日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、秋田醸造さんの醸す「NEXT5 Colors 2022 Yukinobijin」(ネクストファイブ カラーズ2022 ゆきの美人)です。
秋田県で日本酒を醸す、5人の蔵元による酒蔵ユニット「NEXT FIVE」(ネクストファイブ)をご存じでしょうか。
という5蔵によるグループが2010年に結成され、醸造技術を互いに教え合いほぼ毎年、共同でひとつの酒を造りあげる「共同醸造酒」がこれまでに発売されています。
\2020年はNEXT5 Ispahan/
その結成12年目となった2022年は共同醸造酒ではなく「NEXT FIVE」の更なる一歩として、5蔵が身につけた蔵の特色を味わえる5つの商品として発売となりました。
それが「NEXT5 Color’s 2022」(ネクストファイブ カラーズ 2022)です。
このお酒を醸す上で共通事項は2つあり
という点で、それ以外は各蔵の個性に委ねられるため「同じ原料米で醸した5蔵の日本酒の飲み比べ」が楽しめる内容となっていました。
こちらの白いボトルのお酒は、2022年10月に発売となった第3弾のお酒で秋田醸造さんの醸す「NEXT5 Colors 2022 ゆきの美人」です。
わたしが初めてNEXT5の存在を知ったのが、2020年のピエール・エルメとコラボしたイスパハンの時で「ゆきの美人」というお酒もその時初めて知りました。
そのため、現在までにまだゆきの美人のお酒をあまり飲んだことがなく「どんな酒蔵さんなのか?」ということもあまり調べていません。
NEXT5 Colorsに入っていたスケルトンのカードには下記のように記載がありました。
大正8年創業、蔵元は平成13年に秋田県で初めてとなる蔵元杜氏となり、それ以来県内若手技術者の先導役となっている。
酸を基調とした酒質へ早くから取り組み、伝統的な技法をベースとしながらも最新の技術でコクがありながら透明感のある酒を醸している。
秋田醸造の代表である小林忠彦さんが自ら杜氏(とうじ)も勤められているんですね。
同じカードのコメントには
今回の企画は、古典的な酒米「改良信交」をつかって5蔵がそれぞれの蔵の特徴を表現するものです。
5蔵の置かれた環境、技術、造りに対する思想などの違いが酒の味にどう影響するのか。
その結果同じ素材を使いながらも特徴のある5蔵の味わいを感じていただければ幸いです。
と記載がありました。
ゆきの美人を醸している秋田醸造さんは、小林さんが社長へ就任してからの2001年(平成13年)に蔵をマンションの一角に建て替えられています。
Googleマップの写真を見てみるとまさにマンションの一階にあります!まずそこに驚きました。
そして、同じ秋田市内の新政酒造さんの酒蔵が川を挟んで歩いて5分の立地にありました。
(全然知らなかった…)
料理に合う、落ち着いて飲める酒を目指して酒造りを行っているということで「食中酒」として毎晩の食卓のお供に選びたいお酒となります。
次に購入する時はこういったことを頭に入れて飲んでみたいなぁと思いました。
秋田県で改良信交(かいりょうしんこう)を使用した日本酒と言えば、やはり新政酒造さんのColorsシリーズのコスモスが真っ先に思い浮かびます。
NEXT5 Colorsでは、第二弾が新政酒造さんのお酒(グリーンのボトル)だったのですが残念ながらわたしはどうやっても購入することができませんでした。
そこで、CRAFT SAKE WEEKEND 2022という日本酒イベントに参戦することで飲むことが叶いました。
その味わいは「メロン」。甘みと酸味がワッと広がり木桶のニュアンスでスッキリとし、これまでに飲んだ改良信交のお酒の中でもめちゃくちゃ美味しかったです。
そして、第一弾の栗林酒造さんの春霞(ピンクのボトル)は控えめなメロンが香りまろやかな甘み。スッキリキレ感が強いけど、料理と共に美味しくいただけるお酒でした。
香りにメロンぽさを感じるという共通点はありますが、ここまでの2本で既に個性が全く異なります。
では第三弾であるゆきの美人(ホワイトボトル)のお酒はどうだったのでしょうか?
早速、見てゆきたいと思います。
メロンというよりマスカット。
静かですが、ぎゅっとした厚みがあり甘さもしっかりと香ります。
とろみと感じるテクスチャー。
酸味が舌にジワーっと浸透し、甘みは酸を支えるようにひっそりと少しだけあるイメージです。
他のNEXT5 Colorsと比べると、1番酸味主体と感じるお酒です。
「何の酸味?」
と聞かれると難しいです。柑橘な酸味ではありません。
そんな酸味と共にある甘さが丸くてまったりとしていますが、酸味が主体なのでなんだか飲んでいて「不思議」な印象があります。
きっとこの甘みは仕込み水に由来するものだと思います。
実は、山本(レッド)2本目の春霞(ピンク)ゆきの美人(ホワイト)で飲み比べをしていました。
他の2つを飲んでから再びゆきの美人に戻ってくると、香りにマスカットというよりもビワや金柑のような肉厚さも感じるようになりました。
他の2本と共通点(メロンぽさ)を探すのなら、ジューシーさや深みのないメロンな香りにも感じます。
常温に近づくと、入りに甘さを感じるようになりました。
丸くまろやかだけど厚みがあり、酸を優しく際立たせているような感じです。
角の無い酸。
飲んでいて柔らかさがあり、後口は酸味爽やか系です。
ですが飲んでいて最後まで「不思議」な印象のお酒でした。
ゆきの美人を飲むのはNEXT5カラーズで2本目のため、まだまだ探求が必要なお酒だなぁと感じました。
おいしかったです。
ごちそうさまでした!
わたしは飲んでみて「飲んでいて不思議な気分になる日本酒、もっといろいろ飲んで特徴を掴みたい」と思った日本酒ですが合わない人もいるかと思います。
それは、
…と、いつもは3点ほどピックアップするのですが、こちらのお酒に関しては合わない人を挙げるのが難しいです。
わたしも理解できていないため、これからもっと良く知っていきたいなぁと思っています。
「飲んだことの無い人はぜひ、ゆきの美人のお酒を飲んでみて欲しい」
といった感想でしょうか。
NEXT5 Colorsはすでに完売している商品ですので、他のお酒を見掛けた際はぜひ手に取ってみてくださいね。
こちらはすでに完売している日本酒ですので、現在は購入することができません。
NEXT5 Colorsの販売は、2022年8月~12月までの1ヶ月ごとに5蔵のお酒が発売となりました。
となり、
という2種類の方法によって購入することが可能でした。
なお販売方法は、各酒販店さんによって抽選販売や店頭のみで販売など異なり数量限定のお酒だったため購入できなかった人も多かったかもしれません。
ちなみに、5種類のお酒は各2760本の販売となりました。
わたしは、春霞(2本)、ゆきの美人(1本)、山本(1本)のみを購入することができました。
ゆきの美人に関しては、Sakenomy(サケノミー)の抽選に当選することで入手できました。
サケノミーでは、幻の入手困難な日本酒No.1の「十四代」の抽選も定期的に行っていますので気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
そして、ゆきの美人のお酒は特約店さんにて購入することが可能です。
ですが、公式サイトの用意が無く「特約店一覧」などがありません。
そのため、GoogleやYahoo!などで
「ゆきの美人 特約店」
「ゆきの美人 販売店」
といったキーワード検索をするとヒットさせることができます。
例えば下記の酒販店さんであればネット通販も行っているため、近くにお店が無くても購入することが可能です。
なお、上記の矢島酒店さんではNEXT5の5銘柄の特約店さんのため「NEXT5 Colors 2022 5本セット」を抽選で販売していました。
また来年のNEXT5・共同醸造酒発売の際に参考にしてみてください。
品目 :日本酒(純米酒)
内容量 :720ml
アルコール分:15度
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :50%
仕込み水 :太平山麓の湧き水
原料米名 :改良信交100%使用
使用酵母 :記載なし
製造年月 :2022.10
製造者 :秋田醸造株式会社/秋田県秋田市楢山登町5-2
価格 :3,800円(税込)
公式サイト :なし
Twitter :https://twitter.com/yukino_bijin
NEXT5を知ったのは新政酒造さんがきっかけで、そこからゆきの美人というお酒を知ることになりました。
そして今更ながら、2018年に発売されたNEXT5の本「美酒復権」をAmazonで購入してみました。(先ほどポチりました)
今週末の11/30にプレジデント社からNEXT5の本が発売されます!これを読めばあなたもNEXT5博士!ところで、私が作った酒器はどなたの手に渡ったのでしょうか? pic.twitter.com/kLx4QDXHFQ
— 秋田の山本ですが (@shirataki1901) November 26, 2018
わたしもNEXT5博士になりたいと思います(笑)
またゆきの美人はまだまだ全然飲めていないお酒なので、これから見掛けた際は積極的に手に取ってゆきたいなぁと思いました。
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