日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、奈良県吉野郡吉野町にある「美吉野醸造株式会社」さんの醸す「HANATOMOE NEW 生酒」バージョンです。
美吉野醸造さんの醸す日本酒には、花巴(はなともえ)そしてローマ字の「HANATOMOE」(はなともえ)シリーズといった銘柄があります。
「天然の酵母のみを使い、酸を解放する酒造り」
といった特徴のある酒蔵さんで、酸とはすっぱい酒という意味ではなく
醸されるお酒は、蔵元であり杜氏でもある「橋本晃明」さんが自身の感性で感じ取り、その時々に最適なお酒として仕上げられています。
1912年(明治45年)に創業した酒蔵さんで、全てのお酒を「酵母無添加」で醸すようになったのは2017酒造年度からとなります。
通常、日本酒を醸す際は日本醸造協会が頒布している「きょうかい酵母」という、優良な清酒酵母を純粋培養したものを購入して使用することがほとんどです。
中には「このきょうかい酵母を使って」「この酒米を使って」「この発酵温度で醸す」のが良い酒を造るための「当たり前」とされていました。
ですが、お酒を醸す環境は地域や風土などによって異なります。
この「当たり前」に疑問を感じ、吉野の風土に合わせた酒造りを行おうと試行錯誤をし「向き合って」美吉野醸造ならではの酒造りをするようにしたのが橋本さんという方なのです。
酵母無添加とは、「蔵に付いた酵母菌」を利用し酵母を添加しないでお酒を醸す製法です。
そのため、「その蔵独特の味わい」を愉しめるのがこの酵母無添加で醸されるお酒の醍醐味となります。
ローマ字の「HANATOMOE」シリーズは
独創的で心を躍らせる新たな味わいの可能性を追求したチャレンジングで特別なお酒です。
と公式サイトに記載されていました。
実はわたくし、花巴のお酒を飲むのは初めてです。
いつもの酒屋さんに置いてある銘柄の日本酒で「花巴」のラベルは目を惹きます。
「花」という漢字が入っているのが可愛いですよね。
ですが、はじめての銘柄のお酒は手に取り難い…(あと、髭文字が苦手…)ということもあり中々手が伸びませんでした。
そんな夏のあくる日「大人のレモン水」というPOPの書かれたHANATOMOE NEWが目に留まりました。
実はこちらのお酒は、冬の時期に仕込まれ
味わいに丸みがでてきて、軽快ながら奥行きのあるリッチなお酒に仕上がる時期を待ち梅雨明け頃に出荷開始
となるお酒なのです。
わたしがHANATOMOE NEWを見つけた時は「火入れしたもの」「生酒」の2種類が置いてありました。
酒屋の店主さんに違いを聞いてみたところ、
「とても個性的でクセのあるお酒で、はじめてなら生のほうが飲みやすいよ」
「生の方がクセが控えめ・火入れのほうが酵母のクセがある」
「もし気に入ったら、火入れや他も試してみるのがいいよ」
となにやら「個性やクセ」を強調するではありませんか。
その「個性」を実際に目の当たりのするのは飲んでからとなりますが、ひとまず「生酒」を手に取ることとなりました。
初体験のお酒はなんだかドキドキしますね!
こちらのお酒はアルコール分14%で、飲みやすさを追求したライトボディーで気軽に軽快な酸を心地よく楽しめる…とラベルの裏面に記載がありました。
花巴のお酒は初めてで「個性的」と「レモン水」しか前情報がありません。
また、造りは山廃・仕込みはサーマルタンクとなっています。
どんな味わいなのか?
早速、開栓していきたいと思います。
え、
香りからして言われていた「クセ」がすごいです。
ふわぁぁ~っとその「クセ」が香ります。
これはお米の甘さの香り。
どちらかと言えば、どぶろくとかしっかりお米が残っているような香りがします。
もしかしたらメロンぽくもある?
皮寄りの青っぽい感じもありますが、甘みもある香りです。
香りが鼻を抜けていきますが、味にビックリ!
レモン水と言われていましたが、これは確かにレモン水です!
後口がすごい爽やか。
香りのイメージと違って、くどさも無くさわやかに去ってゆきます。
え、すごいです。
夏の暑い季節にめちゃくちゃ飲みやすいお酒です。
(この記事を書いているのは11月ですが、飲んだのは7月後半です)
後口軽やかで、少しお米のキレ感が残ります。
でもやっぱり香りの個性が強いので気になるかも~。
わが家の夏の定番サラダです。
サラダを食べてから飲んでみると、飲み口は甘さがジュワっと広がりました。
その後、酸味さわやかに去っていきます。
さっぱり感が良いですね!
季節に合うお酒とはこのことです。
納豆は香りが広がってしまいますが、レモン水感が強いです。
クセも強いけど「これこれ、こういうのが飲みたかったんだよ!」と。
重たいお酒は夏にはきついので、この酸味感はカラダが求めていたお酒です。
冷たいのが美味しいので、しっかり冷やしながら飲みたいお酒です。
冷たいと爽やかさUP!
そしてレモン感がすごくて、日本酒感が無くなります。
後口、さわやかすぎます。
1日では飲み切れなかったため、冷蔵庫の野菜室(0度)にて保管をしていました。
2日目の味わいに変化はあったのでしょうか?
早速香ってみると、うん。
クセのあるお米の香りです。酸味も香ります。
飲んでみると、さわやか・さっぱり!
ですが昨日よりも味わいにもクセを感じるようになりました…
でも後には引かずに、さわやかさがあるので悪くはありません。
口当たりは優しく、酸味さっぱりレモン感。お米も感じます。
今日はゴーヤチャンプルーと一緒にいただきたいと思います。
ゴーヤの後に飲んでみると、甘みが引き出されました。
甘酸でとても美味しいです。
甘みからのさっぱり爽やか。
うーん。合います。なかなかに美味しいです。
マヨサラダは、マヨの酸味にお酒の酸味がマッチして美味しい。
丁度良い感じになりました。
はじめての花巴、美味しかった!
ごちそうさまでした♪
わたしは初めて飲んでみて「夏の季節にカラダが求めている酸味感!」と思った日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
それは
です。
こちらのお酒は飲んでみると日本酒なのに「まんまレモン水」を体感できるのですが、その香りに特徴があります。
この特徴(クセ)にハマる人はきっと大好きでまた飲みたくなっちゃう日本酒の1本になることは間違いないと思います。
わたしの場合は、インパクトが強すぎてこの「クセ」がどうしても気になってしまう…。
ですが、1本で判断するのは違うなぁと思うためまた別の「花巴」も飲んでみたいと思っています。
…あれ?すでにハマってません?(笑)
飲んだことの無い人は「花巴」という個性豊かなお酒を、1度味わってみて欲しいなぁと思いました。
美吉野醸造さんの醸す日本酒は、3つの方法で購入することが可能です。
にて購入が可能です。
酒蔵見学も行っていますが、現在は新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し見学会は中止となっています。
また落ち着いた際には再開されるかと思いますので、気になるあなたはぜひチェックしてみてください。
そして、本日11月19日(金)に新商品が発売されています!
というもので、「RICE創刊5周年記念号 日本酒は宇宙だ」という雑誌に掲載されたお酒です。
と共に育てられた作品となります。
気になったあなたはぜひチェックしてみてくださいね!
花巴 樽丸”手漉き和紙ラベル”の詳細はこちら
https://www.hanatomoe.com/tarumaru-sake-keshiki/
仕様 :純米酒(生酒)
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)
原料米 :奈良県産契約栽培米100%使用
精米歩合 :60%
アルコール分:14%
使用酵母 :酵母無添加(蔵付き酵母)
内容量 :720ml
価格 :1,650円(税込み)
公式サイト :https://www.hanatomoe.com/
Instagram :https://www.instagram.com/hanatomoe_official/
夏にカラダが求めていたお酒はこれでした。
大人のレモン水。
きっとハマったら抜け出せなくなる、梅雨明けごろに発売されるクセになる1本です。