日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、栃木県さくら市にある「株式会社せんきん」さんの醸す「仙禽 線香花火 2021」です。
「線香花火」は8月の終盤、夏の終わりに発売される季節限定の日本酒です。
株式会社せんきんの11代目蔵元、薄井一樹さんはInstagramで
夏にやり残したこと、ありませんか。
線香花火は人の一生を表すようです。
儚く美しい。
例年よりも夏の終わりに後ろ髪を引かれます。
仙禽 線香花火
début!
と8月18日の投稿でコメントをしていました。
実は「線香花火」という銘柄のお酒があると知ったの今年に入ってからで、
というのも知らず「飲んでみたいなぁ」と思っていたお酒です。
ラベルも儚さがありなんだかキレイですよね。
2021年は、8月19日ごろから酒販店さんの店頭に並びはじめました。
2022年の今年は、8月26日ごろより発売となり既に売り切れのお店も増えてきています。
今年の線香花火に使用されている酒米は「雄町8割」と「山田錦2割」の2種類で、さらにアッサンブラージュ(ブレンド)仕様となっています。
ちなみに、昨年は「雄町」のみで醸さたお酒でした。
この雄町(おまち)は、2020年の11月下旬に稲刈りを行ったもので、極限まで実らせ刈り取りを限界まで引き延ばし実りに実ったお米を線香花火のために限定醸造。
そのことにより、秋の入り口にふさわしい熟成を経て、まさに夏から秋にかけての季節の変わり目に相応しい味わいに仕上がっています。
薄井さんのTwitterでは
何か食べ物にペアリングするというよりは、線香花火をやりながら飲むのが一番すき。
というつぶやきが印象的で、実際の線香花火を買いに走った人も多いのではないでしょうか?
「お酒だけでも愉しめるお酒」
なのかなぁと、どんな味わいなのか飲むのが楽しみになったつぶやきでした。
線香花火を飲むのは初めてなので、とっても楽しみでした。
仙禽さんの日本酒で、初めて飲む銘柄は「ビックリ箱」みたいでいつもどんな味わいなのか実際に飲んでみると驚かされます。
「思ってた(想像してた)んと違う!」
という日本酒が多々あり(かぶとむしとか)とっても面白いなぁと思っているのはわたしだけではないはず…!
初めて飲んだナチュールの「trois(トロワ)」も衝撃が凄かったのを覚えています。
では、線香花火はどんな味わいの日本酒なのでしょうか?
ワクワクしながら開栓していきたいと思います。
まったり香ってからの、青りんごやパインのような酸味がふわっと鼻腔に広がりました。
これは甘さのある青りんご!
洋ナシっぽさもあり、美味しい香りです。
ジューシー。
果実感と甘さが口の中に広がってから、酸味と共にスーッと抜けていきます。
これはまるで、
線香花火に火をつけパチパチと盛り上がってから火球がポトリと落ち、静寂が訪れる様のようです。
えっ、
何か言っていて恥ずかしい気もしますが、本当に「線香花火」が想像できる味わいです。
ぶわっ!からのスーーーーー…
心地よさが後口に残ります。
全体的に酸味は強すぎず、きれいで穏やか。
確かにこれは、線香花火を見ながら飲みたくなる日本酒です。
繊細さもあって美味しいです。
かぶとむしよりも好きかもしれません。
ほんのりと「ちゅん」とした甘さがあるのが夏の終わりの寂しさも感じる…。
そんな語ってしまうようなお酒です(笑)
とてもきれい。
盃を重ねると酸味が強さを増してきますが、舌にはやさしい甘さがスーッと広がるためやはりキレイな酸味に感じます。
単体でいただくのも乙な日本酒ですが、やはり料理とも一緒にいただいてみます。
今回は無印良品の「ごろごろ野菜と豚ひき肉の大盛りカレー」とペアリングをしてみたいと思います。
(ただ単に晩ご飯がカレーだったというのは内緒です。)
カレーと一緒だと、甘酸がスルーーッと気持ち良くて合います。
線香花火を飲みながらだと、カレーをより美味しく食べれます。
飲む時にふわっと香る、香りが好きです。
酸味のあるカレーなのですが、お酒の酸味ともマッチして本当に心地よい感じになります。
おいしい。
ウインナーと一緒だと、甘さが引き出されます。
からの酸味さわやか~と気持ち良いです。
夏のねばねば野菜(オクラ・長いも・きゅうり・トマト・ナス・めかぶ・納豆)と一緒だと
納豆が!もわっとしちゃいます(笑)
香りの相性も悪い(笑)
納豆に合う日本酒と、なんかもわっと感を引き出されちゃう日本酒がありますよね。
線香花火はもわっと感を引き出されますが、後口がさっぱり酸味さわやかに落ち着くので悪くありません。
でもやっぱりカレーがマッチして美味しいです♪
線香花火は「穏やかなお酒だなぁ」と改めて感じました。
美味しいので飲み切ってしまいそうでしたが、残しておきました!(少し…)
2日目の味わいはどう変わったのでしょうか?
いい香り♪
バナナ?熟したメロン?
昨日より甘さが濃いような…
酸味も軽やかに香ります。
やはり昨日より、甘さが強くなったように感じます。
甘くふわ~~~っと口の中に広がり、しっとりと舌に残る酸味がとにかく柔らかくて心地よいです。
爽やかさもありますがやわらかいので、とにかくやさしく美味しいです。
ホッとします。
線香花火の儚さもあります。
甘みがおいしく、優しく染みます。
単体でもめちゃうまです!
デジャブな写真ですが、今日もカレーです。
ですが安心してください!
カレーの種類が違います!
今日は無印良品の「バターチキンカレー」と合わせてみました!
バターチキンカレーと一緒だと、酸味が引き出されて美味しいです。
強くなるのではなくて「大きくなる」イメージ。優しさはそのまま。
酸味がめちゃくちゃマリアージュして、甘さも気持ちよく引き出されます。
基本的にやさしい味わいです。
線香花火は、棘の「と」の字やツンツンの「つ」の字を一切感じないお酒でした。
おいしかった!
ごちそうさまでした♪
わたしは、飲んでみて「また夏の終わりに飲みたいな」とホッとするような日本酒でしたが合わない人も居るかと思います。
(ちゃっかり2本飲みましたw)
それは
です。
線香花火は、飲んでいて不思議な体験の出来る日本酒でした。
本当に「線香花火」がイメージできるのです。
単体で、口に含んでから後口までお酒の変化を味わいながら楽しみたい。そんな日本酒でした。
また、カレーとしかペアリングをしていませんが、カレーの酸味とも合ったのが良かったです。
気になったあなたは、ぜひ来年体感していただきたい1本ですので夏の終わりに思い出してみてください。
残念ながら今年の分は完売しているため、今から購入できるお店はほとんど無いかと思います。
株式会社せんきんさんの季節限定シリーズは本当に人気なので、入荷情報のチェックや予約情報など事前のチェックが必要になります。
商品の出荷に関しては、せんきんの蔵元・薄井さんがTwitterやInstagramで告知をしてくれています。
その投稿があってから数日以内には、特約店さんの店頭に並ぶかと思います。
また、ネット通販を行っている特約店さんでは「事前に予約」を受け付けてくれている販売店さんもあります。
わたしがよくチェックをするのが下記の2店舗です。
いまでやさんでは単品販売の他に「セット販売」なども行っているため「美味しいお酒のまとめ買い」もできます。
線香花火の後は、秋の季節限定酒「仙禽 あかとんぼ」が発売されますので、気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
なお、全国の特約店さんは下記のページより確認することができます。
近くに取扱店はあるのか?ぜひチェックしてみてくださいね。
仕様 :アッサンブラージュ
原材料名 :米(国産)米こうじ(国産米)
原料米 :ドメーヌさくら・雄町8割/ドメーヌ・山田錦2割(栃木県さくら市産)
精米歩合 :麹米50%、掛米60%
アルコール分:13度
内容量 :720ml
価格 :1,800円(税込み)
製造者 :株式会社せんきん
所在地 :栃木県さくら市馬場106
公式サイト :http://senkin.co.jp/
2020年は「雄町100%」、2021年の今年は「雄町8割」「山田錦2割」で醸されました。
2022年もまた違った表情を見せてくれるであろう線香花火。
来年もまた楽しみな1本です。
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