸味きゅんきゅん」が好みまっしぐらでした。
油長酒蔵さんのALPAHA 風の森 TYPE5は、燗酒をめちゃめちゃ楽しめる1本です。
おいしかったよ~。
これはまた買いです!
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「燗酒を人にすすめるなら絶対にコレは外せない…!」と思った味わいの日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
特に、電子レンジ派の人には5度の違いで変わるこの味わいを実感できないかもしれません…
それは、電子レンジでの燗酒は「温度にムラができやすく難しい」からです。
ですが、TYPE5についている【黒い丸いシール】を利用すれば美味しい温度帯で飲むことができるかもしれません!
こちら、飾りではなくシールになっていて、酒器に貼ることで(錫のちろりやアルミのちろり推奨)35℃になると色がピンクへと変化します!
温めながらシールの色の変化を見て、良いところで取り出せば美味しい風の森を飲めちゃいます。
わたしは酒燗計(しゅかんけい)という日本酒の温度を計れる日本酒計を持っているため使いませんでした。
最初は「ただのおしゃれな飾り」と思っていましたが、こんな工夫もされているなんて!
油長酒造さんの素敵なところですよね。
このお酒が合わない人を書き出してみましたが、
という人にこそ飲んでいただきたいのがこの風の森 ALPHA TYPE5です。
燗酒の世界が変わります。
\飲んでみな!飛ぶぞ!!/
それぐらい旨いです。
そして価格もお手頃です。
「燗酒うまく作れないし…」
というあなたは【かんまかせ】がおすすめです。
これは案件でもPRでも、わたしは小泉成器さんの回し者でもありません(笑)
使ってみたら本当に楽チン!燗酒は楽しいのでぜひ、興味をお持ちいただけましたら参考にしてみてくださいね。
\ズボラなわたしにもピッタリ!かんまかせはこちら/
油長酒造さんでは、蔵元によるお酒の直接販売は行っていません。
そのため、蔵へ直接行っても風の森を購入することはできません。
「どこで買えるのか?」
JSP(ジャパンサケショウチュウプラットフォーム)の公式サイトに一部の特約店さんが掲載されていますので参考にしてみてください。
ちなみに、現在発売されている「VER.6」が買えるお店を調べてみたところ下記でしたら購入可能です(2022年1月7日現在)
なお、VER.5とVER.6の違いは
と磨いているお米の割り合いが変更となり、磨かないことでより一層燗酒として楽しめるように設計変更されています。
毎年味わいが深まってゆく「ALPHA 風の森 TYPE5 燗 SAKE の探求」飲んだことの無いあなたはぜひ、お試しください。
仕様 :日本酒/無濾過無加水生酒
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)日本酒(国産米)
原料米 :麹米・掛米/奈良県産 秋津穂
精米歩合 :65%
アルコール分:14%
内容量 :720ml
価格 :1,650円(税込)
製造者 :油長酒造株式会社
製造所 :奈良県御所市1160
公式サイト :https://www.yucho-sake.jp/
Instagram :https://www.instagram.com/kazenomori1719/
1年以上、冷蔵庫で保管していたTYPE5ですが飲んでみて本当に驚きました。
生酒は特に、よくない味わいの変化をしてしまう経験を何度かしているため開栓前までは不安で「ダメ…かも…」と思っていました。
ですが飲んでみると
\めちゃくちゃ美味しい!/
温めてみると
\すっごい美味しい!(語彙力)/
と、とても感動するお酒でした。
そして、調べてみると
\ヤバイ(マニアックな)お酒!/
ということが分かりました。
知らずに飲んでも美味しいし、知って飲んだらもっと美味しい!そんな銘柄の日本酒です。
風の森はまだまだ日本酒セラーに眠っているので、飲み次第また記事にしてゆきたいと思います。
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