日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、三重県名張市にある「木屋正酒造株式会社」さんの醸す「而今 特別純米 無濾過生」(じこん とくべつじゅんまい むろかなま)です。
木屋正酒造さんの醸す「而今(じこん)」と言えば、飲食店さんで出逢う機会は多々ありますが個人ではなかなか買えない入手困難な1本としても有名な日本酒です。
それもそのはず。
6代目蔵元で、杜氏を務める大西唯克さんはまさに「職人」さん。
「一麹、二酛、三造り」と言われるほど日本酒造りで最も大事な作業である「麹(こうじ)」造りにこだわり「日本一の麹職人」の一人としてもその名を知られています。
そんな大西さんの醸す而今(じこん)は、甘美かつキレがあり緻密で精妙、真っすぐで自然なのに複雑でデリケートな味わいの日本酒に仕上がります。
2004年に大西さんが初めて醸したお酒が、(当時)全国1500の日本酒蔵の中で日本一の一角となったシンデレラ蔵でもあります。
その後も
など、圧倒的トップの酒蔵さんとして国内外でもその名を轟かせ海外では定価の数倍の値が付く「幻の酒」としても有名で選ばれている日本酒です。
最近では、7月17日ごろより一般発売となった「而今 純米大吟醸 NABARI 2021」がANA国際線ファーストクラスで、2022年7月と8月に提供中となっています。
なお、令和4年7月1日付で「木屋正酒造合資会社」から「木屋正酒造株式会社」へ社名が変更となりました。
今回紹介する而今の日本酒は「特別純米 無濾過生」(とくべつじゅんまい むろかなま)です。
自分の買いに行ける距離にある而今の特約店さんは、ゲリラ的に(?)而今の日本酒を発売するため運よく購入が間に合った1本です。
而今の「特別純米」シリーズには4種類あります。
と、にごりやおりがらみはその時期の特別なお酒となりますが「無濾過生/火入」は而今の定番酒として発売されています。
特に飲食店さんに安定して1年間定期的に出荷できるように…と醸されている唯一の定番酒になります。
而今の日本酒では、さまざまな種類や産地の酒米を使用して醸されています。
特別純米酒に関しては、
と2種類の酒造好適米を使用して醸されています。
「五百万石100%じゃないの?」
と思った人も居るかもしれません。
実はこの「麹米に山田錦を20%使用する」という手法で日本酒を醸している酒蔵さんは多々あります。
それは、幻の日本酒として名高い「十四代」を醸す高木顕統(たかぎあきつな)さんが「日本酒造りの黄金比」として謳っている手法のためです。
単一の酒米のみではなく、山田錦を麹米に使用することでメインとなる酒米の味わいをより思い通りに表現することができる…といった意味があるのだとわたしは理解しました。
もし「麹米 山田錦 20%」の日本酒を見掛けたら「十四代をリスペクトしているんだなぁ…」とひとりほくそ笑むのも楽しいかもしれません(笑)
実は家で飲む而今(じこん)の日本酒は「2本目」です。
「而今は飲食店さんで飲むもの(売ってるの見たことないし)」
と思っていたわたしが初めて入手した而今は「純米吟醸 雄町火入」でした。
その時に飲んだ感想は下記に記載しています。
\初めての家而今!雄町火入の感想/
その後、さっぱりわからない(知らない)而今について日本酒セミナーで学んできました。
ゲスト蔵元として、蔵元杜氏の大西唯克さんも来られ而今のお酒についていろいろとお話を聞き知ることが出来ました。
その時の日本酒セミナーに関しては下記の記事にまとめています。
\而今13種類飲み比べ体験&セミナー/
そして今回の「特別純米 無濾過生」を購入したのは12月ですが、開栓したのは5月です。
日本酒セラーでマイナス5度で保管していました。
果たしてどんな味わいだったのか?
早速、見てゆきたいと思います。
パイナップルな香り!
甘さに厚みがぎゅっとあり、パインアメ感があります。
甘~~い!
少しジュワっとガス感がありつつ、花陽浴のようなパインさがあります。
甘みジューシーでフィニッシュに向かうにつれキレや苦みもありますが、嫌な感じは全くなし。
甘さがもたつくことも無く、スッキリさありつつの旨みのあるお酒です。
濃ゆーいお酒なのに、重たくなく「丁寧に造られているんだなぁ」というのがとてもよく分かる味わいです。
今日は、お刺身などのお供にいただきました。
食べてから飲んでみると、料理に負けません。
お酒も、料理も、それぞれを美味しくいただくことができます。
そして、濃い味付けの料理にも負けないのに、やさしい味付けの料理にもしっかりと対応してくれるお酒です。
ぎゅっと旨みの濃ゆいお酒のため、飲んでいて満足感も凄いです。
料理を食べてからお酒を飲む度に「うまっ!」と声が出ちゃいます。
パインな雰囲気がありますが、華やか過ぎないのがまた良いです。
例えるならば、合唱コンクールのピアノのような…どんな料理でも受け止めて美味しく楽しめる…そんな感じの日本酒です(どんな)
而今は料理と相性抜群だなぁと、とっても楽しめた1本でした。
美味しかったです!
ごちそうさまでした♪
わたしは飲んでみて「やっぱり而今って料理に合うんだなぁ」と改めて思った日本酒ですが合わない人も居るかと思います。
それは…
…
……
ちょっとこのお酒に関しては合わない人を並べるのは難しいなと思いました。
お酒単体でも愉しめるし、料理と共に食中酒としても大満足、飲むと丁寧に造られているお酒というのがとても実感できる…
悪いところなんて見つけられない1本です。
而今の雄町火入を飲んだ時は思いませんでしたが、誰が飲んでも「而今という美味しい日本酒」を実感できるのでは?と思いました。
しいて言うなら
でしょうか。
大西さんも仰っていましたが、而今は「単純に美味しい、酔うためのお酒として造っていない」という言葉。
なんだかそれがようやく理解できた気がしました。
「而今というお酒とは…?」
想いを馳せながら飲むとよりその美味しさを探求できる1本だと思います。
「どんな所で醸されているお酒なのか?」
は、JSPのUTAGEで作成されたプロモーション動画をぜひご覧ください。
ですが、すみません。
単純に美味しかったです!
日本酒は基本的に「美味しい」「すき」で飲んでいるわたしです!
そして、特別純米 無濾過生は而今のお酒の中でも「美味しい」を実感できる1本でした。
家でゆっくり飲んでいないので比べたらダメかもしれませんが、セミナーで飲んだ「特等雄町」よりも好きでした。
まず自分で購入して而今というお酒を飲むのなら定番である「特別純米の無濾過生」から飲んでみるのがオススメかもしれません。
12月に新酒第二弾として発売されます!
木屋正酒造さんの而今は「特約店」さんでの購入が必要になります。
そして、三重県にある小さな酒蔵さんのため販売される本数には限りがあり「買えない」「売っていない」「入手困難」なお酒になります。
一部の特約店さんは下記のJ.S.Pのページでも確認することが可能です。
小売販売、酒蔵見学、試飲などの店頭業務は行っていませんが「電話で問い合わせ」をしてお近くの販売店さんを教えてもらうことも可能です。
ですが行けば買えるお酒では無く、
など、特約販売店さんによって異なります。
わたしの購入した酒販店さんは、SNSでの入荷告知があり(告知はいつも唐突に!)飛んで買いに行く!といった方法で購入することができました。
そのため、
ということが必要です。
わたしは毎回飛んで買いに行くことが出来ないので「タイミングが合って買えたら買おう」くらいの気持ちでいます。
お酒が販売される順番は木屋正酒造さんのInstagramを見ると分かりますが、UPされるのが「販売後」というのが多いような感じがします。
販売後ではすでに売り切れとなっていることが多いため「大体これくらいの時期に発売されるから用意しておこう」という参考にすると良いかと思います。
12月の初旬、日本酒の聖地・小山商店にふらりと訪れた際に普段は見掛けることの無い一升瓶の而今が…!冷蔵庫にあるではないですか。
3度見くらいしました。
(特に而今の一升瓶に関しては、どこの特約店さんも飲食店さん優先となっています)
この日は特別に並べられたようで、普段は冷蔵庫に入らない問題でほとんど購入することのない一升瓶を思わず手に取りました。
こんなラッキーな日本酒に出逢えることがあるのが東京にある小山商店さんです。
レアなお酒&一升瓶なので、お正月の家族の集まりの際に持って行きみんなでワイワイと飲むことが出来て嬉しかったです。
(写真は各々が持ち寄った日本酒です)
ちなみに、他の人からの感想は
「この中で而今が一番甘い」
「久保田の萬壽(まんじゅ)もまだ甘い」
「八海山が一番飲みやすい」
といった声が挙がりました。
わたしはこの3本の中ではやはり而今が一番好みでしたが、久しぶりに飲んだ久保田・八海山もお正月の料理やお寿司に合ってとっても美味しかったです。
品目 :日本酒(特別純米)
原材料名 :米(国産)米麴(国産米)
使用米/掛米:五百万石80%
使用米/麹米:山田錦20%
精米歩合 :60%
アルコール分:16%
内容量 :720ml
価格 :1,650円(税込み)
公式サイト :https://kiyashow.com/
Instagram :https://www.instagram.com/jikon_sake/
而今のお酒は入手困難な1本ですが「行ける範囲の特約店さんを知り、その販売方法を知る」ことにより購入可能なお酒です。
ですが特約店さんが近くにない場合は、基本的にネットでの販売はしていないお酒のため入手は難しくなります。
こちらの特別純米生に関しては四合瓶の定価が「1650円(税込)」です。※2021年現在
一升瓶は「3300円(税込)」でした。※2022年現在
あなたが買おうとしたそのプレミアム価格、大丈夫ですか?日本酒は保管方法で味わいが変化するので味の保証もありません。
もし近くに特約店さんが無い場合は、ぜひ飲食店さんで飲んでみてくださいね。
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