日本酒には出会いがある。
いつも飲んでいる日本酒。運よく買えたスペシャルな日本酒。たまたま買ってみたら好みだった日本酒…。
ここでは、唎酒師のわたしが出会った「本日の1本」を紹介します。
本日の1本は、山本酒造店さんの醸す「NEXT5 Colors 2022 Yamamoto」(ネクストファイブ カラーズ2022 山本)です。
秋田県で醸される日本酒、ゆきの美人・新政・山本・一白水成・春霞の5蔵による蔵元集団「NEXT FIVE」(ネクストファイブ)。
NEXT5の5蔵に共通するのは「先代(父親)の跡を継ぐために酒蔵へ戻って来た」現蔵元5名によるグループという点です。
2010年4月に結成されたNEXT5は、2022年で結成12年を迎えました。
ほぼ毎年、5蔵によって1本の日本酒を醸す「共同醸造酒」が発売されていましたが2021年はコロナ過によりその発売はありませんでした。
そして、その翌年となる2022年は「NEXT FIVE」の更なる一歩として、5蔵がそれぞれ同じ原料米である改良信交を使用した日本酒を1本ずつ醸すこととなりました。
そのお酒が「NEXT5 Color’s 2022」になります。
詳細は下記の記事で紹介しています。
\NEXT5 Color’s 2022【まとめ】/
今回は、その5本の内の「第4弾」として発売となった「NEXT5 Colors 2022 山本」について書いてゆきたいと思います。
真っ赤なボトルが印象的なこちらのお酒は、2022年11月に発売となった山本酒造店さんの醸す日本酒「NEXT5 Colors 2022 山本」です。
山本酒造店さんは、秋田県山本郡八峰町にある明治34年(1901年)に創業した酒蔵さんです。
杜氏制を廃止し、2007年より代表である山本友文さんと蔵人みんなでつくる酒として「山本」という銘柄のお酒を醸しています。
8月から12月まで、春霞(ピンク)・新政(グリーン)・ゆきの美人(ホワイト)・山本(レッド)・一白水成(ブルー)と同じ容器でカラーを変え1ヶ月毎に発売されたNEXT5カラーズ。
ボトルは、NEXT5 THE HARVEST 2017(ハーヴェスト)で使用された日本の建築家「田根剛さん」とコラボレーションして製作されたデザインのものを使用しています。
カラーは、NEXT5を結成した際に付けられた「各蔵のイメージカラー」が使用されました。
当サイトでは、春霞・ゆきの美人・山本の3本のみしか購入ができなかったため下記の新政酒造8代目蔵元・佐藤祐輔さんのTwitterを引用させていただきたいと思います。
いつのまにか開演三十分前です pic.twitter.com/TtAN9DP33m
— 新政酒造 佐藤祐輔 (@aramasayamayu) January 27, 2023
5本のボトルが並ぶと、とってもキレイで可愛いですよね。
NEXT5カラーズには、お酒や酒蔵の説明など蔵元によるコメントが記載されたスケルトンカードが同梱されています。
折角なので、こちらの文章を引用させていただきたいと思います。
山本家は250年以上に渡り漁業や稲作を行っていましたが、明治西部が自家用酒(どぶろく)製造を禁止した2年後の明治34年に山本酒造店として酒をつくり始めました。
創業当時から酒蔵の裏手に流れ落ちる白瀑(しらたき)の名を代表銘柄としていましたが、ほとんどの方がハクバクと読むことに頭を悩ませていました。
そこで6代目である現蔵元の山本友文が、杜氏制を廃止し自ら酒造りを開始したことを機に、山本という名前の代表銘柄を誕生させたのです。
遊び心を大切にした裏ラベルの文章がふざけ過ぎとのご指摘もありますが、本人はいたって真面目な男です。
こちらの説明には簡潔に書かれていますが、NEXT5の中でも山本酒造店さんがとりわけ赤字による経営危機、杜氏問題や酒造りなどで大変な酒蔵さんでした。
他の酒蔵さんも「このままでは数年~十年以内には蔵がつぶれる」という危機的状況は同じでした。
NEXT5の酒蔵さんについてもっと知りたいよ!という方は、NEXT5について書かれた「美酒復権/著者:一志 治夫」さんの本がおすすめです。
わたしも購入して読みましたが各酒蔵さんのことを知れるのが楽しいのはもちろん、驚きや知らなかった苦労などなんだかとっても心に染み入る内容でした。
そしてそれらを知ったうえで「それぞれの日本酒をちゃんと飲んでみたい!」と思いました。
なにより一志 治夫(いっしはるお)さんの文章が読みやすいです。
NEXT5ファンの方にはオススメな一冊ですので、気になったあなたはぜひチェックしてみてください。
こちらもカードのコメントを引用したいと思います。
改良信交は数年前から季節商品のターコイズブルーに使用している酒米です。
蔵元の山本のように骨太な逞しさと誰も知らない繊細さを兼ね備えているのが特徴です。
今回の企画では山本らしいフレッシュで爽やかな酒を提供すべく出荷に合わせて一発勝負で仕込みました。
5蔵とも同じ酒米を使用していますが、弊社の看板商品ピュアブラックと同じ秋田酵母No.12を使用していますので、NEXT5の5人との12年の歩みの中で切磋琢磨した山本の個性を感じ取っていただければ幸いです。
と記載がありました。
実は、今回の5本のお酒の中でもこちらの山本だけがフレッシュな生酒となっていました。
他の4蔵は前々から仕込んでいたのに…といった話がNEXT5によるリアルイベント「NEXT5 COLORS winter collection」でもありました。
生酒は嬉しいですが一発勝負はすごいですね!
NEXT5を知ったきっかけは新政酒造さんですが、その中でも「飲んでみたい!」と真っ先に思ったのが山本のお酒でした。
丁度NEXT5について調べている時に、蔵元である山本友文さんのお人柄を見て(知って)興味を惹かれたのがきっかけです。
はじめて飲んだ山本は春の季節限定酒「山本うきうき」でした。
\初めての山本!ピンクな春酒/
仕込み水の柔らかさが感じられやさしくキュートな味わいの日本酒で、好きな味わいのお酒でした。
今回の第四弾である山本(レッドボトル)のお酒はどうだったのでしょうか?
早速、見てゆきたいと思います。
ジューシーさのあるメロンな香りがします。
この時飲み比べをした、春霞(ピンク)やゆきの美人(ホワイト)と比べるとインパクト大で華やかというより力強いです。
他の2本よりも派手さがあり、メロンをスプーンですくった時のたっぷり感ありつつスッキリとする香りです。
甘みふわりと、甘酸で入りが美味しいです。
柑橘っぽい酸味。
その後に青いメロンのようなスッキリさがワーッと押し寄せてきます。
後口にはキレさと、お米の旨みがたっぷりと残ります。
ちょっとアルコール感のある力強さが残りますね。
時間が経つと、よりメロンの甘さがジューシーに香ります。
味わいは、まったりさが出て美味しいです。
他の2本を飲んでから再度山本に戻ってくると、1番キレさがあるように感じます。
ですが、優しい甘みとハッキリとした酸味のバランスが良くて飲みやすいです。
後口はキレというより清涼感なのかな?
スッとするので美味しいです。
他のお酒も飲みつつ、3周目に入ると「あ、キレイなお酒なんだ」と思いました。
キレイでいてしっかりと表情がありスルリと飲みやすくて、わたしは結構好きだなぁと思いました。
美味しかったです!
ごちそうさまでした。
こちらはすでに完売している日本酒ですので、現在は購入することができません。
販売方法としては
といった方法で購入することが可能でした。
詳細は下記のページで紹介していますので、次回の販売の参考にしたい方はご一緒にどうぞ。
\NEXT5 Colors 2022を買う方法は?/
また、山本の特約店さんは下記のサイト(酒問屋・小泉商店さんのページ)より確認することができます。
そして、8月~12月まで1ヶ月ごとに発売されたNEXT5 Colorsの日本酒でしたが、2023年1月27日に秋田県で開催されたリアルイベント
にて、来場者限定!5本セットが抽選販売というサプライズ特典がありました。
わたしはイベントに参加しなかったため抽選に応募できませんでしたが5本セットは魅力的ですよね。
なお、当日はLIVE動画も配信されましたがアーカイブは残りませんでした。
次回、NEXT5のお酒の販売があった際は「リアルイベント」にも注目必須かと思います。
品目 :日本酒(純米酒)
内容量 :720ml
アルコール分:15度
原材料名 :米(秋田県産)、米麹(秋田県産)
精米歩合 :50%
仕込み水 :白神山地の天然水
原料米名 :改良信交100%使用
使用酵母 :記載なし
製造年月 :2022.11
製造者 :株式会社山本酒造店/秋田県山本郡八峰町八森字阿知盛269
価格 :3,800円(税込)
公式サイト :https://www.yamamoto-brewery.com/
Twitter :https://twitter.com/shirataki1901
2022年のNEXT5のお酒は、福禄寿酒造さんの一白水成(いっぱくすいせい/ブルーボトル)だけ飲むことができませんでした。
飲めた4本の内、一番好みだったのはやはり新政酒造さんで、次いでこちらの山本酒造店さんのカラーズが好みでした。
2023年もNEXT FIVEのお酒は発売されるのでしょうか?
「いきなりぱつっと解散するのも美しいかも」
「メンバーは固定ではなく変えていくべき」
といった話も前々から出てはいるため、どうなるかはその時のお楽しみかもしれません。
どちらにせよ、それぞれの蔵の日本酒を購入しまたゆっくりと飲んでゆきたいと思います。
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